E資格の難易度はどのくらい?出題範囲や合格率、感想などから徹底考察
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E資格の難易度はどのくらい?出題範囲や合格率、感想などから徹底考察
アンドエンジニア編集部
2023.08.29
この記事でわかること
E資格は受験資格としてJDLA認定プログラムを修了している必要がある
アンケート調査によれば、E資格は応用情報技術者試験と同じかそれよりも難しい
E資格は過去問がなく、JDLA認定プログラムを有効活用することが最適な勉強方法である

E資格とは

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E資格とは、日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定するAIエンジニア向けの資格です。2019年から登場した比較的新しい資格であり、AIやディープラーニングへの理解や実装まで行えることが要求されます。

AIエンジニアとしてのスキルを証明する本資格は、高い専門性が求められることから比較的難易度が高いと言われています。本記事では、E資格についての基本情報を説明するとともにその難易度の高さを考察していきます。

【参考】:E資格とは

AIエンジニアとは?AIエンジニアの概要と転職で成功するための秘策を解説
AIエンジニアの将来性が高い理由とは?仕事内容や転職のコツも解説

E資格の出題範囲

E資格はAIエンジニアを育成するための資格であり、その出題範囲もディープラーニングを実装するための分野にフォーカスされています。具体的には以下の5つの分野になります。

・応用数学 線形代数・確率・統計など、機械学習分野で必要な数学分野が出題されます。

・機械学習 機械学習の基礎やその実用的な方法論が出題範囲となっています。

・深層学習 深層モデル構築、畳み込み・回帰・再帰的ネットワークや強化学習など、ディープラーニングの基礎から応用まで幅広く出題されます。E資格のメインとなる出題範囲であり、5つの分野の中で最も広く出題されます。

・開発・運用環境 ミドルウェアや軽量化・高速化技術などソフトウェア分野から出題されます。

・前提フレームワーク 2022年8月度試験より追加された出題範囲であり、PyTorchまたはTensorFlowのフレームワークを使って実際にコーディングをする必要があります。

【参考】:Pytorch 【参考】:TensorFlow

エンジニアなら知っておくべき!機械学習とディープラーニングの違いとは?
PyTorchとは?特徴やメリット・デメリット等の入門情報を解説
TensorFlowとは?特徴やできることをわかりやすく解説!

E資格の受験資格

E資格の受験には受験資格が必要です。受験するためにはJDLAが定めた教育プログラムを受講し、修了する必要があります。JDLA認定プログラムと呼ばれるこれらの講座は様々な企業が主催しており、その中のいずれかを受講すれば受験資格を得ることができます。

JDLA認定プログラムでは、単に講座を受けるだけでなく、修了試験を受けて合格しなければなりません。このプログラムを主催している企業の例としては下記があります。

・スキルアップAI株式会社 認定No.00001となっている企業で「現場で使えるディープラーニング基礎講座」という講座を開催しています。リアルタイムのライブ配信形式かオンラインで受講でき、それぞれ165,000円、55,000円(税込)となっています。

【参考】:E資格 JDLA認定プログラム 現場で使えるディープラーニング基礎講座

・株式会社AVILEN 「全人類がわかるE資格コース」というユニークな名前の講座をオンラインで開催しています。受講料は149,600円ですが、26歳以下の学生は109,600円で受講することができます。

【参考】:全人類がわかるE資格講座

E資格の受験方法

JDLA認定プログラムを修了すれば、いよいよE資格を受験することができます。E資格の試験は、1年間に2回会場にて開催されています。受験費用は区分別に下記のようになっています(税込)。

・一般:33,000円 ・学生:22,000円 ・JDLA会員:27,500円

問題の形式は多肢選択形式で100問程度、試験時間は120分です。JDLA認定プログラムを修了してから2年と180日以内に受験しなければならないので注意しましょう。

「E資格は意味がない」という声も

E資格は難易度が比較的高い資格ですが、取得に意味がないとの声もあります。確かに、E資格は登場して年数も経っていない新しい資格であるため、「あまり普及していないのでは」と考える方もいるでしょう。

しかしながら、現在活況のAI分野の知識があると証明できることはキャリアアップに有利です。取得の過程でAIやディープラーニングを体系的に学ぶことができる点もメリットと言えるでしょう。

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E資格保有者の年収

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E資格のような専門性の高い資格を取得することによる年収のアップを期待する方も多いでしょう。ここでは、機械学習エンジニアを含む製品開発/研究開発に携わるエンジニアの年収を参考として見ていきましょう。

製品開発/研究開発のエンジニアの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」での平均年収は477万円(※2023年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種「SE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)」のを参考にすると、平均年収593万円と分かりました。

国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、製品開発/研究開発のエンジニアは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。

E資格を活かせる職種としては、機械学習エンジニアやデータサイエンティストなどがありますが、いずれも開発の上流工程まで担当するには高度な専門知識とスキルが必要です。資格を持っていることでキャリアアップや転職で有利になり、さらに高い年収を目指すことも可能でしょう。

【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

E資格を取得するメリット

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E資格取得には、合格を目指して勉強をする中で体系的で専門的な知識やスキルを身に付けられること以外にも、以下のようなメリットがあります。

スキルの証明になる

資格取得の最大のメリットは、資格が自身の知識やスキルを証明する材料となることです。エンジニアとしてキャリアアップや転職活動をする際にも有効でしょう。E資格はAIに関する資格の中では最高峰に位置づけられています。

E資格を持っていればAI分野に適した人材であるということをわかりやすくアピールすることができます。また、E資格を取得すると名刺などにE資格のロゴを掲載することができます。

合格者コミュニティに参加できる

E資格試験に合格すると、E資格合格者のコミュニティ「CDLE(Community of Deep Learning Evangelists)」に参加することができます。JDLA主催の「合格者の会」やハッカソン、CDLEメンバー主催の勉強会など、オンライン・オフラインで交流することが可能です。

CDLEは人脈づくりに役立つだけでなく、ハッカソンや勉強会などのスキルアップの機会が設けられていることが魅力です。エンジニアとしてのキャリア形成に良い影響を与えることができるでしょう。

需要や将来性が高い

AI関連分野はIT業界の中でも最も成長している分野の1つであり、社会からの期待も大きいです。こうした最先端の分野で役立てることができる知識やスキルを持っているということは、その人自身の将来性の高さにも繋がります。

AIエンジニアの将来性が高い理由とは?仕事内容や転職のコツも解説

IT業界やAI分野の成長に伴って、E資格を保有する人材の需要は今後ますます高まっていくと予想されます。早くから資格を取得し、その周辺のコミュニティで積極的に情報を収集することで、最先端で通用する需要の高いITエンジニアになることができるでしょう。

こうしたE資格のメリットを十分に活かすには、環境選びも大切です。転職エージェントを活用して、将来のキャリアアップにも期待できる仕事を探してみましょう。

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E資格の難易度を考察

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E資格の基本情報を説明したところで、いよいよその難易度の高さについて考察していきます。難易度の高さについて、出題される問題の性質や合格率などの客観的なデータなど様々な視点から見て考えていきます。

資格の中での偏差値は?

E資格の難易度は、他の資格と比較してどのような立ち位置にあるのでしょうか。E資格はAI関連の資格の中では最も難しい位置にありますが、IT資格の中では最難関ということではありません。

E資格は、その合格率の低さから最難関に近いと思われる「システムアーキテクト」や「ITストラテジスト」よりは低い偏差値であると考えられます。

【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表(平成21年度春期以降)

システムアーキテクト試験とは?合格率・難易度・年収について解説
ITストラテジスト試験とは?資格の概要や取得メリットを解説

受験資格取得の難しさ

E資格の難易度の高さの1つに受験資格があります。受験資格を取得するためにはJDLA認定プログラムを修了する必要がありますが、これらの講座はただ単に受講するだけでは終了できません。勉強を進めながら課題を提出し、最後には修了試験に合格しなければなりません。

試験勉強だけを行って対策を立てれば良いわけではなく、きちんとAI技術やコーディングの勉強を行って理解していかなければ講座を修了することはできません。*修了試験も本試験を想定したものとなっているため、2度試験を行うようなものと言えます。

*このように受験資格を取得する段階でも十分な勉強が必要なため、E資格は比較的難易度が高いと言えます。

専門性の高い出題範囲

E資格が難しい理由の1つに出題範囲の専門性の高さがあります。ディープラーニングなどのAI技術のベースとなっているものは数学であり、大学で学ぶ線形代数などを理解しておくことが前提となっています。

通常のIT資格において、大学数学の知識が必要なものは限られており、E資格はその中の数少ない資格です。そのため、取得難易度も大学数学の知識が必要ない資格よりも高いと言えるでしょう。

数学だけではなく、メインとなるAI分野の知識も注目すべきポイントです。出題範囲のディープラーニングはAI技術の応用として位置付けられており、ニューラルネットワークに関する基本的な知識だけでなく、再帰的なネットワークや強化学習などの発展的な内容も勉強しなければなりません。こうしたことからもE資格を取得することの難しさが分かります。

ニューラルネットワークとは?仕組みや機械学習との違いについて

E資格の合格率

E資格の合格率はどの程度なのでしょうか。JDLAが発表した情報によれば、2018年の最初の試験から2022年の第2回までの合格率は概ね65%〜75%程度で推移しています。特に2021年からは合格率が70%を超えています。受験者数は、2020年の試験からは1,000人前後となっています。

合格率だけを見ればそこまで難しい試験ではないと考える方もいるかもしれません。しかし、受験者は全てJDLA認定プログラムを修了していると考えると、受験者自体が既にふるいにかけられていることが分かります。

同様の難易度である応用情報技術者試験の2021年秋期の受験者数が33,513人であることを考えると、受験者がかなり少ないことも分かります。

【参考】:「E資格(エンジニア資格)2022#2」結果発表

アンケートによる感想

E資格の難易度について、実際にアンケート調査が行われています。Study-AIが2021年第1回の受験者に対して行った調査では、主観的な難易度を「想定よりやや難しい」と答えた層が38.24%で最も多く、次点は「想定通りだった」と回答した層で33.82%でした。

この主観的な感想から、E資格は受験者が想定しているよりも難しい資格であることが分かります。

また、他のIT資格で最も難易度が近しいと感じた試験は「応用情報技術者試験」で、回答割合は39.71%でした。さらに次点は「選択一覧より難しい」で26.47%となっているため、E資格は少なくとも「応用情報技術者試験」より難しい試験であることが言えます。

ほか、寄せられた感想を見ていくと、「応用情報技術者試験よりもかなり難しい」「数学的なバックグラウンドを持っていないと学習に時間がかかる」といった回答もありました。

【参考】:E資格の難易度調査

応用情報技術者試験は難しすぎ?他試験との難易度比較や独学方法

E資格の勉強方法

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難易度の高いE資格ですが、どのように勉強すれば良いのでしょうか。E資格の出題範囲は専門性が高いので、分野を絞った学習をしていくことが有効です。下記で述べていきますが、受験資格でもあるJDLA認定プログラムをきちんと受講することが最も効果的であると言えます。

JDLA 認定プログラムの受講

前述のように、最も効果的な勉強方法はJDLA認定プログラムを最大限に活用することです。その理由として、各企業が開催している講座自体が試験合格を目的としたカリキュラムになっていることが挙げられます。講座によっては合格保証制度が備わっているものもあります。

例えばAVILENの「全人類がわかるE資格コース」では、出題範囲となるディープラーニングを分かりやすく学べるだけでなく、質問を原則24時間以内に回答してもらえるチャット質問対応や学習アドバイザーによる学習相談の機会も用意されています。

勉強を進めていく上で疑問点を解決できるだけでなく学習の進め方についても相談できるため、ただ教材を使って学習を進めるよりも効果的と言えるでしょう。

さらに、試験対策についてもカリキュラムに含まれているため、講座を受けていけば本試験の準備も同時に行うことができるでしょう。修了試験も本試験を想定したテストになっていることが多いため、自分が本試験に本当に合格できるかも事前に把握することが可能です。

E資格には過去問はない?

資格試験の勉強を進める上で気になる点に、過去問の有無があります。E試験においては過去問は一切公開されておらず、市販されているわけでもないため、過去問を使った試験対策を行うことができません。したがって、前述したJDLA認定プログラムを最大限に有効活用しなければ合格は難しいと言えるでしょう。

E資格取得にかかる勉強時間

Study-AIによる難易度調査の中で、受験者が要した勉強時間についての項目もあります。回答が最も多かった「100時間〜200時間」が45.59%、次いで「200時間〜300時間」が42.65%となっています。

元々の知識レベルや選ぶ認定講座などによって多少の差は出てくると思いますが、目安として200時間前後は必要だと考えておくと良いでしょう。人によってはそれ以上かかることもあるかもしれません。

年収アップへもつながるE資格に挑戦してみよう

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E資格は、受験資格が設定されていることもあり、受験するまでのハードルも比較的高い資格です。また、受験資格を得るための講座費用や受験料もかかるため、実際に資格を取ってみようと考える方も躊躇ってしまうかもしれません。

しかし、AI技術を使いこなせるエンジニアとしての証明は昨今では非常に有効であり、転職による年収アップも狙える可能性があります。AIの分野が専門外の方も、AI技術を学びE資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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