ソフトウェア開発で使われる言語
ソフトウェア開発に携わるITエンジニアを目指す上で、数あるプログラミング言語の中から何を習得すればいいのか迷う方は少なくないでしょう。特にプログラミング言語を全く学んだ経験がない方にとってはなおのことです。
ソフトウェア開発と言っても、スマートフォン向けアプリからパソコン向けのアプリ、ブラウザで動くアプリ、ゲームアプリなど様々な種類があり、それぞれ適するプログラム言語は異なることがあります。
この記事では、プログラマーやシステムエンジニアへのキャリアチェンジを目指す方が学んでおくと良い言語について、ソフトウェア開発の種類ごとに紹介していきます。また未経験からのキャリアチェンジの方法やポイントについても紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
ソフトウェア開発とシステム開発の違い
この記事では、ソフトウェア開発の種類ごとによく使われる言語を中心に紹介していきますが、システム開発とソフトウェア開発の違いを理解しておきましょう。ソフトウェア開発とは「システムの中で動くアプリケーションを開発すること」です。
一方、システム開発はソフトウェア開発よりは大きな概念であり、「仕組みそのものを開発すること」だと言えます。ソフトウェアの例を挙げると、MicrosoftのWordや Excelの中身についての開発がソフトウェア開発です。
システム開発は、銀行ATMやコンビニATMの仕組みの開発、あるいはスーパーやコンビニなどのPOSレジや電子決済の仕組みなどの開発を指します。とはいえ、ソフトウェア開発はシステム開発の一部であり、両者に共通する部分は多く、厳密には分けることは困難です。
プログラミングとソフトウェア開発の違い
プログラミングとは、コンピュータに求める動作をさせるための指示を与えることです。 その指示書となるプログラムは、プログラミング言語を用いたソースコードで構成されます。一方、ソフトウェア開発ではプログラミング以外に要件定義、設計、運用、保守までカバーするなど、実施する範囲が異なります。
ソフトウェア開発の種類
ソフトウェア開発のイメージはつかめたでしょうか?ソフトウェア開発には大きく分けて3種類あります。プログラマーやエンジニアを目指す方は、自分がどのようなソフトウェア開発に携わりたいのか、ある程度目標を明確にしておきましょう。
Webシステムのソフトウェア開発
Webシステムのソフトウェアは、Webブラウザで動くソフトウェアです。PCやスマホ上で動くソフトウェアとは異なり、Webブラウザ上で動き、端末性能やOSに依存しないため、ネットワーク環境さえ整っていれば、どの端末でも同じ様に動かすことができる点が最大の特徴です。
Webブラウザ上で動くことから、個々の端末やOSを気にせず開発できるため、開発期間やコストを削減できる点が強みですが、開発にはWeb系の開発に長けたエンジニアが必要です。
アプリケーションのソフトウェア開発
アプリケーションソフトとは、パソコンやスマホにダウンロードし、インストールして端末上で動かすソフトウェアのことです。インストールが前提のため、様々な端末やOSの種類、バージョンを意識した開発が必要になり、開発期間やコストの増大がネックとなります。
組み込み系のソフトウェア開発
組み込み系のソフトウェアは、家電や産業機器などに組み込まれるソフトウェアのことです。スマホやカメラなどの電子機器に組み込まれている電子回路が、組み込みソフトウェアにあたります。
組み込みソフトウェアが使われている機器の例としては、炊飯器・テレビ・ビデオ・DVDプレイヤー・エアコン・プリンタ・コピー機・カーナビ・自販機・リモコンなどが挙げられます。組み込み系のソフトウェア開発では、プログラミングスキル以外に、ハードウェアに関する深い知識も必要です。
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プログラミング言語の種類
ソフトウェア開発にはプログラミング言語スキルが必須です。プログラミング言語の種類は200種類近くありますが、その中からソフトウェア開発でよく利用される言語を紹介します。他にも開発で利用されるプログラミング言語は幾つかありますが、比較的学びやすい言語にフォーカスしています。
PHP
PHPは動的なWebページの生成ができる、サーバーサイドでよく使われるスクリプト言語です。他の言語と比較して仕様や文法がシンプルで、初心者でも習得しやすいのが特徴です。またPHPはデータベースとの連携が特異であり、WordPressなどのWebアプリケーション開発でもよく使われます。
Python
PythonはAIや機械学習や深層学習のデータ処理に優れたプログラミング言語です。構文や文法がシンプルで、初心者にも習得しやすい言語です。また読み書きのしやすさに重きが置かれた言語であり、複数人によるチーム開発にも適しています。
Pythonの用途は広く、組み込み系からWebアプリ、デスクトップアプリ、AI開発、ビッグデータ解析からゲーム開発まで多岐に渡ります。
C++
C++(シープラブラ)は、C言語をベースにオブジェクト指向を取り入れたプログラミング言語です。プログラミングの難易度は高いですが、処理速度の速さ、汎用性に優れた点が特徴です。C言語とも互換性があるため、C言語を学んだ方は体得しやすい言語です。
主にゲーム専用機やPC、スマホ、組み込み系などあらゆる分野で利用されています。また、最近ではAI開発でも用いられています。
【参考】:ゼロから学ぶ C++
C
C#(シーシャープ)は、MicrosoftがC言語やC++から開発したオブジェクト指向の言語です。文法的にはJavaと似ていますが、C++よりは難易度は低く、習得しやすい言語の1つです。ゲームエンジンのUnityはC#が使われているため、ゲーム開発を目標にする方はC#を習得しておくといいでしょう。
他、C#はゲーム専用機以外にも、パソコンやスマホ、Webブラウザでも一部使われています。
【参考】:C# プログラミング ガイド | Microsoft Learn
Java
C++と同様にC言語をベースに開発された、オブジェクト指向型のコンパイル言語です。JavaはJavaコミュニティ以外にOracle社からも提供されていますが、両者に違いはほとんど見られません。Javaは難易度はやや高いものの、安定性の高さとOSに依存しない汎用性が特徴です。
Javaは安定性が高く、金融系の基幹システムなどで使われる一方、家電の組み込み系などでも使われています。Androidの公式開発言語、KotlinはJavaをベースにしたシンプルなコードで開発されており、Javaとの相互呼び出しが行えます。
【参考】:Javaソフトウェア | オラクル | Oracle 日本
JavaScript
JavaScriptは主にWebページに動きを与えるプログラミング言語として、ブラウザで多く使われてきました。最近はライブラリーが充実しており、Node.js環境でのサーバーサイド開発、アプリ開発など用途が広がっています。
JavaScriptは比較的習得がしやすい言語です。ゲーム開発エンジンのUnityでは、C#以外にもJavaScriptの使用が可能です。
Swift
SwiftはApple社が開発したオープンソースのプログラミング言語で、主にiOSやMacOSのアプリ開発で利用されます。コードがシンプルで、難易度が比較的低く、学びやすい言語です。Apple社はMacOSやiPhone、iPad、Apple WatchといったすべてのApple製品開発にSwiftを推奨しています。
【参考】:Swift - Apple(日本)
Go言語
Go言語はGoogle社によって2009年に新たに開発されました。Go言語はクックパッドやYouTube、メルカリなどの開発に利用され、Web向けの言語というイメージが強いですが、スマホアプリ開発、ドローン開発、IoT開発にも適しています。シンプルな言語体系と速度の速さが特徴です。
【参考】:The Go Programming Language
Ruby
Rubyはオブジェクト指向のスクリプト言語で、日本で開発されました。Rubyはコードがシンプルで、初心者でも習得しやすい言語です。また日本で開発されたことから、関連サイトやマニュアルなどが日本語で利用できる点も強みです。「Ruby on Rails」はRuby開発のフレームワークとして有名です。
【参考】:オブジェクト指向スクリプト言語 Ruby 【参考】:Ruby on Rails
Kotlin
Kotlinは2011年にJetBrains社が発表した新しい言語で、Java仮想マシン上で動くオブジェクト指向のプログラミング言語です。文法は独自で非Java系の言語ですが、Javaとの相互利用が可能です。
Javaによるソースコードの呼び出しができるため、Java資産を活用した形でソフトウェアが開発できます。またGoogle社がAndroidの公式開発言語として採用したことから、一気に有名になりました。
【参考】:Kotlin プログラミング言語
プログラマーの年収
プログラミング言語を学んでプログラマーやシステムエンジニアを目指す方は、プログラマーの年収が気になると思います。
「マイナビエージェント職種図鑑」におけるプログラマーの平均年収は344万円(※2023年6月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によるとプログラマー職種の平均年収は592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」での民間企業平均年収は433万円ですが、プログラマーの平均年齢が若いことを考慮すると、一般平均年収とほぼ同じ程度と考えられます。
またプログラマーは他のエンジニア職と比較して年収は高くはありませんが、プログラマーはITエンジニアの登竜門と言われますので、スキルアップやキャリアアップによって将来的に高年収を得られる可能性があります。
自らの希望や適性を考慮してITエンジニアとしてステップアップしていくといいでしょう。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
プログラミング言語の選定
これからどのプログラミング言語を学ぶのかを決める前に、自分がどのようなソフトウェア開発に携わりたいのか、活躍したい分野は何かについて明確にしておきましょう。プログラミング言語にはそれぞれ特性があり、開発に適した分野、適さない分野があります。
そのような視点からプログラミング言語を選定するといいでしょう。プログラミング言語の選定基準としては、実行速度や汎用性、可読性などの視点がありますが、ここでは目的や用途を1つの基準として分類してみました。プログラミング言語の選定に際して参考にしてください。
Webシステム開発:Go言語(PHP、JavaScript)
Web系のシステム開発、ソフトウェア開発に携わりたい方は、Go言語、PHP、JavaScriptなどから選定するといいでしょう。Go言語はスマホアプリ開発、ドローン開発、IoT開発でも使われ、汎用性の高い言語です。
PHPは様々なジャンルで応用可能な汎用性の高いプログラミング言語ですが、特にデータベースとの連携を得意としており、Webアプリケーションソフトウェアの開発ではよく利用されます。
また、JavaScriptはブラウザだけで動作が可能であり、数々のWebアプリケーション開発で広く利用されています。いずれも人気の言語ですが、Webサービス以外にもAndoroidスマホアプリやドローン開発などの組み込み系でもよく利用されているGo言語を選択するといいかもしれません、
AI開発や機械学習開発向き:Python(Java)
Pythonは、近年需要が増加しているAI開発や機械学習に適した言語です。Pythonには豊富な優れたライブラリが多数あり、それらを活用することで開発工数を大きく減らせます。Javaは汎用性や安全性が高く、AIや機械学習でも使われることがありますが、初めて学ぶにはやや難解です。
ゲーム開発向き:C++(C#)
市販のコンピュータゲームは大半がC#もしくはC++で開発されています。それは、ゲームエンジンの「Unity」を利用したゲーム開発現場でC#の需要が高いことにあります。またC++は実行速度が非常に早く、リアルタイムでの処理が欠かせないオンラインゲーム開発に適しています。
汎用性の高さという点ではC++に軍配が上がります。
スマホアプリ開発向き:Kotlin or Swift(Java)
スマホアプリ(ネイティブアプリケーション)の開発では、Android系ではKotorlin、iPhoneではSwiftを選択するといいでしょう。汎用性の高いJavaを利用する方法もありますが、Javaは初心者には難易度が高いため、それぞれのOSに適したKotorlin、Swiftの選択が無難です。
未経験からプログラマーになる方法
プログラマーやエンジニアの仕事に興味があっても、IT未経験から目指せるのか不安という方は少なくないでしょう。未経験からでもエンジニアを目指すのは可能です。ここではエンジニアへのキャリアチェンジの方法について解説します。
スキル証明となる資格を取得する
未経験者でも、ITエンジニアとしての意欲やスキル証明となる資格を保有すると有利です。「基本情報技術者試験(FE)」やプログラミングスキル証明となる以下のような資格の取得をおすすめします。
【参考】:基本情報技術者試験(FE)|IPA 【参考】:基礎試験 |Python 3 エンジニア認定基礎試験 【参考】:C言語プログラミング能力認定試験・Java™プログラミング能力認定試験 | 資格検定のサーティファイ 【参考】:試験概要 – PHP技術者認定機構 【参考】:JavaScript スペシャリスト | CIW 【参考】:Ruby技術者認定試験
未経験者採用や教育に熱心な企業を探す
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未経験からシステム開発系の仕事を目指すなら、理想的な企業を見つけてくれる転職エージェントの活用をおすすめします。
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プログラマーとしてのスキルが身に付いたら
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