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上流工程とは?システム開発の成否を左右する重要な工程を解説
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上流工程とは?システム開発の成否を左右する重要な工程を解説

アンドエンジニア編集部
2024.09.09
この記事でわかること
上流工程とはシステム開発の最初の工程で、要件定義や設計などの計画的な作業を行う工程のこと
上流工程の目的はシステム要件の明確化、システムの設計、開発計画の策定である
上流工程に必要なスキルはコミュニケーション能力、 問題解決能力、ドキュメント作成能力、IT知識である

そもそも上流工程とは

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上流工程とは、システム開発の初期段階で、プロジェクトの成功を決定づける重要なフェーズです。ウォーターフォールモデルでは、要件定義・基本設計・詳細設計などが順番に行われますが、アジャイル開発ではこれらの工程が反復的に行われることが特徴です。

上流工程・下流工程という表現はシステム開発において定着している呼称ですが、文脈によっては「前工程」「後工程」と言い換える場合もあります。

この記事では、システム開発における上流工程の重要性、具体的な流れ、上流工程に必要なスキルと、その会得法について解説します。システムエンジニアを目指している方はぜひ参考にしてください。

【参考】:ユーザのための要件定義ガイド 第2版 | アーカイブ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

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上流工程の重要性

上流工程はシステム開発において最も重要なフェーズの1つであり、プロジェクトの成功を左右します。

この段階では、システムの要件を定義して設計を行い、開発の計画を策定します。上流工程での作業がしっかりと行われないと後の工程で手戻りや修正が発生し、コストや納期が大幅に増加するリスクがあります。

また、上流工程での誤りはシステム全体の品質に直接影響を与えるため、ここでのクオリティがプロジェクト全体の品質を決定づけます。

したがって、上流工程をいかに効果的に行うかがプロジェクトの成功に直結します。この上流工程を担当するのは、一般的にはシステムエンジニアと呼ばれる職種です。

システムエンジニアの仕事内容とは何か?わかりやすく解説!

上流工程の目的

上流工程の主な目的は、システム開発の基盤を構築することです。具体的には以下の3つの目的があります。

■システム要件の明確化 顧客や利害関係者のニーズを正確に把握し、システムに必要な機能や性能を具体的に定義します。これにより、開発チームは明確な指針を持って作業を進めることができます。

■システム設計 システム全体の構造やデザインを計画し、システムがどのように動作するかを詳細に設計します。これには、システムの機能配置、データベースの構成、インターフェースの設計などが含まれます。

■開発計画の策定 プロジェクトの進行計画を策定し、リソースの割り当てやスケジュールを決定します。これにより、プロジェクトの進行を管理し、適切なタイミングでシステムをリリースできるようにします。

上流工程では、これらの目的を達成することでシステム開発の全体像を明確にし、プロジェクトを成功へと導きます。

【参考】:超上流から攻める IT 化の原理原則17ヶ条| IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

上流工程のステップ

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上流工程は、システム開発の初期段階で行われる重要なプロセスであり、主に以下の4つのステップで構成されます。これらのステップは、システムの要件を定義し、それに基づいてシステム全体の設計を行うことを目的としています。

システム企画

情報システムは企業の存続と発展に欠かせない経営資源と言われます。企業にはIT戦力が必要であり、この戦略に基づいてシステム企画(システム開発計画)が策定されます。システム開発の範囲をどこまでとするか議論はありますが、最近はこのシステム企画を上流工程に含むとする考え方が一般的です。

要件定義

要件定義はシステム開発プロジェクトの最初のステップで、システムに求められる機能や性能、制約条件を明確にするプロセスです。

ここでは、顧客やユーザのニーズをヒアリングし、それを基にシステムが実現すべき要件を整理します。要件定義では、顧客のビジネスプロセスや期待を正確に理解することが重要です。

ヒアリングした内容を基に、システムが提供する機能や性能を文書化します。これが要件定義書としてまとめられ、開発チームにとっての設計指針となります。

【参考】:ユーザのための要件定義ガイド第2版2刷

要件定義とは?流れや決め方、作成に必要なスキルをわかりやすく解説

基本設計

基本設計は、要件定義を基にシステム全体の構造や動作を設計するステップです。この段階ではシステムの全体像を描き、各機能がどのように実現されるかを決定します。

■ システム構成の設計 システムを構成するハードウェアやソフトウェア、ネットワークの構成を設計します。ここでの決定事項は、後の詳細設計や実装に直接影響します。

■ 機能設計 システムの主要な機能を整理し、それぞれがどのように相互に連携するかを設計します。これには、システムのインターフェース設計やデータフローの設計も含まれます。

■ 基本設計書の作成 設計内容を文書化し、基本設計書としてまとめます。これにより、後の詳細設計や実装作業が円滑に進むようになります。

詳細設計

基本設計で決定したシステムの構成や機能をさらに具体的に設計するステップです。ここでは、システムを実装するための詳細な仕様を決定します。

■ プログラム設計 各機能を実際にどう実装するかを設計します。プログラムのロジックやアルゴリズムを詳細に設計し、プログラム仕様書にまとめます。

■ データベース設計 システムで使用するデータベースの構造や、データの格納方法を詳細に設計します。具体的には、テーブル設計やデータの正規化が行われます。

■ 画面設計 ユーザインターフェースの設計を行い、システムがどのようにユーザに表示されるかを決定します。これは、ユーザ体験の品質に大きく影響します。

■ 詳細設計書の作成 詳細設計の内容を文書化し、詳細設計書としてまとめます。この文書は、開発者が実装を進めるためのガイドラインとなります。

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上流工程で必要なスキルと習得法

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上流工程で必要なスキルは、システム開発プロジェクトの成功に直結する重要な能力です。ここでは、具体的なスキルとその習得方法、さらに役立つ資格について解説します。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、顧客やチームメンバーと効果的に意思疎通を図り、正確な要件定義や設計が行えるようにするためのスキルです。上流工程を担当するシステムエンジニアにとって最も重要な能力の1つです。コミュニケーションスキルの高いエンジニアは、上流工程に向いていると言えます。

■ 習得法 システム開発のプロジェクトに参加し、積極的に顧客や同僚とコミュニケーションを取ることで実践的なスキルを磨きます。他、ロールプレイングを行うことでもコミュニケーション能力の向上に役立ちます。

具体的なシナリオを用いて、要件定義や会議の場をシミュレーションすることで、実際の場面を想定した練習ができます。

■ 役立つ資格 コミュニケーション能力を高め、スキル証明となる資格としては、顧客とのコミュニケーションや要件定義のスキル向上に役立つ「ITコーディネータ」と、プロジェクト管理の中でのコミュニケーション能力を高める「PMP(Project Management Professional)」の資格取得をおすすめします。

【参考】:ITコーディネータをめざす方へ | ITコーディネータ資格取得サイト 【参考】:PMP®資格について | 一般社団法人 PMI日本支部

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PMPとは?資格取得で年収アップ?試験の概要から難易度まで解説

問題解決能力

問題解決能力は、要件定義や設計の過程で発生する矛盾や問題を発見し、効果的な解決策を提示する能力です。

■ 習得法 問題解決能力を高めるには、ケーススタディで学ぶ方法、論理的思考のトレーニングを行うことが必要です。

「ケーススタディ」は実際の問題解決事例を分析し、どのように問題を解決したかを学びます。「論理的思考のトレーニング」はロジカルシンキングのフレームワークを学び、実際の業務で活用することで、問題解決能力を強化します。

■ 役立つ資格 問題解決能力を高め、スキル証明になり得る資格としては、IT戦略や問題解決に関する高度な知識を問われる「ITストラテジスト試験」と、複雑なシステム設計や問題解決スキルを養う「システムアーキテクト試験」がおすすめです。

どちらも難易度の高い試験ですので、合格にはある程度の学習と経験が必要です。

【参考】:ITストラテジスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:システムアーキテクト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

ITストラテジスト試験とは?概要や難易度、必要な勉強時間を解説
システムアーキテクト試験とは?難易度・年収・勉強法を解説

ドキュメント作成能力

ドキュメント作成能力は、要件定義書、基本設計書、詳細設計書など、正確で分かりやすいドキュメントを作成するために必要な能力です。

■ 習得法 ドキュメント作成能力を高めるには、テンプレートを活用し、実務を通して習得する方法と、テクニカルライティングを習得する方法などがあります。

テンプレートの活用によって標準的なドキュメントテンプレートを学び、実際のプロジェクトで使用することで習得できます。また、テクニカルライティングの学習では明確で簡潔な文章を書く技術を習得するために、テクニカルライティングの講座や書籍を利用します。

■ 役立つ資格 ドキュメント作成能力を高め、スキル証明となる資格として、基本的なシステム開発の知識とともにドキュメント作成の基礎が問われる「応用情報技術者試験(AP)」と、英語でのドキュメント作成が求められる場合には、TOEICなどの英語能力資格が役立ちます。

【参考】:応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:【公式】TOEIC Program|IIBC

応用情報技術者試験とは?申し込み方法や合格率、過去問などを解説
システムエンジニアに英語力は必要?英語ができるメリットとは

IT知識

エンジニアに必要なIT知識とは、一般的なIT知識に加えて、システム開発に必要なプログラミング、データベース、ネットワークなどの技術的知識です。新人の方は、まずはこれらのスキルアップに努めましょう。

■ 習得法 IT知識を高めるには、書籍やオンライン講座の活用、実務を通して知識を高める方法、スキル証明となる資格を取得する方法などがあります。

ITに関する専門書籍やオンラインコースを活用することで、最新の技術を学びます。また、開発プロジェクトに積極的に参加し、実際の業務を通じてスキルを高めつためにも実務経験は欠かせません。

■ 役立つ資格 基本的なIT知識を有しているスキル証明としては、IT全般の基礎知識を証明する「基本情報技術者試験(FE)」と、クラウド設計の知識を証明し、特にクラウド環境での開発に役立つ「AWS Certified Solutions Architect」がおすすめです。

【参考】:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:AWS 認定ソリューションアーキテクト|アソシエイト認定

基本情報技術者試験とは?試験概要や合格率、ITパスポートとの違い
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上流工程を成功させよう

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ここまで、上流工程の概要や手法、上流工程に必要なスキルと習得法について解説しました。上流工程を成功させるには、コミュニケーション能力や問題解決能力、ドキュメント作成能力、そしてIT知識が不可欠です。

これらのスキルは、実践経験と学習を通じて磨くことができます。また、関連する資格を取得することで、自分のスキルを客観的に証明し、キャリアをさらに発展させることが可能です。自己研鑽に励み、ぜひ上流工程に強いシステムエンジニアを目指してみましょう。

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