ネットワークエンジニアの将来性と役割は?
インフラエンジニアの職種の1つであるネットワークエンジニアは、時代とともに変化が求められている職業でサーバーエンジニアと比較されることの多い職種です。
クラウドサービスの普及によって業務内容や求められるスキルに変化があり、ネットワークエンジニアの将来性を不安視する声は少なくありません。ネットワークエンジニアは求人件数が比較的多い職種ですが、現在の市場価値はどうなのでしょうか。
以降で、クラウドサービスがネットワークエンジニアに与える影響や、ネットワークエンジニアの需要性について解説します。
ネットワークエンジニアはライフラインを守る重要な役割を持つ
ネットワークエンジニアは、ライフラインであるネットワークシステムを正常に稼働させるための役目を担っています。インターネットの普及によりさまざまな分野でネットワークが利用されており、ネットワークエンジニアの存在は必要不可欠と言えるでしょう。
そのため、ネットワークエンジニアはシステムが稼働しているネットワークに故障やトラブルが起きた際に、障害対応を迅速に行わないといけません。残業や休日出勤、急な呼び出しを求められることもあります。
ネットワークは、私たちの生活や仕事をすることにおいて必要不可欠です。24時間365日、常に稼働するネットワークも存在しています。そのため、ネットワークを利用する人が少ない時間帯やシステムが停止している夜の時間に作業する場合も多く、夜勤勤務を担当する可能性があります。
勤務時間がハードになる場合もありますが、ネットワークエンジニアはライフラインと同様に大事なシステムを守る使命があり、それだけやりがいや社会貢献性が高い仕事と言えるでしょう。
クラウドが与えるネットワークエンジニアへの影響
ネットワークエンジニアは、クラウドの普及により業務内容や求められるスキルに影響を受けています。クラウドとは、インターネットを利用してアプリやデータベースなどのリソースを提供できるサービスの総称です。クラウドの急激な普及により、今後は多くのネットワーク機器を外部委託することが増えていくことでしょう。
これまでは企業が自前でネットワークを構築することが多かったですが、クラウド化により自前の構築が不要となりつつあります。ネットワークエンジニアは、こういったクラウドサービスではなく自社の中で情報システムを保有し運用するオンプレミスを業務対象としていることもあります。
オンプレミスにもメリットはあり採用している企業も多いですが、ネットワークエンジニアに求められるスキルはクラウドサービスにより変化することは確かです。時代の変化に合わせてスキルアップすることが市場価値を高める方法です。
ネットワークエンジニアの需要は?
結論から言うと、ネットワークエンジニアの需要はあります。常に人手不足ですが、ネットワークのセキュリティ技術は各企業で求められています。そのため、セキュリティの知識をもったネットワークエンジニアは重宝されます。
他にも、ネットワークの構築や障害対応の案件は依然として多いため、ネットワークエンジニアの需要は高いと言っていいでしょう。
ネットワークエンジニアの仕事内容を3つ紹介
ネットワークエンジニアの主な仕事は、ルーターやスイッチなどの機器を設置し、データ・通信の送受信が適切に行えるような基盤を作ることです。この業務は、要件定義・設計・構築・保守・監視・運用のようにシステム開発の工程通りに進みます。以下で、それぞれを3つに分けて紹介します。
要件定義・設計
顧客が求めているシステムについてヒアリングを行い、要件を洗い出します。洗い出した要件に基づき、ネットワークの構成やルーターなどを使用するネットワーク機器について設計していきます。
回線の費用などネットワークに関するコスト、スケジュールについても検討することになるでしょう。
構築
要件定義・設計を元に、実際にネットワーク機器や回線を構築して設定を行います。大規模プロジェクト案件の場合、ネットワーク構築には1~3ヶ月かかることもあります。構築後はテストを行い、未然にエラーを拾います。
この業務では、サーバーエンジニアの方とコミュニケーションを取って協力し、プロジェクトを進めていくことが大事です。
保守・運用
システムの開発が終わったら、ネットワークトラブルを避け、より良いシステムへ改善するために機器の設定変更などの保守・運用業務を行います。システムだけでなく器具や建物などと同様に、ネットワークについてもトラブルは発生します。
トラブルの原因を切り分けて検証し、素早い障害対応を行い、ネットワークを守るのも大切な仕事です。
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ネットワークエンジニアに必要なスキル
ネットワークエンジニアの需要はあり将来性もあります。しかし、スキルについては時代と共に変化が求められています。ここからは、これからのネットワークエンジニアに求められている必要なスキルを紹介します。
クラウド化に関するスキル
ネットワークエンジニアとしてのオンプレミスの専門知識をつけることは言うまでもありません。しかし、クラウドサービスを利用する企業が急激に増えているため、クラウドに関するスキルも求められています。
クラウドでネットワークを構築する際には、AWSなどプロバイダー独自が提供しているサービスを扱えるスキルが必要です。なお、AWSとはAmazon Web Services の略称で、Amazon社が提供しているクラウド型のサービスのことです。
【参照】:アマゾン ウェブ サービス(AWS クラウド)- ホーム
セキュリティスキル
セキュリティエンジニアという職種があるほど、現在の情報化社会ではセキュリティ面が重要視されています。クラッキングと言われるサイバー攻撃を受けても正常にシステムが稼働できるように、ファイヤーウォールや認証の設定などのセキュリティ対策が必要です。
セキュリティ技術は刻々と変化していくため、弛まず勉強を続けて知識やスキルをアップデートしましょう。
コミュニケーション能力
インフラエンジニアと同様に、ネットワークエンジニアもチームでプロジェクトを進めていきます。そのため、組織間で認識齟齬を生まないことや協調性のあるコミュニケーションスキルが求められます。
コミュニケーション能力は、顧客と打ち合わせしてネットワークシステムの提案をする際にも必要です。コミュニケーションスキルがあるとスムーズに仕事を進めていくことができるでしょう。
ネットワークエンジニアのやりがいとメリット
夜勤や急な呼び出しによる休日出勤などの理由から、きついと言われることもあるネットワークエンジニアですが、やりがいやメリットも多くあります。
社会貢献度の高さ
1つ目は、社会貢献度の高さです。先述したように、ネットワークエンジニアはIT環境におけるライフラインを担う重要な職種です。情報社会の根幹を担う責任重大な仕事ではありますが、ネットワークエンジニアに向いている人はそれを「やりがい」として感じられるでしょう。
汎用性の高いスキルを身に付けられる
2つ目は汎用性の高いスキルを身に付けられることです。ネットワークエンジニアに必要なスキルとしてクラウドやセキュリティに関するスキルを挙げましたが、これらはネットワークエンジニア以外の職種でも活かすことができます。エンジニアとしてキャリアチェンジやキャリアアップをする際にも役立つでしょう。
価値のあるスキルを身に付けるためには絶えず勉強を続けることが大切です。「ついていけない」と感じることもあるかもしれませんが、身に付けたスキルによってエンジニアとしてより良い未来を描くことができます。
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ネットワークエンジニアの年収
ネットワークエンジニアの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は380万円(※2023年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、ネットワークエンジニアは一般平均年収よりも、やや低めであることが分かります。
ネットワークエンジニアは従来のオンプレミス環境の整備に加えて、クラウドに関する業務も求められています。そのため、クラウドに関する知識やスキルを身に付けることで、より市場価値が高い人材として、年収が高い企業への転職も目指せるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
ネットワークエンジニアを目指す人におすすめの資格
ネットワークエンジニアになるために、特別な資格は必要ありません。しかし、資格を取得することで就職や転職、またクライアントとの契約時のアピールポイントとして利用できるでしょう。ネットワークエンジニアはネットワークの基礎技術だけでなく、実践スキルも必要とされるため、実際の業務で役立てる資格を以下に紹介します。
CCNA(シスコ認定ネットワークアソシエイト)
CCNAはネットワークエンジニアになるためにおすすめの資格で、ネットワーク技術の基本を身につけることができます。
シスコシステムズ社は、ネットワーク構築に利用するルーターなどの製品を販売している世界最大手のネットワーク関連機器メーカーであり、CCNAは世界共通基準の規格です。そのため、CCNAを取得することで自身の高いスキルをアピールできるでしょう。
【参考】:CCNA - Training & Certifications - Cisco
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は情報処理技術者試験の一種で、国家資格となります。合格すると、ネットワークの構築・管理・運用・保守に関するスキルを有し、また指導できるほどのレベルであると証明できます。
ネットワークを専門的に扱うネットワークエンジニアとしては、ネットワークの専門的な知識と技術を証明できる最適な資格試験と言えます。
【参考】:ネットワークスペシャリスト試験:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ネットワークエンジニアのキャリアパス
ここまで、ネットワークエンジニアの将来性と必要とされるスキルなどについて解説してきました。クラウドの普及による業務内容の変化などから、「やめとけ」などネガティブなキーワードも目にされますが、社会の需要に適したスキルを身に付けることで市場価値を高められることもわかりました。
そんなネットワークエンジニアですが、そのスキルを活かした豊富なキャリアパスがあるのもメリットの1つです。どのような仕事に向いているか、何を楽しいと思うかは人によって違うので、キャリアパスの多さは魅力と言えます。
5年後、10年後を見据え、年収アップを目指して、ネットワークエンジニア以外の職種に挑戦してみるのも良いでしょう。
ゼネラリスト系
まずはゼネラリスト系です。ゼネラリスト系には、幅広い知識を活かした職種が当てはまります。具体的には以下のようなものがあります。
・インフラエンジニア ・クラウドエンジニア ・フルスタックエンジニア ・プロジェクトマネージャー ・ITコンサルタント
ネットワークも含めたインフラ全般を担当するインフラエンジニアや複数の分野に詳しいフルスタックエンジニアは、ネットワークエンジニアの領域を拡張する形で目指すことができます。また、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなどマネジメント職になるという選択肢もあります。
スペシャリスト系
次に、スペシャリスト系です。スペシャリスト系は、特定の分野の高い専門知識を活かした職種です。ネットワークエンジニアとして培ったスキルを活かして以下のようなスペシャリスト系のキャリアを歩むこともできます。
・セキュリティエンジニア ・サポートエンジニア ・ネットワークスペシャリスト
セキュリティに関する専門知識を持つセキュリティエンジニアは、今後も高い需要が予想される職種の1つです。サポートエンジニアの中でも、特にテクニカルサポートを担うエンジニアには特定製品に関する高度な知識とスキルが求められます。ネットワークエンジニアとしての経験を活かせる職種と言えるでしょう。
ネットワークエンジニアはスキルアップにより活躍の場が広がる
ネットワークエンジニアは常に人材が不足しており、とても需要のある職種です。自身の市場価値を上げるためにも、まずはクラウド化やセキュリティ技術など時代が求める技術に対応していく必要があります。
また、ネットワークエンジニアの仕事は残業や休日出勤などもあり大変な部分もありますが、それを上回るほどのやりがいや社会貢献性の高い仕事です。ネットワークエンジニアを目指す方は、今後の将来のビジョンを意識してスキルを磨いていきましょう。
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