ITコーディネータ試験とは?
経営のDX化やAIの活用などが多くの企業の重要課題となっていますが、これら課題の解決に向けて、経営とITを結ぶ人材の必要性が高まっています。
ITコーディネータ資格は、経営におけるIT利活用に向け、経営的視点で経営者に助言・支援を行える人材育成を目的に、2001年に当時の通産省(現経済産業省)が設けた制度から生まれた資格です。
ITコーディネータを認定するITコーディネータ試験は、「特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会」が主催し、経済産業省も推進を後押ししています。制度創設より累計で資格者は1万人を超えるなど、影響力のある資格試験となっています。
この記事では、ITコーディネータ資格を取得してキャリアチェンジを目指したい方に向けて、ITコーディネータ資格の概要、試験概要、受験のメリット、合格後の活躍分野などについて紹介します。
【参考】:ITコーディネータ協会(ITCA) 【参考】:ITコーディネータ試験 | ITコーディネータ資格取得サイト
ITコーディネータ試験の概要
ITコーディネータ資格の認定に関しては、他の資格試験とは制度面で異なる部分があり、試験合格だけでは資格認定とはなりませんので、資格制度について理解をしておく必要があります。
資格制度の概要
ITコーディネータ資格制度のキーポイントを以下に挙げます。試験に合格しただけでは資格認定とはならない点に気を付けてください。
ITコーディネータ資格の認定にはITコーディネータ協会の承認が必要です。資格認定は「 ITコーディネータ試験の合格」と「 ケース研修の受講と終了」の2つの条件をクリアし、さらに協会への資格認定申請が必要です。試験の受験と研修の受講順序はどちらが先でも構いません。
どちらかをクリアした時から4年以内にもう1つをクリアし、認定申請を行わなければなりません。試験には誰でも受験ができる「ITコーディネータ試験」と、協会指定の資格を保有する人だけが受験できる「専門スキル特別認定試験」の2種類があります。
各資格とも毎年更新が必要ですが、2年目は更新料は無料です。3年目以降は更新料22,000円と、3年目の年度末までに有料のフォローアップ研修を3講座受講することが求められます。
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試験制度の概要
以下、試験制度についてポイントを挙げます。ITコーディネータは通年受験ではありませんので、予約期間、受験期間に注意して受験準備をしましょう。
▪ITコーディネータ試験は通常年間3回(各期間は1か月間程度)実施しています。 ▪試験方式はコンピュータを使用したCBT方式で、希望する受験日に全国300カ所の試験会場で受験します。 ▪試験の申し込みはITコーディネータ協会の業務委託先であるCBTソリューションズ社のサイトから行います。
【参考】:ITコーディネータ試験 | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト 【参考】:テストセンター | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト
■ ITコーディネータ試験概要 ▪受験資格: 制限はありません ▪出題形式 :CBT多肢選択100問(必須60問、選択40問) ▪試験時間:120分 ▪試験内容:(両試験共通)『出題範囲とガイドライン/試験区分/試験ガイドブック』参照 ▪受験料 : 19,800円(税込) ▪学習方法:(両試験共通)『役立つ試験対策情報/試験対策講座』 ▪予約期間<予定>:【第51回】2023年7月13日(木)~9月7日(木) 【第52回】2024年1月18日(木)~3月7日(木) ▪実施期間<予定>:【第51回】2023年7月27日(木)~9月11日(月) 【第52回】2024年1月25日(木)~3月11日(月)
【参考】:出題範囲とガイドライン/試験区分/試験ガイドブック 【参考】:役立つ試験対策情報/試験対策講座
■ ITコーディネータ専門スキル特別認定試験 ▪受験資格: 対象資格保有者(専門スキル特別認定制度参照) ▪出題形式:CBT多肢選択60問 ▪試験時間: 80分 ▪試験内容:(両試験共通)『出題範囲とガイドライン/試験区分/試験ガイドブック』参照 ▪受験料 : 9,900円(税込) ▪学習方法:(両試験共通)『役立つ試験対策情報/試験対策講座』 ▪予約期間<予定>:【第51回】2023年7月13日(木)~9月7日(木) 【第52回】2024年1月18日(木)~3月7日(木) ▪実施期間<予定>:【第51回】2023年7月27日(木)~9月11日(月) 【第52回】2024年1月25日(木)~3月11日(月)
【参考】:専門スキル特別認定制度/ITC試験優待プログラム/知識試験 【参考】:2022年~2023年度 ITC試験・ケース研修日程予定IITコーディネータ資格取得サイト
ITコーディネータ試験に関する疑問
ここまで、ITコーディネータ試験の概要について解説しました。これから、ITコーディネータ試験の受験を検討している方の疑問にお答えします。
■ ITコーディネータ試験の参考書 受験の参考書となるのは「ガイドブック/IT経営推進プロセスガイドラインVer3.1」です。勉強方法は、ガイドラインに従って、自己学習を行う形になりますが、他に「サンプル問題」や「試験対策講座」などが用意されていますので、これらを活用しましょう。
【参考】:出題範囲とガイドライン/試験区分/試験ガイドブック | ITコーディネータ試験 | ITコーディネータ資格取得サイト
■ ITコーディネータ試験の難易度 主催団体のITコーディネータ協会から合格ラインは公表されてませんが、公式HPによれば合格率は60%程度で、ITや経営に関わっている方であれば、比較的易しい問題が出題されます。
【参考】:合格者数及び合格率発表 | ITコーディネータ協会(ITCA)
■ ITコーディネータ試験の過去問 資格試験対策では過去問を解くことが推奨されますが、ITコーディネータ試験は過去問題がまったく公開されていません。その代わりに「サンプル問題」や「試験対策講座」がありますので、それらを活用しましょう。
【参考】:試験対策 | ITコーディネータ試験 | ITコーディネータ資格取得サイト
■ ITコーディネータ試験の勉強時間 受験を検討されている方は、どの程度勉強時間を確保する必要があるのか気になるところでしょう。受験者の経験や得意分野、スキルによっても必要な勉強時間は変わってきます。
ただし、出題範囲は広く、広範な知識が求められますので、最低限ガイドラインに従って一通り勉強をして、サンプル問題で実力判定をしておくことをおすすめします。
ITコーディネータの年収
ITコーディネータ資格を生かせる職種として、ITコンサルタントの年収を見てみましょう。
「マイナビエージェント職種図鑑」でのITコンサルタントの平均年収は512万円(※2023年5月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近しい職種のコンサルタントを参考にすると、平均年収928万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、ITコンサルタントは一般平均年収よりも、やや高いことが分かります。
また、ITコーディネータ試験には「専門スキル特別認定試験」コースがあり、中小企業診断士や公認会計士、税理士の方などが資格取得されていますが、ITスキルを有する専門職として市場からの期待が高く、年収は相乗効果によってさらに上がることが予想されます。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
ITコーディネータ資格取得のデメリットとメリット
ITコーディネータ試験の概要については理解できたと思います。それでは、ITコーディネータ試験の合格や資格取得には、どのようなメリットやデメリットがあるのかを見ていきましょう。
ITコーディネータ試験取得のデメリット
企業経営にとってITは必須のツールとなり、ITコーディネータに対する期待は高まっていますが、資格取得はメリットばかりではありません。ITコーディネータの資格取得のデメリットについて確認しておきましょう。
■ 資格の更新が毎年必要 IT技術革新のスピードは速く、ITコーディネータの資格は毎年更新が必要です。そのため、ITコーディネータ試験には3年間という資格認定の期限があります。また1回目の更新時は手数料は不要ですが、2回目以降は更新手数料が22,000円必要です。
さらに3年目の末までに有料のフォローアップ研修を3講座受講する義務があります。逆に言えば、この更新制度があることによって、ITコーディネータ資格の質と信頼性が保たれ、資格取得者も常にスキルアップが図れる点はメリットと考えてよいかもしれません。
【参考】:資格を維持するには? - ITコーディネータ協会(ITCA)
■ 資格取得や維持のコストが掛かる ITコーディネータの受験料は19,800円(税込)と決して低くはありません。です。また、初挑戦の場合には、ITコーディネータ資格認定 ケース研修受講料220,000円(税込)と資格認定登録料として22,000円が必要です。
ただし、ITコーディネータ資格はITSS(ITスキル標準)のレベル4に指定されている難関資格であり、企業によってはITコーディネータ資格取得者に対して報奨金や資格手当を支給するケースもあり、そうした企業への転職によって費用が回収できる可能性があります。
【参考】:ITスキル標準(ITSS) | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ITコーディネータ試験取得のメリット
ITコーディネータ試験の合格によって、どのようなメリットが得られるのかについて見ていきましょう。
■ 自身の市場価値を高められる DX推進やAIの利活用が進む中、企業のITコーディネータに対する需要は増大しており、ITコーディネータ資格を有することで自身の市場価値が高まります。そのため様々な企業から重宝され、転職を有利に進めたり、年収がアップしたりする可能性があります。
■ 経営とITの両方に長けた人材になれる ITを駆使した経営が求められていますが、ITコーディネータ資格を取得することで、経営からITまで幅広い知識を身に着けている証となり、経営とITの両方に長けた人材として活躍の機会が広がります。
■ 複数資格の保有で活躍機会が大きく広がる 公認会計士や税理士、中小企業診断士などの資格を有する方は試験の一部免除特典が与えられます。さらに各分野の専門スキルに加えてITスキルを身に着けることで、より市場のニーズに応えられる専門家となり、活躍の機会が大きく広がります。
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ITコーディネータ資格取得者の活躍の場
ITコーディネータ試験に合格し、資格認定を受けた後は、どこで活躍できるのでしょうか?どのような仕事に活かせるのかについて見ていきましょう。ITコーディネータの活躍分野は大変広く、様々な組織や業種に広がっていることが分かります。
【参考】:ITC活動事例 | ITコーディネータ資格取得サイト
一般企業内のシステム推進役として
従来のITは現状業務の合理化、改善などで主に利用されていましたが、現在は企業競争力向上の視点でIT化が重要視されています。ITコーディネータはIT戦略の立案やDX推進、情報システム部門の責任者、担当者として活躍する人が多くいます。
IT経営コンサルタントとして
ITコーディネータは経営とITに精通した専門家です。そのスキルを活かし、経営に強いITコンサルタントとして活躍をしている人がいます。他、社外CIOや顧問として活躍されている方もいます。
ITC支援機関のメンバーとして
全国には様々なITコーディネータが活躍しているICT支援機関があります。国や自治体、金融機関などの各種支援施策に関わり、中立的な立場で、それぞれのIT専門家として活躍する人が増えてきています。
ITベンダーで
経営に強いIT専門家として、システム提案やIT導入支援を行っている人がいます。システムエンジニア、プロジェクトリーダーなどの立場からシステム開発プロジェクトに関わる人もいます。ITコーディネータの資格はITベンダーでも重宝されています。
公認会計士や中小企業診断士として
公認会計士や中小企業診断士を本業とする方が、ITコーディネータの資格を取得し、IT面での相談受付、サポートなどの仕事の範囲を広げて活躍している方がいます。
ITコーディネータ試験に合格してキャリアチェンジを成功させよう
ここまで、ITコーディネータ試験をテーマに、ITコーディネータ資格の概要、試験概要、取得のメリット、資格取得後の活躍の場について解説してきました。
DX推進の国の方針もあり、今ではあらゆる企業で、経営に寄与するDX人材を必要としています。その橋渡しができるITコーディネータの価値や需要も高まっていますので、さらにITコーディネータ資格を生かし、さらに活躍ができる企業への転職も検討してみましょう。
とはいえ、仕事をしながら転職活動を1人の力で進めるのには限界があります。膨大な企業の中から、ITコーディネータ資格を活かせる会社を探し、採用試験や採用面談に備えるには、コネクションやノウハウが必要になります。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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