COBOLの需要や将来性はある?その現状と今後必要となるスキル
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COBOLの需要や将来性はある?その現状と今後必要となるスキル
アンドエンジニア編集部
2023.06.23
この記事でわかること
COBOLは事務処理に特化しており、銀行や証券会社で基幹システムとして多く使われている
COBOLの運用・保守案件は今後もあるが、新規開発案件は減少する
COBOLエンジニアはマネジメントスキルなどを身につけて市場価値を上げよう

COBOLに将来性はある?

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COBOLエンジニアの方の多くは、COBOLに将来性があるのかどうかが不安に感じるでしょう。結論から言うと、COBOLを使ったシステムの運用・保守は今後もなくならないと思われますが、COBOLを使った新規のシステム開発は減少すると予想されます。

COBOLを使ったシステムには銀行・証券会社などの基幹システムがあり、機密情報や個人情報を扱う重要なシステムです。他の言語への移行作業でトラブルが発生すると多大な損失があるため、COBOLを使い続ける企業が多くあります。

しかし、扱いやすくて汎用的な新しいプログラミング言語の方が市場価値が高く、COBOLの人気は下がっています。COBOLは計算の速さ・正確さに優れていますが、人工知能やWebアプリ等の開発には不向きです。COBOLは特定の分野でしか使えないため、市場価値はあまり高くありません。

COBOLエンジニアにはPM等のキャリアパスもある

COBOLしか扱うことができないエンジニアの方が今後活躍するには、どうすれば良いのでしょうか。COBOLの需要は今後も続きますが、COBOLの市場価値は低く今後はさらに下がると予想されます。そのため、他のプログラミング言語やマネジメントスキルなどを身につけましょう。

特に、エンジニアのキャリアパスであるプロジェクトマネージャー(PM)は開発の上流工程を担う重要な役目があります。COBOLでの開発経験を活かし、さらにマネジメントスキルを身につければ現場のメンバーへの配慮もできる優秀なプロジェクトマネージャーになれるでしょう。

そもそもCOBOLとは?

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COBOL(コボル)とは、1959年に事務処理用として開発されたプログラミング言語です。現在現役で活躍している言語の中でも長い歴史を持っており、銀行や証券会社で使われています。COBOLの特徴は、メインフレームという巨大なコンピュータで動かせることです。

また、計算処理に強みがあり、数値的なミスが許されない基幹システムでの需要が高いと言われています。COBOLは長い歴史がある分、これまで何回も改良されています。2002年にはオブジェクト指向にも対応しており、大規模なシステムの開発により適応するようになりました。

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COBOLはどこで使われている?

COBOLは、金融業界の業務システムや行政機関のシステムなどに多く使われています。COBOLの演算機能は優秀で、高度な計算を要する処理を高速で行うことができます。

金融に関わる銀行や証券会社などでは、日常的に膨大なデータの計算処理が必要です。スピードと正確性に優れたCOBOLは長年重宝されています。

また、金融機関と同じく大量のデータを扱う行政機関でもCOBOLは使われています。金融機関もそうですが、人々の暮らしを支える重要な役割を持つ機関では、データ処理の遅延や誤りがあってはいけません。

人間の力だけでは処理しきれないものを素早く正確に行えるCOBOLは、私たちの暮らしを長年にわたって支えてきたのです。

COBOL技術者が不足している?

現在COBOLを使っている、またこれからも使い続けるであろう企業や機関は一定数ありますが、一部でJavaなどへの移行が行われていることや新規案件は少ないと考えられていることから、COBOL技術者数は減少傾向に転じています。

COBOLを学ぶ若手エンジニアは少なく、COBOL技術者の高齢化が進んでいるため、COBOL技術者は今後も減少傾向のまま推移していくと予想されます。

しかし、COBOLが使用されている限り、トラブル対応や運用・保守業務、他のシステムとの連携などCOBOL技術者の仕事はあります。また、Javaなどへの移行の際にもCOBOLの知識は必要です。

そのため、定年などによるCOBOL技術者の引退が増えている今、「COBOL技術者が不足している」という声も上がっています。COBOLの知識を持つエンジニアの需要はこれからもあると予想されるため、若手がCOBOLのスキルを習得する意義はあると言えるでしょう。

COBOLエンジニアの年収

マイナビエージェントでは職種別の年収ランキングを公開しています。そのランキングによると、COBOLエンジニアを含むシステムエンジニア・プログラマーの平均年収は443万円(※2023年2月執筆時点)となっています。これはあくまで平均であり、業種・業界によっては平均年収がさらに高い可能性もあります。

【参考】:職種別平均年収ランキング|求人・転職エージェントはマイナビエージェント 【参考】:検索結果 求人・転職・中途採用|求人・転職エージェントはマイナビエージェント

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COBOLのデメリット3つ

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COBOLのデメリットについて解説します。万能なプログラミング言語は基本的にはなく、COBOLにも不向きな開発分野はいくつかあります。

Webアプリやスマホアプリ開発に向いていない

COBOLはWebアプリやスマホアプリ開発に使われることはありません。それらの分野では他にもっと適している言語が多くあるためです。たとえば、Webアプリ開発ではPHP・Python・Rubyといった比較的新しい言語が人気です。

COBOLは基幹システムの開発は得意ですが、それ以外の分野に使えないことが弱点です。これからCOBOLを学ぶ予定の方は、開発できるシステムの幅が狭くなることを考慮する必要があるでしょう。

PHPでできることを解説!機械学習やスマホアプリ開発はできる?
PythonでのWebアプリ開発で使うフレームワークを解説!

人工知能開発に使えない

COBOLは人工知能開発にも使うことが難しいです。人工知能・ディープラーニング・データ解析といった分野は、私達の生活を変える可能性を秘めていると言われており、今注目されている分野です。

人工知能開発ではPythonやRといった言語が多く使われています。このようにトレンド分野で使えないことは、若手エンジニアからの支持が低い理由でもあります。

新規開発の案件が少ない

COBOL自体の性能に関するデメリットではないですが、COBOLを使ったシステムを新規で開発する案件が少ないことが難点です。現在はCOBOLに代わる多くのプログラミング言語があり、新しい言語での開発が主流になっています。

既存システムの運用・保守でCOBOLを扱う機会はありますが、COBOLから他の言語へ移行するシステムも今後増えるでしょう。COBOLに興味がある方でこれからエンジニアとして活躍したい方は、他の言語も習得することをおすすめします。

R言語とは?特徴や何ができるのか、Pythonとの違いを解説

COBOLのメリット3つ

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COBOLが言語としてどのようなメリットがあるのかについて解説します。他のプログラミング言語に比べてどういった点が優れているかについてまとめましたので、初学者の方は言語選びの参考にしてください。

可読性が高い

COBOLは記述ルールが単純で可読性が高いのがメリットです。上から順番に読んでいけば、基本的な処理内容を理解することができます。可読性が高いとソースコードの修正も簡単で、バグを発生させにくいためクリティカルな箇所で扱いやすいです。

また、データ名やファイル名などに日本語が使えるのも特徴です。古い言語でここまで簡単な言語はなかなかありません。

事務処理に特化している

COBOLは事務処理用として作られた言語であり、誤差が出ない正確な計算ができる上に、計算処理を高速で行うことができます。また、事務処理に必要なバッチ処理も得意としています。計算処理能力に関しては他言語より秀でているところがあり、長きに渡って使われ続けたのもこのためです。

さまざまなOSに対応している

COBOLはどのOSにも依存しないように設計された言語です。Windows・Mac・Linuxなど、COBOLを使用する上でのOSの種類を問わないため、様々なシステムに応用できるでしょう。使い勝手の良さもCOBOLが持つメリットの1つです。

COBOLの需要は今後もあるのか

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COBOLの需要について調べると「オワコン」「やばい」「時代遅れ」という意見が多く見られます。そのため、COBOLの将来性について心配する方も多いでしょう。

ここでは、COBOLに将来性があるのかどうかを解説します。現在COBOLを業務で使っている方や、これからCOBOLを学ぶ予定の方はぜひ参考にしてください。

社会インフラとしての需要は今後も続く

COBOLは、銀行や証券会社などで基幹システムとして多く使われています。銀行や証券会社のシステムは人々が生活する上でなくてはならないものです。

そのため、COBOLを使った基幹システム開発の仕事が急に消えることはないでしょう。社会インフラとして使われている限りCOBOLの需要は続くため、COBOLエンジニアは心配しすぎることはありません。

今後もCOBOLを使った運用・保守の仕事は続く

銀行や証券会社の一部は、COBOLからJavaといった言語に移植され始めています。*Javaの方が若手エンジニアからの支持が高い上に、ソースコードの修正・管理がしやすいためです。

しかし、COBOLを継続して使う企業も多くあります。なぜなら、言語の移植に失敗しバグが発生した場合、多大な損害が発生する可能性があるためです。

例えば、ユーザーの個人情報が流出すると、何億もの賠償金を支払うことになりかねません。こういったリスクがあるため移植を断念し、COBOLを使い続ける企業が多いのです。

Java入門!概要やメリット、基本事項について徹底解説!

COBOLエンジニアは減少傾向にある

COBOL自体の需要はありますが、COBOLを扱えるプログラマーは減少傾向にあります。COBOLは情報系の大学や専門学校で習うことは少ない上に、プログラミングスクールでも学びにくいため、習得する機会が少ないです。

また、基幹システムの開発よりも、Webアプリやスマホアプリなど身近なサービスの開発の方が人気があります。そのため若手でCOBOLを扱える人が減少しており、COBOLエンジニアは高齢化しています。

基本情報技術者試験でCOBOLが除外されている

2019年の秋期試験をもって、基本情報技術者試験で出題範囲からCOBOLが除外されました。基本情報技術者試験はエンジニアの登竜門と言われる試験であり、プログラミングを始めシステム開発の基礎に関わる問題が多く出題されます。

基本情報技術者試験の選択問題では、以前はCOBOLを含めた5つの言語から1つを選択して回答していました。しかし、現在はCOBOLの代わりにPythonが選択候補に入っています。このことからも、COBOLの人気が下がっていることが分かります。

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COBOLの新規開発案件は減少する

COBOLの運用・保守案件は継続しますが、新規開発案件は減少すると予想されます。上記で解説した通り、COBOLを扱える人材が減っているためです。COBOLを扱うことができるエンジニアの方は重宝されますが、新規開発案件にも参入したい方は、他の言語も学んで仕事の幅を広げましょう。

COBOLエンジニアが今後習得すべき知識・スキル

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COBOLの需要は今後も続きますが、COBOLエンジニアとして市場価値を上げるにはCOBOL以外の知識・スキルを習得することが重要です。ここでは、COBOLエンジニアが身につけたい知識・スキルについて紹介します。

マネジメントスキル

COBOLエンジニアはベテランが多いため、開発だけでなくマネジメント業務ができることも期待されます。具体的には、プロジェクトのスケジュール管理や部下への指示出し・技術選定・納期管理・トラブル時の対応などができると良いでしょう。

マネジメントといった上流工程のスキルを持つエンジニアは、年収アップも期待できます。

マネジメントスキルを身につけるなら、プロジェクトマネージャ試験を受験しましょう。マネージャーに必要なスキル・知識を体系的に身につけることができます。

【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:プロジェクトマネージャ試験 【参考】:検索結果 求人・転職・中途採用|求人・転職エージェントはマイナビエージェント

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業界専門の知識

COBOLは金融や保険業界などで使われることが多いため、COBOLが使われている業界知識も身につけると良いでしょう。業界知識があれば上流工程を担当する際、経営視点からシステムの要件を検討できるため仕事の幅が広がります。

特定業界の知識をシステムに落とし込むスキルは、どの企業においても求められるものです。

運用・保守スキル

COBOLは新規開発案件が少ない一方、COBOLから他の言語への移植が難しい関係で、既存システムを扱う案件が多くあります。システムが正常稼働するように監視したり、障害発生時の対応を行ったりします。障害の原因を突き止めるには、サーバーやネットワークの知識も必要です。

既存システムの運用・保守スキルを高めるには、ITサービスマネージャ試験がおすすめです。ITサービスマネージャー試験は、システム運用・保守のマネジメントを行える知識・スキルを持っているかどうかが問われる資格です。

【参考】:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:ITサービスマネージャ試験

【保守・運用】仕事内容や将来性、必要なスキルについて徹底解説!

Javaといった他の言語のスキル

JavaやCなど、他の言語のスキルを高めることをおすすめします。COBOLしかできない場合は、今後エンジニアとして活躍することが厳しくなるでしょう。他言語も習得すれば、基幹システムの移植を行う仕事も担当できるため、エンジニアとしての市場価値が上がります。

ただし、JavaやCはCOBOLに比べると難しいため、学習時間を十分に確保する必要があります。入門者が1から他言語を学ぶ場合は、オンラインで学習できるサービスがおすすめです。スマホで空き時間に勉強することもできるため、仕事が忙しい方でも勉強を続けることができます。

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COBOLエンジニアは今後のキャリアパスを考えて他のスキルを学ぼう

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本記事では、COBOLの将来性について解説しました。COBOLの現在の需要やこれからどうなっていくのかが、お分かりいただけたかと思います。

COBOLが使われている金融業界の基幹システムなどは、障害が発生すると大規模な損害が発生するため他の言語への移植が難しく、今後もCOBOLを使い続けるでしょう。そのため、COBOLの需要自体は今後もしばらく続くと推測されます。

ただし、COBOLでの新規開発は減少するため、COBOLエンジニアは他のスキルも習得し、仕事の幅を広げることが大切です。特に、マネジメントスキルを習得して上流工程の業務を担当するプロジェクトマネージャーになれば、自身の市場価値を上げることができ、年収アップも期待できます。

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