Windows11からWindows10へのダウングレード
Windows11からWindows10へのダウングレードに関して、マイクロソフト社の正式な対応は、「ダウングレード権がサポート終了日を迎えていないWindowsに対して行使できる」ということです。
2024年1月時点では、Windows11とWindows10が該当しますので、Windows11からWindows10へのダウングレードは正規の権利として認められていることになります。そのため、ダウングレードするためのメディアを作成するツールのほか、復旧オプションが提供されています。
Windows10へのダウングレード権について
Windows10へのダウングレード権について公式サイトでは、「OEM 製品を通じて取得した Windows 11 Pro、もしくは Windows 10 Pro ライセンスの場合、サポート終了日を迎えていない Windows Pro/Professional であれば、どのバージョンにでもダウングレードすることができます。」とされています。
つまり、Windows11 ProかWindows10 ProがプリインストールされているPCではアップグレード後も、サポートが終了していないバージョンであればWindows10 Proに戻せるということです。
ただし、「Windows11 Home」がプリインストールされている場合、このダウンロード権が付与されていないので注意が必要です。また、ダウングレード権について明記されていないPCや単体で入手したWindows11のライセンスの場合も、ダウングレード権が付与されていない可能性があります。
ダウングレード権がない、かつWindows10のライセンスを持っていない場合はWindows10のライセンスを購入する必要がありますので、ダウングレードに際しては料金が発生します。
【参考】:Windows 10 へのダウングレードについて - Microsoft for buisiness
ダウングレード前に試しておきたいこと
ここでは、Windows11から10にダウングレードする前に試しておきたいことを2つ紹介します。
Windows11を最新にアップデートする
Windows11からWindows10にダウングレードする理由として、Windows11にしてから何かしらの不具合などが起こっているケースが多いです。
その不具合を解消するための手段として「Windows10にダウングレードする」という方法がありますが、その前にまずは試してほしいのが、「最新のWindows11にアップデートする」です。
2021年10月5日にWindows11がリリースされてから、度々アップデートが行われており、その中には報告された不具合を解消するためのアップデートも含まれます。
【参考】:最新の Windows Update を入手する - Microsoft サポート
また、各メーカー単位でアップデートを行う方法もおすすめです。メーカー側のアップデートを行うことで不具合などが解消される場合もあります。メーカーの公式サイトにアップデートに関する情報がないかチェックしてみましょう。
アプリが最新版のものかチェックする
Windows11にインストールしているアプリが起動しなかったり、動かなかったりする場合は、まずはアプリが最新の状態であるかをチェックしましょう。ユーザ数の多いメジャーなアプリは最新のWindows11に対応している場合が多いため、不具合の正体はアプリ側にあることも考えられます。
実際のダウングレード方法
ここでは、実際のダウンロード方法について解説していきます。大まかには、Windows11の回復機能を使用する方法、Windows10をインストールする方法の2つの方法があります。Windows10をインストールする方法は、さらに2つの手順に細分化されます。
Windows11の回復機能を使用する
Windows11にアップグレードしてから10日以内であれば、回復機能を使用してダウングレードすることができます。
具体的には下の図の通り、「スタートメニュー」を右クリックし、「設定」アプリを起動します(①②)。ここで「システム」の「回復」を選択します。
「Windows10に復元する」のウィンドウ表示で、「以前のバージョンに戻す理由をお聞かせください」の項目をチェックします。以下の設問にチェックを入れたら、「次へ」をクリックします。
・マイアプリまたはデバイスがこのWindows11 で動作しない ・Windows10の方が使いやすかった ・Windows10の方が高速だった ・Windows10の方が信頼性が高かった ・その他の理由を詳しくお聞かせください
続いて「アップデートをチェックしますか?」の表示で、「行わない」をクリックします。その後、「知っておくべきこと」の画面を確認後、「次へ」をクリックします。
それから「ロックアウトされないようにご注意ください」の表示で、「行わない」をクリックし、「Windows11 をお試しいただきありがとうございます」の表示で、「Windows10に復元する」をクリックします。
Windows11の回復機能は10日以内に
10日以上経過すると、以下の図の通り復元機能がグレーアウトされ使用することができません(①②)。気が付いたらアップグレードから10日以上経過していたというケースも多いので、Windows11へのアップグレード後は意識して10日以内に動作確認などを進めておきましょう。
【参考】:Windows の回復オプション
Windows10をインストールする方法
Windows11にアップグレードしてから10日以上経過している場合は、これから説明する2つの方法でインストールを行います。マイクロソフト社では、この作業に必要な「メディアクリエイションツール」を用意しています。
ツールを実行するには、Windows10のインストールライセンスが必要です。Windows11のプリインストール版でも、ダウングレードライセンスやプロダクトキーをお持ちであれば使用可能です。最初に、下図の通り「Windows10のダウンロード」サイトの「ツールを今すぐダウンロード」をクリックします(①)。
ダウンロードファイルは、2024年2月時点の最新版である「MediaCreationTool22H2.exe」という名前でダウンロードフォルダに格納されます。
ブラウザの「ダウンロード」表示からフォルダを開くか、直接ダウンロードフォルダを開きます(②)。この「MediaCreationTool22H2.exe」ファイルをダブルクリックし、メディアクリエイションツールを起動します(③)。
この方法では、個人用ファイルやアプリが引き継がれません。最終手段と認識して作業しましょう。作業を行うには、まず個人のデータやアプリの設定などを、USBメモリなどに保存しておきます。作業手順は2通りで、以降で解説していきます。
【参考】:Windows10のダウンロード
セットアップインストールの方法
この方法では、ダウンロードしたメディアクリエイションツールを起動して、直接ダウングレードを行います。以降の画面遷移は下の図を用いて説明します。
メディアクリエイションツールを起動すると、ユーザアカウント制御の表示がされる場合があります。表示された場合は「はい」をクリックします(①)。
その後、「ライセンス条項」が表示されますので、「同意する」をクリックします(②)。続いて「実行する操作を選んでください」のウィンドウで、「このPCを今すぐアップグレードする」を選択し、「次へ」をクリックします(③④)。
その後「Windows10をダウンロードしています」の表示がされますので、進行状況が100%になるまでしばらく待ちます。「ダウンロードを検証しています」、「Windows10のメディアを作成しています」の順に作業が進められます。
Windows更新プログラムの確認後再起動し、Windows10をインストールする準備ができたら、次の図の通り「引き継ぐ項目を選んでください」の選択内容が表示されます。
ここで引き継ぐ項目として、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」「個人用ファイルのみを引き継ぐ」「何もしない」が表示されます。ダウングレードでは引継ぎがサポートされませんので、「何もしない」のみが選択候補です(⑤)。
「次へ」クリック後の確認で「はい」を選択すると、再度更新プログラムがダウンロードされます(⑥)。
その後、しばらく準備作業が続きます。準備が完了したら、最終確認後「インストール」をクリックします(⑦)。その後数回再起動がされ、ダウングレードインストールが完了します。
【参考】:Windows10のダウンロード
Windows10をクリーンインストールする方法
この方法は、ダウンロードしたツールを起動し、インストールメディアを作成して作業します。インストールメディアからブートし、クリーンインストールしますので、ドライブ内の全データが消去されます。繰り返しになりますが、必要なデータやアプリの設定ファイルは、作業前にUSBメモリなどに保存してください。
ここでも、メディアクリエイションツールを起動直後にユーザアカウント制御が表示された場合は「はい」をクリックします。その後「ライセンス条項」が表示されますので、「同意する」をクリックします。
続いて「実行する操作を選んでください」のウィンドウで、「別の PC のインストール メディアを作成する」を選択し、「次へ」をクリックします(①)。
「言語、アーキテクチャ、エディションの選択」は、「このPCにおすすめのオプションを使う」のチェックボックスを確認後「次へ」をクリックします(④)。インストール可能なメディアは、USB フラッシュ ドライブ(USBメモリ)とISOファイル(DVDディスク)です。
メディアタイプを指定後、「次へ」をクリックします(⑤⑥)。
メディアタイプでISOファイルを指定した場合は、ここでISOファイル名を指定し、「保存」をクリックします(⑦⑧)。その後、しばらく準備作業が続き、インストールモジュールが作成されます。作業が完了したら「完了」をクリックし、メディアクリエイションツールを終了します(⑨)。
ISOファイルの場合、作成された容量はおよそ4.47GBです。このファイルを、DVDドライブにライターソフトウェアで書き込みます。インストール メディアを作成以降は、新規インストールと同様に、メディアからブートアップしインストールを行います。
【参考】:Windows10のダウンロード
ダウングレード時の注意事項
ダウングレードは、以前のバージョンのWindowsに戻すことを意味します。そのため、最新の機能が使えないことや、旧バージョンのライフサイクルポリシーに従ってサポート終了を迎えることを意味します。以下では、このことを含め、ダウングレード時に注意しておきたい事項について解説します。
Windows11における新機能は使えなくなる
Windows11には、Windows10にはなかった新機能が多数搭載されています。アップグレードと同時にこれらの機能も使えるようになりますが、Windows10にダウングレードすれば当然のことながら削除されてしまいます。
また、Windows11で変更した設定や追加したアプリは、ダウングレードするとリセットされます。復元したい場合には、再設定・再インストールが必要になります。さらに、中にはWindows11でしか正常に動作しないアプリがある可能性もあるので、注意が必要です。
データ紛失や情報漏えいのリスクがある
ダウングレード作業の途中でミスや不具合が起きるとダウングレードが正しく行われず、データが損傷したり紛失したりするリスクがあります。クリーンインストールする際に作成したインストールメディアの扱いにも気をつけなければなりません。
ビジネス関係の重要なデータを保持している場合などは、特に慎重な作業が求められます。ダウングレードの方法を問わず事前にバックアップを取っておく、インストールメディアの扱い方を予め定めておくといった対策が必要です。
また、Windows10は2025年10月14日をもってサポートが終了します。サポート終了後はセキュリティ面などにおいてリスクが高まるため、Windows10を使い続けることは推奨できません。一度ダウングレードするとしても、タイミングを見てWindows11へ再アップグレードすることを検討しておきましょう。
ダウングレード作業には時間を要する
Windows10へのダウングレード作業には、予想以上に時間がかかることもあります。そのため、時間に十分な余裕がある時に行うことをおすすめします。
焦って作業手順を間違うなど、人的ミスによって上記のようなデータの紛失等が起こることもあります。このような事態を防ぐためにも、落ち着いて作業できるタイミングで行いましょう。特にクリーンインストールする場合は他の方法よりも手間がかかるため、余裕を持った計画と慎重な作業が求められます。
Windows11からのダウングレードは早めに決断しましょう
Windows11へのアップグレード後、10日以内であれば簡単にWindows10に復元することができます。Windows11の動作確認や、アプリの実行確認などは必要に応じて早めに行うのがおすすめです。
そのまま放っておくとWindows10に戻すのは一苦労ですので、ダウングレードの決断は早めに行うことをおすすめします。
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