情報処理安全確保支援士試験の難易度は?
情報処理安全確保支援士試験は情報系資格のなかで、日本初の「士業」の国家資格です。取得すれば、士業としてさまざまな分野で活躍できます。そんな情報処理安全確保支援士試験の難易度はどれくらいなのでしょうか。
本記事では情報処理安全確保支援士試験の難易度を中心に、メリットや独学での取得方法まで詳しく解説します。
かなりの高難易度な試験
情報処理安全確保支援士試験は、難易度の高い難関資格として知られています。そもそも情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)とは、情報セキュリティの専門的な知識・技能を活用して、企業の情報セキュリティの企画・開発・運用・評価などを行う専門技術者です。
情報処理安全確保支援士試験の難易度が高いとされる理由は、出題範囲の広さと問題の高度さにあります。試験は午前と午後に分かれており、午前は情報系の幅広い範囲の基礎的な知識が問われ、午後は情報セキュリティに関する高度な知識が求められる記述問題が出題されます。
特に午後の記述式問題では、該当分野に関する深い知識・技能はもちろん、分かりやすい文章構成で回答する能力も必要です。情報セキュリティの概要だけでなく、企画開発から評価、インシデント発生時の具体的な対応に関する幅広く高度な知識・技能が要求される点が、高難易度の理由です。
【参考】:情報処理安全確保支援士試験 【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱
IT系資格全体における位置付け
情報処理安全確保支援士は、情報処理技術者試験のうち最高難易度のレベル4に分類される試験です。同じくレベル4の資格には、ネットワークスペシャリスト・データベーススペシャリストなど、それぞれの分野の専門家であることを証明する高難易度の資格が連なっています。
いずれの資格も取得が困難であることから、専門性を高めたり、転職でキャリアアップを目指したりしたい方には人気があります。もしも、資格を生かした転職がしたいなら、自分のスキルにあった企業を探してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。
【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:試験区分一覧
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情報処理安全確保支援士の合格率
情報処理安全確保支援士の合格率は、15〜20%程度で推移しています。基本情報技術者や応用情報技術者の合格率が20〜40%である点と比較しても、難易度の高い試験であることがわかります。受験者も初心者ではなく、情報セキュリティに関わる実務経験のある人が多い傾向があります。
一方、同じレベル4に分類される資格の合格率は10〜15%程度の場合がほとんどです。したがって、最高難易度のレベル4のなかでは比較的合格しやすい資格であるといえます。それでも、実務経験者のなかで上位2割を目指す必要があるため、入念な準備が必要であることに間違いありません。
【参考】:統計情報
情報処理安全確保支援士と応用情報技術者はどちらがおすすめ?
1つ下のレベル3には、情報処理に関する専門的な知識・スキルを認定する「応用情報技術者試験」があります。難易度は情報処理安全確保支援士よりも低いので取得しやすいものの、士業である情報処理安全確保支援士と比べると専門性は及びません。取得後の業務に合わせて資格を選ぶとよいでしょう。
【参考】:応用情報技術者試験
情報処理安全確保支援士試験の概要
情報処理安全確保支援士試験は、毎年4月・10月の2回開催されます。2023年(令和5年)10月からはこれまで2つに分かれていた午後試験が1つに統合され、多段階選抜方式の記述が追加されます。
<2023年(令和5年)10月からの試験要綱>
▪午前Ⅰ 9:30~10:20(50分)多肢選択式(四肢択一)30問 ▪午前Ⅱ 10:50~11:30(40分)多肢選択式(四肢択一)25問 ▪午後 12:30~15:00(150分)記述式 出題数:4問(解答数:2問)
それぞれのパートの合格基準は、100点満点中60点です。午前Ⅰから午後までの全パートが合格基準内であれば試験は合格です。また、午前Ⅰについては、以下の基準をクリアすることで2年間受験が免除されます。
▪応用情報技術者試験に合格する ▪いずれかの高度試験・支援士試験で合格する ▪いずれかの高度試験又は支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る
【参考】:情報処理安全確保支援士試験 【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱(変更箇所表示版) 【参考】:午前Ⅰ試験免除 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士合格後の実施事項
情報処理安全確保支援士試験に合格後は、登録や更新などの実施が必要です。ここでは、合格後の実施事項について説明します。
すぐに登録しないと失効する?
情報処理安全確保支援士に合格した人が士業として情報処理安全確保支援士を名乗るには、登録が必要です。登録自体は年に2回、4月と10月に実施できるため、合格後すぐに登録しないと失効するようなことはありません。
登録しないことのメリットとしては、登録料や更新料などの各種コストがかからない点が挙げられます。一方、登録していない期間は士業として資格を名乗れないため、対外的に情報セキュリティのスペシャリストであることをアピールできません。
【参考】:情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)になりたい方へ
3年毎に更新が必要
登録しないと情報処理安全確保支援士を名乗れないとはいえ、登録するとさまざまな責務が発生する点には注意が必要です。たとえば、登録から3年経つと資格の更新が必要であり、更新費用と関連する研修を受講するための費用が発生します。
会社からの指示で登録する場合は、資格の維持費用を会社が負担する例もありますが、3年間で14万円程度の維持費用を個人が負担するのは大変です。状況に応じて資格が必要なタイミングで登録するなど、コスト削減には工夫が必要です。
登録後に受講する必要がある講習については、公式の案内を確認しておきましょう。リモートで受講できるものから指定の場所で受講する必要があるものまでさまざまです。費用も講習によって異なるため、自身が受ける講習の費用と受講期限についてはしっかり把握しておきましょう。
【参考】:情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の受講する講習について
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情報処理安全確保支援士を取得する意味はない?
情報処理安全確保支援士は情報セキュリティに関する専門的な知識・技術を証明する高度な資格ですが、「取得しても意味ないのでは?」と取得する意義を疑問視する声もあります。そこで、ここでは、情報処理安全確保支援士を取得するメリットや、取得後の年収について紹介します。
情報処理安全確保支援士を取得するメリット
情報処理安全確保支援士を取得すると、情報セキュリティの専門家の士業として仕事ができます。企業においては情報セキュリティの専門家として重要な役割を担えるほか、情報セキュリティに関するコンサルタントとして独立も可能です。
さらに、情報処理安全確保支援士を取得すると、技術士の試験を一部免除される点もメリットの1つです。関連する資格の取得を狙っている人は、受験する順番を計画時に考慮してみてください。
企業や職種によっては、年収が上がったり報奨金を得られたりするケースもあります。今後、情報処理安全確保支援士の重要性が高まるにつれて、こうした動きは活発化する可能性があります。年収の目安については次項で紹介します。
【参考】:公益社団法人 日本技術士会:第一次試験のよくあるご質問
資格取得後の年収
一般的なセキュリティエンジニアの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は356万円(※2023年7月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からIT技術スペシャリストを参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、セキュリティエンジニアの年収は、調査媒体によってかなりのバラつきがあることが分かります。
なぜなら、セキュリティエンジニアを含むITエンジニアの年収は、実務経験やスキルの高さが重要視される傾向があるからです。情報処理安全確保支援士の年収は公表されていませんが、資格取得によりスキルが証明されれば、年収が大幅に上がるケースも十分考えられます。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
情報処理安全確保支援士を独学で取得するには?
情報処理安全確保支援士は独学での取得を目指せます。ここでは、参考書や公式の過去問を使う方法に加えて、対策講座を受講する方法について解説します。
市販の参考書や公式の過去問を使う
情報処理安全確保支援士試験に向けた勉強に役立つ参考書は、数多く販売されています。広大な試験範囲を網羅的に学べる教科書のようなものから、過去問を中心に反復練習ができるものまで、自身の習熟度に合わせて選択できます。
また、IPAの公式サイトでは過去問が掲載されています。実際の問題冊子・配点割合・解答例・採点講評が閲覧できるので、ぜひ有効活用しましょう。
ただし、現在のところ市販の書籍・公式の過去問共に、2023年(令和5年)秋期からの新試験要綱には対応していないため、公開されている変更箇所を確認して、独自に対策する必要があります。
【参考】:過去問題 【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱(変更箇所表示版)
試験の対策講座を受講する
参考書で勉強するほかに、情報処理安全確保支援士試験の対策講座を受講する方法も有効です。参考書よりもコストがかかる場合が多いですが、なかなか1人では勉強が進まない人や、勉強時間の短縮を図りたい方は対策講座の受講も検討してみてください。
オンラインセミナーやオンデマンドで視聴できる動画講座など、さまざまな種類の対策講座が公開されています。講師に質問できるものもあるため、参考書だけでは理解ができなかった部分の解消にも役立つでしょう。
情報セキュリティのスペシャリストを目指そう
情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティに関する専門的な知識・技能を有するスペシャリストであることを証明する資格です。専門性を問われる分高難易度の資格で、合格率も高くありません。一方、士業として仕事ができるなど、取得によるメリットも大きな資格であるといえます。
情報処理安全確保支援士試験に合格するためには、情報セキュリティに関する広大な出題範囲を深く理解しておく必要があります。参考書や対策講座を通じた体系的な学習が必須といえるでしょう。難易度は高いですが、取得価値の大きい情報処理安全確保支援士にぜひ挑戦してみてください。
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