Excelのパスワードを解除するには?
Excel(エクセル)のパスワードを忘れてしまい、パスワード解除ができないという経験をしたことはありますか?Excelファイルには仕事で使う重要なデータが入っていた、個人で作成した貴重な資料だった、といったケースでは焦る気持ちが大きくなるでしょう。
この記事では、Excelファイルのパスワード解除方法について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。ここではWindows11環境を前提に解説を進めますが、Windows10の方も役立ててください。
パスワードの種類と解除方法
Excelファイルには、大きく分けて3種類のパスワードが設定方法があります。1つ目はファイルを開く際に必要な「開くパスワード」、2つ目はファイルの内容を編集する際に必要な「シートの保護パスワード」です。
さらに、VBAを利用している場合には、「VBAプロジェクトパスワード」があります。それぞれに対応した解除方法がありますので、状況に合わせて適切な方法を選びましょう。
Excelをパスワードで保護する
Excelは企業などで非常によく使われるソフトウェアです。Excelの中には社外秘や部外秘の重要データが含まれていることが少なくないので、Excelのセキュリティを高めるためにパスワード保護を行う必要があります。
Excelファイルをパスワードで保護する方法には、大きく分けて以下に挙げる3つの方法があります。1つずつ見ていきましょう。
【参考】:Excel ファイルを保護する |Microsoft サポート
ブック全体の保護(開く際のパスワード)
Excelファイル自体をパスワードロックし、ファイルを開く際にパスワード入力を求める方法です。設定手順は以下の通りです。
①ファイル タブ → ②「情報」→ ③「ブックの保護」→④「パスワードを使用して暗号化」をクリックします。⑤パスワードを入力し、確認のために再度入力します。
シートの保護(編集の制限)
シート内の特定のセルや範囲の編集を制限する方法です。特定の箇所のみパスワードで保護できます。
保護したいシートを選択し、①レビュー「校閲」 → ②「シートの保護」をクリックします。シート保護のダイアログボックスから編集を許可する項目を選択し、③パスワードを設定します。
構造の保護(シートの移動や削除の制限)
シートの移動や削除、追加などの構造的な変更を制限する方法です。
①レビュー「校閲」タブ → ②「ブックの保護」をクリックします。「シート構成とウィンドウの保護」のダイアログボックスで、③パスワードを設定します。
Excelのパスワードを忘れた際の解除方法4選
Excelがパスワードロックされている場合、これを解除する方法として以下の4つが挙げられます。パスワードを思い出す、設定した人に尋ねる、パスワード解除ツールといった方法があります。また、高度な方法としては、VBAを使う方法もあります。
この記事では主に、拡張子をzipに変える方法について詳しく解説します。
パスワードを思い出す
Excelに設定したパスワードを忘れた場合、自身で設定したパスワードであれば思い出すのがベストです。なぜなら、自身で設定したパスワードは何らかの独自のロジックに基づいている場合が多いからです。
それは日付や住所、好みの単語というケースが少なくないからです。また、他の人が設定している場合には、解除が必要な理由を示して解除してもらう方法もあります。
パスワード解除ツールを使う
「PassFab for Excel」など、パスワード解除ツールを利用する方法があります。PassFabは、AndroidやWindows、iPhoneなどのデバイスのパスワードを解除するツールです。Windows7からWindows11までカバーしており、信頼性が高く、多くのExcelバージョンに対応しています。
無料版もありますが機能制限があります。また、解除ツールを利用する際は、念の為にデータのバックアップを取っておくことをおすすめします。
【参考】:PassFab for Excel | PassFab 公式サイト
Excelファイルの拡張子をzipに変更する
Excelファイルの拡張子をzipに変更することで、そのファイルの構造を直接覗き込むことができます。Excelファイルは、実はzip形式で圧縮された複数のファイルの集合体であり、この構造を利用してパスワードで保護された部分を直接編集することで、パスワードを強制解除できる可能性があります。
ただし、この方法はMicrosoft Office 2010、あるいはそれ以前のバージョンでは有効ですが、Microsoft365などの新しいExcelでは保証の限りではありません。また、読み取り専用のExcelファイルには対応していません。
①ファイルの拡張子変更 パスワードがかかったExcelファイル(通常は.xlsx)を右クリックし、「名前の変更」を選択します。ファイル名の末尾の「.xlsx」を「.zip」に変更し、Enterキーを押します。
「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります。変更しますか?」と尋ねてきますので、ファイルのバックアップがあれば、[はい(Y)]をクリックします。
②zipファイルの解凍 変更したzipファイルをダブルクリックして解凍します。通常、「xl」というフォルダが作成されます。
③パスワード保護部分の編集 解凍したフォルダ内の、パスワードで保護されている部分に対応するファイルをテキストエディタで開きます。
どのファイルがパスワードに対応しているかは、Excelファイルの種類や保護の種類によって異なりますが、一般的には「worksheets」フォルダ内にある、シートごとの「sheet 1.xml」ファイルが該当するケースが大半です。
テキストエディタで「sheet 1.xml」をデスクトップにコピーし、テキストエディタで開いたら、「sheetProtection」を検索し、「
続いて「worksheets」フォルダに「sheet 1.xml」を戻せば、パスワードロックは解除されています。
④zipファイルに戻して拡張子変更 編集したファイルを保存し、元のzipファイルに戻します。zipファイルを右クリックし、「名前の変更」を選択し、拡張子を「.zip」から「.xlsx」に戻します。
「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります。変更しますか?」と尋ねてきますので、問題がなければ、[はい(Y)]をクリックします。
⑤Excelで開く 変更したExcelファイルをExcelで開きます。基本的にはパスワード不要で開けるはずですが、開けない場合には、「パスワード解除ツールを使う」の方法でパスワードの解読をしてみましょう。
⑥zip形式でパスワード解除する際の注意点 Excelファイルの拡張子をzipに変更することで、パスワード解除を行う方法について解説しましたが、この方法にはいくつか注意点があります。以下の注意点を確認した上で行うことをおすすめします。
【ファイルの破損リスク】 この方法はファイルの構造を直接変更するため、誤った操作を行うとファイルが破損してしまうリスクがあります。必ずバックアップを取り、解除して保存することを忘れないようにしましょう。
【パスワードの種類】 この方法はシートの保護やブックの保護など、特定の種類のパスワードにしか有効ではありません。すべてのパスワードが解除できるとは限りません。
【法的観点】 この方式に限らず、パスワード解除は自分で作成したファイルに限定しましょう。他人のファイルを作成者の同意や許可なく、改変することは違法行為となる可能性があります。必ず本人の同意を得た上で行いましょう。
VBAマクロを使う
ここまでExcelのパスワード解除法を3つ紹介しましたが、他にVBAマクロを使用してパスワードを解除する方法があります。誤操作のリスクや法的リスクがありますので、この方法は、日常的なVBAを利用している中〜上級者の方におすすめします。
また、他人が作成したファイルなどで行わないよう注意しましょう。※ここでは手順だけ紹介し、解除するためのVBAコードは公開しません。
①VBAエディタの起動 Excelを開き、Alt + F11 キーを押してVBAエディタを起動します。
②モジュールの挿入 左側のプロジェクトエクスプローラーで、該当のブックを選択し、挿入メニューから「標準モジュール」を選択します。
③マクロコードの入力 空白のモジュールにコードを入力します。この時にパスワードが分かっていることが前提です。
④マクロの実行 コードの入力が済んだら、F5キーを押して、マクロを実行します。
■ 注意点 この方法はワークシートのパスワード解除が目的であり、ブックのオープンパスワード、構造のパスワードなど、他の種類のパスワードには対応できない場合があります。また、パスワードを解除することでデータのセキュリティが低下する可能性があるため、注意が必要です。
パスワードの設定と解除を習得しよう
ここまで、Excelのパスワードを忘れた場合の対応をテーマに、Excelのパスワード保護を行う3つの方法、パスワードを解除する4つの方法、注意点などについて解説してきました。
Excelのパスワード解除方法にはいくつかの手段があり、状況に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。また、データの安全性を確保するために、パスワードの管理には注意を払い、Excelファイルの保護と管理に関するスキルのアップを目指しましょう。
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