G検定とは
G検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA、Japan Deep Learning Association)が実施している試験を指します。
G検定のGはジェネラリストを指し、ジェネラリスト検定という場合もあります。公式サイトでは、「ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する」とされています。
【参考】:G検定とは
E資格との違い
E資格とは、G検定と同じく一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施する試験です。E資格のEはエンジニアを指します。
公式サイトでは、「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する」とされています。G検定は概要が求められるのに対し、E資格では実際の手法や実装能力が試されます。
【参考】:E資格とは
G検定の概要
G検定は毎年3月、5月、7月、9月、11月の計5回実施されます。試験日の約2か月前から申し込みが可能になり、約1ヶ月半ほどの申し込み期間が設けられています。
知識問題の多肢選択式で、問題数は220問程度です。オンライン実施のため、自宅やオフィスで受験できます。試験時間は120分です。受験費用は一般が13,200円(税込)、学生が5,500円(税込)であり、申し込みはG検定受験申込サイトから行います。
【参考】:G検定とは 【参考】:G検定受験申込サイト 【参考】:G検定の試験日程
G検定の試験範囲
試験範囲はシラバスにまとめられて公開されています。概要(大項目)は以下の通りです。
・人工知能(AI)とは(人工知能の定義) ・人工知能をめぐる動向 ・人工知能分野の問題 ・機械学習の具体的手法 ・ディープラーニングの概要 ・ディープラーニングの手法 ・ディープラーニングの社会実装に向けて ・数理・統計
【参考】:G検定の試験範囲(シラバス)と例題
試験範囲の詳細は「G検定の試験出題範囲(シラバス)2021〜」からダウンロードできますのでご確認ください。
G検定の合格率と難易度
G検定の結果は公式サイトで公開されています。2023年 第3回 G検定では、4,518名の受験者のうち3,106名が合格し、合格率は68.75%でした。20代から40代の合格者数が大半を占めます。
G検定の合格率は、情報処理推進機構の実施しているITパスポート試験・基本情報技術者の合格率を上回っています。情報処理技術者試験の合格率から考えると、比較的難易度は低いと考えられます。
【参考】:「2023年 第3回 G検定」開催結果を発表 【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 統計資料
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G検定が活かせる職種と年収
ジェネラリスト向けの資格であるG検定ですが、具体的にどのような職種で活かせるのでしょうか。また、合格した場合の年収についても解説します。
データサイエンティスト
膨大なビッグデータから、価値のある情報や一定の法則を導き出すデータ分析のスペシャリストです。また、抽出した情報を用いて、サービス改善のための施策立案も行います。
データ分析のためのITスキルはもちろん、統計解析や市場トレンドなど幅広い知識が必要です。ビッグデータの重要性が認知されてきた近年は、多くの企業から求められる需要の高い職種となっています。
機械学習エンジニア
コンピュータに学習をさせて、目的の作業を行えるようにする技術者です。必要なアルゴリズムやモデルを構築するため、コンピューターに繰り返しデータを処理させるのが機械学習エンジニアの役割です。
プログラミングスキルに加えて、統計理論やインフラ周りの知識も求められます。現在機械学習は、金融、医療、サービス、流通などさまざまな分野で活用されています。
G検定合格者の年収
データサイエンティストや機械エンジニアと同様に、データのスペシャリストであるデータベースエンジニアの年収は、「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は424万円(※2023年8月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、データベースエンジニアの年収は調査媒体によってバラつきがあることが分かります。
G検定は基礎レベルの資格ですが、合格に向けて勉強することで機械学習や統計といった知識の向上が図れます。また、G検定合格を足掛かりにさらなる上位資格に挑戦することで、将来的に年収アップが見込めるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
G検定のメリット
G検定は国家資格ではなく合格率も比較的高いことから、「受験しても意味ない」という声が聞かれます。しかし、受験者は増え続けており、年々人気は高まっています。ここではG検定が人気な理由と、主なメリットを紹介します。
AIやディープラーニングを深く学べる
G検定合格に向けた学習を進めることで、AIやディープラーニングについて深く学べるのが人気の理由です。今後エンジニア向けのE資格を取得される方も、最初のステップとして知識吸収が期待できます。
さらに、将来的にデータ分析を行うデータサイエンティストを目指す場合も、人工知能の前提知識として理解を得ることができます。
合格証明のバッジがもらえる
G検定合格者には、合格の証としてオープンバッジが発行されます。バッジ画像をメールの署名欄に添付したり、紙の名刺に印刷したりして、スキルの見える化が図れるのがメリットです。
また、合格者は日本最大級のAI人材コミュニティ「CDLE」にもアクセスが可能になります。AIの分野で活躍する人たちと、継続的に情報交換や学びを共有できます。
【参考】:合格後の資格証明
転職で有利になる
AIや機械学習の分野へ転職を考えている方にとって、G検定は大きな強みになります。これらの分野は今後ますます需要が拡大していくと予想されているため、ディープラーニングの基礎知識を証明できるG検定は、転職でも有利にはたらきます。
資格を活かした転職先を見つけるなら、求人数が多く、転職のプロが自分のスキルに合った企業を探してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。
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G検定の試験対策
G検定の合格率は高いものの、設問数が多く出題範囲も広いことが特徴です。そのため、合格するにはある程度の勉強時間が必要です。おすすめの対策準備は、出題傾向を公式サイトの例題と推奨参考書で確認し、試験中に参考として使う資料(カンペ)の事前準備です。詳細は以降で説明していきます。
G検定に合格するための勉強時間
合格までの勉強時間について、G検定を実施するJDLAが合格者に行ったアンケートによると、「15〜30時間」が32.1%。「30〜50時間」が28.8%、「50〜70時間」が13.9%でした。
1日1時間と想定して、既にAIやディープラーニングの分野で働いている方であれば、半月~1ヶ月程度で合格が目指せます。ただし、全く知識がない状態から始めるのであれば、2~3ヶ月の勉強期間が必要です。
【参考】:G検定Q&A
G検定の過去問
G検定の過去問は出版されていませんが、例題が公式サイトから確認できます。例題では、出題範囲をカバーする人工知能をめぐる動向・人工知能分野の問題・機械学習の具体的手法・ディープラーニングの概要・ディープラーニングの手法・ディープラーニングの研究分野の問題を公開しています。
難易度と範囲のあたりをつけるために1度確認しておきましょう。
【参考】:G検定の例題
G検定の参考書
G検定の参考書は、人材育成委員会推薦図書および合格者(CDLE)が選ぶ推薦書籍として公式サイトに公開されています。より知識を吸収するために参考書を活用しましょう。公式サイトで推薦する書籍について簡単に触れておきます。
・「深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版」 G検定の公式テキストで、試験実施団体の日本ディープラーニング協会監修書籍です。 ディープラーニングの概要がカバーされ、デジタルトランスフォーメーション活用が可能です。 章末の問題が多く、模試活用ができます。
▪著者:猪狩 宇司 ほか13名 ▪ページ数:404ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2021/4/27 【参考】:深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版
・「ディープラーニング活用の教科書」 日本ディープラーニング協会監修による事例解説の書籍です。国内35社の事例が体系的に取り上げられており、先駆者が苦労したポイントも解説されているため、 ディープラーニングの発展予測や実用方法を深く学べます。
▪著者:日本ディープラーニング協会(監修)日経クロストレンド(編集) ▪ページ数:292ページ ▪出版社:日経BP ▪発売日:2018/10/29 【参考】:ディープラーニング活用の教科書
・「ディープラーニング活用の教科書 実践編」 日本ディープラーニング協会監修による事例の紹介書籍です。「ディープラーニングビジネス活用アワード」受賞事例のディープラーニング活用方法を解説しています。
▪著者:日経クロストレンド 編、日本ディープラーニング協会 監修 ▪ページ数:260ページ ▪出版社:日経BP ▪発売日:2019/10/28 【参考】:ディープラーニング活用の教科書 実践編
まずは最初に紹介した「深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版」をベースに、模試章末問題を反復演習することをおすすめします。
【参考】:推薦図書 [2021年最新本]
G検定はカンニング可能?
G検定はオンライン実施であり、自宅で受験することができます。そのため、ある意味カンニングは可能な試験とも言えます。しかし、いくらカンニングができると言っても、実際はそんなに簡単な話ではありません。
なぜなら、G検定の出題数は膨大であり、範囲も大変広いからです。120分で220問程度を回答するため、1問あたり32秒前後で回答するスピードが求められます。参考書の該当ページを探し、ウェブで検索キーワードを入力しているうちに30秒は経過してしまうでしょう。このことから、実質的に全てをカンニングで済ませることは不可能です。
そのため、どうしてもわからない点をあらかじめ整理しておくのが無難です。ある意味この情報整理(カンペ作り)も重要な事前作業となってきます。
G検定でAIの知識を深めよう
G検定は今後さらに適応拡大が見込まれる人工知能の領域で、可能性を広げるチャンスを高められる資格です。合格率は高めですが問題数が多く、AIの知識がない方は2か月程度の勉強期間を確保する必要があります。
ただし、内容的には基礎レベルに相当するため、データ関連のエンジニアを目指す方は最初のステップとして受験し、さらに専門的な知識吸収を進めるのがいいでしょう。G検定を足掛かりにすれば、今よりもっと条件のいい職場に転職できる可能性もあります。
しかし、実際に転職する場合、資格やスキルを活かした転職先が本当に見つかるのか不安な方も多いでしょう。
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