Excelの改行とは?
Excelで作業をしていると、1つのセルに長い文章や複数のデータを入力することがあります。このような場合、セル内で改行を行うことでデータの可読性を向上させ、見栄えを整えることができます。
例えば、顧客情報を1つのセルにまとめて管理したい場合や、長い文章を入力する際、セル内改行を使うことで、データを整理しやすくなります。
本記事では、エクセル改行のさまざまな方法を紹介し、実務で活用できるように解説していきます。初心者の方でも分かりやすいように、ステップごとの解説や図を用意しています。セル内改行の基本から応用まで、効率的にマスターしましょう。
改行コードの基本
改行コードとは、コンピュータ上で文章を改行するときに使用される特別な文字のことです。人間が文章を読む際には、行末に達すると自然と次の行に移りますが、コンピュータはそれをどのように認識するか、というルールが必要になります。このルールを示すのが改行コードです。
代表的な改行コード
改行コードはOSによって異なります。大きくは以下の3種類があります。
・LF(Line Feed) Unix系OS(Linux、macOSなど)でよく使われ、その値は "\n" (ASCII 10)です。
・CR(Carriage Return) 古いMacintoshで使用されていました。値は " \r" (ASCII 13)です。
・CRLF(Carriage Return + Line Feed) Windowsで一般的に使用されます。値は "\r\n" (ASCII 13, followed by ASCII 10)です。
Excelセル内改行の基本
Excelのセル内に文字を入力する際に、1行に収まらない長文を入力したい時や、見やすくするために改行したい時に便利なのがセル内改行です。セル内改行には主に、次の3つの方法がありますので紹介します。
[Alt + Enter]キーによる改行
[Alt + Enter]キーは、最も一般的なセル内改行方法です。複数行にわたってテキストを表示したい場合や、長文を整然とセルに収めたい際に有効です。この方法は最も簡単で、習得しやすい方法と言えます。
【参考】:セル内に改行を挿入する|Microsoft サポート
■操作手順 1. セルを選択し、入力モードにします。 2. 改行したい位置までテキストを入力します。 3. Altキーを押しながらEnterキーを押すと、その位置で改行されます。 4. 必要なだけ改行を入れたら、入力を完了してEnterを押します。
【図】:Alt + Enterキーによる改行
■利用シーン セルに入力した商品名や住所など、長い情報を複数行に分けたい場合に有効です。
■注意点 この方式は、長文テキストの見栄えの調整には向いていますが、数値などが入っているセルや参照セルには適していません。改行できない場合には、「折り返して全体を表示する」がオフとなっており、見た目では改行がされていないように見えることがあるため、オフになっていないか確認してみましょう。
また、この方法はWindows向けであり、Macの場合は「command」+「option」+「Enter」となりますので、それぞれのOSを使い分けている方は気をつけましょう。
自動改行機能
自動改行は、セルの幅に合わせてテキストが自動的に折り返される機能です。例えば、セルに収まりきらない長い文章がある場合、自動的に下のセルに自動改行され、見やすく表示されます。
■設定手順 1. セルまたはセル範囲を選択します。 2. Excelのリボンから「ホーム」タブを選び、「折り返して全体を表示する」をクリックします。 3. セルの幅に合わせて、テキストが自動的に折り返されます。
【図】:Alt + Enterキーによる改行
■注意点 自動改行機能では、動的に改行されるため、手動での改行を行わずに済むので便利ですが、セル幅が勝手に変更されると表示形式が崩れる可能性がありますので、注意が必要です。
CHAR関数を利用した改行
ExcelのCHAR関数を使うと、セル内に改行コードを挿入できます。これは、より高度な操作を行いたい場合に役立ちます。
■CHAR関数の基本書式 CHAR 関数とは、数値で指定された文字を返したり、文字コードを文字に変換したりする関数で、基本書式は次の通りです。
=CHAR(文字コード)
ANSI文字コード表では、CHAR(0)はNULを表し、CHAR(10)は改行を表します。
■操作例 「=A1 & CHAR(10) & B1」と入力することで、A1セルとB1セルの内容を結合して、C1セルに改行付きで表示できます。CHAR関数では引数に10を指定することで、「改行する」という意味になります。
■注意点 Windowsの場合は改行コードは「CHAR(10)」ですが、Macでは「CHAR(13)」です。Alt + Enterを押すと手動で改行できますが、数式内で自動的に改行を追加するには上記の方法が便利です。
その他セル内改行の応用
ここまでセル内改行の基本について図を交えて解説してきましたが、もう少し高度な方法についても見てみましょう。
TEXTJOIN関数の使用
複数のセルを1度に改行付きで結合したい場合には、TEXTJOIN関数を使う方法があります。TEXTJOIN関数とは、複数の文字列やセル範囲のテキストを結合し、結合する各テキスト値の間に、指定した区切り記号を挿入する関数です。区切り記号を省略すると、文字列が直接結合されます。
■ TEXTJOIN関数の基本構文 TEXTJOIN関数の基本構文は次のようになります。
=TEXTJOIN ("区切り記号",空白の場合の処理(TRUE or FALSE),文字列 1, [文字列 2],...)
・区切り記号:省略すると文字列が連続して結合されます。文字列を記号でつなぐ場合は記号を指定し、 " " で囲みます。 ・空白の場合の処理(必須):TRUEもしくはFALSEを指定します。TRUEを指定して空のセルがあると除外されます。 ・文字列1 (必須):結合する文字列、セルもしくは「:」でセル範囲を指定します。 ・文字列2 (任意):結合する文字列は252まで指定可能です。
【参考】:TEXTJOIN 関数 |Microsoft サポート
■操作例 例えば、セルA2からセルC2までをセルD2で結合したい場合には、セルD2に次のように入力します。また、結合したテキストに区切りを入れたい場合には区切り記号欄に " " で囲んだ任意の記号を記入します。
=TEXTJOIN(",", TRUE, A2:C2)
これにより複数のセルを簡単に結合できます。
■セル内改行 結合したセルを改行して表示したい場合の操作です。改行したい結合セルを指定し、ホームタブの[折り返して全体を表示する]をクリックします。以下は操作結果の画面です。
セル内改行の活用シーン
ここまで、さまざまなExcelのセル内改行方法について紹介してきましたが、セル内改行は実際にどのようなシーンで活用できるのかを確認してみましょう。
複数の情報をコンパクトにまとめる
Excelで住所を表示する場合、住所を1行に並べるよりも、都道府県・市区町村・番地などを改行して表示することで見やすくなります。アンケート結果の場合にも、アンケートの回答を質問ごとに改行して表示することで、回答内容が分かりやすくなるでしょう。
他、商品情報を表示する場合には、 商品名・価格・商品説明などを1つのセルにまとめることで、一覧性が増します。このように、複数の情報を異なるセルに表示したり、1つのセルに連続表示したりするより、コンパクトにまとめ、かつ改行で区切りを明確にしたりすることで、より情報価値が高まります。
長文のテキストを分割する
ExcelをWordの代わりに利用するケースがありますが、Excelはセルの中に文章を収めるため、レイアウトにバラつきが生じ、文章が見にくくなってしまいます。
セルの改行機能を上手く利用することで、長文の文章を複数の行に分割し、印刷時のページレイアウトの調整がしやすくなります。また、レポートや資料では、段落ごとに改行することで文章構造が明確になります。
データの可視化
グラフ作成時のラベルを複数行に分割することで、長いラベルが読みやすくなります。またピボットテーブルでは項目名を改行することで、項目名が重なるのを防ぎ、見やすくすることができます。このように、改行によってデータの可視化を高めることが可能です。
フォームの作成
Excelでデータ入力を行う場合、入力フォームを作成しますが、各項目の説明を改行して表示することで入力する際のミスを防いだり、入力効率を高めたりすることができます。
その他
セルをメモ帳のように使うと、必要に応じて複数のメモを1つのセルにまとめて管理しやすくなります。他には、VBAマクロのコードにコメントを記述する際に、改行を使用してコードの構造を分かりやすくすることができます。
Excelのセル内改行を活用しよう
ここまで、Excelのセル内改行について基本から応用までを解説してきました。Excelのセル内改行は、データの見やすさや整理に大きく貢献する便利な機能です。Alt + Enterキーによる手動改行、自動改行、CHAR関数を使った改行など、さまざまな方法があり、状況によって使い分けることが重要です。
例えば、テキストの整理や長文を分割する場合には手動改行が便利ですが、大量のデータやセル結合にはTEXTJOIN関数が適しています。
セル内改行を効果的に活用することでExcelでの作業効率が向上し、データの可読性や見た目を整えることが可能になります。実務においても、住所の管理やアンケート結果の整理など、さまざまなシーンで役立ちますので、ぜひ積極的に利用してみましょう。
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