AIエンジニアにスキル証明となる資格は必要
人の仕事をAI(人工知能)が代替する時代が到来したと言われ、AI技術に対する注目が高まっています。2045年ごろにはシンギュラリティ(AIが人間の知性を超え、それにより社会や生活が大きく変化する )が起きるという説もあり、AIエンジニアへのキャリアチェンジが注目されています。
では、AIエンジニアになるために、何か特別な資格が必要なのでしょうか?資格取得は絶対条件ではありませんが、AIエンジニアとしてのスキル証明となる資格取得は、その可能性を広げると言えます。
この記事では、IT業界経験者がAIエンジニアへのキャリアチェンジを目指して転職する上で、必要な資質やスキル、おすすめの資格を解説をしていきます。AIエンジニアを目指す方はぜひ参考にしてください。
AIエンジニアにおすすめの資格15選
AIエンジニアになるために資格取得は必須ではありませんが、スキル証明となる資格は取得を強くおすすめします。ここでは、AIエンジニアへの転職や仕事で役立つ15の資格を紹介しますので、自分に適した資格の選択の参考にしてください。
AI分野はまだ発展途上であり、大学でもなかなか学べない学問の1つです。また資格試験には新しいものが多く、その勉強は難しいかもしれませんが、逆にそこにチャンスがあるかもしれません。
G検定(ジェネラリスト)
G検定は、日本ディープラーニング協会が主催するジェネラリスト検定のことです。AIに関する基礎知識を有し、AIの適切な活用方針を決定し、ディープラーニングを事業などで活用する能力や知識を有していることが証明されます。
G検定はエンジニア向けというよりはビジネス向けの資格ですが、E検定と同時に取得するエンジニアが少なくありません。
【参考】:G検定とは | 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
E資格(エンジニア)
G検定と同じく、日本ディープラーニング協会主催の検定資格です。G検定よりも専門性が高く、難易度の高い資格です。単なる理論だけにとどまらず、適切な手法を用いてディープラーニングの実装能力や実践的に知識が問われますので、実務経験があるエンジニア向けの資格試験です。
【参考】:E資格とは - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
DS検定:データサイエンティスト検定
2021年よりスタートしたデータサイエンティスト検定は、データサイエンティスト協会が主催する資格試験です。
データサイエンティスト検定は、データサイエンティストに求められるスキルや知識について4段階のレベルが定義されています。現時点では、4つのスキルレベルの最下層に位置づけられる「アシスタント データサイエンティスト」のスキルを証明する「データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)が用意されています。
【参考】:データサイエンティスト検定 リテラシーレベル|データサイエンティスト協会
AI実装検定
AI実装検定はディープラーニングの実装能力や知識を問う資格試験で、株式会社EQUATIONが実施しています。レベルは「B級」「A級」「S級」の3段階があり、AI関連の難関資格であるG検定やE資格の実装レベルを意識した試験内容です。AI実装検定に合格すると「ディープラーニング実装師」の称号付与があります。
【参考】:AI実装検定|EQUATION
AWS Certified Machine Learning
AWSにおける機械学習モデルの構築・トレーニング・チューニング・デプロイに関する知識を求められる、Amazonが主催するAI関連の民間資格です。主にデータサイエンティスト向けのおすすめ資格で、試験は機械学習モデルの設計や運用能力を問う内容です。
【参考】:AWS Certified Machine Learning - Specialty 認定 | AWS 認定
Microsoft Certified:Azure Al Fundamentals
AWSに次ぐ、世界第2位のクラウドサービスMicrosoft Azure認定のAI資格試験です。初級者向けのAI-900を始めとして4種類存在しており、「Azure Al Engineer Associate」は中級者レベルの資格試験です。日本語での受験が可能です。
【参考】:Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals - Certifications | Microsoft Learn
Professional Data Engineer
Google社主催のGoogle Cloud認定資格の1つです。AI市場で注目の資格の1つで、データサイエンティストを目指す方に適した資格です。日本語での受験も可能です。機械学習モデルの運用、データ処理システムに関する設計・構築、運用、ソリューションの品質確保などの4つの視点から評価をされます。
【参考】:Professional Data Engineer 認定資格 | Google Cloud
Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は、「Pythonエンジニア育成推進協会」が主催するPython3資格試験で、Python3を用いたデータ分析の基礎や方法などについて問う試験です。機械学習やビッグデータ関連でPythonを利用する人におすすめの資格です。
【参考】:データ分析試験 | Python試験・資格|Pythonエンジニア育成推進協会
画像処理エンジニア検定
画像処理エンジニア検定は画像情報教育振興協会主催の、ディープラーニングなどで用いられる画像処理、画像認識に関する設計・開発に特化した検定資格です。主にデジタル画像関連の知識が問われます。
直接AIに関係する資格ではありませんが、顔認証などの画像認識はAI技術で欠かせない分野ですので、AIエンジニアとしてのスキルアップには有効な資格です。
【参考】:CG-ARTS | 検定
統計検定
統計検定は日本統計学会が主催する、統計知識や統計データ活用能力を問う検定資格です。1級から4級まであり、準1級を取得すると、統計学の応用分野である機械学習の理解に役立ちます。
【参考】:統計検定|統計質保証推進協会
基本情報技術者試験(FE)
AIエンジニアに限らず、ITエンジニアを目指すなら、ぜひとも合格しておきたいIPA主催の国家試験です。ITパスポート試験の上位資格として位置づけられ、合格率は35%前後と決して難易度は低くはありませんが、情報戦略の立案、システム設計・開発・構築・導入に関する基礎が身に付く試験です。
【参考】:基本情報技術者試験(FE)|IPA
応用情報技術者試験(AP)
高度情報処理技術者試験への登竜門となるIPA主催の国家試験です。基本情報技術者試験の上位資格として位置づけられ、合格率が20%前後と難易度の高い資格試験ですが、AIエンジニア職に限らず、ITエンジニアとしてのアピール度が高い資格です。
【参考】:応用情報技術者試験(AP)|IPA
データベーススペシャリスト試験(DB)
主にデータベースの設計担当者や管理者、インフラエンジニアを対象とするIPA主催の国家試験です。応用情報技術者試験を上回る難易度の高い試験で、合格率は14%前後と非常に難度の高い試験です。
認定AI・IoTコンサルタント
認定AI・IoTコンサルタント(AIC)は「一般社団法人AI・IoT普及推進協会」が認定する、日本初のAI×IoTに特化したコンサルタント資格です。AI・IOTシニアコンサルタント研修試験を受講し、試験を受けることが前提の資格です。
レベルは3段階あり、ジュニア→シニア→マスターと進むと難易度が上がっていきます。
【参考】:AIC資格関連情報|一般社団法人AI・IoT普及推進協会 【参考】:AIC研修試験お申込みサイト - 一般社団法人AI・IoT普及推進協会
人工知能プロジェクトマネージャー試験
人工知能プロジェクトマネージャー試験は、「一般社団法人 新技術応用推進基盤」が主催する試験です。AI構築に関する専門知識の全体像理解し、単なる知識ではなく、AI技術を仕事や転職に生かせる人材育成を目指しています。
また法人受験制度があり、社員のスキルレベル証明、信用度の向上、社員の採用・昇格判断や育成基準などの活用を推奨しています。
【参考】:【公式】人工知能プロジェクトマネージャー試験 | プロジェクトを真にマネジメントできる人材の指標に
以上、AIエンジニアとして役立つAI関連の資格を紹介しました。本格的なAI時代の到来を控え、AI関連資格の重要性は今後さらに増していくと思われます。またAIは将来性の高い分野ですので、ご紹介した役立つ資格の中から、自分に適した資格を見つけ、積極的な受験をおすすめします。
ネット掲示板などではAIエンジニアは「やめとけ」という意見もありますが、おすすめの資格から分かるように、AI分野は専門性が高く、他の職種と比べて難しいというイメージがあることも背景にあると思われます。
AIエンジニアの資格取得によるメリットと年収
ここでは、AIエンジニアを目指す方が資格を取得するメリットと、AIエンジニアの平均年収について解説をします。資格取得のメリットを理解し、その資格を仕事に活かす上での参考にしてください。
AIスキルの証明としてアピールできる
AI関連資格を有することで、自身の持つスキルを対外的にアピールできます。経験や実績に加えて、保有資格が自身のスキルを裏付けてくれますので、転職の際にも他の受験者との違いをアピールする上で効果的です。
企業が求めるスキルと、自身が持つスキルのマッチングが転職をスムーズに運ぶ重要な要素ですので、企業側にとっても客観的なスキル証明を有する人材は採用しやすいメリットがあります。
キャリアアップに役立つ
AI資格の取得には勉強が必要ですが、受験勉強によって体系的な知識が身に付き、自身のスキルアップに役立ちます。この結果、仕事で活躍できる場や機会が広がり、キャリアアップにもつながります。
AIの技術革新は日進月歩であり、常に勉強をし続けることが、自身の活躍機会を広げることになります。その勉強のきっかけとして、AI資格の取得は大きな力となるでしょう。
AIエンジニアの年収
AIエンジニアの平均年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」で近い職種の「システムエンジニア」で見ると431万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」のSE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装)を参考にすると、568万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、AIエンジニアの平均年収は一般の年収よりも、やや高めであることが分かります。
また、マイナビエージェントの公開求人※でAIエンジニアの求人を検索すると、AIエンジニアの年収はおおよそ500〜600万円前後と分かりました。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:※AIエンジニアの求人・転職・中途採用|求人・転職エージェントはマイナビエージェント 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
AIエンジニアに向いている人とは
AIエンジニアを目指すには、職種の適性があることがその実現性を後押ししてくれます。不足する資質は改善し、伸ばすことが可能です。基本的には、以下のような資質を有する人がAIエンジニアに向いています。
論理的な思考ができる人
ITエンジニアはすべて、ロジカルシンキング(論理的思考力)が求められますが、特にAIエンジニアにはそれが強く求められます。AI開発では、数学や統計学など理論をベースとしてアルゴリズムを見出し、課題解決法を編み出すことが求められます。
その理論を学んだり扱ったりすることへの抵抗がなく、日常的に論理的な考え方をできる人がAIエンジニアには向いています。
学習意欲が高い人
AIの分野は大変なスピードで技術革新が進んでおり、日々新しい技術が誕生しています。積極的に新しい技術情報を収集し、自発的に学び、習得していく姿勢が強く求められます。そのため、学習意欲の高い人がAIエンジニアには向いていると言えます。
プログラミングに適性がある人
AI技術の開発、その活用ではプログラミングが不可欠です。AI分野の中でも機械学習分野ではPython言語が必須です。他にはC++、R言語なども使われますので、こうした言語を扱うスキルが求められます。プログラミング言語を習得し、それら言語を使いこなせる人がAIエンジニアには向いています。
未経験からAIエンジニアを目指すなら
ここまで、AIエンジニアを目指す上で必要な資格やスキルについて紹介しました。習得した資格やスキルを活かすには、活躍の場を提供してくれる企業に転職することが前提です。自分に適した企業を紹介し、転職ノウハウを提供してくれる転職エージェントとの出会いが、転職成功の大きな鍵です。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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