Rubyでできること7選
Rubyとは、まつもとゆきひろ氏によって開発されたプログラミング言語を指します。日本で開発されたプログラミング言語としては、初めて国際電気標準会議で国際規格に認証されています。RubyはWebアプリを中心に、さまざまなWebサービスの開発で使用されています。ここでは、Rubyでできること・作れるものについて詳しく紹介します。
SNSの開発ができる
Rubyはサーバサイドの開発に強みをもっているプログラミング言語です。そのため、SNSの開発にはRubyが数多く採用されています。例えば、マイクロブログサービス・民泊のWebサイト・ビジネスSNSなどが挙げられます。
また、RubyのWebアプリケーションフレームワークである「Ruby on Rails」を使用すれば、ユーザーのログイン情報の登録や投稿したデータの管理などに利用されるデータベースを簡単に作成することが可能です。SNSのログイン認証を用いた機能なども実装できます。そのため、開発経験が浅い初心者でも、高機能なSNSを開発することが可能です。
ブログ作成ができる
Rubyではブログの作成も可能です。ブログといえば、PHPベースで開発されたWordPressを思い浮かべますが、Rubyでも似たようなブログの管理サイトを作ることができます。Ruby on Railsを使用してテキストエディタの機能を容易に実装できるため、Rubyのライブラリを活用して機能の追加がしやすくなります。
WebAPIの開発ができる
Rubyのプログラミング言語を使用して、API機能の開発ができます。サーバサイドで処理するプログラムとしてAPIが挙げられます。
APIとは「Application Programming Interface」の略称で、ソフトウェアの要素同士が互いにデータをやり取りするために使用されるインターフェースの仕様のことです。API機能によって、Webアプリケーションを異なったプログラムから操作することができるようになります。
近年ではAPI機能を仕様したシステム連携により、数多くのシステムが接続され、便利に運用されています。例えば、ECサイトやテレビの番組表などでも、提供されているAPIをプログラムから呼び出すことでデータを取得しています。
スクレイピングができる
Rubyのプログラミング言語を使用して、スクレイピングを行うこともできます。スクレイピングとはインターネットに散在している有益なデータを収集し、加工・整理する技術のことです。ゼロから構築する場合にはコストが多くかかりますが、Rubyであれば「Nokogiri」というライブラリを利用すれば、スクレイピング技術を比較的簡単に開発することができます。
クローラーができる
Rubyではクローラーの実行ができます。クローラーとは、スクレイピングと同様にインターネット上にあるあらゆるサイトや情報を巡回・収集するロボットのことです。検索エンジンで検索結果の順位を決めるためにはクローラーの存在は欠かせません。Rubyは短いコードだけでクローラーが作成・実行できるため、検索サイトの作成も可能です。
ショッピングサイトが作れる
Rubyはオンラインショッピングサイトを開発することもできます。Ruby on Railsのフレームワークを活用すれば開発効率を向上できるため、ユーザー登録・ログイン機能・クレジット決済機能の追加などが可能です。また、商品管理画面や商品登録といったこともRubyで実行できます。
チャットボットができる
チャット上で自動返信するチャットボットもRubyで作成することができます。近年、サイト閲覧者が気軽に問い合わせができる手段としてチャットボットを取り入れる企業が増加しています。チャットボットはLitaというライブラリによって作成可能で、プラグインが開発されているライブラリなため、さまざまな種類のチャットボットに対応可能です。
ビジネスチャットツールであるSlackのSlackボットもRubyで作成できます。
Rubyでできないこと
Rubyのプログラミング言語は汎用性が高く、シンプルな言語であるため、できることが他のプログラミング言語と比較して多いことが特徴です。しかし、Rubyで開発するには向いていないこともあります。ここでは、Rubyを用いて開発するのが適していないことについて詳しく紹介します。
機械学習はPythonが優秀
Rubyのプログラミング言語を使用して、機械学習を行うことも不可能ではありません。しかし、機械学習を行う場合には、RubyよりもPythonのプログラミング言語が適しています。Pythonには、機械学習に活用できる豊富なライブラリがあるため、Rubyを使用するよりもおすすめです。
機械学習を学びたいと考えている方やデータサイエンティストを目指している方などは、Rubyではなく、Pyhonのスキルを磨くことを推奨します。PyhonはRubyと同様でシンプルな文法でできているため、プログラミング初心者でも比較的習得しやすいと言えるでしょう。そのため、RubyとPythonの両方のプログラミングスキルを身に付けるのもおすすめです。
スマホアプリはKotlin・Swiftが主流
スマホアプリも機械学習と同様で、Rubyのプログラミング言語を使用して開発することもできます。
しかし、スマホアプリに向いているプログラミング言語は他にもあります。AndroidアプリであればJavaやKotlin、iOSアプリであればSwiftが挙げられます。そのため、スマホアプリ開発のためにRubyを学習するのはおすすめできません。スマホアプリを将来的に行いたい場合には、適した言語を習得しましょう。
Rubyの特徴
Rubyでできることが豊富にあることは理解できたでしょうか。ここでは、Rubyの特徴について詳しく紹介します。
文法がシンプルで習得しやすい
Rubyは他のプログラミング言語と比較して、文法がシンプルでプログラミング入門者でも習得しやすいのが特徴です。Rubyの開発者であるまつもとゆきひろ氏は、「Rubyの言語仕様策定において最も重視しているのはストレスなくプログラミングを楽しむことである(enjoy programming)」と述べています。
文法の特徴として、プログラミングに使用される記号が最小限なため、短いソースコードでプログラムを組めることが挙げられます。また、日本語や英語に近い文法とも言われており、学習しやすいだけではなく、記述したソースコードが読みやすいという特徴もあります。
前述の通り、Rubyの文法はPythonと似ているため、Rubyのプログラミングスキルを習得すれば、Pythonも身に付けやすくなるでしょう。反対に、Pythonのプログラミングスキルを習得すれば、Rubyも身に付けやすいとも言えます。
汎用性が高い
RubyはWebアプリケーションを中心に、さまざまなWebサービスを開発できる汎用性の高いプログラミング言語です。汎用性が高い理由として、Rubyには数千にも及ぶ豊富なライブラリが用意されていることが挙げられます。
ライブラリを使用すれば、さまざまな機能の開発が少ないコーディングで実装することが可能なため、開発効率の向上や運用コストの削減が期待できます。このように、Rubyのプログラミング言語は汎用性が高く、さまざまなことができるため、プログラミング入門者でやりたいことが定まっていないような方に最適な言語とも言えるでしょう。
Ruby on Railsが便利
Rubyには「Ruby on Rails」というフレームワークがあります。Ruby on Railsを使用すれば、数多くのWebアプリケーションを効率よく開発することが可能です。Rubyが人気の高いプログラミング言語である理由として、Ruby on Railsがあることも挙げられます。
Ruby on Railsを実際に開発に採用したことによって、作業工程を大幅に削減することに成功した企業もあります。
日本語で情報収集がしやすい
Rubyは日本で開発されたプログラミング言語なため、他のプログラミングと比較して、日本語で記載されたWebサイトの記事や書籍などが数多くあります。参考となる情報が多いことは、プログラミング初心者にとってスムーズにプログラミングを学ぶために重要な要素です。
また、実務でもプログラムやシステムに不具合やトラブルが発生した際に、情報収集がしやすいのは、非常に役立つでしょう。
需要が高い
Rubyのプログラミング言語は需要が高いです。需要が高い理由は、汎用性が高いことや文法がシンプルであることから、多くの開発現場で利用されているためです。また、IT技術の急激な発展に伴ってWebアプリケーションの需要がそもそも増加傾向にあることも理由の1つです。
需要が高いことにより、Rubyエンジニアの年収も他のプログラミング言語を使用しているエンジニアと比較して高い傾向にあります。2018年のマイナビニュースにて「プログラミング言語別年収ランキング2018」のデータが公表されており、Rubyの年収中央値は550万円であり、最高年収は1,200万円でした。
【参考】:マイナビニュース
GoやPythonのプログラミング言語と比較すると年収は低めですが、それでもプログラミング言語の中では平均年収が高い位置にあると言えます。また、スキルを磨いていけば年収が1,000万円を超えることも可能です。フリーランスで活躍しているRubyエンジニアも数多くいるため、フリーランスになることで年収アップも期待できます。
Rubyによって作られたサービス5選
ここでは、Rubyによって作成されたサービスを5つピックアップしてご紹介します。ぜひ参考にしてください。
1.クックパッド
Rubyで作成されたサービスで最も有名なサービスに挙げられるのが「クックパッド」です。クックパッドは料理のレシピ投稿サイトで、Ruby on Railsを使用して構築されており、アカウント管理・レシピ投稿・コメント機能などの便利で使いやすい仕様に定評があります。
2.Airbnb
民泊情報サイトとして知られる「Airbnb」も、2008年にRubyで作成されたサービスの1つです。利用者は2億人以上、190か国以上にわたって利用されています。Airbnbはホテルや旅館などを予約するのではなく、一般民家の空き部屋の貸し出しをユーザーとマッチングするサービスです。
また、同社はRubyのスタイルガイドを公開しているため、Rubyを学びたいプログラマーは一読してみましょう。
3.クラウドワークス
さまざまなクリエイターと企業の案件をマッチングするクラウドソーシングサービスである「クラウドワークス」もRubyで作成されています。このクラウドワークスの開発にはRuby on RailsのフレームワークとRubyのシンプルなコード記述が役立っています。また、クラウドワークスではRubyやRuby on Railsについての案件も多いため、Rubyの需要の高さも伺えます。
4.GitHub
プロジェクトやコードのバージョン管理システムである「GitHub」も、Rubyで作成されています。GitHubが通常のオープンソースと異なる点は、SNSに仕立ててオンライン開発が進められることです。ユーザー数は3,000万人以上いるため、規模を問わずにさまざまなサイトを構築できます。
5.Twitter
RubyではSNSの1つである「Twitter」の作成にも役立っています。Ruby on Railsによって実装されたTwitterの機能は、ユーザー管理・ログイン機能・ツイート・フォロー・リプライ・タイムライン・DMなど、ほぼ全てのTwitterの機能を網羅しています。現在はScalaという言語に移行していますが、これだけの機能を実装できるのはRubyならではの特徴です。
Rubyは習得しやすく汎用性が高いプログラミング言語!
これまでに、Rubyでできること・できないこと、Rubyの特徴について解説しました。Rubyとはまつもとゆきひろ氏によって開発されたプログラミング言語であり、サーバサイドの開発に強みをもっている言語です。Rubyでできることは、SNSの開発・WebAPIの開発・スクレイピングなどが挙げられます。
一方Rubyが向いていない分野として、機械学習・スマホアプリの開発が挙げられます。機械学習やスマホアプリを開発したい方は、これらの開発に最適なプログラミング言語を使用するのがおすすめです。
また、Rubyは文法がシンプル・汎用性が高い・Ruby on Railsが便利・日本語で情報が収集しやすい・需要が高いなどの特徴があります。Rubyには数多くのメリットがあるため、やりたいことがはっきりしていない方などはRubyを学習してみても良いでしょう。
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