メタバースで使われるプログラミング言語
メタバースとは、インターネットを利用した「仮想空間」で交流やサービスを楽しむ場所を指します。この概念は近年注目を集めており、アバター(操作キャラクター)が自由に活動できる仮想空間サービスとして広く認識されています。
この記事では、主にメタバースエンジニアを目指す方に向けて、メタバースの概要、メタバース開発で使われるプログラミング言語、メタバース開発方法や必要なスキル、メタバースエンジニアの年収、メタバースの勉強方法などについて紹介します。
メタバースとは
メタバースは、英語の「超越(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語です。
1990年代にSF小説に登場する架空の仮想空間サービスとして初めて言及されました。現代においては、共通認識が曖昧で方針の具体性や明確な定義が存在しないため、様々な企業が「メタバース事業」という大きな括りで仮の定義を設け、メタバースの方向性を探っています。
一般的には「アバターが自由に活動できる仮想空間サービス」として捉えられています。メタバースは、現実世界とは異なる次元の仮想空間であり、ユーザは自分の分身であるアバターを操作しながら、経済活動や交流を行うことができます。
【参考】:総務省|令和4年版 情報通信白書|仮想空間市場など 【参考】:メタバースの動向と今後の検討論点|経済産業省
メタバース開発に必要な技術
メタバース開発に必要な技術としては、以下のようなものがあります。必ずしもすべての技術を使う必要はありませんが、より多くの最新技術を活用することで、より楽しく快適なメタバースの実現に近づきます。
【参考】:Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会 中間とりまとめ|総務省
■ AI(人工知能) メタバースの開発には、AIの技術が用いられています。AIはデータの計算や予測、アバターの作成、自然言語処理や翻訳、仮想世界の構築などに役立ちます。
■ AR(拡張現実)やVR(仮想現実) ARやVRの技術も、メタバースの開発のために重要です。ARやVRは、デバイスを使って、現実に近い感覚で仮想空間を体験できる技術です。
■ 3Dモデリング 3Dモデルと呼ばれる、3次元のオブジェクトをソフトウェアを使用して作成することです。3Dモデリングは、メタバースの空間やコンテンツの作成に必要です。
■ ブロックチェーンやNFT ブロックチェーンとは、分散型のデータベースのことで、データの改ざんや偽造を防ぐことができます。NFTとは、Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略で、ブロックチェーン上で発行される、唯一無二のデジタル資産のことです。
ブロックチェーンやNFTは、メタバースの経済や所有権の管理に役立ちます。
■ 5G技術 より現実に近い、快適なメタバース空間の実現には3DモデリングやVR機器などのハードウェアの利用が必要となりますが、大量のデータ処理が必要です。5G通信の技術を駆使することで、リアルタイムでメタバースを楽しむことが可能になります。
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メタバース開発に必要なプログラミング言語
メタバース開発には様々なプログラミング言語が活用されています。以下は、メタバースエンジニアが習得すべき主要な言語です。
C#
C#(シーシャープ)はMicrosoftが開発したオブジェクト指向のプログラミング言語であり、Unity(ユニティ)というゲームエンジンで広く使用されています。Unityはメタバースプロジェクトでも広く採用されており、C#を学ぶことでメタバースエンジニアとしてのスキルを高めることができます。
【参考】:C# プログラミング ガイド | Microsoft Learn
C++
C++(シープラブラ)はC言語をより高度に拡張し、オブジェクト指向を取り入れた言語です。難易度は高くなりますが、処理速度が速く、汎用性にも優れています。C++はUnreal Engine(アンリアルエンジン)で使われており、Web3系メタバースでも採用されています。
【参考】:ゼロから学ぶ C++
JavaScript
JavaScriptは、Webのアプリ開発に用いられる言語で、ブラウザ上でメタバースを利用できるようにする技術です。メタバースとはWebサービスの1種で、Web2とWeb3のメタバースに分けられ、JavaScriptはWeb2およびWeb3の両方で使用されている言語です。
Web3のメタバースでは、JavaScript以外にブロックチェーンやNFT(非代替性トークン)のプログラミングも必要になります。
Solidity
Solidityはイーサリアムブロックチェーンのスマートコントラクトで使われる言語です。Solidityは、Ethereumブロックチェーン上で動作する分散アプリケーション(dApps)を開発するためのスマートコントラクト言語です。Web3系メタバース開発において重要なスキルとなっています。
【参考】:Solidity — Solidity 0.5.4 ドキュメント
Rust
Rustとは、2006年に開発がスタートした、オープンソースのプログラミング言語です。Rustには処理速度が高速、並行処理が可能、安全性が高いなどの特徴があります。Rustはメタバースで主にWeb3のメタバースで使われ、特にSolana(ソラナ)ブロックチェーンで利用されることが多いです。
Solanaは、高速で低コストでスケーラブルなブロックチェーンプラットフォームで、メタバースにおけるNFT(非代替性トークン)やスマートコントラクトの開発に適しています。
【参考】:The Rust Programming Language 日本語版
Python
Pythonは、構文がシンプルで初心者にも学びやすい言語です。メタバース開発には様々なプログラミング言語が必要になりますが、Pythonはその中でも比較的習得しやすいと言えます。Pythonは、豊富なライブラリやフレームワークを持っており、様々な機能やアプリケーションを簡単に実装できます。
メタバースでは、3DグラフィックスやVR/AR、ブロックチェーンやNFT、AIやデータ分析など、多岐にわたる技術が必要になりますが、Pythonにはそれらをサポートするメタバースに適したライブラリやフレームワークが充実しています。
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メタバースエンジニアの年収
メタバースエンジニアとは、メタバースの開発に携わるITエンジニアの総称です。ゲームエンジニアやWebエンジニア、ブロックチェーンエンジニアなど、様々なエンジニアがおり、年収はそれぞれ異なります。そこで、ここではシステムエンジニアの年収を見ていきます。
「マイナビエージェント 職種図鑑」でのシステムエンジニアの平均年収は431万円(※2023年11月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収593万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニアの年収は一般平均年収と同水準かやや高めであることが分かります。
メタバースエンジニアは、幅広い知識や専門性の高いスキルを有することから、今後もさらに市場価値が高まると思われます。メタバースエンジニアには様々な職種がありますので、自分の夢や目標を再度確認して希望職種を明確にし、ステップアップしていくことをおすすめします。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
メタバースエンジニアのデメリットとメリット
メタバースエンジニアはまだ登場して間もない職種であり、目指すのに躊躇いを覚える方もいるでしょう。メタバースエンジニアになると、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?1つずつ見ていきましょう。
デメリット
メタバースエンジニアは様々な職種の集合体であり、未経験者が目指すにはハードルが高いかもしれません。どのようなデメリットがあるのか、確認してみましょう。
■ 最新の情報や技術が求められる メタバースは発展途上の分野であり、その技術やトレンドは日々変化しています。そのためメタバースエンジニアは、常に技術の変化に対応していく必要があります。 常に最新の技術や知識をキャッチアップしなければなりませんので、仕事以外の時間も自己啓発や学習が求められます。
■ 対応範囲が広い メタバースは、ゲームエンジンやWeb技術、ブロックチェーン技術など、様々な技術を組み合わせて開発しています。そのためメタバースエンジニアは、複数のプログラミング言語やフレームワークを使いこなせるスキルが求められます。対応範囲が広く、またそれぞれの分野においても専門性が求められるため、強い向上心や克己心が必要です。
■ 法的リスクがある メタバースは新しい分野であり、まだ法整備が追いついていない面があります。そのため、意識しておかないと著作権やプライバシーなどの問題が発生する可能性があります。理系出身者で法律に疎いという方もいますが、法的リスクへの対応が求められる場合がありますので、関連法規の勉強も必要です。
メリット
続いてメタバースエンジニアのメリットを確認していきましょう。メリットとしては以下の通り、やりがい、多様な知識やスキル、高額報酬などのメリットを挙げられます。
■ やりがいがある メタバースは今後ますます発展していく分野であり、メタバースエンジニアはその最先端を担うことができます。メタバースエンジニアは、新しい技術やサービスに触れる機会が多く、刺激的でやりがいのある仕事です。
■ 多様な知識やスキルを身に付けられる メタバースエンジニアは、様々な分野や業界との連携が必要になります。メタバースエンジニアは、ゲームやエンターテインメントだけでなく、教育や医療、不動産などの分野でも活躍できます。メタバースエンジニアは、多様な知識やスキルを身につけることができます。
■ 高い報酬を得られる可能性がある メタバースエンジニアは需要が旺盛であり、高い報酬を得られる可能性があります。現在ではまだ少数派のエンジニアであり、その需要は供給を上回っています。メタバースエンジニアは高い専門性と価値を持つエンジニアとして、高い報酬を得ることができるでしょう。
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メタバースエンジニアになるための勉強法
メタバースは新しい分野であり、勉強法がまだ確立されているわけではありません。では、どのように勉強をすればよいのか、何を学べばよいのか迷う方も少なくないでしょう。
ここではメタバースエンジニアを目指すために学ぶべきことや、取得しておきたい資格などについて解説します。
目指すメタバースエンジニアの領域を定める
メタバースエンジニアとは、インターネット上に構築された仮想空間であるメタバースの開発や運用に関わるエンジニアのことです。メタバースエンジニアには様々な職種がありますが、主に以下の5つの種類があります。
メタバースは担当範囲が広く、その開発をいきなり個人で行うのはかなり無理がありますので、まずはどの職種を目指したいのか、明確な目標を定めましょう。
▪デザイナー・3DCGデザイナー(クリエイター) メタバース内のキャラクターや環境をデザインするエンジニア
▪ゲーム開発エンジニア メタバースプラットフォームの設計や開発を行うエンジニア
▪Android・iOSエンジニア メタバース用のスマホアプリの開発を行うエンジニア
▪サーバー開発エンジニア メタバースプラットフォームのサーバ側の設計や開発を行うエンジニア
▪インフラエンジニア・セキュリティエンジニア メタバースプラットフォームのネットワークやセキュリティの設計や運用を行うエンジニア
必要なスキルに関する勉強を行う
メタバースエンジニアは担当職種によって必要なスキルや経験は異なりますが、共通して求められるスキルには、以下のようなものがあります。
▪UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンの開発スキル ▪C++やJavaやPythonなどのプログラミング言語の開発スキル ▪VRやARの技術の理解と利用スキル ▪AIや3Dモデリングなどの最新技術の理解と利用スキル ▪エッジコンピューティングや5Gなどの通信技術の理解と利用スキル
【参考】:最高にパワフルな 3D 制作プラットフォーム - Unreal Enginey
メタバースに関連する資格を取得する
メタバース関連のエンジニアは、必要とされる職種で企業やプロジェクトなどに採用されるため、この資格が必須だというものは存在しません。そこで、メタバースエンジニアになる上で有利になると思われる資格を挙げますので、ぜひチャレンジしてみてください。
1. 基本・応用情報技術者試験 基本的なITスキルの証明となる、IPAの「基本情報技術者試験(FE)」はぜひ取得しておきましょう。すでに取得した方は上位資格の「応用情報技術者試験(AP)」にチャレンジしましょう。応用情報技術者試験(AP)の難易度はやや高くなりますが、転職時には強い味方になる資格です。
また、いずれも資格手当を得やすいメジャーな資格であり、取得によって年収アップが期待できます。
【参考】:基本情報技術者試験(FE) 【参考】:応用情報技術者試験(AP)
2. Unity認定資格 「Unity認定資格」は、ゲームエンジンの「Unity」を提供するUnity Technologies社が認定する民間資格です。Unityはゲーム開発で必須と言われるゲームエンジンであり、メタバース開発でも利用されています。
Unityの資格にはユーザー、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパートの4レベルがありますが、転職時にスキル証明となるアソシエイト以上のレベル取得をおすすめします。
【参考】:Unity認定資格 ゲームデザインとゲーム開発の認定資格 | Unity
3. CGクリエイター検定 CG-ARTS協会が主催する資格試験で、デザインや2次元・3次元CGの作成、映像制作やアニメーション作成に関する知識・技術を問います。試験はベーシックとエキスパートに分かれており、年に2回7月と11月に実施されます。CGデザイナーを目指す方におすすめしたい資格です。
【参考】:CGクリエイター検定|CG-ARTS
4. CGエンジニア検定 CG-ARTS協会が主催する資格試験で、アニメーションや映像、ゲーム、VR、ARアプリなどのソフトウェアやシステムの開発やカスタマイズに必要な知識を問います。
試験はベーシックとエキスパートに分かれており、年に2回7月と11月に実施されます。CGプログラマーやソフトウェアエンジニアにおすすめしたい資格です。
【参考】:CGエンジニア検定|CG-ARTS
プログラマーとしてのスキルが身に付いたら
ここまで、「メタバースで使われるプログラミング言語」と題して、メタバース開発とは何か、必要な技術、必要なプログラミング言語、メタバースエンジニアの年収について紹介しました。
また、メタバースエンジニアのデメリットとメリット、目指すための勉強法や取得しておきたい資格などについても解説しました。
メタバースエンジニアを目指すには、必要な知識やスキルを取得することが大切ですが、併せてメタバースエンジニアを必要としている企業、自分が活躍できそうな企業への転職が早道といえます。
しかし、初めての転職でメタバースエンジニアを必要としている企業を数ある求人情報から見つけ出し、さらに企業へのアプローチや条件交渉、面接対策など、対応すべきことは無数にあります。
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