統計検定3級とはどんな試験?
データサイエンティストやマーケティングなど、データを扱う職種の重要度が増している今、データ解析に欠かせない統計学に興味を持ち始めた方も多いのではないでしょうか。統計学の技術を示す資格として代表的なものが「統計検定」ですが、それがどのような試験であるか気になっている方も多いはずです。
本記事では、統計検定の中でも2番目に易しい3級について、試験概要・難易度・攻略方法を説明するとともに、資格がどのような職種に活かせるかを紹介していきます。
そもそも統計検定とは
統計検定とは、一般社団法人日本統計学会が認定する統計学に関する民間の資格試験です。2011年に開始された本試験は、「統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験」と定義され、1級・準1級・2級・3級・4級の5段階に水準が分かれています。
1級以外は2022年から、コンピューターを利用するCBT方式に試験が切り替わっており、受験の敷居が低くなっています。
【参考】:統計検定とは
統計検定3級は統計学の入門レベル
統計検定3級は2番目に易しい難易度なだけあって、統計学の入門的側面が強い試験です。試験内容は高校数学修了程度であり、理数系大学を修了した現役エンジニアであれば、難易度も高くはないと言えます。
ただし、統計学に全く触れたことがない、もしくは最後に触れてから相当の期間が経ってしまったという場合は、やや難しいと感じるかもしれません。
将来、データサイエンティストなど統計学を活かせる仕事を目指すのであれば、統計検定3級は手早く基礎を固められるおすすめの試験です。
【参考】:統計検定3級
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統計検定3級の試験概要
具体的に、統計検定3級はどのような試験なのでしょうか。ここからは、試験日や出題範囲、合格率といった試験の概要を紹介します。
統計検定3級の試験日と受験料
統計検定3級は、提携先の株式会社オデッセイ コミュニケーションズが指定する試験会場で受験します。申し込みは随時受け付けていますが、試験日や申し込み期日などは会場によって異なるため、Webサイトで確認してください。
試験はコンピューターによるCBT方式で、受験料は一般価格が6,000円、学割価格が4,000円です。
【参考】:統計検定1級以外|受験の仕方 【参考】:統計検定3級
統計検定3級の出題範囲
統計検定3級の主な出題範囲は以下の通りです。
・データの種類(量的変数・質的変数・名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比例尺度) ・標本調査と実験(母集団と標本・実験の基本的な考え方・国勢調査) ・相関と回帰(散布図・擬相関・相関係数・相関と因果・回帰直線)
いずれも高校数学の知識があれば理解できるものであり、理系大学を修了したエンジニアであれば、比較的勉強はスムーズに進められるでしょう。
一方、統計学に触れたことのない方は、慣れない単語や考え方に苦戦するかもしれません。
試験は前述のようにCBT方式で行われ、60分で選択問題を30問解く形です。数値が細かく、桁数の多い数値の計算問題が出る関係上、電卓を持ち込むことが可能です。
【参考】:統計検定3級
統計検定3級の難易度と合格率
2022年にCBT方式へ移行してからの合格率は公表されていないため、2021年のデータを参考にすると、統計検定3級の合格率は75.6%と分かりました。これは比較的高い水準です。出題範囲が高校修了程度であることから、統計検定の中でも2番目に易しいレベルに位置づけられています。
しかし、合格率の高さに油断はできません。統計学に馴染みのない方にとって、細かい計算を行うことは慣れない作業であり、計算ミスにも注意が必要です。
受験者自体も、統計学という専門分野である関係上理数系出身者が多く、合格率を引き上げている可能性があります。高校数学に苦手意識を持っている方は特に油断せず、しっかりと試験勉強を行った上で臨みましょう。
【参考】:2021年度の統計検定3級
統計検定3級に合格するメリット
統計学の入門的な位置づけの統計検定3級ですが、合格することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
統計学のスペシャリストを目指す足がかりになる
データの収集、整理、分析といった高いスキルが必要な統計学のスペシャリストは、今後も多くの企業で需要が見込まれています。統計検定3級の試験範囲は基礎レベルですが、統計学のスペシャリストを目指す上でも欠かせない知識です。
また、統計検定3級は学習のハードルが低めで、合格の成功体験も得やすい試験と言えます。3級に合格することで、難易度の高い2級や1級といった試験に臨む土台が作れるのは大きなメリットです。
就職や転職で有利になる
統計学の基礎知識が証明できる統計検定3級は、就職や転職の場面でも有利に働きます。近年はDX化の推進、またビッグデータやAI技術の発展により、データ分析がより重要視されています。
そのため、多くの企業で統計学の知識を有するデータサイエンティストやデータエンジニアを必要としています。その様な職種への就職や転職を希望する方にとって、統計検定3級は非常に役立つ資格です。
もしも、統計検定を活かせる仕事を探すなら、自分のスキルに合った企業を提案してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。
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統計検定3級が活かせる職種と年収
ここからは、統計検定3級が活かせる職種とその年収について解説します。
データサイエンティスト
データサイエンティストは統計学が活躍する職種の1つです。AIを駆使したデータ解析に目が向きがちですが、AI開発のベースには統計学の考え方が強く根付いています。そのため、統計学に対する知識や考え方の理解がなければ、優れたAIを開発することは困難です。
統計検定3級では実力が不足しているかもしれませんが、将来的にデータサイエンティストを目指すのであれば、その重要な一歩として役に立つでしょう。統計検定での勉強を活かし、E資格などのAI開発に関する資格取得を目指すのも1つのロードマップです。
製品開発/研究開発
新製品の開発や新規技術の研究においても、統計学の知識を活かすことができます。世の中にない新たな製品や技術を生み出していくにあたり、ターゲットとなる市場を決める企画プロセスで統計学は活躍するでしょう。
また、研究におけるデータ解析においても、統計学なくしては、データが示す真の意味を読み取ることは困難です。
このように、統計学は新製品開発や研究などの上流工程でも利用されるため、上流工程へのキャリアチェンジを狙う方にとっても、統計検定は受験して損のない資格と言えます。
統計検定3級取得者の年収
統計検定3級取得は年収にどの程度影響があるのでしょうか。統計検定3級を活かせる職種の例として、前述した製品開発/研究開発を例にとります。
製品開発/研究開発エンジニアの年収は、「マイナビエージェント職種図鑑」での平均年収は477万円(※2023年9月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)を参考にすると、平均年収593万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、製品開発/研究開発エンジニアは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
数学などの専門的な分野の知識を必要とするエンジニアは、他と比べて高めの年収を期待できます。統計学もその1つとしてキャリアアップに寄与できるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
統計検定3級の勉強時間と攻略方法
統計検定3級について、試験の概要や受験のメリットを説明してきました。ここからは、試験突破のために必要な勉強時間と攻略法を紹介します。
統計検定3級に合格するための勉強時間
統計学を一から勉強する方は、50~60時間程度の勉強時間が必要になると言われます。もしも、1日1時間の勉強時間を確保した場合、1ヶ月半~2カ月程の期間がかかる計算です。
一方、既に統計学についての知識がある方や、仕事で統計学に携わっている方は、内容の復習と試験対策をあわせても、20~30時間程度あれば合格できると言われています。とはいえ、一夜漬けでの合格は難しいので、しっかりと計画を立てて効率的に勉強していきましょう。
テキストで苦手な分野を潰す
統計検定3級は統計学の入門としての位置付けであるため、テキストによる勉強が非常に効果的です。高度な理論や複雑な計算が少ないため、馴染みのない方もつまずき辛く、統計学の基礎を一通り学ぶことができるでしょう。
試験には、電卓が必要な計算問題がいくつか出題されるため、各統計値の計算方法について重点的に学習するとよいでしょう。以下におすすめのテキストを紹介します。
・「改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 データの分析」
本テキストは日本統計学会の公認テキストです。タイトルにある通り統計検定3級に対応しており、試験対策で無駄のない学習を行うことができます。章末の問題が充実しているため、参考書として以上に、問題集としても優れた1冊です。
▪著者:日本統計学会 ▪ページ数:240ページ ▪出版社:東京図書 ▪発売日:2020/02/08
【参考】:日本統計学会公式認定統計検定3級対応 データの分析 (改訂版)
過去問で本番の感覚を掴む
試験範囲の基礎を一通り学び終えたら、試験突破のために次にすべきことは過去問を解くことです。過去問を解くことは、実際に出題された問題を解くことで試験突破に必要な実力が付いているか、確認できる意義があります。加えて、試験時間60分で全ての問題を解き切れるか、時間配分を見極めるという重要な側面もあります。
2022年からCBT方式に移行し、これまでの筆記試験形式の過去問しか存在しない状況ではありますが、過去問を繰り返し解いて、試験の感覚を掴むことは非常に重要です。
過去問は公式サイトでは2021年6月分が公開されていますが、書籍であれば2018年からの試験を解くことができます。
・「日本統計学会公式認定 統計検定 3級・4級 公式問題集[2018〜2021年]」
2018年から2021年の3年間の試験で、実際に出題されたすべての問題が掲載されています。2022年にCBT方式へ移行する前の問題ですが、出題傾向や出題範囲を知るためには有効な書籍です。
▪著者:日本統計学会 ▪ページ数:388ページ ▪出版社:実務教育出版刊 ▪発売日:2021/11/25
【参考】:日本統計学会公式認定 統計検定 3級・4級 公式問題集[2018〜2021年]
統計検定3級でキャリアアップを目指そう
本記事では、統計検定3級の試験概要や難易度レベルのほか、資格を活かせる仕事や勉強方法について紹介しました。統計学はデータを扱う様々な職種で活用されており、統計検定3級はその入門に最適な試験と言えます。
統計検定3級を足がかりにすれば、今後も多くの需要が見込まれる職種へのキャリアアップを目指すことも可能です。
しかし、実際に統計検定3級を取得して、データサイエンティストなどの職種へ転職したいと考えたとき、どのように求人を探せばいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
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