フロントエンジニアとは?
フロントエンジニアとは正式に言えば「フロントエンドエンジニア」のことを指します。Webサイトの構築における役割は「SEOとマーケティング」、「Webデザイン」、「バックエンド」(プログラミングやサーバー構築)、「フロントエンド」などに分けられます。
フロントエンドエンジニアは、このうち「フロントエンド」部分を担当します。これからWebサイトの構築におけるこの4つの役割について説明します。
SEO・マーケティング
SEOとはWebサイトが検索された際に上位に表示させる手法です。SEOエンジニアが担当するケースもあれば、主にWebサイトの企画~制作~運用を行う「Webマーケター」が担当することもあります。
Webデザイン
そのWebデザインの良し悪しは、Webサイトの成否を大きく左右します。それはWebデザインを担当するWebデザイナーの力量次第なのです。またWebには利用者の属性や時間に合わせた動きが必要であり、Webサイトに動きを付けるために「HTML」や「CSS」などのWebページを表示するための言語知識に加え、動的なページを作るための「JavaScript」の知識も必要です。
こうした言語を用いて、Webデザイナーはデザインだけではなく、Webページの作成にも携わることが多いのです。
バックエンド
バックエンドとは、サーバーサイドやデータベースのシステムなど、Webページの裏側にある、ユーザーからは見えない部分を指します。ユーザーがWebページから入力したデータを処理してデータベースに格納する、あるいはユーザーの要求に対して処理結果を返すといったことを行います。ユーザーからは見えない部分を担っているため、バックエンドと呼ばれています。
バックエンドで利用される言語は、JavaやJavaScript、PHP、Python、Rubyなどがあります。エンジニアとしては、主にサーバーエンジニアとプログラマーがバックエンドを担当します。
フロントエンド
フロントエンドとは、Webサービスなどで直接ユーザーから見える部分を指します。Webの画面からユーザーが文字を入力したり、あるいはボタンをクリックしたりすると、バックエンド側のソフトウエアと直接やり取りをします。
クライアントサイドとも呼び、利用される言語には主に、HTMLやCSS、JavaScriptなどがあります。このフロントエンド部分を担当するのがフロントエンドエンジニアです。
フロントエンドエンジニアの年収
フロントエンドエンジニアの年収実態は調査方法や調査機関によってバラツキがありますが、ここでは求人情報に基づく年収データから見ていきます。
フロントエンドエンジニアの平均年収は約539万円(※求人ボックスナビ)、※日本の平均年収441万円と比較するとかなり上回っています。
※日本の平均年収:国税庁の平成30年度「民間給与実態統計調査結果」に基づいています。
※参考:求人ボックス|全国の仕事・転職・求人情報をまとめて検索
他のITエンジニアと比較して低い?
フロントエンドエンジニアの平均年収が日本の平均年収を大きく上回っていることは分かりましたが、他の職種と比べても高いのでしょうか? Webサイトの構築に関わるWebデザイナー、プログラマーの平均年収は以下の通りです。(求人ボックスより)
・Webデザイナー: 約432万円 ・プログラマー : 約467万円
Webサイトの構築に関わるエンジニアの中では、フロントエンドエンジニアの年収が他のエンジニアより高いということが確認できました。
フロントエンドエンジニアが年収をあげるためには?
フロントエンドエンジニアになって活躍を始めると、さらに高年収を求める方が出てきます。ではどうすれば年収を上げることができるのでしょう? 後述しますが、フロントエンドエンジニアの需要は高いのです。需要が高い職種の方はフリーランスとして独立するのが年収アップへの近道でしょう。
実際にフリーランスのフロントエンドエンジニアの年収を調べてみると、平均年収818万円(最高1920万円、最低300万円)(フリーランススタート調べ)という結果でした。フロントエンドエンジニアの全体平均年収539万円と比較しても5割増しの高年収です。
フロントエンドエンジニアの需要
Web業界の市場規模を見てみましょう。※「【ITなび就活】お役立ち情報マガジン」によると2010年のWeb業界の市場規模9.9兆円は、2020年には47兆円前後にまで成長しており、この10年間で4.5倍もの成長を遂げています。この市場規模の急速な拡大によって、フロントエンドエンジニアに対する需要が高まっていることがうかがえます。
フロントエンドエンジニアとして活躍するために必要なスキルや資格
フリーランスとして独立することが年収アップの早道ですが、年収の裏付けとなるスキルがなければ、独立しても思うような結果は得られないでしょう。これから年収アップにつながる資格やスキルについて解説してまいりましょう。
Webクリエイター能力検定
Webサイトを構築するために必要なコーディングの能力、基本的なデザイン能力を問う能力検定です。認定基準にエキスパート(上級)、スタンダード(初級)の2種類があります。
Webクリエイター能力認定の試験は実技試験が主体で、エキスパートのみ知識を問う問題が出題されます。スタンダードでは最低限の知識問題が出題され、エキスパートではタグの情報量や画像編集技術など、よりデザインに関連する技術の問題が出題されます。
そのためWebクリエイター能力検定はフロントエンドエンジニアとしておすすめの資格といえます。
HTML5プロフェッショナル認定試験
HTMLはWebエンジニアには必修の言語です。HTML5はHTMLの最新バージョンであり、さまざまなTAGが追加され、より表現力や機能が進化しています。このスキルを認定するHTML5プロフェッショナル認定試験はHTML5に関するスキル習得の証明となるため、フロントエンドエンジニアにとってはおすすめの資格です。
JavaScript
「JavaScript」とは、動的なWebページを作成するのに適したプログラミング言語です。一般的にはブラウザー上で実行されます。JavaScriptを使うと、ユーザーのアクションに応じたコンテンツが表示できる他、ブラウザー上で地図やグラフィックアニメーションなどの表示も可能です。
「JavaScript」スキルを保有している証明できる国際資格CIW(Certified Internet Web Professional) JavaScript スペシャリストはフロントエンドエンジニアにおすすめの資格です。
CMS構築
CMSとは、「コンテンツマネジメントシステム」の略で、誰もが簡単にWebページの更新作業が行える仕組みの事です。 これがあることによって、Web構築の知識や技術がない人でも簡単にニュース配信やブログ提供などができるようになります。CMS構築はフロントエンドエンジニアとして必須のスキルです。
バックエンド言語
フロントエンドエンジニアが担当するCMS構築によく用いられる開発言語としてはPHPやRubyが有名です。これらはバックエンドエンジニアに任せてもよい部分ですが、比較的習得しやすい言語でもあり、フロントエンドエンジニアとしてマスターしておくと、Webサイトの構築がより効率的に行えます。
UI/UX設計
UIはユーザーインターフェース、UXはユーザーエクスペリエンスのことです。UI/UX設計とは、ユーザーの立場からみて利用しやすい、楽しいWebコンテンツを作成するうえで欠かせないスキルです。UI/UX設計に役立つ資格としては、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が実施している「ウェブデザイン技能検定」があります。
フロントエンドエンジニアとしては取得しておきたい資格の一つです。
フロントエンドエンジニアの将来性
ここまで述べてきたように、フロントエンドエンジニアへの期待は高く、需要のある職種であることは理解されたと思います。では、当面の3年間、さらには5年~10年というタームで見た時に将来性はどうなのでしょうか、考察してみましょう。
コンテンツマーケティングの伸長
日本でも国民の8割以上がスマホを持ち、日常的にWebアクセスを行っています。こうした人々をターゲットにした効果的なマーケティング手法として注目されているものに「コンテンツマーケティング」というものがあります。
「コンテンツマーケティング」にはSEO対策、コンテンツ制作、インフィード広告やインフルエンサーマーケティング(SNS)があり、それぞれの需要は急速に高まっています。
こうしたこともあって、フロントエンドエンジニアの需要は非常に高いのが現在の状況です。
米国の状況
ITの世界で、日本は常に米国の後を追いかける動きをしています。米国で脚光を浴びたものは2~3年後に日本でも流行ります。「コンテンツマーケティング」の最先端、米国ではこの4年間でコンテンツマーケティングの市場規模が120億ドルから240億ドルへと倍増しています。日本も当分は同じような動きをしていくでしょう。
DX推進の影響は?
もはや国策とも言えるDX(ITを用いて業務刷新や新たに製品・サービスの開発)の推進において、Web利用はさらに進むでしょう。このWeb構築において中核的なポジションにあるフロントエンドエンジニアへの期待や需要は高まることはあっても、下がることはありません。
AIに置き換わる?
AI技術の進展は目を見張るものがあります。AIの進化によって多くの職業が消えていくと言われていますが、フロントエンドエンジニアに未来はあるのでしょうか?
無人工場、無人スーパー、無人コンビニ、コンシェルジュロボット、自動運転カーなどの出現を考えると、消えていく職業が少なからずありそうです。フロントエンドもAIによってある程度置き換わっていく可能性はあります。たとえば、AIにフロントエンド開発を学習させ、自動的にコードを生成するような技術も現れています。
こうした技術がさらに発展していけば、10年、20年先にはフロントエンドエンジニアの仕事がAIに置き換わっていく可能性は否定できません。しかし、AIの開発やAIに学習させるためのエンジニアはさらに需要が高まっていきます。
先に述べた通り、フロントエンドエンジニアの守備範囲は広く、求められるスキルは少なくありません。フロントエンドエンジニアとして活躍をしながら、同時に時代の潮流を見極め、新たなスキルの習得、自己研鑽に努めていけばさらなる活躍の余地があるでしょう。未来を味方につけるのか、未来に飲み込まれてしまうのか、すべてあなた次第です。
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