Excelのプルダウンとは?
Excel(エクセル)を日常的に利用している方は、1度くらいはプルダウンを見たことがあるのではないでしょうか。プルダウンとはExcelの主要な機能の1つであり、事前に用意されたリストから、該当項目を選択するだけで入力が完了する、大変便利な機能です。
例えば、製品名・担当者名・部署名など、決まった選択肢の中から1つを選ぶような場合に活用できます。この記事では、初心者の方に向けてプルダウンのメリットや作り方、注意点などについて紹介します。
【参考】:(ドロップ)プルダウンリスト作成|Microsoft サポート
プルダウンを使うメリット
Excelのプルダウンリストを利用すると、予め設定されたリストから該当する項目を選択するだけの操作で済むため、主にデータ入力の効率化と正確性向上のメリットを得られます。具体的なメリットを1つずつ確認しておきましょう。
■入力ミスの防止 あらかじめ設定された選択肢から選ぶため、操作者が自らテキストを入力する必要がなく、入力ミスの大幅な減少や防止効果を期待できます。
■データの一貫性 データ入力の際に個人のスキルに依存する必要がなく、誰が入力してもデータの整合性が保たれます。
■入力時間の短縮 データ入力の際に、プルダウンリストから入力項目を選択することでキーボード入力の手間が省かれ、入力時間が短縮できます。
■入力ルールの統一 プルダウンリストを使用することで入力ルールが統一され、入力者のスキルや判断に依らず、誰でも同じように入力ができます。
プルダウンの活用シーン
Excelのプルダウンリストを利用するメリットは分かりましたが、具体的にはどのような活用シーンがあるのでしょうか?ここでは代表的な例として3つ挙げましたが、他にも様々な活用シーンが想定されますので活用法を見つけてみましょう。
■アンケート調査 アンケートの回答選択肢をプルダウン方式にすることで、回答者の入力負担やミスを軽減し、アンケート回答率の向上と集計作業の効率化を図れます。
■製品管理 工場や販売店などで製品名・在庫数などをプルダウンで入力管理することで、データの整合性を保ち、在庫管理の効率化を図れます。
■顧客管理 Excelを利用した顧客管理システムで、顧客名・担当者・連絡先など、予めリストになっているデータをプルダウンで管理することで、顧客情報の入力ミスを防ぐとともに、顧客管理業務の効率化を図れます。
Excelのプルダウンリスト作成時の注意点
Excelのプルダウンリストを作成する際に、入力ミスを減らして効率的に作業を進めるために、いくつかの点に注意する必要があります。ここでは、プルダウンリストを作成する上で気をつけたい注意点について解説します。
■リストの配置 プルダウンで用いるリストは一列にまとめましょう。またリストに空白セルがあると、意図しない動作をする可能性がありますので、空白セルは避けます。
■入力規則の設定 「リスト」の選択は基本ですが、状況に応じて「数値」「日付」など他の種類も活用できます。他、リストのセル範囲は同一シート内・別シート共に正確に指定します。範囲が誤っていると意図した項目が表示されなくなります。
■その他の注意点 プルダウンのリストには結合したセルは利用できません。また、入力規則の設定でエラーが発生した場合、原因を特定して設定を見直しましょう。他、条件付き書式ではプルダウンで選択した値に応じてセルの書式を自動的に変更することができるため、必要に応じて活用してみましょう。
【参考】:プルダウン作成の基本〜応用まで|Microsoft for business
プルダウンの作成手順
では実際にExcelでプルダウンを作成してみましょう。ここでは基本的な手順について、図を交えて解説していきます。
リストの作成
まず、プルダウンに表示するリスト(選択肢)を準備します。リストの例としては都道府県名・商品名・部署名・国名・評価(ex.A,B,C,D)などがあります。質問に対する回答として、(Yes・No)などもあります。
①選択肢を表示するセル範囲(例: A1〜A5)に、必要な項目(例:「東京」「大阪」「名古屋」など)を入力します。 ②マウスでリストの範囲をドラッグして選択、またはセル範囲を手入力で指定します。
入力規則の設定
次に、プルダウン設定セルにおけるデータの入力規則を設定していきます。ここではC1セルに設定するものとします。この手順は設定内容を編集したり、追加したりする場合にも利用できます。
①「データ」タブ にある[データの入力規則]アイコンをクリックします。
②[データの入力規則]アイコンに続いて表示されたメニューの最初にある「データの入力規則」を選択します。続いて、ダイアログボックスでは入力値の種類で「リスト」を選びます。次の「元の値」として先ほど作成したリストの範囲を指定します。ここでは「 $A$1:$A$5」です。
プルダウンの確認
この手順でプルダウンの設定は終了します。このステップでは、プルダウンの設定が正しく行われ、正しく動作するのかについて確認を行います。
プルダウンリストの基本的な作成方法は以上です。今回は選択リストを分かりやすくするためにA列に作成しましたが、実際の業務では別シートに作成することをおすすめします。
プルダウンのカスタマイズ(応用編)
Excelのプルダウン機能は基本的な入力ミス防止だけでなく、様々なカスタマイズを施すことにより、さらに快適により高度な活用を行うことができるようになります。
入力値の種類
「リスト」以外にも、数値や日付、文字列の入力制限を設定することができます。これにより、データの正確性を保つことが可能です。以下の例では、特定期間の日付以外は入力を認めたくない場合の「データの入力規則」です。
「入力値の種類」では(日付)を指定、「次の値の間」を選択すると、開始日と終了日の入力を求めてきますので、それぞれ入力しておきます。この設定では、期間外の日付は入力ができません。
エラーメッセージ
入力欄に不適切な入力があった場合、任意のエラーメッセージを表示してユーザに通知することができます。エラーメッセージを設定する場合は「データの入力規則」ウィンドウで「エラーメッセージ」のタブを選び、適切な「タイトル」と「カスタムメッセージ」を入力します。
入力設定した範囲に含まれず、値がエラーとなった場合のエラーメッセージがどのように表示されるか見てみましょう。
次の例では、入力値の範囲を「2024/01/01から2024/01/31」と設定しているにもかからわず、「2024/02/30」と入力したためにエラーとなり、設定したカスタムメッセージが表示されています。
セル書式のカスタマイズ
プルダウンに関連するセルの見た目を変更できます。セルの背景色や文字のフォントを変えることで、選択肢を視覚的にわかりやすく表示します。プルダウンリストを選択したときのセルの背景色やフォントの色を変更する方法を解説します。
条件付き書式 を利用します。プルダウンリストのあるセル範囲(N1)を選択し、ホーム タブの 条件付き書式 をクリックします。
新しいルール を選択し、「数式を使用して書式設定するセルを決定する」を選びます。
書式設定するセル に、プルダウンリストの値が入力されていることを判定する数式を入力します。
例えば、N1セルのプルダウンリストで、 "東京" を選択した場合に背景色を変更したい場合は、次の数式を入力します。
=N1="東京"
書式 ボタンをクリックし、変更したい書式(背景色、フォントの色など)を設定します。ここではスタイルを太字とし、色を赤にしてOK をクリックしてみます。
プルダウン設定を削除する方法
プルダウン設定を行った後、設定を削除したい場合の方法を紹介します。「ホーム」タブから画面右上、[書式]ボタンの右隣にある「クリア」を選択し、続いて「すべてクリア」をクリックすると、プルダウンを含め、選択したセル内のデータや書式設定、コメントなどがすべて初期化されます。
書式設定などは残し、特定のプルダウンの設定だけ削除したい場合は「データ」タブのメニューから「データの入力規則」を選択し、下にある「すべてクリア(C)」をクリックすると、特定のプルダウン設定だけ削除することができます。
プルダウンリストの連動
プルダウンリストは他のリストと連動させて、より効率的に活用することができます。例えば、プルダウンで関東地域を選択すると、自動的に東京や神奈川など、関東地域に含まれる都や県が選択できるような方式を「プルダウンリストの連動」と呼びます。
これはINDIRECT関数というExcelの関数ですが、このようにプルダウンは他の関数などと組み合わせることでさらに高度な利用方法があります。
【参考】:INDIRECT 関数|Microsoft サポート
Excelのプルダウンを活用しよう
この記事ではExcelのプルダウン作成の基本について解説しました。プルダウンを活用することで、Excel作業における入力の労力や時間を省き、入力精度を高められることが分かりました。
さらに、カスタマイズにより独自のエラーメッセージを出したり、色を変えたり、より分かりやすく楽しいプルダウンの活用方法についても紹介しました。
プルダウン機能はExcelの標準機能であり、初心者の方でもわずか3ステップ程度で設定ができます。業務の効率化にも役立ちますので、この記事を参考にして、ぜひ試してみましょう。
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