Pythonのアプリ開発はどのように進める?
AI開発の分野で特に名の知れているPythonですが、実はアプリ開発においても非常に活躍できる言語であることを知っているでしょうか。
例えば、YouTubeやInstagramなど大多数が使ったことのあるWebサービスもPythonで開発されており、メリットの多い言語であることがわかります。こうした背景もあり、Pythonでアプリ開発をしてみたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Pythonアプリ開発の未経験者向けに、基本的な開発の流れやPythonを選ぶメリットを解説していきます。
強力なフレームワークの活用で初心者でも手軽に進められる
Pythonでのアプリ開発の進め方としては、他言語でのアプリ開発とそう変わりません。しかしながら、Pythonにはアプリ開発を支援する強力なフレームワークがあり、開発したいアプリに応じて柔軟に使い分ける点が特徴と言えるでしょう。
開発できるアプリも様々であり、WebアプリやWindowsのデスクトップアプリはもちろん、iOSやAndroidのスマートフォンアプリも開発可能です。それぞれ開発する種別に応じてフレームワークを使い分けることで効率良くアプリ開発を行うことができます。
さらには、Pythonはクロスプラットフォームにも強みがあり、1度に複数のOSに対応したアプリを開発することも可能です。本記事後半にて、これらの特徴や強みを活かすためのフレームワークを紹介していきます。
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Pythonアプリ開発の流れ
まずは、Pythonでアプリ開発を進めていくための流れを解説していきます。流れのほとんどは他言語での開発とそうは変わりません。
開発するアプリのプラットフォームと要件を検討
まずはアプリ開発において、どのようなアプリを開発するかを決めることからスタートです。
ここでは既に開発するアプリのコンセプトが決まっているものとします。その場合、どのプラットフォームで開発するかを次に検討していきます。Pythonでは豊富なフレームワークとライブラリのおかげで幅広いアプリ開発が可能です。
Webアプリやスマートフォンアプリはもちろん、Windowsのデスクトップアプリ、機械学習アプリや組み込みアプリも作成することができます。クロスプラットフォームに特化したフレームワークもあり、複数のプラットフォームに対応したアプリ開発も容易です。
開発環境を構築する
アプリの仕様が決まったのならば、いよいよ開発環境を構築していきます。
既にPythonの開発環境が整っている場合には、必要なフレームワークやライブラリをインストールしていきましょう。サードパーティが提供する豊富なリソースを持つPythonは、インストールもpipと呼ばれる標準インストーラーを使うことで、非常に容易に行うことができます。
一方、Pythonで使用するフレームワークやライブラリはサードパーティが提供しているため、バージョンによって予期せぬ仕様変更や不具合、互換性喪失が起こる場合があります。そのため、インストール時にどのバージョンを使用するべきかは慎重に調べる必要があります。
コーディング
環境構築後はいよいよ実装段階に入ります。コーディングでは他のアプリ開発でもそうですが、既存のフレームワークやライブラリのAPIを上手く活用していくことになるでしょう。
Pythonのアプリ開発のフレームワークは非常にシンプルなものから応用性のあるものまで様々であり、使用するものに応じて大きく仕様が異なります。そのため、ドキュメントやサンプルコードを注意深く確認したうえで実装をしていく必要があります。
ただ、基本的にPythonのフレームワークは初心者向けのものが多く、他のアプリ開発よりもコーディングはスムーズに進むでしょう。
デバッグ
実装した後は正しく動作するかどうかのデバッグ作業を行います。多くのプログラミング言語はコンパイラ型であり、コンパイル後にデバッグを行います。
一方、Pythonはインタープリタ型であるため、コーディングしながらデバッグ作業を行うことができます。これにより、デバッグ用のコードを実装せずとも細かくデバッグを行えるため、アプリ開発を進めていく上で大きなメリットを享受できます。
PythonのIDEにもデバッグを支援する変数エクスプローラーなど様々な機能が付加されています。例えば、Spyderの「変数エクスプローラー」は、定義した変数全てに対してコード実行中かどうかに関わらずいつでもアクセスできるため、細かな処理の動作確認を容易に行うことができます。
Pythonアプリ開発者の年収はどの程度
Pythonアプリを開発するエンジニアの年収はどの程度になるのでしょうか。ここでは、アプリ開発を主に行う職種としてプログラマーを想定してその年収を見ていきます。
プログラマーの年収は「マイナビエージェント職種図鑑」での平均年収は344万円(※2024年7月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、なので、プログラマーは企業や業種によって年収にばらつきがあるものの、平均やや低め〜やや高めの範囲にあると考えられます。
プログラマーはスキルや、携わる業種によって年収にはばらつきがあると言えます。ただ、開発経験を積み、その上位職種であるシステムエンジニアにキャリアアップできれば、より安定した年収を期待することもできるはずです。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
Pythonでアプリを開発するメリットとは
ここまででPythonでのアプリ開発の流れを説明してきました。一部前述しましたが、Pythonでアプリ開発を行うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
アプリ開発初心者に優しい
まず第一にアプリ開発の難易度が下がり、初心者でも手軽に開発ができることが挙げられます。
アプリ開発に必要な様々な機能は通常、既存のフレームワークを活用することが求められます。もちろん他の言語であっても、汎用性があり、初心者にも使いやすいフレームワークはあるでしょう。
しかし、Pythonは言語自体の可読性の高さや実装の容易さも相まって、フレームワークをより簡単に使いこなすことができます。
近年のPython使用人口の増加に伴い、解説サイトやサンプルコードが豊富である点も、初心者に優しいポイントと言えます。
インタープリタ型でデバッグが容易
Pythonはインタープリタ型であり、多くのアプリ開発で使われるJavaやC#などとは異なります。このインタープリタ型である点は、前述しましたが開発を進めるにあたって大きなメリットがあります。
開発におけるデバッグ工程は、実装規模にもよりますが非常に時間のかかる工程です。あらゆる動作パターンを検証して予期せぬ不具合を見つけることも目的ですが、まず通常動作が正しく行われるかを確認することも重要な目的です。
複雑な構造で使用経験の浅いフレームワークを使う場合には、処理1つ1つが正しく動作しているかを確認するだけでも時間がかかります。
そんな中、Pythonであれば、コンパイルすることなく、コードの一部の処理だけを動かすことも可能であり、迅速にコーディングとデバッグのサイクルを回すことができます。デバッグ用コードもコンパイルの待ち時間もないため、大幅にデバッグ時間を短縮可能です。
クロスプラットフォーム開発が簡単にできる
Pythonが優れている点の1つにクロスプラットフォーム開発が容易にできることが挙げられます。これは、豊富なフレームワークの中でもクロスプラットフォームに特化したものが多いためです。
GUIアプリ開発のフレームワークKivyでは、Windows、macOS、Linux、iOSそしてAndroidというほぼ全てのプラットフォームに対応した開発を行うことができます。
「最初は単一プラットフォーム開発をしていたが、途中から複数プラットフォーム対応が必要になった」という場合でも本フレームワークを使えば、移植も容易になるでしょう。そのため、高い開発効率でアプリ開発を行うことができます。
Pythonのアプリ開発で役立つフレームワーク
最後に、Pythonでアプリ開発を行うにあたって欠かせないフレームワークを紹介していきます。全てを紹介することはできませんので、代表的なWebアプリ開発と様々なアプリ開発で必要不可欠なGUI作成におけるフレームワークを紹介します。
Webアプリ開発
Webアプリ開発においては以下のフレームワークが初心者向けでもあり、代表的でしょう。
▪Django DjangoはWebアプリ開発向けのフレームワークとして、高い拡張性と汎用性を備えており、幅広く使われています。InstagramやSpotifyも同じフレームワークで設計されているようです。ただ、高い汎用性のため初心者が扱うにはややハードルが高いかもしれません。
【参考】:Django
▪Flask Flaskは最小限の機能を備えたWebアプリ開発のフレームワークです。Djangoのように多機能ではありませんが、そのシンプルさから、処理が速く、初心者でも設計しやすい点が特徴です。
【参考】:Flask
GUI作成
スマートフォンやデスクトップアプリを開発するにあたり、GUIの作成はほぼ必須と言えるでしょう。GUI作成を支援するフレームワークには以下があります。
▪Tkinter Tkinterは標準ライブラリでもあるGUI作成用のフレームワークです。クロスプラットフォームにも対応しており、シンプルで使い易い点が特徴です。アプリ開発初心者ならばまずはこのフレームワークを使うとよいでしょう。
【参考】:Tkinter
▪Kivy 前述もしましたKivyもGUI作成用のフレームワークです。もちろんクロスプラットフォーム対応ですが、ゲームやビジュアル重視のアプリに活用できる視覚的に美しいGUIを作成できることが特徴です。さらに、C#などでもお馴染みのXMLに似た形式でGUIを定義することも可能です。
【参考】:Kivy
Pythonアプリ開発の実戦経験を積むためには
本記事では、Pythonでアプリ開発を進めるための手順やPythonを選ぶメリットを紹介してきました。プログラミング経験はあってもアプリ開発は初心者、という方でも、開発をイメージすることができたのではないでしょうか。
アプリ開発は単独でも可能ですが、やはり多人数が関わる複雑な開発に携われた方がスキルアップの機会は大きいでしょう。そのためには、アプリ開発を行う企業に転職することが近道です。しかし、数ある企業の中から、そうしたチャンスがあり自分に合った企業を見つけ出すことは難しいでしょう。
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