「ITエンジニア35歳定年説」は嘘?将来のために転職は必須なのか
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「ITエンジニア35歳定年説」は嘘?将来のために転職は必須なのか
アンドエンジニア編集部
2023.10.30
この記事でわかること
35歳定年説はなくなったが、ITエンジニアにとって年齢の壁はある
年齢に関係なく働くには、フルスタックエンジニアを目指す方法もおすすめ
ITエンジニアには一定年齢を超えても、さまざまな可能性があるのでしっかりしたキャリアプランを描いておくべき

35歳定年説とは

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ITエンジニアの皆さんは「35歳定年説」 というのを聞いたことはあるでしょうか。

日本では「高年齢者雇用安定法」という法律によって、65歳定年制が企業の義務化され、2025年4月以降はすべての企業で65歳定年が制度化されます。そんな中、「35歳定年なんてあり得ない」と思われても当然でしょう。

この35歳定年というのは、会社を定年になるという意味ではなく、あるIT職種での活躍年齢の目安を示していると捉えてください。

ITエンジニア転職のメリット・デメリットと気を付けるべきこと

35歳定年説が広まった理由

そもそも、IT業界において「35歳定年説」が出現したのは2000年頃と言われています。ではなぜ、そのようなことが囁かれているのでしょう。

それは当時のITエンジニアが置かれた労働環境にありました。当時、システムエンジニアはIT土方(どかた)と呼ばれ、徹夜で仕事をするのは当たり前のような風潮がありました。

しかし、20代の頃と比べると35歳頃からの徹夜作業は身体がついていかなくなります。この厳しい労働環境によって、体力的な限界からITエンジニアの35歳定年説が言われたのだと推察できます。

また、終身雇用制を採用する大手SIerでは、35歳前後を目処に、プログラマーやシステムエンジニアを他の職種や管理職登用という形で異動させていることも「35歳定年説」の背景にあると考えられます。

ITエンジニアは本当に不足している?

「35歳定年説」がある一方、「2030年にはIT人材が45万人も不足する」という説があります。これは経済産業省が公表している数字であり、信頼性の高い数字です。IT人材は35歳で「お役ご免」とされる一方で「人材不足」ということになりますが、一体どちらが正しいのでしょうか。

実は、半分は真実であり半分は嘘というのが現状です。市場が必要とするのは若くて低報酬で済むエンジニアです。企業はITのアウトソーシングを行う際、少しでも単価を下げたいため、受注したいIT企業としては、コンペに勝つためにコストの大半を占める人件費を下げるしかありません。

そうなると比較的低コストの若いエンジニアを当てるしかないため、需給ギャップが生じている側面があるでしょう。

実際の35歳以上の求人状況や転職者の数は盛ん

ITエンジニアにおけるキャリアの特徴には、「転職を繰り返す」というものがあります。実績やスキルを高め、今よりもより良い職種や環境にステップアップする人が多く見られるのがITエンジニアです。35歳以上だとキャリアや実績も十分蓄えられ、転職では即戦力として活躍できるケースが多くあります。

現在の求人状況においても35歳以上、40代の転職者も少なくありません。こういった30代以上の転職においては転職エージェントを活用して企業のマッチングを行っている求職者が多いため、気になる場合は市場価値調査を含めて求人状況を確認してみましょう。

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年齢と職種のバランス

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ITエンジニアにはさまざま職種があります。それぞれの職種において、最も力を発揮しやすい年代があります。

例えば新しい言語を学び、それをただちに生かせるプログラマー、顧客の立場に立って経営的な側面から助言が行うことが求められるITコンサルタント、リーダーシップが求められるプロジェクトリーダー、専門分野の深い知識が生きるセキュリティエンジニアなど、さまざまな職種があります。

そうした知識や経験を生かすにはどうしても年齢との兼ね合いがあります。これから、各職種と年齢との関係をみながら、「35歳定年説」の真相に迫ってみましょう。

プログラマー

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、プログラマーの平均年齢は32〜33歳程度です。

プログラマー自体が「ITエンジニアの登竜門」と呼ばれていることからも、平均年齢が若いのは当然ですが、世間的にもプログラマーの旬は30代ぐらいまでと見られています。プログラマーになるなら、なるべく早い段階でプログラミング技術を習得した方が良いでしょう。

【参考】:賃金構造基本統計調査|厚生労働省

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システムエンジニア

同調査によると、システムエンジニアの平均年齢は約38歳です。プログラマーと比較すると、6歳前後上ということになります。キャリアパスとしては、まずプログラマーを経験し、その後にシステムエンジニアになるという流れが一般的ですが、統計上もそれを裏付ける結果となっています。

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プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体を統括し、プロジェクトの目標達成に向けて責任を負います。プロジェクトリーダーの上に位置し、プロジェクト全体の品質管理、進捗管理、予算管理、マネジメントなどを行います。

ITスキルも必要ですが、それに加えて人望も必要となり、メンバーからの信頼を得なければなりません。ある程度の人生経験を積み、部下の心をつかめる人心掌握術も必要です。

そうしたことを勘案すると、40代前後の経験豊富な人材が最適と考えられます。実際、情報処理推進機構(IPA)主催の国家資格「プロジェクトマネージャー試験」の受験者は40歳前後が最も多いです。

【参考】:プロジェクトマネージャ試験

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ITコンサルタント

ITエンジニアのキャリアパスとして、ITコンサルタントはゴール目標の1つになります。

一口にITコンサルタントと言っても、専門性を問われるコンサルタントもいれば、総合力を求められるコンサルタント、経営者への助言・提案を行うコンサルタントまでさまざまなコンサルタントがいますが、年齢的にはシニア層が中心です。

統計データがないため一概には言えませんが、40歳代〜50歳代のコンサルタントが最も多いと思われます。

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ITエンジニアの年収事情

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ここでは、ITエンジニアはどの程度の年収を得ているのかを紹介します。参考として、システムエンジニアの年収について様々な調査媒体の結果をまとめました。

システムエンジニアの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」では431万円(※2023年9月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「エンジニア/プログラマ」を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。

国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニアは調査媒体によって年収にバラつきがありますが、概ね平均年収を超えることは可能な職種です。

システムエンジニアがより高い年収を目指すには、実績を積むのはもちろんのこと、資格を取得したり、マネジメント業務に関わったりすることで、キャリアアップを目指せるでしょう。

【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

フルスタックエンジニアしか食べていけなくなる?

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これまで、IT職種ごとの平均年齢と職種に求められる能力などについて述べてきましたが、少なくともプログラマーやシステムエンジニアは40歳ぐらいまでの方が多いのは事実です。プログラマーやシステムエンジニアという職種に限ると、35歳定年説はある程度説得力があります。

一方で、これからの時代は「フルスタックエンジニアしか食べていけない」という説があります。このフルスタックエンジニアについて少し考察してみましょう。

フルスタックエンジニアとは

フルスタックエンジニアとは、1人でシステム開発、ウェブ開発、さらには運用や保守まで、エンジニアリング業務の大半の工程を担えるエンジニアで、別名マルチエンジニアとも呼ばれています。

特にベンチャー系企業やスタートアップ企業では重宝されます。本来であれば職種ごとに人材を採用していましたが、フルスタックエンジニアがいれば、大半の業務を1人でこなせるため、システム開発の生産性は上がり、結果的に人件費も低く抑えることが可能です。

また、最近主流になりつつあるアジャイル開発において、フルスタックエンジニアは非常に貴重な存在となっており、求人情報などを見ると、システムエンジニアよりは2〜3割ほど高い報酬での募集が見受けられます。

注目を浴びるフルスタックエンジニアを目指す方法と必要な資格は?

フルスタックエンジニア以外のエンジニアの将来性

フルスタックエンジニアの市場価値が高まれば高まるほど、IT専門職種の市場価値の低下が懸念されます。政府主導のDXブームが去るまでは、旺盛な市場ニーズのおかげでプログラマーやシステムエンジニアが職にあぶれる心配はなさそうですが、DX対応の目標期限とされる2025年以降は不安をぬぐえません。

では、現時点でプログラマーやシステムエンジニア、あるいは他のITエンジニア職に就いている方はどうすれば良いのでしょうか。どのようなキャリアパス、キャリアプランを描けば良いのでしょうか。

これから、「35歳定年説」を覆すITエンジニアの生き残り策について考えていきましょう。

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「35歳定年説」を覆す生き残り策

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「65歳定年」や「高齢者活用」が叫ばれる今日、時代の流れに逆行する「35歳定年説」ですが、とはいえプログラマーやシステムエンジニアが50代、60代まで現役で活躍するハードルが高いのも事実でしょう。

もちろん、シニア世代のプログラマーやシステムエンジニアが現役で活躍しているシーンも多くありますが、年齢を重ねるに連れて、体力的な部分に関しては昔と同じ働き方は難しいでしょう。

では、現在プログラマーやシステムエンジニアの方が生き残っていくには何をすれば良いのでしょうか。正解はありませんが、次のような選択肢を提示することはできます。

専門職としてキャリアアップを目指す

現在プログラマーの中で、生涯プログラマーを貫く考えの方は少数でしょう。もちろんプログラマーを天職とし、あらゆるプログラム言語を習得して「どんなプログラムでも任せて」と言えるスーパープログラマーを目指すのも良いでしょう。

しかし、大半の方はプログラマーからシステムエンジニア、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャー、さらにはITコンサルタントへのキャリアアップを目標としている場合が多いのではないでしょうか。

プログラマーを経験し、システムエンジニアを経験したプロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーはある意味、フルスタックエンジニアとも言えます。

そして、様々な職種を経験したエンジニアはどこでも重宝されます。先ずは現在の職種でしっかり経験を積みながら、明確なキャリアパスプランを描いて、計画的にキャリアアップを目指すことが肝要です。

独立する

ITエンジニアは起業しやすい職業と言われます。それは、人件費以外のイニシャルコストやランニングコストがあまり掛からない他、在宅でも仕事ができるという点もIT職種の強みです。

しかも、日本はIT先進国とは呼べない状況にあり、政府がDX対応を唱えるなど、IT市場がブルーオーシャンの状態にあるため、起業のハードルが低いのです。フリーランスから始めて、実績を重ねながら起業を目指すという方法も考えられます。

ITエンジニアにとって「独立」は、将来を生き延びるための有効な手段と言えます。

ITコンサルタントが独立するメリット・デメリットとその方法

資格取得によって市場価値を高めて転職する

ITエンジニアとしてキャリアアップを目指したり、生き残りを考えたりした場合、強みになるのは資格の有無です。30代以降の転職においては実績ももちろん重要ですが、どういったスキルがあるかを証明できる資格の保有は転職成功率に大きく影響します。

まずは、ITエンジニアの基本となるスキルを証明する「基本情報技術者試験」やマネジメントスキルをアピールしたい場合は「プロジェクトマネージャ試験」など、国家資格とされる資格の取得がおすすめです。

【参考】:基本情報技術者試験 【参考】:プロジェクトマネージャ試験

基本情報技術者試験とは?資格のメリットや学習方法を解説!
プロジェクトマネージャー試験は意味ない?合格は転職で必須なのか解説

努力すれば自ずと道は拓ける

現実には50歳でも現役SEとして活躍している方もいます。企業の定年が65歳からさらに70歳になろうとしている今日、35歳定年などと言っていてはいられません。40歳〜50歳のヘッドハンティングは非常に活況とのことです。

また転職エージェントにおいても、経験豊富なSEに対する企業からのリクエストは少なくありません。

今から将来の心配をする前に、必要とされるシステムエンジニアを目指し、必要な資格を身に付け、スキルアップを図れば自ずと未来への展望が開けてきます。

35歳定年説に囚われず、キャリアアップの道を

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この記事では、ITエンジニアにおける「35歳定年説」について、現状や生き残り方法について解説しました。35歳定年説はブラック的な労働が当たり前だった時代に言われた説であり、現在ではあまり当てはまらないことも多いです。

とはいえ、今のうちから年齢を重ねても活躍し続けられるようにするためにも、キャリアアップを図ったりスキル向上を図ったりすることが重要です。

IT業界はクラウド、IOT、AI、DXなどエンジニアの求人が確実に増えています。自社だけにこだわらず、あらゆる可能性を信じて日々自己研鑽に励みましょう。転職の際は将来性のある企業や、自分の働き方に合う企業の選定が重要です。1人での転職活動では優良企業とのマッチングが難しい場合もあります。

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