
基本情報技術者試験の午後試験の内容

基本情報技術者は、ITエンジニアとして働いていく上で必要不可欠とも言われる資格で、毎年約10万人以上の方が受験している資格です。試験は午前と午後に分かれていますが、午後試験の方が難易度が高く苦労したり苦手意識をもっていたりする受験者は少なくありません。ここからは基本情報技術者の概要と午後試験の内容について詳しくご紹介します。
基本情報技術者試験とは
基本情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構である「IPA」が主催している国家試験の1つです。基本情報技術者試験はITエンジニアになるための登竜門の試験とも言われています。午前と午後の2種類の試験があり、両方の試験に合格することで資格を取得できます。
企業の中には基本情報技術者試験の資格を取得することで奨励金をもらえる場合があります。また在籍企業によっては昇格条件である場合もあります。
【参考】:基本情報技術者試験
午後試験の内容
2019年の秋期試験の後から基本情報技術者試験の問題改訂が行われました。午後試験は13問の中から7問解答するところが「11問の中から5問」解答になっています。また「アルゴリズム・プログラム言語分野」の配点が50点と半分を占めています。
さらに「マネジメント系」と「ストラテジ系」の問題が統合されて1つになりました。他にもプログラミング言語の「COBOL」が廃止され、「Python」が追加されました。これらの変更により選択問題と必須問題の配点が大きく変化しました。具体的には必須問題の配点が52点から70点に増加し、選択問題の配点が48点から30点へ減少しています。
情報セキュリティの配点が多くなった理由は、サイバーリスクの増加などからセキュリティ技術が今後の情報社会で求められているためであると予想できます。また「Python」が追加されたのは「AI」や「ブロックチェーン技術」等最先端技術の開発に利用されており需要が高まっているからでしょう。
出題分野は減少したものの合格基準は変わらず得点率60%以上です。これまでと同様に基本情報技術者試験の午後試験に合格するためには、問題を解くスピードと正確さが求められます。なお詳しい試験内容についてはIPAの公式サイトから確認しましょう。
【参考】:試験時間・出題形式・出題数・解答数 【参考】:試験要網・シラバスなど
基本情報技術者試験における午後試験の勉強方法

基本情報技術者試験の問題改訂が行われたことにより、午後試験の対策について不安を感じている方も少なくないでしょう。ここからは午後問題の勉強方法について詳しくご紹介します。
午後試験の勉強方針
2019年秋期試験の後から必須問題であるアルゴリズムと選択問題であるプログラミングの配点が「各25点」と大きくなりました。また必須問題である情報セキュリティも「20点」と他の問題よりも配点が高い傾向にあります。よって「情報セキュリティ」・「アルゴリズム」・「プログラミング」の3つの分野を集中的に勉強することが大切です。
まずは「情報セキュリティ」・「アルゴリズム」・「プログラミング」の3分野で確実に得点ができるようにしてください。この3つの分野に加えて自分の得意分野を定め学習していくことで午後試験合格への道が見えてきます。
午前問題で基礎知識を身につける
午後問題は午前問題の応用問題です。午前試験が合格できない場合、午後試験も合格できないことが多いでしょう。まずは参考書を利用して午前問題に関する基礎知識を徹底的に身に付けてください。その上で苦手分野を重点的に学習することが重要です。
参考書を通して基礎知識を理解できたら過去問に取り組みましょう。基本情報技術者試験の過去問と解答は、IPAの公式サイトからダウンロードできます。過去問で午前試験の合格基準である得点率60%以上を満たすことができたら、午後試験の対策に移るのが良いでしょう。
【参考】:過去問題
読解力と論理的思考力を鍛える
ここからは午前試験に合格できるという前提で進めていきます。午後問題は長文読解問題が多いため、解答するには読解力と論理的思考力が必要です。これらを鍛えるには「新聞や本を読む」ことがおすすめです。
また過去問を繰り返し解くことで問題のクセに気づき、解答スピードを上げることができるでしょう。午前試験では暗記で通用する問題も多くありますが、午後問題は暗記では通用しません。ですが1度コツを掴むことができれば午後試験は攻略することができます。
復習を行い知識の定着をはかる
基本情報技術者試験に限定した勉強方法ではありませんが、テキストや過去問を解いた際に間違えた問題については特に念を入れて復習することが大切です。間違えた理由は何か・足りない知識は何か等を分析し、同じ間違えをしないようにしましょう。
試験に臨む際には「もう間違えない」という意思をもって復習することも大切です。何も考えずに行うよりも目的や意識をもって行うことで、より効果的な復習となり知識の定着が期待できます。
試験講評に目を通す
情報処理推進機構は試験実施後に試験講評を行い、公表しています。基本情報技術者試験の午後試験も同様です。情報処理推進機構のホームページで公開されている講評に目を通すことで、午後試験の解答だけでなく解き方のポイントや問題作成者の意図を知ることができます。
【参考】:過去問題・令和元年度秋期
基本情報技術者試験の午後試験でつまずくポイントの対策方法

ここでは基本情報技術者試験の午後試験で多くの方がつまずくポイントの対策方法について解説します。
時間が足りない
基本情報技術者試験の午後試験では「時間不足で不合格」という方が少なくありません。特に「アルゴリズム」・「プログラミング」に関する問題は難易度も高く、解答に時間がかかります。
原因として「1つの問題に時間を多くかけてしまい時間が過ぎてしまう」・「読解スピードが遅く時間内に解答することができない」などが挙げられます。まずは時間配分を見直してください。午後の試験時間は150分です。時間配分の例を下記に示しました。
あくまでも例なので自分に合った時間配分を事前に決めておきましょう。その際に過去問でデモンストレーションしてみてください。設定した目安の時間を超えても解答することができなかった場合残りの問題に取り掛かることができなくなってしまうため、諦めて次の問題に取り組みましょう。
・情報セキュリティ:20分 ・マネジメント系・ストラテジ系:20分 × 2問 ・アルゴリズム:40分 ・ソフトウェア開発(プログラミング):40分 ・見直し時間:10分
午後試験では「見直しの時間」の確保も重要です。午後試験では時間不足が発生しやすいことから見直しの時間を確保することができなくなり、ケアレスミスの生じる可能性があります。
見直しを行う際のポイントは2つです。まず「氏名」・「受験番号」・「選択問題の箇所」を適切に記載しているかを確認します。例えば選択問題の箇所を間違えてマークしたことで答えは合っていても不正解となり、不合格になってしまいます。
次に、答えに迷ったら問題文と選択肢を再度確認しましょう。もしミスを1問でも見つけることができれば、問題によって配点は異なりますが2点から5点程度の点数を増やすことができます。ただし、解答を修正する場合、明確な根拠をもって変更することが重要です。
アルゴリズム問題の対策
アルゴリズム問題を解くために必要なスキルは「読解力」・「論理的思考力」・「忍耐力」の3つと言われています。問題文を適切に把握し論理的に答えを導き出すことまでできれば、アルゴリズムの問題は解くことが可能です。
アルゴリズム問題を対策するには、アルゴリズム問題への苦手意識をなくすために過去問を自分の力で解くことが重要です。1度は過去問を自力で解き切ってみましょう。この段階では時間を気にする必要はなく、参考書などを用いて問題を解いても構いません。これができれば、アルゴリズムを解くスキルを身に付けていると言えるでしょう。
次の段階ではアルゴリズムの問題に慣れることが大切です。問題に慣れると解くスピードを早められます。そのため、先述した時間不足という問題の対策になります。過去問を何度も解いたり、参考書などを購入してアルゴリズムの問題を多く解いたりしましょう。
繰り返し問題を解くことで慣れが生まれ、解答する「コツ」がつかめるでしょう。「コツ」の習得は問題を解くスピードを上げるために欠かせません。
午後問題は適切な対策が重要!

基本情報技術者試験の「午後試験の内容」や「勉強方法」・「つまずくポイント」について詳しく解説してきました。午後試験は午前試験と比較して難易度が高い傾向にあります。また2019年秋期試験後から問題が改訂されていることに注意してください。
この改訂により「情報セキュリティ」・「アルゴリズム」・「プログラミング」の分野の配点が大きくなっています。そのためこれら分野について特に知識・理解を深めておくことが大切です。
午後試験に向けた勉強を行う際はまず午前試験の問題を利用して基礎知識を蓄え、次に過去問を活用して読解力と論理的思考力を鍛えます。午後試験でよく起こりがちなのが時間不足なので対策として時間配分を事前に決めておきましょう。
またアルゴリズム問題を苦手とする方が多いですが、1度自力でアルゴリズムの問題を解ききってください。そして繰り返し過去問を解くことで問題に慣れ、コツをつかんでいきましょう。
基本情報技術者試験の午後試験は適切に対策を行い戦略を練ることで合格に近づくことができます。
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