2021年10月5日にWindows10の後継OSとして登場した「Windows11」は、登場から半年以上が経過し、徐々にビジネスユースで利用される方が増えてきました。Windows11へのアップグレードを検討している方の中には、そのエディション選択で悩まれている方もいるでしょう。
Windows11にはさまざまなエディションがありますが、ほとんどの方はHomeとProのいずれかを選択しています。またHome・Proともに64bit版のみで、32bit版はありません。
Windows11の基本的な機能に関し、HomeとProに顕著な違いは見当たりませんが、セキュリティ面やビジネスシーンでの便利な機能など、Proは豊富な機能を備えています。この違いの影響がどの程度なのか、Homeエディションをビジネス用途で使うとどのような問題があるのか気になります。
この記事では、Windows11のエディション・HomeとProの違い・それぞれのメリットやデメリット・おすすめの用途・HomeからProへのお得なアップデート方法などについて解説していきます。エディションの選択で悩まれている方はぜひ参考にしてください。
Windows11のHomeとProの違いは、一般的な使い方をする限りは機能差は感じませんが、両者には明らかな機能差があります。Pro特有の機能を見ることで、HomeとProの主な違いを認識してみましょう。
BitLockerはドライブごとにセキュリティ・ロックをかける機能です。Homeには搭載されていません。BitLockerは「Windows10 Pro」では標準で搭載されていますので、ご存知の方は少なくないでしょう。
Bitlockerはドライブを暗号化する機能で有効にしておくと、万一パソコンを盗まれたり紛失したりしても、データ漏洩の恐れがありません。一方で、BitLockerで暗号化されたドライブを復号化するためには「48桁の回復キー」が必要なので、この回復キーの管理をしっかり行うことが求められます。
リモートデスクトップは、パソコンやスマホから離れた場所にあるWindowsパソコンをネットワーク経由で遠隔操作できる機能です。Proにはこの機能があり、ホストマシンとして遠隔から操作することができます。
たとえば、会社で利用しているWindows11 Pro搭載のパソコンを自宅のWindows11 Homeパソコンからリモートで操作するといったことが可能です。
Hyper-Vとは、Microsoft社の仮想化ソフト製品です。1台の物理マシン上で複数の仮想マシンを稼働させ、それぞれ独立してOSの起動を可能にする機能です。これにより、WindowsServerやWindows7などの古いWindowsOS、或いはLinux系などのOSを立ち上げることができます。
Proエディションは、Homeエディションとは対応するハードウェア・スペックの違いがあります。CPUコア数はHomeだと64コアまでですが、Proは128コアまで対応します。また、最大メモリー容量は、Homeの128GBに対し、Proは2TBです。
ただし、Homeの最大性能を上回るハードスペックが要求されるケースは通常業務レベルでは、ほぼありません。
ここではPro特有の主な機能を絞ってご紹介しましたが、他にもProにはビジネス用途で役に立つ管理機能、セキュリティ機能が豊富に備わっています。
Windows HomeとProの主な違いについては理解できましたが、Windows11を単体で購入した場合の価格差はどの程度なのでしょうか?Windows11は無償アップグレード、もしくはプレインストールPCの購入、自作PCのハードと一体のDSP版といった選択肢以外に、単体購入はできませんでした。
しかし、2022年4月1日から、家電量販店やネットショップでパッケージ版の販売が始まりました。販売店によってその価格は異なりますが、Windows11 Homeは概ね18,000円台、Proは27,000円前後で販売されています。
この価格差の約9,000円前後がHomeとProの価格面の違いと言えます。個人でWindows11を購入する場合は、この価格差と機能の違いを意識して判断するとよいでしょう。
ここまで、Windows11 HomeとProの機能の違い、価格の違いについて紹介してきましたが、ではどちらを選べば良いのか、まだ迷いがある方もいるかと思います。
そこで、ここでは、Homeエディションが向いている人・Proエディションが向いている人について解説します。
Windows Homeは一般向けのエディションです。これまでWindows10やWindows8でHomeエディションを使ってきた方は、基本的にProは必要ないと考えて良いでしょう。
ただし、オフィスなどに個人所有のPCを持ち込むBYOD(Bring Your Own Device)を許容している企業では、セキュリティが強化されているProエディションに限定して許可しているケースがあるため、BYOD利用予定の方は、Proエディションの選択をおすすめします。
スタートアップ企業などで、社用PCの本格導入を検討中の場合などはProエディションの選択をおすすめします。Proエディションはセキュリティが強固であり、またリモートデスクトップ機能を有しているため、リモートアクセスで効果を発揮します。
その他、システム開発系で、Hyper-Vを用いて複数のOS環境を1台のPCに構築し、異なるOS環境での稼働テストを行いたいケースではProエディションの方が適しています。
以上により、企業内利用、システム開発での利用が想定される場合はProエディションを選択すると良いでしょう。また、法人での一括購入の場合は、ボリュームディスカウントが可能ですので、大量購入の際はマイクロソフト社の法人担当に相談してみることをおすすめします。
WIndows11のProエディション環境を入手するには以下の3つの方法があります。自身の環境に合わせて最適な方法を選択してください。
(1)ProからProへ無償アップグレード Windows10のProエディション搭載パソコンからWindows11 Proに無償アップグレードする方法です。
(2)休眠ライセンスの活用で無償アップグレード. 現在利用していないWindows10 Proライセンスがある場合、そのプロダクトキーとライセンス認証を用いてWindows11 HomeからWindows11 Proにアップグレードする方法です。
(3)Microsoft Storeを利用したおトクなアップグレード Microsoft StoreからWindows11 Proエディションへのアップグレードを行う方法です。無料ではありませんが、パッケージ版を購入するよりは遥かにおトクな13,824円(税込)で行えます。
Windows11 HomeのPCで、 [スタート] > [設定] > [システム] > [ライセンス認証] >[Windows のエディションをアップグレード] > [Microsoft Store を開く] まで、順に選択していくとProエディションへのアップグレードが行えます。価格はMicrosoft Storeを選択した時点で確認できます。
【参考】:Windows Home から Windows Pro へのアップグレード|Microsoft
ここまで、Windows11のHomeとProエディションの違い、それぞれがどのような人に向いているのかなどについて解説しました。Windows11はエディション選択によって、できることが異なり、用途も変わります。
エンジニアは自ら正しい選択をすることはもちろんのこと、クライアントからのリクエストや質問に対しても正しい対応ができるよう、Windowsのエディションによる違いについてもしっかり把握し、上手にエディションを活用してください。
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