統計検定2級とはどのような試験?

統計検定2級は、5等級ある統計検定の中でもデータを読み解き、ビジネス上の問題解決に活かすことができる実務レベルの知識や能力を客観的に証明する検定試験です。
当記事では統計検定2級の試験概要や難易度、合格に向けた勉強法や活かせる職種について解説していきます。
【参考】:統計検定公式-統計検定2級
統計検定2級で問われる知識
統計検定2級では、微分・積分・総和・確率計算など大学基礎課程レベルの統計学の知識を駆使して問題を解決する能力を中心に問われます。また、高校数学レベルの計算問題も確実に対応できる必要があります。
既に統計検定3級に合格していたり、大学で理数系を専攻していたりする方の場合はその知識を活かして受験の難易度を下げることができますが、統計に初めて触れる方にとっては難易度の高い試験に感じるかもしれません。
統計に詳しくなく、統計検定3級も取得していない方は、まずは統計検定3級の取得を目指すことをおすすめします。
また、資格を活かすためには、統計学の知識を活かせる職種に転職することも重要です。統計検定2級合格をアピールできる職種や求人の見つけ方が分からない場合は、転職エージェントに相談してみるとよいでしょう。
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統計検定2級の概要

統計検定2級は、一般社団法人日本統計学会が認定する統計学に関する民間の資格試験である統計検定試験のうち、大学基礎課程で習得する統計学の知識や、活用の理解度を問う試験です。
【参考】:統計検定公式-統計検定2級
試験の概要
統計検定2級試験の概要は以下の通りです。
▪受験方法:CBT方式 ▪出題形式:4~5肢選択 ▪問題数:35問前後 ▪試験時間:90分 ▪合格水準:60点以上(100点満点) ▪申し込み:オデッセイの申込サイトより行う ▪試験日:試験会場によって異なる ▪受験料金:一般7,000円(税込)、学割5,000円(税込) ▪試験結果:試験直後にレポートが提示される ▪合格証:試験日から4~6週間後に発送 ▪出題範囲:以下のリンク参照
【参考】:統計検定2級 | 統計検定 | Odyssey CBT | オデッセイ コミュニケーションズ 【参考】:統計検定2級範囲
試験には電卓の持ち込みが1台のみ許可されており、四則演算や百分率、平方根などの計算に利用できます。統計検定は計算問題も多く出題されるため、素早くミスなく計算を行うには電卓の利用が有効です。
貸し出しは行なっていないため、忘れずに使い慣れた電卓を持ち込みましょう。ただし、関数機能を持つ電卓は利用できないため、持ち込みの際には注意が必要です。
試験の難易度
試験の合格ラインは100点満点中60点以上です。統計検定2級の合格率は、公式が発表している2023年(CBT方式)の受験データによると49.1%でした。
【参考】:受験者数と合格率(CBT方式)|統計検定:Japan Statistical Society Certificate
統計検定の受験者の中には、統計検定3級の合格者や理数系を専攻している学生、統計を仕事にしている会社員やフリーランスなどが含まれている可能性を考えると、難易度はやや高いと言えるでしょう。
必要な勉強時間
統計検定2級試験は、数学1A・数学2Bの知識や、統計用語の理解と応用、さらに数学知識を基にした計算力です。そのため、合格に必要な勉強時間は、学習経験や知識の有無で大きく異なります。
統計の知識がある場合は20〜30時間程度、統計の知識がない場合は50〜60時間程度、高校数学までの知識の場合は、70〜100時間程度と言われています。
統計検定2級合格者の年収
統計検定2級を取得したエンジニアの年収はどの程度なのでしょうか。主な取得者であるデータサイエンティストを、ITを活用して企業の問題を解決する専門家であるITコンサルタントと仮定して見ていきます。
ITコンサルタントの年収は、「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は512万円(※2024年12月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近いコンサルタントを参考にすると、平均年収928万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、ITコンサルタントは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
エンジニア全体の中でもデータサイエンス分野の需要は、AIやビッグデータのニーズの高まりに伴って、今後も高まっていくと予想されています。専門性もあり、ITエンジニアの平均よりも高い年収が期待できるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2019年12月~2020年5月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
統計検定2級の勉強法

統計検定2級の概要や合格者に多い職種の具体的な年収例を知って、受験を考え始めた方もいらっしゃるかと思います。ここからは、検定合格に向けた実際の勉強法について紹介します。
求められる数学の知識
前述の通り、統計検定2級試験では微分・積分・総和・確立計算など、大学基礎課程レベルの統計学の知識が求められます。
その中で求められる数学の知識は、命題、集合と確率、指数、高次方程式の積分などです。計算問題は数学1A・数学2Bなどのレベルの知識で十分ですが、定義や分析方法の仕組みを理解するには、大学基礎課程レベルの知識が必要です。
三角関数や三角関数の微積分、複素数、数列などの数III・数B・数Cの知識は求められません。
公式テキストを活用する
統計検定では、等級ごとに出題範囲を網羅した公式テキストを発行しており、これを利用することで過不足なく学習することが可能です。まずは学習内容の全体像を掴む目的で、統計検定2級の出題範囲を網羅した公式テキストを一読することから始めましょう。
■改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎 ▪著者:日本統計学会 ▪ページ数:272ページ ▪出版社:東京図書 ▪発売日:2015/12 【参考】:改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎
概要を理解したら、続いて公式問題集や過去問を解いてみましょう。実際に問題を解くことで、試験問題の出題傾向や自分の理解度、苦手分野などが徐々に分かっていきます。
■日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[CBT対応版] ▪著者:日本統計学会 ▪ページ数:204ページ ▪出版社:実務教育出版 ▪発売日:2023/01/18 【参考】:日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[CBT対応版] 【参考】:統計検定公式-過去問題
合格を目指して正答率をアップさせるには、公式テキストを読み解いて問題集に挑戦し、分からない箇所は公式テキストに戻って理解を深める方法が重要です。
これを繰り返すことで少しずつ知識が定着して正答率が高まり、合格に向かって確実に前進できるでしょう。公式テキストや問題集だけでは難解すぎるという場合には、統計学の入門書などから知識を補完すると理解の助けになります。
学習サイトを活用する
統計試験を学習する上で有効な方法として、学習サイトがあります。おすすめの学習サイトは、「統計学の時間」です。学習サイトのメリットとして、情報がうまくまとめられていたり、スマホなどでも閲覧できたりするため、効率的な学習が可能になることです。
「統計学の時間」では統計学に必要な数学の知識についてもまとめられているため、数学が苦手な人にもおすすめです。公式テキストで基礎を固めつつ、こういった学習サイトも併用しながら学習を進めるといいでしょう。
【参考】:統計学の時間 | 統計WEB 【参考】:1-3. 統計学に必要な数学 | 統計学の時間 | 統計WEB
オンライン講座を受講する
「Udemy」などのオンライン講座を受講するのも1つの手段です。4,400万人以上の受講生、6.5万人の講師が存在し、21万件以上の多彩な講座が揃っています。各専門分野のプロが提供する動画講座を購入する形であり、自分が知りたいスキルに特化した講座を選択します。
AndroidアプリやiOSアプリにも対応しているため、使い勝手も良く、スキマ時間での活用に向いているでしょう。
【参考】:オンラインコース - いろんなことを、あなたのペースで | Udemy
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おすすめの参考書

ここでは、公式テキストの他におすすめの参考書を3冊紹介します。テキストと合わせて活用しましょう。
基礎から学ぶ統計学
本書は、初学者の入門書として豊富な図解を用いた参考書です。第1章から順番に読み進めていくことで理解が深まり、練習問題によって知識のアウトプットを行いましょう。巻末には丁寧な解説がついているので、わからない箇所をしっかりとカバーできます。
▪著者:中原 治 ▪ページ数:335ページ ▪出版社:羊土社 ▪発売日:2022/9/13
【参考】:基礎から学ぶ統計学
統計学大百科事典 仕事で使う公式・定理・ルール113
本書は統計学の公式・定理を解説しており、効率的かつ要領良く学習が行えます。項目ごとに想定される統計学のレベルと数式リテラシーに合わせて記述しているため、受験勉強にピッタリの書籍です。
▪著者:石井 俊全 ▪ページ数:328ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2020/7/8
【参考】:統計学大百科事典 仕事で使う公式・定理・ルール113
入門 統計学(第2版) 検定から多変量解析・実験計画法・ベイズ統計学まで
本書は統計学全般を学ぶことができる書籍であり、分析手法について理解を深めたい方や、会社でデータ分析を担当する方におすすめです。例題や演習問題も掲載されているため、体系的に統計学の知識が身につきます。
また、各章で解説されている表や図、章末問題の解答は、圧縮ファイル(zip形式)で提供されており、ダウンロードして利用可能です。
▪著者:栗原 伸一 ▪ページ数:416ページ ▪出版社:オーム社 ▪発売日:2021/7/7
【参考】:入門 統計学(第2版) 検定から多変量解析・実験計画法・ベイズ統計学まで
統計検定2級を活かせる仕事

統計学はさまざまな分野に活かせる汎用的な学問ですが、特に需要の高い職種として、AIエンジニアやデータサイエンティスト、マーケター、コンサルタント、研究者などがあります。
統計検定では、2級以上が履歴書に記載して即戦力として評価されやすいと言われていますが、自分がどの職種に適性があるのかイメージが湧沸かない方も多いかもしれません。
自身の適性を知るには転職エージェントを活用することも有効です。多数の求職者と向き合い、求人企業とのマッチングを手掛けてきた経験から、実際の転職に向けた企業選びやキャリアパスの作り方などのアドバイスを受けることができます。
AIエンジニア
AIエンジニアは、機械学習や画像処理、音声処理、自然言語処理などの技術を用いて、AI開発に関わるエンジニアの総称です。仕事内容に合わせて、機械学習エンジニアやデータサイエンティスト、データアナリストなどに分類されます。
AIエンジニアを目指すには、情報科学や統計学、数学の知識が求められます。AI市場が急速に成長している昨今、需要の高い職種の1つと言えます。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、企業などが抱える膨大なデータを分析・解析したり、データに基づいて今後を予測したり、売り上げ向上やコストの削減に貢献する有益な知見を導き出す職種です。
前述したAIエンジニアの1種であり、データ分析に特化したスペシャリストです。データの分析や解析には統計学の知識も用いるため、相性の良い職種と言えます。
マーケター
マーケターは、市場のニーズを把握して、商品やサービスの売り上げをアップする仕組みを考える職種です。SNSの隆盛によってマーケティング手法は多用化しており、マーケターの需要も増加しています。
市場動向を探るために統計学の知識を活用でき、相性の良い職種と言えます。
コンサルタント
コンサルタントは、自身の専門知識や経験に基づいて、顧客の抱える問題や課題に対する解決策をアドバイスする職種です。経営や業界知識はもちろん、統計学を学んでいるとより説得力のあるコンサルティングが可能になります。
研究職
研究職は、大学や企業、行政機関などに所属して新しい技術や製品を開発したり、事象の解明などを行ったりする職種です。実験や観察によって集められたデータの分析や評価などに統計学を活用します。
統計検定2級を突破してキャリアアップを目指そう

当記事では、統計検定2級について試験概要や難易度、合格するための勉強方法や検定合格を活かせる仕事も紹介しました。統計学はデータを扱うさまざまな職種で活用されており、統計検定2級は実践的な知識の証明として就職や転職に役立つはずです。
しかし、統計検定2級を取得しても、統計学を扱う職種にキャリアチェンジしたい場合は、どのように求人を探し、選考を通過するかという課題が残されています。データサイエンティストなどの専門性の高い求人は比較的数が少ない上、履歴書や面接で求められることも変わってくるでしょう。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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