DXビジネス検定の参考書
経済産業省は、DXレポートで「日本企業のDX化が不十分な場合、2025年以降に年間12兆円の経済的損失を生ずる」とし、DX推進に向けた取り組みの一環として、「DXビジネス検定」資格をスタートさせました。
DXビジネス検定は、DX時代を迎えて全ての企業人がDX人材を目指すことを狙いとする最新検定制度で、 一般社団法人である日本イノベーション融合学会/DX検定員会が主催しています。
先行する「DX検定」とは違い、よりビジネス寄りの検定となり、一般社員のみならず、管理職や経営層を含む、全ての企業人を対象する検定試験である点が特徴です。DX推進の核となる企業人は、「DXビジネス検定」に合格することが重要ですが、DX推進は全ての社員の理解と協力が欠かせません。
そこで当記事では、DX人材を目指すべき全ての企業人に、ぜひ読んでいただきたい参考書を10選として紹介していきます。DX推進に従事する方のみならず、DXについて学びたい方の参考になれば幸いです。
【参考】:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(サマリー)
DXビジネス検定とは
読者の中にはDXビジネス検定受験者の方もいますので、DXビジネス検定の概要や試験の難易度について改めて紹介します。ぜひ参考にしてください。
DXビジネス検定試験の概要
DXビジネス検定は、2023年からスタートした新しい資格試験です。主催するのは日本イノベーション融合学会/DX検定員会で、DX技術を認定する民間資格です。同組織が主催するエンジニア向けの「DX検定」に続く、ビジネス寄りの検定資格試験です。
DXビジネス検定試験の出題範囲は、単なる基礎的なテクニカル分野の問題から、DXのビジネスモデル、DXのビジネス事例などまで幅広く、またエンジニア向きの「DX検定」と比較して、ビジネスや経営的な視点が中心になります。
エンジニアでも、DX推進リーダーを委任されるケースが少なからずありますので、エンジニアの方にも受験をおすすめしたい検定試験です。試験は春・秋の年2回開催されますが、Webでの受験方式のため、自宅受験が可能です。
受験料は一般で6,600円(税込み)と、民間資格としては比較的安価です。試験は選択式で60分間、問題は96問出題され、即答を求められるため、中途半端な勉強では回答が厳しいでしょう。
【参考】:DXビジネス検定
資格試験の難易度
本資格の難易度はさほど高くはなく、受験者の半数程度は合格しますが、得点によってレベルが認定される方式を採用していますので、しっかりと対策を講じて受験することをおすすめします。
直近の2023年4月の試験結果では、プロフェッショナルレベルの認定を得られるスコア800点以上4.2%、エキスパートレベルの700点以上は15.8%とハードルは高くなります。DX推進の中核となりたい方は、エキスパートレベルを目指しましょう。
勉強時間が気になる方もいると思いますが、参考図書を一通り読む時間に加え、公式準拠教材となるeラーニング※の標準学習時間20時間を加味すればよいでしょう。
【参考】:第4回DXビジネス検定の結果 P4~ 【参考】:※DX Study Biz ™ 2023 eラーニング<DXビジネス検定™ 準拠教材>
DXビジネス検定を取得するメリット
DXに関する勉強の必要性は理解できましたが、DXビジネス検定資格を取得するメリットについても触れておきましょう。後ほど、DXビジネス検定向けの参考書を紹介しますが、ただ単に参考書を斜め読みするよりも、受験勉強という意識を持って精読した方が捗りやすいでしょう。
DXビジネス検定試験に関心がある場合は、次のようなメリットが得られますので、ぜひ受験を検討してみましょう。
スキルアップ、キャリアアップを図れる
検定試験を受験することにより、ITトレンドに加えてビジネストレンドの両分野の知識が習得できますので、スキルアップやキャリアアップを図れ、自社の改革に携われるDX人材を目指せます。また、キャリアチェンジを目指す上でもスキル証明となります。
DXの有識者としてアピールしやすい
検定試験に合格することで、DX技術に明るい人材としてアピールができます。特に、プロフェッショナルやエキスパートレベルの認定を得られると、DX推進リーダーや中核メンバーとして活躍が期待されます。
比較的難易度が低い
DXビジネス検定は専門性が求められず、参考書も企業人であれば誰でも理解できるものが大半です。また、受験者の約半数が合格できる検定であり、合格難易度が低めである点はメリットです。
DXビジネス検定 おすすめの参考書10選
ここでは、DXビジネス検定試験の勉強に役立つ教材、参考書などを10選として紹介していきます。受験の勉強方法としては、参考書を読み、過去問を解くのが定石ですが、ここでは問題集や過去問集などの受験対策書よりも、幅広く多くの方に読んでもらいたい参考書に焦点を当てました。
DXビジネス検定の合格を目指す方に加え、DX関連の教養を身に付けたい方、DXに関わる仕事をしたい方はぜひ参考にしてください。
「DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略」
DX推進は企業の収益向上に貢献しますが、DX化をしても収益向上を果たせない企業があります。それは、DXによって企業変革ができたか否かの差といえます。本書では全80の先進事例を図解入りで紹介し、その差がどこにあったのかが分かるようになっています。
事例は試験に出題されるケースが少なくありませんので、検定受験者の方は本書を精読することをおすすめします。
▪著者:小野塚征志 ▪ページ数:272ページ ▪出版社:株式会社インプレス ▪発売日:2022/5/19
【参考】:DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略
「DX人材の育て方 ビジネス発想を持った上流エンジニアを養成する」
DXを推進する上で、DX人材が大きな鍵になります。本書ではDX人材の役割やDX人材の育成法、研修マニュアルの内容まで詳細に解説しています。
DX人材とは何か、DX人材育成に向けた導入フェーズから育成手法、研修の内容や事例などを網羅しており、特に人材育成部門や育成担当者には役立つ1冊です。
▪著者:岸 和良 、杉山 辰彦、稲留 隆之、中川 邦昭 、辻本 憲一郎 ▪ページ数:224ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2022/4/15
【参考】:DX人材の育て方 ビジネス発想を持った上流エンジニアを養成する
「教養としてのデータサイエンス」
データサイエンスはビッグデータ解析で用いられていますが、その基本的な知識について書かれた本です。データサイエンスについて押さえておきたい事柄とその解説が載っています。本書は教科書的な構成で、カラー刷りで練習問題も豊富に載っており、試験対策本としても充実しています。
▪著者:内田 誠一、 川崎 能典、 孝忠 大輔、佐久間 淳、椎名 洋、北川 源四郎 (編集)、竹村 彰通 (編集) ▪ページ数:240ページ ▪出版社:講談社 ▪発売日:2021/6/15
【参考】:教養としてのデータサイエンス
「図解コレ1枚でわかる最新ITトレンド新装改訂4版」
最新ITに関する情報や解説を1冊にまとめた書籍です。「DX」「クラウド」「5G」など一般用語しているトピックから、「NFT」や「Web3.0」などの最先端用語まで網羅し、丁寧に解説しています。
改訂4版では、「セキュリティ」の章が新たに設けられ、サイバー攻撃などについて分かりやすく解説しています。最新ITトレンドを知りたい人におすすめです。
▪著者:斉藤 昌義 ▪ページ数:384ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2022/10/3
「この一冊で全部わかる ビジネスモデル 基本・成功パターン・作り方が一気に学べる」
これ1冊で「ITトレンドの基礎知識」と「ビジネスにおける63の成功パターン」、さらには「ビジネスモデルの作り方」まで学べます。本書は、新規ビジネスの立ち上げに関わる人、既存のビジネスの見直しを検討している人など、様々なニーズに応えられる書籍としておすすめします。
▪著者:根来龍之、 富樫佳織、足代訓史 ▪ページ数:376ページ ▪出版社:SBクリエイティブ ▪発売日:2020/11/20
【参考】:この一冊で全部わかる ビジネスモデル 基本・成功パターン・作り方が一気に学べる
「いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略」
DX化、DX推進に必要な知識と実行すべきことを現場の目線で解説しています。すぐに始められるペーパーレス化などのデジタル化から、ビジネスプロセスの改革、ビジネスモデルの変革までを図を駆使して分かりやすく解説しています。
直接DXを推進する立場の人から、最先端ITに関心がある人まで、専門知識がなくともスラスラ読めるやさしい解説書としておすすめです。
▪著者:亀田 重幸、進藤 圭 ▪ページ数:192ページ ▪出版社:インプレス ▪発売日:2020/9/18
【参考】:いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略
「インターネット白書2023 分断する世界とインターネットガバナンス」
2023年版では生成AIの進展や、Web3.0、欧州でのデータ流通に関わる法制度など、最新のビジネスに直結する最前線について38人の専門家たちによって詳しく解説されています。DXビジネス検定受験者のみならず、インターネットビジネスに関わる人には必見です。
▪著者:インターネット白書編集委員会 ▪ページ数:260ページ ▪出版社:インプレス ▪発売日:2023/02/17
【参考】:インターネット白書2023 分断する世界とインターネットガバナンス
日経テクノロジー展望2023 世界を変える100の技術
専門記者が最新テクノロジーであるグリーン技術やWeb3やDAO、メタバースに量子コンピューターなど幅広い分野、最新テクノロジーを分かりやすく解説しています。100の技術はビジネスパーソン1000人のアンケートに基づいて編集され、役立つテクノロジーに関する教養が身につきます。
▪著者:日経BP ▪ページ数:352ページ ▪出版社:日経BP ▪発売日:2022/9/15
【参考】:日経テクノロジー展望2023 世界を変える100の技術
改訂版 マーケティング用語図鑑
ビジネス現場で日常的に使われるマーケティング用語から、聞いたことがあるがよく分からないレベルの用語、さらに最新Webマーケティング用語まで、イラスト付きのビジュアル解説で紹介しています。単なる用語集とは異なり、興味深く、自然に読み進められる用語図鑑です。
▪著者:野上 眞一 ▪ページ数:304ページ ▪出版社:新星出版社 ▪発売日:2021/2/12
【参考】:改訂版 マーケティング用語図鑑
DX白書2023
本書はDX白書2021の続刊として発刊されました。日米企業のアンケート調査の結果、DX化の最新動向や経年変化、国内の様々なDX事例の分析、求められる取組課題や方向性などについて詳しく解説しています。経営層、DX推進リーダーやDX化に関わる人すべてに読んでもらいたい白書です。
▪著者:独立行政法人情報処理推進機構 ▪ページ数:397ページ ▪出版社:IPA独立行政法人情報処理推進機構 ▪発売日:2023/3/16
【参考】:DX白書2023
DX推進は日本経済の再生の鍵
ここまで、DXビジネス検定の参考書をテーマに、DXビジネス検定試験の概要やメリット、参考書10選を紹介してきました。経済産業省が「DXレポート」で警鐘を鳴らしたように、日本は全ての企業がDX化を推進できなければ、日本経済そのものが危うくなるリスクを抱えています。
逆に言えば、DX化に成功すれば、日本経済は安泰とも言えます。未だにDX化は、DXに関係するアプリケーション開発だという誤解がありますが、DX推進はDX人材の育成と、ビジネスモデルの変革が鍵です。この記事を読まれた皆さんには、DX人材を目指してDX推進の核になることを期待しています。
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