Windows 11の右クリックメニュー
Windows 11ではエクスペリエンスの向上のために、Windows 10から多くの操作方法の見直しがされています。大半の変更は改善の効果が見られますが、使いづらくなったとの声が多数上がっている変更点もあります。マウス操作時の右クリックメニューもその中の1つです。
右クリックの表示方法
これまでのWindows 10では、右クリックメニューを表示すると追加項目を簡単に探すことができます。ところが次の図のようにWindows 11の場合は、従来の項目が表示されずどこにも見当たりません(①)。
【図】:デスクトップで右クリックメニューを表示
デスクトップで右クリックメニューを表示させるには、右クリックし「その他のオプションを表示」をクリックします。Windows 11の場合は、「その他のオプションを表示」に項目が移動されており、戸惑うユーザーが多い状況です(③)。
右クリックで表示される項目
右クリックメニューは、選択した項目によって表示が切り替わります。ファイルやフォルダを指定した場合は、次の図の通り表示されます。
【図】:ファイルやフォルダから右クリックメニューを表示
表示させるには、ファイルやフォルダを選択します(①)。そこで右クリックし「その他のオプションを表示」から必要な項目を選択します(②③)。Windows 10ではワンクリックで済んでいた操作が、2回のクリックが必要です。これは実際の表示までが時間がかかり遅いので、確かに不便と言えます。
右クリックメニューを素早く表示する方法
Windows 11では、簡素化を図るためショートカットキーに割り当てを行っています。具体的には、「Shift」+「F10」のキーを同時に押すと、直接「その他のオプションを表示」のメニューが表示できるようになっています。
Windows 11 バージョン 22H2からは、「Shift」+右クリックで「その他のオプションを表示」のメニューが直接表示されるよう改良されました。これで、多少なりともWindows 10レベルの操作感が取り戻せたと考えます。
高度な変更方法
中には「Shift」+右クリックも手間なので、右クリックに元々のメニュー表示を復活させたい方も多いと思います。その設定は、レジストリエディターでレジストリのキーを作成することで実現できます。
なお、レジストリを安易に編集・削除すると、Windowsの動作が不安定になったり起動しなくなったりする恐れがあります。システム動作に影響を与える問題が発生する可能性がありますので、不慣れの方には積極的にはおすすめしません。
レジストリを修正する前に「復元ポイントの作成」を行い、現状の設定値のバックアップを取得することをおすすめします。
【参考】:Windows の回復オプション
レジストリエディターの操作方法
レジストリエディターは、Windowsのシステム動作に必要な設定を追加・編集するためのコマンドです。コマンドは、次の図の通り検索をクリックし、検索項目で”regedit”と入力します(①②)。レジストリエディターの項目が表示されたら、管理者として実行をクリックします(③④)。
慣れている方は、「Windows」+「R」のキーを同時に押して、「ファイル名を指定して実行」を表示させます。そこで、”regedit”を入力することで、レジストリエディターが起動します。
【図】:レジストリエディターの起動
次の図の通りレジストリエディターが起動すると、「ユーザー アカウント制御」が表示されますので「はい」をクリックします(⑤)。
【図】:レジストリエディターの操作方法
続いてプルダウンメニューあるいは入力欄から、次のパスを指定し移動します(⑥)。
コンピューター\HKEY_CURRENT_USER\Software\Classes\CLSID
ここで「CLSID」の項目を右クリックし、「新規」「キー」を選択します(⑦⑧)。このキーの入力値は、次の文字を入力します。
{86ca1aa0-34aa-4e8b-a509-50c905bae2a2}
ここで作成したキー次の図に示した通り、”{86ca1aa0-34aa-4e8b-a509-50c905bae2a2}”を右クリックし(⑨)、「新規」「キー」を選択し(⑩⑪)、”InProcServer32”と入力します。
【図】:レジストリエディターの操作方法(続き)
続いて作成した、”InProcServer32”のキーにある「既定」をダブルクリックします(⑫⑬)。ここで表示される「値のデータ」が空欄であることを確認後、「OK」をクリックします(⑭)。
これでレジストリエディターの操作は終了ですので、プログラムを閉じて再度サインインまたは、再起動することで右クリック表示が変更されます。
なお「スタート」を右クリックし、「Windows ターミナル(管理者)」のプロンプトから、レジストリ操作コマンドに引数としてキーの作成を指示することもできます。
reg.exe add "HKCU\Software\Classes\CLSID\{86ca1aa0-34aa-4e8b-a509-50c905bae2a2}\InProcServer32" /f /ve
作成したキー名ですが、”InProcServer32”ではなく、”InprocServer32”と3文字目のPを小文字で記載している情報もあります。今回試した環境では大文字のPで表す”InProcServer32”で正常動作を確認しています。場合によっては環境の違いによる影響もありえるようです。
設定を元に戻す方法
設定を元に戻すには、作成したキーを削除するだけです。作成時の手順に従って、”コンピューター\HKEY_CURRENT_USER\Software\Classes\CLSID”に移動します。ここで作成した”{86ca1aa0-34aa-4e8b-a509-50c905bae2a2}”を右クリックし、「削除」をクリックします。
ここでは誤って異なるキーを削除することがないように、慎重に進めていきます。
「このキーとそのサブキーをすべて完全に削除しますか?」の表示が出たら「はい」をクリックします。削除が完了したら、レジストリエディターを閉じて、再度サインインまたは再起動後には前の状態に戻っています。
元に戻す場合も「Windows ターミナル(管理者)」のプロンプトから、レジストリ操作コマンドに引数としてキーの作成を指示することができます。
reg.exe delete "HKCU\Software\Classes\CLSID\{86ca1aa0-34aa-4e8b-a509-50c905bae2a2}" /f
右クリックメニューに好きな項目を追加する
右クリックメニューは便利なのか不便なのか、という賛否両論があります。便利な面としては、好きな項目を追加できることが挙げられます。項目追加によりカスタマイズができるので、利便性が高まることは間違いないでしょう。ここでは、代表的な項目追加の方法を解説していきます。
「送る」を使用する
Windows 11の「送る」は、メニュー追加の代表的な方法です。最初に「送る」の使い方ですが、以下の図の通りファイルやフォルダを選択し、右クリックメニューを表示します。ここでは、右クリックメニューの「その他のオプションを表示」を直接表示させた例です(①②)。
ここで「送る」をクリックすると、候補が表示されます(③)。
【図】:「送る」の使用方法
「送る」に追加する
「送る」で表示される項目は、以下のフォルダに格納されています。ここで言う”ユーザー名”は、サインインしたアカウントの名前です。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\SendTo
フォルダを表示させるには、エクスプローラでフォルダを指定します。あるいは「Windows」+「R」キーで「ファイル名を指定して実行」が起動します。そこに、”shell:sendto”を入力すると直接フォルダを表示させることができます。
フォルダが表示されたら、以下の図の通りエクスプローラの空き領域で右クリックし(①)、「新規作成」で項目を選択します(②③)。
【図】:「送る」の項目作成
ここでは、直接ファイルやショートカットをフォルダにコピーしても構いません。最初からショートカットを作成する場合は、次の図の通りショートカットするファイルやフォルダを選択し(④⑤)、フォルダに作成します。ここでは、例としてEdgeのショートカットを作成してみます(⑥)。
【図】:ショートカットの作成
実際の使用例は次の図の通りです。今回はEdgeを例にしますので、お気に入りのファイルを指定して、右クリックし「送る」候補を表示します(①②③)。
【図】:「送る」の操作例
「送る」で指定したのは、お気に入りのファイルですので、ウェブのブックマークが表示されます(④)。テキストファイルを指定して「送る」場合は、テキストファイルの内容が表示されます。
ツールの使用
メニューのカスタマイズは、フリーソフト等で数多く提供されています。右クリックメニューや拡張・カスタマイズなどが提供されます。もし、標準機能で物足りない方は追加ソフトウェアを導入して追加の変更をするのが良いでしょう。
操作環境の変更は慎重にカスタマイズを
Windows 11の右クリックメニューは、Windows11を利用し始めて最初に気が付くポイントです。最初はWIndows10との操作方法の違いに不便を感じる方も多いはずです。マイクロソフト社も徐々に改良を加えていますので、今後右クリックメニューの機能が変更される可能性もあります。
レジストリの変更は色々なカスタマイズができるのですが、誤って設定してしまいシステムが不安定になるリスクもあります。機能のカスタマイズは慎重に行い、極力標準機能を用いて使用すると良いでしょう。
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