DXビジネス検定の勉強方法
DXレポートで「日本企業のDX化が不十分な場合、2025年以降には年間12兆円の経済的損失を生じる」とされる「2025年の崖」が差し迫る中、経済産業省が国策として推進するDX化に向け、様々な制度や施策が生まれています。「DXビジネス検定」もその一環として誕生しています。
DXビジネス検定は、DX時代における全ての人がDX人材を目指すための最新検定で、「 一般社団法人:日本イノベーション融合学会/DX検定員会」が主催する、DX検定シリーズの第2弾の検定資格です。
DXビジネス検定はDX検定よりもさらにビジネス領域に裾野を広げ、デジタルに苦手意識のある方から管理職、経営層も含め、全ての企業人の方を対象とする検定試験です。この記事では、DXビジネス検定の概要、勉強法などについて解説をしていきます。
DX化の推進に携わる方、DXについて学びたい方の参考になれば幸いです。
【参考】:DXビジネス検定™ 【参考】:IFSJ-日本イノベーション融合学会 【参考】:D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
DXビジネス検定とは
DXビジネス検定は2021年11月に第1回目の試験が実施されたばかりの、まだ新しい検定試験です。まだ知名度はさほど高くありませんが、第1回試験に先立つモニター試験には大企業を中心に100社が参加し、受験者数2,012名の成果を上げ、DXビジネス検定に対する関心が高まっています。
ここでは、DXビジネス検定の概要について解説します。
DX検定との違い
DXビジネス検定は、DX検定の第2段として2021年10月に登場した検定です。では、両者の違いは何なのでしょうか。主な違いは、「対象者」にあります。
DX検定合格者の人物像は「IT先端技術トレンドとビジネストレンドの両方を理解する人材」としており、どちらかと言えばIT寄りの方、エンジニア系の方をターゲットにしています。一方、DXビジネス検定はITよりはビジネス寄りの検定であり、対象者像はビジネス業界に身を置く方が中心です。
とはいえ、DX推進をエンジニア職の方が担当するケースもあり、エンジニアの方がDXビジネス検定資格を取得する意味は大いにあります。それは、DX化は単なるIT化やシステム化ではなく、ビジネス視点での改革や競争力アップが目的だからです。
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DXビジネス検定試験の概要
次に、DXビジネス検定の概要を把握しておきましょう。以下の通り、試験は年2回しか実施されませんので、タイミングを逃さないよう、受験勉強期間も含めて計画的に受験しましょう。
▪試験方式:Web受験、多肢選択方式 ▪実施日程:4月および10月の年2回Webにて実施 [法人]2023年10月19日(木)11:00~12:00、13:00~14:00(60分間)どちらかに受検 [個人]2023年10月22日(日)13:00~14:00(60分間) ▪申込日程:試験実施の20日前まで ▪試験申込:専用サイトより申込 ▪受験料 :6,000円(税込) ▪支払方法:クレジット、銀行振込、コンビニ支払い ▪試験会場:インターネット環境があればどこでも受験可能 ▪試験時間:60分 ▪出題数 :96問 ▪出題範囲:ビジネスモデル・事例などを中心に、DXに関する全般の必須知識項目より出題(詳細は別項にて) ▪検定結果:検定実施日より1カ月後、検定サイトにて発表
【参考】:受検申込 | DXビジネス検定™ 【参考】:シラバス・例題・学習方法 | DXビジネス検定™
出題範囲
DXビジネス検定の出題範囲は以下の通りです。様々な領域から出題されますが、DX関係のキーワードが頻出しますので、見知らぬ用語は調べて理解するところから学習をスタートさせましょう。
カテゴリ 分類 説明
■ DX基礎領域 01_DXの基本:DXの基礎用語や事例 02_デジタル技術:デジタル技術用語や事例 03_データと分析:データ、分析用語や事例 04_マーケティング:マーケティング用語や事例
■ DXビジネスモデル 05_消費者の状況とビジネス環境:ビジネスモデルの前提になる消費者の状況とビジネス環境の用語や事例 06_戦略モデル:ビジネスモデルのうち、戦略モデルの用語や事例 07_オペレーションモデル:ビジネスモデルのうち、オペレーションモデルの用語や事例 08_収益モデル:ビジネスモデルのうち、収益モデルの用語や事例
■ DXビジネス事例 09_ビジネスモデル事例:デジタル集客、マッチング、マーケットプレイス(デジタル・リアル商材)ビジネスモデルに関する事例 10_ビジネスモデル事例:デジタル商材(リアルとの融合含む)ビジネスに関する事例 11_ビジネスモデル事例(リアル+デジタル融合):リアルビジネスとデジタルの融合に関する事例 12 _ビジネスモデル事例(リアル):リアルビジネスの事例
レベル認定制度
DXビジネス検定にはレベル認定制度が設けられており、スコア(成績)ごとにレベルが設けられ、成績優秀者(合格者)はスコアに応じてレベル認定証が発行されます。有効期間は2年間ですが、名刺等に記載することができます。
<レベル認定概要> ▪「DXビジネスプロフェッショナル 」:スコア800以上 ▪「DXビジネスエキスパート 」 :スコア700以上 ▪「DXビジネススタンダード レベル」:スコア600以上
また、スタンダードレベル以上に認定された人にはオープンバッジが贈呈されます。
【参考】:DXビジネス検定™
検定の難易度
DXビジネス検定の難易度について確認しておきましょう。2023年度4月実施のDXビジネス検定の平均点は583.7点(スコア)で、得点分布は次のようになっていました。
レベル区分 割合 ▪DXビジネス プロフェッショナル レベル 4.2% ▪DXビジネス エキスパート レベル 15.8% ▪DXビジネス スタンダード レベル 28.0% 未達 52.0%
この結果から推察すると、全体の48%がスタンダードレベル以上を獲得できていることから、試験全体の難易度はさほど高くはないと考えられます。
一方、プロフェッショナルレベルの認定者は全体の4.2%しかおらず、DX推進をリードする立場のプロフェッショナルレベルを獲得するための難易度は高いと言えます。
【参考】:第4回DXビジネス検定の結果
勉強時間
DXビジネス検定に合格するための勉強時間はどの程度必要なのでしょうか?DXビジネス検定には検定公式準拠教材として受験者向けのeラーニングがあり、その標準学習時間が20時間とされています。
DXビジネス検定には過去問や問題集が見当たりませんので、eラーニング「DX Study Biz™」は数少ない有効な試験対策となります。他に公式推奨の図書がありますので、これらを教材として学習する時間も別途必要です。
【参考】:DX Study Biz ™ 2023 eラーニング<DXビジネス検定™ 準拠教材>
カンニングについて
DXビジネス検定はWeb方式で自宅等から受験ができるため、カンニングがしやすいと思われがちですが、60分間の間に96問が出題され、約40秒で1問を解かなくてはなりません。Google検索などで答えを調べている時間はほぼありませんので、カンニングは難しいでしょう。
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DXビジネス検定資格取得者の年収
DXビジネス検定資格を活かせる職種に就いた場合、どの程度の年収を得られるのか気になるところです。DXビジネス検定はビジネス寄りの検定ですが、システムエンジニアがプロジェクトマネージャーを目指す上では、有効な検定資格と思われます。
プロジェクトマネージャーの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は670万円(※2023年7月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からプロジェクトマネージャを参考にすると、平均年収891万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プロジェクトマネージャーは一般平均年収よりも、高めであることが分かります。
DX推進では、システムエンジニアがプロジェクトを担当するケースがありますが、ビジネス経験や知識が不足して立ち往生する場合があります。DXビジネス検定を取得することでシステムエンジニアとしてのスキルの幅が広がり、またエンジニア自身もキャリアアップ、キャリアチェンジの可能性が広がるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2019年12月~2020年5月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
DXビジネス検定の勉強方法
ここではDXビジネス検定の勉強方法について紹介していきます。新しい検定資格であり、基本的には公式の準拠教材の利用および推奨図書による独学がメインになります。ここでは、DXビジネス検定試験の合格に役立つ教材、参考書などを紹介していきます。
「DX Study™ Biz (eラーニング)」(検定準拠学習教材)による学習
「DX Study™ Biz」は「DXビジネス推進人財」や「ビジネス価値創造人財」を目指すための DXビジネス検定完全準拠「eラーニング」教材です。
学習モードでは検定本番と同様に30分60問の「アセスメントモード」による学習、1問1答で正解・不正解を表示し、解説から学ぶ「トレーニングモード」での学習をオンラインで行えます。スマートフォン、パソコン、タブレットなどと同期させながら、どこでも学習することが可能です。
利用可能期間は3ヶ月ですので、試験のタイミングを見計らって利用することをおすすめします。他、DX検定には、iOSやAndroid版の問題集アプリがありますが、DXビジネス検定はまだアプリの提供はありません。
【参考】:DX Study Biz ™
DX関連書籍による学習
DXビジネス検定では、DXに関する一般的な知識以外に、実務に即したビジネス事例の出題もあります。前記のeラーニングだけの学習だけで高得点を取るのは難しく、プロフェッショナルやエキスパート認定レベルの取得は厳しいでしょう。
公式サイトには学習に役立つ書籍が紹介されていますので、少なくとも以下に挙げる3冊はぜひ購読をおすすめします。
■「DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略」 DXによって収益化ができている企業と、できていない企業では何が違うのか、DXによって組織の変革できたのか否かなど、全80の先進事例を図解入りで紹介しています。事例については出題される可能性が高いため、本書の事例はしっかり理解しておくことをおすすめします。
▪著者:小野塚征志 ▪ページ数:272ページ ▪出版社:株式会社インプレス ▪発売日:2022/5/19
【参考】:DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略
■「DX人材の育て方 ビジネス発想を持った上流エンジニアを養成する」 DXの推進では、DX人材の存在が大きな鍵となります。本書ではDX人材の役割、具体的なDX人材の育成方法、研修マニュアルまで詳細に解説しています。DX人材を取り巻く環境から、DX人材育成の導入フェーズ、育成手法、研修の事例など幅広くまとめて知ることができる1冊です。
▪著者:岸 和良 、杉山 辰彦、稲留 隆之、中川 邦昭 、辻本 憲一郎 ▪ページ数:224ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2022/4/15
【参考】:DX人材の育て方 ビジネス発想を持った上流エンジニアを養成する
■「教養としてのデータサイエンス」 ビッグデータ解析で知られるデータサイエンスの基本的知識に関する本です。教科書的な作りになっており、データサイエンスについて知っておくべき事柄と解説が網羅されています。見やすいカラー刷りで、練習問題も充実しています。
▪著者:内田 誠一、 川崎 能典、 孝忠 大輔、佐久間 淳、椎名 洋、北川 源四郎 (編集)、竹村 彰通 (編集) ▪ページ数:240ページ ▪出版社:講談社 ▪発売日:2021/6/15
【参考】:教養としてのデータサイエンス
DXビジネス検定資格を活かして活躍を目指す
ここまで、DXビジネス検定資格について、検定試験の概要、勉強方法などを解説しました。DX化が日本経済再生の鍵であり、その推進役となるDX人材の需要が高まっています。ITエンジニアの皆さんもDX化を担う人材として、更なるスキルアップが求められています。
DXビジネス検定資格を活かす方法としては、DX人材を募集する企業への転職も1つの選択肢です。DX人材を求める膨大な求人の中から、自分の希望や条件に合う企業を見出すことも楽ではありませんが、仕事をしながらDXビジネス検定試験に向けた勉強や、転職活動を行うのは簡単なことではありません。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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