SQLを効率よく習得するための学習方法とは?
SQLは、データベースの定義や操作を行うことができるデータベース言語の1つです。データベースを設計・運用するデータベースエンジニアや、データベースを利用するシステム開発に携わるプログラマなど、SQLを使用する機会があるエンジニアは多いでしょう。
スキルアップのためにSQLの勉強をしたいけれど、どのように学習を進めれば良いか分からない方も多いのではないでしょうか。基本構文が理解できても、幅広く応用を利かせたり、すらすらとSQLを記述できるようになるのは難しいものです。
この記事では、SQLのスキルを向上させたい方のために、SQLの学習方法やポイントを解説し、おすすめの学習サイトや書籍をご紹介します。
SQL学習の流れとは?
SQLの学習は、まずはSQLの基本構文を理解すること、練習問題をたくさん解いて慣れること、実際のデータベースで実践すること、というステップで進めることをおすすめします。
よく使う4つの命令の基礎を学習する
まずは、最も使用される頻度が高い4つの命令文をしっかりと押さえましょう。
データベースのデータは、縦の列の「カラム」と、横の列の「レコード」からなるテーブル(表)に格納されます。SELECT文・INSERT文・UPDATE文・DELETE文を使って、基本の操作であるデータの取得・追加・更新・削除を行います。
■SELECT文 SELECT [カラム名] FROM [テーブル名];
SELECT文は、データベースからデータを取得するためにどのカラムのデータを取得するかを記述します。FROM句を使ってどのテーブルから取得するか指定したり、WHERE句を使ってどのレコードのデータを取得するか指定したりできます。
■INSERT文 INSERT INTO テーブル名 [カラム名1, カラム名2,...] VALUES [値1, 値2,...];
INSERT文は、どのようなデータをどのテーブルに追加するかを記述します。固定の値だけでなく、SQLで他のテーブルから取得した値をINSERTとするなど、応用的な使い方もできます。
■UPDATE文 UPDATE [テーブル名] SET [カラム名1] = [値1] WHERE [条件];
UPDATE文は、どのテーブルのどのデータをどう更新するかを記述します。テーブル名とカラム名を指定し、WHERE句で指定した条件のものだけを更新するのが基本です。カラム名をカンマで区切って記載することで、複数カラムで条件に合ったものだけを更新することができます。
UPDATE [テーブル名] SET [カラム名1] = [値1], [カラム名2] = [値2] WHERE [条件];
■DELETE文 DELETE FROM [テーブル名];
DELETE文は、テーブルのデータを削除することができます。上記の命令では、指定したテーブルのすべてのデータを削除します。しかし、テーブルのデータをすべて削除することはほとんどありません。普段使用するときにはWHERE句を付加して、指定した条件に合うデータのみを削除します。
DELETE FROM [テーブル名] WHERE [条件];
4つの基本命令文の応用や他の命令文を学ぶ
4つの基本の命令文を組み合わせることで、システムやソフトウェアが必要とするデータをデータベースから抽出して画面に表示させたり、ユーザが入力したデータをデータベースに格納したりといった操作を行います。
4つの命令文の基本を理解したら、次はテーブルの結合、命令文を入れ子にする副問い合わせ(サブクエリ)などの応用についても学んでいきましょう。
自分でSQL文を書くことに慣れる
SQLの基本構文を学習して理解が進んだら、実際にSQL文をたくさん書いて、様々なパターンのSQL文に慣れていきましょう。
基本の命令文を見ながら、実際にパソコンに向かってSQLを自分で繰り返し書いてみましょう。そうすることで、SQL文の構造を記憶しやすくなりますし、理解もより深まります。
実際にデータベースをSQLで操作してみる
SQLを書くのに慣れてきたら、実際のデータベースでSQL文を使ってデータベースを操作してみましょう。自分でテーブルを作成し、様々な操作を試してみることで、データベースの構造をより深く理解することができます。
学習のためにデータベース管理システムをインストールするのであれば、MySQLをおすすめします。MySQLは無償で入手できるオープンソースのソフトウェアで、世界中で幅広く使用されています。高速な処理で、高い信頼性を持っているのが特徴です。
【参考】:MySQL
MySQLをインストールすると、Windowsであれば「コマンドプロンプト」、Macであれば「Terminal」を使用してデータベース・テーブルを作成して、SQLによるデータベース操作を行うことができます。
効率的なSQL学習の方法とは?
SQL学習の流れはお分かりいただけたと思います。では、どのような方法でSQLを学習するのが効率的なのでしょうか。
本を活用して学習する
まずは、本を使ってSQLの基本を学ぶことをおすすめします。本はいつでも手元に置いておき、迷ったときにいつでも確認できることが大きなメリットです。
図解入りで分りやすく解説した本や、様々な応用パターン例が記載されている本など、自分の学習の度合いに応じて読みやすいものを入手し、勉強していきましょう。
学習サイトや学習アプリを使って学習する
自分でSQL文を書くことに慣れるためには、学習サイトを活用することをおすすめします。学習サイトでは、SQLの学習をしながら連取問題を解くことで知識を定着させることができます。スマートフォンでSQLを学べる学習アプリも、隙間時間を使って勉強するのにおすすめです。
オンライン講座やスクールを活用する
SQLの学習を始めたけれど、独学が苦手だという方もいるでしょう。不明点を聞ける人がいないとモチベーションが続きにくく、長く学習を続けるのは難しいものです。
その場合は、オンライン講座やスクールを活用することをおすすめします。分からないところを講師に聞いたり、カリキュラムに従って学習するため次々と目標を立てて継続した学習がしやすくなります。費用はかかりますが、より確実に効率よくSQLを習得することができるでしょう。
SQL学習におすすめの本は?
ここでは、手元に置いて活用したい本を紹介していきます。何度も繰り返し読んで、SQLの基礎をしっかりとインプットしましょう。
スッキリわかるSQL入門 第3版 ドリル256問付き!
人気のSQL入門書シリーズです。SQLの基礎が丁寧に解説されていて、図解も多く、やさしく楽しくSQLを学習できることが特徴で、初心者の方に特におすすめできる1冊です。
Webブラウザ上でSQLの作成や実行ができる、クラウド型のデータベース実行環境の「dokoQL」(どこきゅーえる)を使って学習できるのも大きなポイントです。
▪著者:中山 清喬、飯田 理恵子、株式会社フレアリンク(監修) ▪ページ数:512ページ ▪出版社:インプレスブックス ▪発売日:2022/3/29
【参考】:スッキリわかるSQL入門 第3版 ドリル256問付き! - インプレスブックス
集中演習 SQL入門 Google BigQueryではじめるビジネスデータ分析(できるDigital Camp)
データベースやSQLが初めてという方を対象に、Web解析業界でのキャリアがある筆者によるSQLのコツを丁寧に解説した入門書です。データベースの構造についても詳しく解説し、SQLを使いこなすための操作の基本を学習できます。
必要なものはGoogleアカウントのみで、実務で使える「BigQuery」をSQLの学習・実行環境として解説されています。また、本書には演習ドリルの他、購入した読者のみ利用できる特典サービスもあるため、知識習得をサポートしてくれます。
▪著者:木田 和廣 ▪ページ数:480ページ ▪出版社:インプレス ▪発売日:2021/02/19
【参考】:集中演習 SQL入門 Google BigQueryではじめるビジネスデータ分析(できるDigital Camp)
絵で見てわかるSQL Serverの仕組み
初級者を脱してより高みを目指したいエンジニアの方におすすめの本です。標準SQL準拠で幅広いデータベースに対応しており、実際の開発現場でも使える実践的なコーディングも多く紹介しています。
また、SQL Serverの物理構造(アーキテクチャ)や内部動作を、図解によって丁寧に解説しているため、参考書を読むのが苦手な方にもおすすめの1冊です。
▪著者:平山 理 ▪ページ数:344ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2020/09/14
SQL学習におすすめのサイトは?
ここでは、SQLを学習しながら、自分でSQL文を書いて身につけていくことができる学習サイトを紹介していきます。
Progate
Progateはプログラミングを学ぶための学習サービスです。学習分野としてSQLが用意されており、無料でアカウントを登録すればSQLを学習することができます。
まずは単元ごとに、データベースのデータや図解が豊富なスライドと形式で知識をインプットします。その後、すぐに演習画面に切り替わり、実際にSQL文を入力して実践できるのが大きな特徴です。
演習画面では、ポイントごとにスライドに戻って学び直すことができます。困った時のためのヒントの表示もあり、初心者の方でもSQL学習をゲーム感覚で楽しめるサイトです。
【参考】:SQL | プログラミングの入門なら基礎から学べるProgate[プロゲート]
SQL Fiddle
SQL Fiddleは、Web上でSQLを実行することができるサイトです。実行環境を用意することなく、気軽にSQLの実行を試してみることができます。データベースの構造(Schema)を作成することから行うことができ、SQLの学習を進めてさらに学習したい方におすすめです。
SQL Fiddleでは、MySQL Server・Postgres・Oracle・SQL Serverなどのデータベースエンジンを選択することができ、違いを確認することもできます。
【参考】:SQL Fiddle
様々な学習方法を活用してSQLの勉強を続けることが上達のコツ
SQLの学習の流れを解説し、おすすめの本、学習サイトをご紹介しました。SQLの上達のコツは、勉強を続けることです。本や学習サイトで学習してインプットし、自分でSQLを書いて学んだことをアウトプットすることを繰り返すと、ますます理解が深まっていきます。
ご紹介したような本を何冊か用意したり、手軽に利用できる学習サイトを複数活用したりして、様々な角度から勉強することで新たな学びが得られ、楽しみながら続けることができます。SQLの勉強を継続的に行って、実力を身につけていきましょう。
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