SQLエンジニアとは
SQLエンジニアとは、データベースの設計や管理などを担う技術職です。具体的には、SQLを用いてシステム開発におけるデータベース操作を担当します。またSQLエンジニアはSQLを扱えるだけではなく、各種データベース製品を扱うスキルも求められます。
SQL(Structured Query Language)はリレーショナルデータベースを操作するためのクエリ言語であり、データの検索や挿入、更新、削除などを行います。SQLはOracleやMySQL、PostgreSQLなど多くのデータベースシステムをサポートしており、エンジニアを中心に広く利用されています。
SQLエンジニアは、データベース製品の知識とSQLのスキルを持ち、システム開発やデータ分析などで活躍します。
【参考】:Microsoft SQL ドキュメント - SQL Server | Microsoft Learn
SQLエンジニアになるには
SQLエンジニアは単にSQLの知識を持っているだけではなく、ほかの言語でプログラミングをしたり、ほかの言語のエンジニアと共同してシステムを開発したりします。また、プログラミング以外に、データベース操作やデータベース設計、システムテストなども業務の範囲です。
SQLエンジニアとして働くには、データベース製品に関する知識を深め、データベーススペシャリスト試験やオラクルマスターなどのスキル証明となる資格の取得も必要です。
また、SQLエンジニアのキャリアパスとして、データサイエンティストやデータアナリストがありますが、こうした職種を目指すには、データ分析やパターンの発見、統計モデリングなどのスキルを身につける必要があります。
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SQLの基本知識
SQLはデータベース操作のための言語で、データの検索や抽出、更新、削除などが可能です。以下、SQLの歴史と概念を解説します。
▪️SQLの開発 SQLは、RDBMS(リレーショナルデータベースシステム)で使われる言語です。RDBMSは、テーブルやカラム、行のような表形式の概念でデータを管理するモデルです。
1970年代、IBMが世界初のRDBMSである「System R」と、それを操作するための言語で現在のSQLの原型となる『SEQUEL(Structured English Query Language)』を開発しました。
▪️SEQUELからSQLへ SEQUELは後のSQLの基盤となりました。1976年、SEQUELのバージョンアップに伴って、言語の名称が現在のSQLに変更されました。商用RDBMSの普及に伴い、SQLも高い評価を受け、多くのRDBMSに標準的に搭載される言語になりました。
▪️標準SQLの規格化 1986年、ISO(国際標準化機構)によりSQLが正式に規格化(標準SQL)され、さまざまなデータベースで利用されています。SQLは言語の仕様が標準化されていることから、エンジニアはSQLを習得しておけば、異なるRDBMS製品を扱うことができます。
3種類のSQL
SQLは機能ごとに、「データ定義言語」「データ操作言語」「データ制御言語」の3種類に分類されます。以下にSQLの3つの種類とそれぞれの特徴を解説します。
1.データ定義言語(Data Definition Language) データベースそのものを作成・変更・削除するためのSQLで、CREATE文(作成)、DROP文(削除)、ALTER文(変更)などが該当します。Webシステムに対してはあまり使用しないエンジニアが最もよく利用します。
2.データ操作言語(Data Manipulation Language) データベース内のデータに対して操作を行うSQLです。SELECT文(データ検索・抽出)、INSERT文(データ追加)、UPDATE文(データ更新)、DELETE文(データ削除)などが該当します。非エンジニアでも使いやすく、日常業務で役立ちます。
3.データ制御言語(Data Control Language) データベースの権限周りに対する命令文です。特定のユーザに対してアクセス権限を付与・剥奪したり、データベースの状態を管理したりします。GRANT文(権限付与)、REVOKE文(権限剥奪)などが該当します。
SQLでできること
SQLでは何ができるのか、どのような業務で用いるのかについて解説します。企業や組織では、業務システムにRDBMSが欠かせないため、SQLを活用した業務は多岐に渡り、主にエンジニアが対応してます。以下にSQLを用いた代表的な業務や作業を挙げます。
データ抽出と整形
1.データ抽出 (SELECT文) データベースから必要な情報を取得するために使用されるSQLの一部です。SELECT文を使用して、特定のテーブルから特定の列(カラム)のデータを取得します。例えば、顧客の名前や注文の金額などを取得できます。
2.データ整形 取得したデータを見やすく整形するプロセスです。整形は可読性を高め、データの理解を容易にします。具体的な整形ルールには、インデントの適切な使用、キーワードの大文字化、統一された命名規則の適用などがあります。
ビッグデータの解析やAI関連の仕事
ビックデータを解析したり、機械学習によるデータ分析を行ったりする際にも、SQLが必要です。クラウド環境に関する知識や経験も求められ、以下のような関連する多くのスキルが求められます。
1.データ基盤とデータベース構築 SQLはDML(データ操作言語)によるデータの操作以外に、DDL(データ定義言語)を用いてデータベース操作を行うことができます。またデータ定義だけではなく、データベース設計や構築を行うこともあります。そのため、設計の実務経験が必須スキルとして求められることも少なくありません。
2.データ分析と可視化 SQLのスキルを有するエンジニアは、データ分析やデータの可視化の仕事を担当することもあります。また時には、BIツールを扱うスキルも求められるでしょう。BIツールはさまざまな製品がありますが、どれか1つでも知識があれば、さほど苦もなく他製品も使いこなせるでしょう。
SQLを扱う職種や年収
SQLを扱う職種にはどのような職種があるのでしょうか。ここに挙げる職種は最低限SQLを扱えることが前提条件です。
データベースエンジニア
データベースエンジニアは、データベースの設計、構築、最適化を担当するエンジニアです。SQLを使ってデータベースの操作やクエリを実行し、データの効率的な管理を行います。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、データ分析や予測モデルの構築を専門に行うエンジニアです。PythonやRなどのプログラミング言語を用いて、ビッグデータから有益な情報を抽出、加工し、ビジネスにおける最適な意思決定を支援します。
前処理から機械学習のアルゴリズム選択、結果の分析まで幅広いスキルを持ち、データアナリストより高度な分析を行います。
データアナリスト
データアナリストは過去データの分析から、ビジネス上の意思決定に役立つ情報を引き出す専門家です。SQLを使ってデータの抽出や加工、可視化を行い、企業の戦略策定や課題解決に貢献します。データアナリストは、データマイニングの手法で「統計分析」を用いた分析を行うのが特徴です。
SQLエンジニアの年収
SQLのスキルを身に付けたエンジニアの年収はどの程度を期待できるのでしょうか。SQLスキルを直接仕事に活かせるデータベースエンジニアの年収を見ていきましょう。
データベースエンジニアは「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は424万円(※2024年3月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、データベースエンジニアは一般平均年収と同程度からやや高めであることが分かります。
スキルによって年収に差はありますが、専門性を磨き、経験を重ねるとともに年収が伸びる傾向にあります。また、スキルアップやキャリアアップを図るには資格取得も有効な手段です。
【参考】:IT・エンジニアの職種図鑑 データベースエンジニア ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方
【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
SQLのデメリットとメリット
SQLはデータベースと対話できる言語であり、データベースを扱うことが多いエンジニアには必須の言語と言えます。ここでは、SQLのデメリットとメリットを確認しておきましょう。
SQLのデメリット
SQLのデメリットとして挙げられるのは、「処理速度の低下」と「意思決定リスク」の2つが挙げられます。このデメリットを認識した上で扱う必要があります。2つのデメリットについて見ていきましょう。
■ 処理速度の低下 SQLが操作するRDBMSは表形式でデータを取り扱うため、大量のデータや複雑な構造のデータを取り扱う際には処理速度が落ちることがあります。こうした弱点を認識した上で、SQLを正しく扱うことが求められます。
■ 意思決定リスク SQLでデータを操作し、抽出したデータを分析して、ビジネスなどの意思決定に利用することがあります。SQLに誤りがあると、正しいデータの抽出が行えず、誤った意思決定につながるリスクがあります。結果を過信せず、SQLにミスがないか検証するようにしましょう。
SQLのメリット
続いてSQLを学ぶメリットを見ていきましょう。SQLには多くのメリットがあることが分かります。以下4つのメリットを挙げました。
■ 自己完結性 SQLは必要ないと考え、SQLが書けないエンジニアが少なくありません。SQLに関するスキルを有していると、データの抽出から分析まですべて自分で行えるため、都度他のエンジニアに依頼する手間を省けます。また任される仕事の範囲が広がり、活躍機会が増えます。
■ 効率的なデータ操作 SQLを用いることでデータを効率的に検索・分類できます。そのスキルは実務でも活かせ、データベースさえあれば、アクセス分析、営業分析など、さまざまなデータの分析が行えます。
■ 多様なRDBMSの活用 SQLは国際標準のデータベース操作言語のため、MySQLやOracleなどの異なるRDBMSでも同様に操作できます。そのため、SQLを習得しておけばあらゆるRDBMSを扱えるため、活用範囲が広くなります。
■ 将来性がある SQLは国債企画のため汎用性が高く、またRDBMSは依然としてデータベースの主流です。そのため、SQLエンジニアやデータベースエンジニアの求人は豊富にあり、将来性が高いと言えます。
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SQLスキルを身に付ける
ここではSQLスキルを身に付けることで、目標とするSQLエンジニアを目指す方法について解説します。
参考書などで学ぶ
以下にSQLに関するおすすめの参考書を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。参考書で学習して興味が湧いたら、SQLやデータベースに関するスキル証明となる、後述するSQL資格をぜひ取得しましょう。
■ スッキリわかるSQL入門 第4版 ドリル256問付き! 本書はSQL入門書であり、シンプルな図解と丁寧な解説でデータベースとSQLの基本を学べます。また、豊富なドリル問題も含まれているため、スキルチェックが行えて実践的なスキルを身につけることができます。
▪著者:中山 清喬、飯田 理恵子 ▪出版社: インプレス ▪ページ数:528ページ ▪発売日:2024/02/05 【参考】:スッキリわかるSQL入門 第4版 ドリル256問付き!
■ 3ステップでしっかり学ぶ MySQL入門[改訂第3版] MySQLをはじめてさわる方を対象に、開発環境の準備からSQLの基本的な書き方、PHPによるWebシステム開発まで、図解でわかりやすく解説しています。章末に用意された練習問題で理解度をはかれますので、自習用にもセミナーのテキストにも最適な1冊です。
▪著者:WINGSプロジェクト 山田 奈美、山田 祥寛 ▪出版社: 技術評論社 ▪ページ数:304ページ ▪発売日:2024/01/25 【参考】:3ステップでしっかり学ぶ MySQL入門[改訂第3版]
■ 無料の学習サイト:Progateを利用する ProgateのSQLコースは、データの管理や分析に使えるデータベース言語を学ぶコースです。基本的なSQLの使い方から集計関数、複数テーブルのデータ取得まで学べます。また、実践的な演習問題も用意されています。
【参考】:SQL | プログラミングの入門なら基礎から学べるProgate
資格を取得する
転職に際しては、スキル証明となる資格の取得が有利です。SQLエンジニアを目指す方は以下のような資格を取得しておくことをおすすめします。
■ ORACLE MASTER Silver SQL 2019 (Oracle Database SQL Certified Associate) 認定資格 Oracle Database上でSQLを使用する開発者やデータアナリスト向けの資格です。SQLのスキルを証明し、データの操作や定義、アクセス制御などを行う能力を評価します。試験1Z0-071-JPN(Oracle Database SQL)に合格することで取得できます。
この資格は、Oracle Database 12cから19cに対応しており、SQLの知識とスキルを持つことで、データベースアプリケーションの開発や管理に役立ちます。また、Oracle Database SQL Certified Associateのグローバル資格と同時に認定されます。
【参考】:ORACLE MASTER Silver SQL 2019
■ オープンソースデータベース技術者認定資格 導入件数が世界で最も増えている「PostgreSQL」に関する技術力と知識を認定するIT技術者資格です。
データベース技術者は特定ベンダーのデータベース製品に依存せず、顧客に最適なデータベースシステムを提案する能力が求められます。この試験はSilverとGoldの2つのレベルがあり、GoldはITSS(ITスキル標準)のレベル3相当で、難易度の高い試験です。
【参考】:オープンソースデータベース技術者認定資格 | OSS-DB
研修が手厚い企業を見つける
転職してから実務レベルのSQLスキルを身に付けるには、研修が手厚い企業への転職をおすすめします。
経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」が迫る中、ITエンジニアの絶対的な不足が問題になっています。こうしたエンジニア不足への対応として、エンジニアを自社で育てる目的で、研修が手厚い企業が増えています。
このような企業は従業員の資格取得にも熱心で、奨励金や資格手当制度が充実している可能性があり、収入アップも期待できます。研修が手厚い企業を求めている方は、有力な転職エージェントの活用をおすすめします。
【参考】:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(サマリー)
SQLエンジニアとして活躍を目指そう
ここまでSQLエンジニアについて、SQLでできることや仕事内容、職種や年収、メリットや資格などについて紹介しました。
また、研修が手厚い企業への転職をおすすめしましたが、公開情報だけではなかなか見つけにくいでしょう。また、自分の求める条件や相性などもあるため、見極めるのは簡単ではありません。何といっても、その企業でSQLエンジニアとして活躍できるのか否かは、求職者にとって重大な関心事です。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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