上流工程は難しい?
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エンジニアとしてキャリアアップを目指す上で、下流工程から上流工程への移行は大きな目標の1つです。しかし、求められるスキルや役割が異なるため、難しいと感じるエンジニアも少なくありません。
今回は、上流工程の仕組みや流れ、下流工程との違いを解説し、上流工程が難しいと感じる理由と対処法についても紹介します。
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上流工程とは?
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上流工程とは一般的に、システム開発のプロセスの中で要件定義・設計のことを指します。上流工程のプロセスは、開発・構築・運用・監視といった下流工程を行うための前提となるものであり、顧客へのヒアリングや関係各所との調整、抽象度の高い技術選定や設計などといった業務が多くなります。
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上流工程の仕組みや流れ
上流工程・下流工程という区別は一般的に、ウォーターフォールモデルと呼ばれるシステム開発のプロセスで採用されています。
ウォーターフォールモデルでは、システム開発のプロセスを川の流れに見立て、「要件定義」「設計」のような上流工程と、「開発」「テスト」「運用」のような下流工程に分けて行います。
上流工程の成果物である要件定義書や設計書を基に下流工程が行われるため、プロジェクト全体に与える影響が大きい工程です。
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下流工程との違い
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上流工程と下流工程にはいくつかの違いがあるため、下流工程から上流工程に移行すると難しいと感じることがあります。ここでは、下流工程との違いを4つ紹介します。
求められるスキルや役割の違い
下流工程では決められた要件や設計に従って実作業を行う実行力が求められます。一方で、上流工程では抽象的な顧客の要望を具体的な設計に落とし込むアイデアや提案力を求められます。
また、下流工程では自分自身のタスクに集中することを求められるのに対して、上流工程では顧客との折衝や後続の下流工程への連携、監督といった管理能力を求められます。
仕事量の違い
一般的に、上流工程は下流工程と比較して仕事量が多くなる傾向にあります。自分自身のタスクだけでなく、顧客との会議の出席や下流工程のメンバーの進捗管理などプロジェクトのステークホルダーとの間にもタスクが発生するためです。
求められる責任の違い
上流工程では、1つ1つのタスクの影響範囲が大きいため、責任も重くなります。開発や構築といった後続の工程は、上流工程の成果物である要件定義書や設計書をもとに行うため、ここで要件や設計に漏れがあった場合、顧客の要望を満たせない成果物を作成してしまうことになります。
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年収の違い
上流工程は下流工程と比較して業務内容が難しくなり、責任も重くなりますが、その分年収も高くなる傾向があります。ここでは、上流工程を担当する主な職種としてシステムエンジニアの平均年収を紹介します。
システムエンジニアの平均年収は「マイナビエージェント職種図鑑」によると、431万円(※2025年1月執筆時点)と算出されています。また、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」における「エンジニア/プログラマ」の平均年収を参考にすると、592万円でした。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニアは国内の平均より高めに設定されていることがわかります。
また、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーなど、上位のポジションを任されるようになれば更に高い年収を得ることも可能です。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑/システムエンジニア ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
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難しいと感じる理由と対策
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上流工程は下流工程と比べて様々な違いがあり、難しいと感じる人も少なくありません。ここでは、上流工程が難しいと感じる主な理由を3つ紹介します。
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業務内容の抽象度が高い
上流工程では一般的に、下流工程と比較して業務の抽象度が高くなります。下流工程では事前に決められた要件や設計、手順に従って作業を行うことが多いのに対して、上流工程では顧客側の抽象的な要望をヒアリングによって汲み取り、具体的な技術選定や設計に落とし込まなければなりません。
仕事量が多く、時間が足りない
上流工程では一般的に、下流工程と比較して単純な仕事量が増える傾向があります。下流工程では自分自身のタスクに集中することが多いのに対して、上流工程では顧客や協力会社、プロジェクトメンバーといったステークホルダーとの調整や、後続の工程を管理する必要があるためです。
1日のスケジュールが会議や調整で埋まってしまう場合も多く、時間のやりくりが難しいと感じることが多くなります。
責任の重さにプレッシャーを感じる
上流工程では、下流工程と比較して求められる責任が重くなります。上流工程で行う要件定義や設計は、後続する下流工程の成否に直接影響するためです。
例えば、要件定義で顧客の要望を汲み取れず、設計に取り入れられないまま開発プロセスに進んでしまったとします。このような場合、検収のタイミングになって顧客から想定と異なる旨の指摘が入り、大幅な手戻りが発生したり、信用を失ってしまう可能性があります。
上流工程はプロジェクト全体に大きな影響を与えるプロセスであり、責任の重さから難しいと感じることがあります。
上流工程が難しいと感じる場合の対策
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上流工程は下流工程と比較して難しいものですが、エンジニアとしてキャリアアップを目指す上で避けては通れない道です。対策を練って苦手意識を克服できるようになれば難しいと感じることが少なくなるでしょう。
ここでは、上流工程が難しいと感じる場合の対策を紹介します。
前向きに捉える
上流工程の業務は下流工程と比較して顧客に近い立ち位置にあり、抽象度が高く複雑で、難しいものです。しかし、捉え方次第では難しいと感じる経験こそ市場価値が高く、キャリアアップできる恵まれた環境であることの裏返しでもあります。
難しいからという理由で避けようとしたり、挫折したりしてしまうのは勿体ないと言えます。成長のチャンスとして前向きに捉えることができれば、難しいことがむしろプラスに感じられ、モチベーションに繋がるでしょう。
コミュニケーションスキルを磨く
上流工程は顧客と直接コミュニケーションを取る機会が多いプロセスなので、人との交流があまり得意ではない人にとってはハードルが高く感じられます。コミュニケーションスキルを上達させるには、発言の機会を増やすことが重要です。
まずはチーム内などの小規模で心理的安全性の高いグループでのコミュニケーションから、発言を増やすように心がけてみましょう。
リーダーシップを磨く
コミュニケーションスキルと似ていますが、リーダーシップも重要な要素です。上流工程が上手く進まない大きな要因の1つが、リーダーシップの欠如です。
例えば、業務の振り分けが不明確で指示が出ない状態が続くと、プロジェクトが進行せずに時間だけが過ぎ、結果として要件や設計に不備が生じてしまいます。
リーダーシップや推進力を発揮するには受け身の姿勢ではなく、「自分のアクションでプロジェクトを推進する」という意識で行動しましょう。
具体的には期限やゴールを決めて情報共有を徹底し、役割分担を明確化することから始めるのがおすすめです。
上流工程を上手にこなしてキャリアアップしよう
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上流工程は求められる責任が重い分、年収も高く、やりがいのある仕事です。上流工程を任されるようになったということは、キャリアアップのチャンスに直面しているとも言えるため、前向きに捉えてコミュニケーションスキルやリーダーシップを磨きましょう。
また、転職などで職場環境を変えてみるのもおすすめです。転職活動では技術力やリーダーシップとは違った知識や経験が成否に影響するため、独学で対応すると思わぬ苦戦を強いられるかもしれません。そのような時は、IT業界に詳しい転職エージェントを利用してみるといいでしょう。
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