Webクリエイター能力認定試験とはどういった試験?
Webクリエイター能力認定試験がどういった資格なのか、分からない人も多いのではないでしょうか。IT資格にはさまざまな種類があり、どれから受験するか迷う方もいるでしょう。
IT資格に挑戦する場合は、その資格を得ることでどういったメリットがあるのか、どのような職種への転職を目指すことができるかを知っておくことが大切です。
【参考】:Webクリエイター能力認定試験|資格検定のサーティファイ
Webクリエイターを目指す方におすすめの試験
Webクリエイター能力認定試験では、標準的なWebサイト制作のスキルが問われます。Web制作業界でもっとも受験者数が多い資格でもあり、多くの企業で評価されています。
Web制作に必要なスキルにはさまざまなものがありますが、Webクリエイター能力認定試験ではその中でも、どの企業でも使われる基礎的なスキルを学ぶことが可能です。多くのブラウザに対応したWebサイト制作を行うスキルや、使い方が分かりやすいWebデザインの制作スキルを取得できます。
Webクリエイター能力認定試験の認定基準
Webクリエイター能力認定試験には、「スタンダード」「エキスパート」の2つの認定区分があります。それぞれの認定基準は以下の通りです。
【参考】:試験内容(HTML5対応版)|Webクリエイター能力認定試験
スタンダードの認定基準
スタンダードは、Web制作の基本となるCSSやHTMLを扱う基礎スキルが問われます。セマンティックWebを理解し、HTML5をマークアップできるか、CSSを用いてWebページのデザインやレイアウトを表現できるかが焦点となります。
出題は実技問題のみで、合格基準は特典率65%以上です。HTML5やCSSの基本的なコーディングスキルを身に付け、HTMLの構造を維持しながらCSSによって視覚的な表現ができるようになれば、十分に合格できると言えるでしょう。
エキスパートの認定基準
エキスパートでは、より高度な知識・スキルが問われます。具体的には、ユーザビリティやアクセシビリティを考慮したWebデザインを表現するスキル、また、スクリプトを用いて動きのあるWebページを表示するスキルなどが求められます。
レイアウト手法や色彩設計から、マルチデバイス対応、新規サイトの構築まで、Webサイト制作における実用的な知識・スキルが必要となります。知識問題と実技問題の両方が出題され、スタンダード同様、それぞれの合計得点において得点率65%以上で合格となります。
Webクリエイター能力認定試験の出題範囲・形式
Webクリエイター能力認定試験では、HTML・CSSなどWeb制作の基礎スキルを問う問題が多く出題されますが、スタンダードとエキスパートでは出題範囲が異なります。以下、出題範囲を公式サイトからまとめました。
【参考】:出題範囲(HTML5対応版)|Webクリエイター能力認定試験
スタンダードの出題範囲
スタンダードでは、大きく分けて以下の分野について出題されます。
- 制作環境
- Webサイトの構成と設計
- HTML
- CSS
「制作環境」では、ファイルやテキスト・ソースの操作、また、ブラウザー・ドメインについてや画像ファイルについても問われます。「Webサイトの構成と設計」では、ページ構成やレイアウト・パーツの設計、ユーザビリティ・アクセシビリティに関する基本的なスキルが問われます。HTML・CSSについても、基本的なコーディングスキルが求められます。
エキスパートの出題範囲
エキスパートの出題範囲は、スタンダードの分野にWebデザイン関連の内容も加わり、以下のようになっています。
- 制作環境
- Webサイトの構成と設計
- HTML
- CSS
- ビジュアルデザインと配色
「制作環境」の分野で出題されるファイルの種類には映像・音声ファイルやJavascriptが含まれ、「Webサイトの構成と設計」「HTML」「CSS」においてもより細かな部分まで問われます。特に、ユーザビリティ・アクセシビリティについての内容が重視されます。
スタンダードにはなかった「ビジュアルデザインと配色」についての知識問題も出題されるため、幅広く知識を身につけておく必要があるでしょう。
出題形式と試験時間
スタンダードは実技問題のみで、配布された問題データおよび素材データに基づいて設問文の指示に従って編集を行い、解答データを提出する形式です。4ページ程度のHTMLとCSSの作成となり、時間はテキストエディター使用の場合は70分、Webページ作成ソフト使用の場合は60分となっています。
エキスパートは、多肢選択形式(4択)の知識問題20問、基本ページ1ページと5ページ程度のHTMLとCSSの作成(JavaScriptの対応、レスポンシブ対応を含む)となる実技問題で構成されます。試験時間は、知識問題で20分、実技ではテキストエディター使用の場合は110分、Webページ作成ソフト使用の場合は90分です。
【参考】:試験内容(HTML5対応版)|Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験の難易度
Webクリエイター能力認定試験の2022年度の合格率は、89.92%です。他のIT資格と比べても合格率は高く、一見難易度が低いように感じられますが、油断は禁物でしょう。
出題範囲が広いため、合格には多くの学習時間を要します。特にエンジニア出身の方は、デザイン関連は1から勉強する必要があるため、人によっては苦戦を強いられるかもしれません。
【参考】:出題範囲(HTML5対応版)|Webクリエイター能力認定試験
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Webクリエイター能力認定試験を受験するには
ここまでの解説で、Webクリエイター能力認定試験の内容はイメージできたでしょうか。ここからは、実際に試験を受けるにあたって必要な情報について解説していきます。
Webクリエイター能力認定試験の受験料
Webクリエイター能力認定試験の受験料は以下の通りです。価格はどちらも税込となっています。
- スタンダード 5,900円
- エキスパート 7,500円
受験料は、受験申込の際に支払う形になります。支払い方法は会場などにより異なります。団体受験の場合は会場割引料が適用されます。なお、団体受験会場での受験では、1回の受験申請につき2,240円の受験申込手数料がかかります。
【参考】:試験内容(HTML5対応版)|Webクリエイター能力認定試験 【参考】:試験に申し込む|個人の方|Webクリエイター能力認定試験 【参考】:試験に申し込む|教育機関・企業の方||Webクリエイター能力認定試験
受験環境について(随時試験)
Webクリエイター能力認定試験には「随時試験」と「公開試験」があります。随時試験は全国の主要都市にある試験会場で行われる試験で、WindowsまたはMac OSのPCを使用して実施されます。
どちらも問題冊子の配布はなく、試験問題は、Windowsでは受験プログラム、Mac OSでは受験データで提供されます。対象ブラウザは以下の通りで、本試験で出題されるHTMLタグおよびCSSプロパティに対応していることが要件となります。
- Windows Chrome、Firefox、Edge(最新版を推奨)
- Mac OS Safari、Chrome、Firefox(最新版を推奨)
また、実施形態には「WBT」「CBT」の2種類があり、WBTはCERTIFYONLINEから受験プログラム(Mac OSは素材ファイル)をダウンロードし、試験終了後に同じくCERTIFYONLINEに解答データをアップロードする形態、CBTはUSBメモリで受験プログラム(Mac OSは素材ファイル)が配付され、解答データを回収する形態です。
【参考】:試験内容(HTML5対応版)|Webクリエイター能力認定試験 【参考】:試験実施形態|Webクリエイター能力認定試験
受験環境について(公開試験)
Webクリエイター能力認定試験には、サーティファイ認定試験事務局が定めた日程(年間2回)にて実施する公開試験もあります。公開試験は、自宅または所属する団体施設で行うリモートWeb試験です。2024年は1月28日(日)と7月21日(日)の2回、2025年の1回目は1月26日(日)の日程で予定されています。
リモートWebテストは、「2つのカメラ」と「4つのAI」による不正監視機能を搭載した受験システムで、以下の5つが用意できれば試験を受けることができます。
- 通信環境
- パソコン(Mac OS不可、カメラ・マイクが内臓されていない場合は外付けのカメラ・マイクも必要)
- スマートフォン(補助カメラとして使用)
- スマートフォンスタンド
- 静かな個室
試験当日は、「資格受付ONLINE」のマイページから試験プログラムをダウンロードし、受験します。
【参考】:試験に申し込む|個人の方|Webクリエイター能力認定試験 【参考】:リモート Web テスト概要 - 個人の方|資格検定のサーティファイ
Webクリエイター能力認定試験を受験する前に知っておきたいこと
Webクリエイター能力認定試験を受験する前に、知っておきたいことについてまとめました。Webクリエイターの将来性や年収について解説しています。
Webクリエイターとは?
そもそもWebクリエイターとは、Webサイトやアプリ開発に携わる人の総称です。具体的には次のような職種がWebクリエイターに該当します。
- Webディレクター
- Webデザイナー
- コーダー
- フロントエンドエンジニア
- バックエンドエンジニア
Web開発を行うときはWebディレクターが指揮を取り、各担当者を動かします。Webデザイナーがサイトのデザインを考え、コーダーやエンジニアがデザインに沿って開発を行うのが基本です。
Webクリエイターの将来性について
Webクリエイターは将来性が期待できる職種の1つです。Web制作を行い自社製品の宣伝などを行いたい企業は多くあるためです。また、ECサイトや業務システムなどのWebアプリを導入し、売上アップや業務効率化を目指したい企業も増えています。
Webクリエイターの年収
Webクリエイター関連の仕事の中でも代表的な職種である、フロントエンドエンジニアの年収について解説します。
フロントエンドエンジニアの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は385万円(※2024年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装)を参考にすると、平均年収568万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、マイナビの調査では民間企業平均年収よりもやや低く、経済産業省ではやや高いという結果が出ています。
ただし、Web制作を行う仕事の需要は高まっているため、平均年収は今後も上がっていくのではないかと予想されます。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】 2015年〜2016年末までの間にマイナビエージェントにご登録頂いた20代・30代の方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
Webクリエイター能力認定試験の学習方法
Webクリエイター能力認定試験に受かるための学習方法についてまとめました。合格確率を少しでも高めるため、以下の2つを抜かりなく行っておくことが大切です。
HTML・CSSなどの基礎スキルを磨く
まずはHTML・CSSなどの基礎スキルを磨きましょう。HTML・CSSは学習サイトを使って学ぶのが効率的です。学習サイトは教材が分かりやすくまとめられており、素早く習得できます。
Webデザインに関しては参考書や解説サイトの見本を参考にしながら、実際に手を動かしてデザインツールで作成してみるのがおすすめです。実際にやってみることで、なぜ見本のデザインが優れているのか、実感したうえで知識を習得することができます。
対策本を購入する
基礎スキルをある程度磨いたら、専用の対策本を購入しましょう。サーティファイは公式で「Webクリエイター能力認定試験スタンダード問題集」を発売しています。
本書には模擬試験問題とサンプル問題が掲載されています。こちらを繰り返し解くことで、試験の傾向などを掴むことができます。
▪著者:サーティファイWeb利用・技術認定委員会 ▪ページ数:128ページ ▪出版社:サーティファイ ▪発売日:2019/10/03
【参考】:Webクリエイター能力認定試験スタンダード問題集 【HTML5対応】
Webクリエイター能力認定試験のメリット
続いて、Webクリエイター能力認定試験のメリットについてまとめました。スキルアップだけでなく、待遇の面でも大きなメリットがあります。
Web制作全般のスキルが身につく
資格を通じてWeb制作全般のスキルを身につけることが可能です。独学で勉強すると、興味のある分野に知識が偏ってしまいがちです。資格の出題範囲に沿って学習すれば、WebデザインやHTML・CSSなどについて体系的に幅広く学ぶことができ、現場でも活躍しやすくなります。
資格手当がもらえることもある
企業によってはWebクリエイター能力認定試験に合格することで、資格手当がもらえます。資格手当は給料に毎月加算されるものなので、年間だと意外と高額になります。資格取得を年収アップの1つの手段として考えることもできます。
Web業界への転職に活用できる
Webクリエイター能力認定試験は、Web業界への転職に活用できます。Web関連の資格は多くありますが、その中でもWebクリエイター能力認定試験は受験者が多く、知名度が高いためです。
本試験に合格しておけば、転職活動を優位に進められる可能性が高まります。併せてエージェントなども活用すれば、より効果的な転職活動を行えるでしょう。
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Webクリエイター能力認定試験を活かせる仕事
最後に、Webクリエイター能力認定試験を活かせる仕事についてまとめました。以下のような仕事に就職したいと考えている方は、Webクリエイター能力認定試験に合格しておくことをおすすめします。
Webデザイナー
WebデザイナーはWebサイトのデザインを作成する仕事です。Webデザイナーは利便性の高さやSEOの観点から優れたデザインを制作し、コーダーにコーディングを依頼します。企業によってはコーディングもWebデザイナーが担当することもあります。
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、Webサイトが表示された後に動くプログラムを作成する仕事です。主にJavaScriptを使ってアニメーションやスライドショーを作成したり、フォームに入力された内容をチェックしたりするプログラムを作成します。
転職する際は、Webクリエイター能力認定試験を通じて培ったスキルを活かせる企業を選ぶことが大切です。他業種からWebクリエイターを目指すなら、自分のスキルにあった企業を探してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。
Webクリエイター能力認定試験を活かすなら
本記事ではWebクリエイター能力認定試験とは何かについて解説しました。Webクリエイター能力認定試験のメリットや活かせる仕事がお分かりいただけたかと思います。
Webクリエイター能力認定試験を通じて得たスキルは、Webデザイナーやフロントエンドエンジニアに転職する際に役立ちます。ただし、資格取得だけでWeb業界に転職できるとは限りません。
Web業界の選考では過去の実績やポートフォリオが求められることが多いです。具体的にどんな実績が求められるのか、などWeb業界に初めて参入する方は分からないことが多いでしょう。
また、自分のスキルは企業が求めるレベルに達しているのか分からない、という方もいるのではないでしょうか。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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