地方でもITエンジニアとして働けるのか
リモートワークの普及に伴い、ITエンジニアは数ある職種の中でも最も地方移住しやすい職種の1つと言われるようになりました。ITエンジニアとして働く方の中には、都会の人混みから離れ、田舎でゆっくり生活したいと考える方も多いでしょう。
しかし、システム開発や運用、保守を行う大企業の多くは大都市に集中しており、地方でITエンジニアとして働くにはいくつかの壁があるのも事実です。実際、地方のITエンジニアにはどのような働き方があり、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
地方のITエンジニアには3つの働き方がある
地方でITエンジニアとして働くには、主に3種類の働き方があります。それぞれの特徴を解説するので、自分に合った働き方を見つけてみましょう。
地方のIT企業で働く
地方のIT企業には「地方に本社がある企業」と「都市部に本社がある企業」があります。「地方に本社がある企業」に勤める場合は本社勤務となるため、安定性があり、好条件で働ける可能性があるでしょう。
一方、「都市部に本社がある企業」に勤める場合は支社勤務となり、待遇は本社勤務よりも劣る場合があります。もちろん、支社があるような大きな企業ではなくても、ITエンジニアを求める企業は増えており、今後も需要は高まっていくと考えられます。
リモートワークに対応している都市部の企業で働く
地方でもITエンジニアを求める企業が増えているとはいえ、都市部の求人数と比べるとまだまだ少ないのが現状です。そのため、リモートワークに対応している都市部の企業に籍を置いて働くのも1つの方法です。
企業によっては、オフィスを縮小化するためにフルリモートを導入したり、地方エンジニアの採用を積極的に進めたりしているケースもあります。ただし、「週に1回はオフィスへの出社が必要」といった条件がある場合は、住む場所が限定されてしまうかもしれません。
フリーランスとして働く
企業には属さず、フリーランスとして働く方法もあります。フリーランスのメリットは、自分で仕事を選べることです。最近はITエンジニア不足が深刻化しており、フリーランスとして受注できる案件数も増えつつあります。
ただし、フリーランスとして安定した収入を得るには、一定の能力と経験が必要です。例えば、「複数のプログラミング言語を習得している」「5年以上の実務経験がある」など、ITエンジニアとしてのスキルがある方は、フリーランスを選択するのもいいでしょう。
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ITエンジニアの地方移住が注目されている理由
なぜ、近年ITエンジニアの地方移住が注目されているのでしょうか。ここでは、主な理由を4つ紹介します。
リモートワークの普及
感染症拡大によるリモートワークの普及は、地方移住に注目が集まった最も大きな理由と考えられます。これまで、オフィスに通勤しなければできなかった仕事が、リモートワークの普及によって全国どこにいても行えるようになりました。
これにより、場所に縛られない働き方を選ぶ方が増えています。また、リモートワークはオフィスの縮小化による経費削減など、企業にとっても大きなメリットがあるため、今後も普及が進むとされています。
働き方の多様化
最近は従来の固定的な労働形態にとらわれず、自由な働き方を求める方が増えています。例えば、「月に数回出社して、残りは自宅で仕事をする」「1日のうち5時間だけ作業して、あとは趣味の時間にあてる」など、希望する働き方は人それぞれです。
しかし、こういった働き方を実現できる職種は、実際それほど多くありません。そんな中、ITエンジニアはリモートワークの環境さえあれば、比較的自由に働き方を選択できるため、地方移住を選ぶ方が多いと考えられます。
IT業界の人材不足
IT業界は現在深刻な人材不足が叫ばれており、求人数が求職者を上回る売り手市場と言われています。都市部で求人を募ってもなかなか人材が集まらず、地方在住のITエンジニアを求める企業も増えています。
以前は田舎にIターンやUターンをしたいと思っても、仕事を失うリスクが高く、都会に留まるしかなかった方もいたでしょう。しかし、近年は雇用が継続される安心感から、地方移住を決断するITエンジニアが増えつつあります。
地方自治体による支援体制の充実
近年多くの地方自治体が、地域活性化や人口減少対策の一環として、地方移住者に対する支援を強化しています。ITエンジニアに対する支援としては、「コワーキングスペースの提供」「高速インターネットの整備」「空きオフィスの活用」などが挙げられます。
さらに、「住宅建築補助」「子育て支援」「起業相談」など、移住後の生活支援に力を入れる自治体も増えており、こういった支援体制の充実が、ITエンジニアの地方移住を後押ししています。
ITエンジニアが地方で働くデメリット
ITエンジニアが地方で働く際は、いくつかのデメリットがあるのも事実です。移住した後で「こんなはずではなかった」と後悔しないために、あらかじめデメリットをチェックしておきましょう。
求人や仕事の量が少ない
都市部に比べると、地方の求人数や仕事量は少ない傾向です。特に、ITエンジニアが働く大手のIT企業は都市部に集中しているため、地方で自分のスキルにぴったり合う仕事を見つけるのは大変かもしれません。
やりたい仕事が見つかるか不安に感じる場合は、転職のプロがスキルに合った企業を探してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。転職エージェントを利用することで、より効率的に理想の転職先を探せるでしょう。
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新しいスキルを習得できる機会が少ない
IT業界における技術革新のスピードはすさまじく、最前線で働くITエンジニアは日々新しいスキルを身につけなければなりません。
都市部の大企業に勤めていれば、毎日の業務の中で自然と新しい技術に触れ、スキルを習得できるでしょう。しかし、地方の企業では新しい技術に携わる機会が少なく、スキルをアップデートできない可能性があります。
とはいえ、大手企業に属しながらリモートワークで働いていたり、自ら新しい情報に触れるよう努力したりすれば、ITエンジニアとしてキャリアアップすることも可能です。
収入が少なくなる可能性がある
例として、システムエンジニアの年収を見てみると、「マイナビエージェント職種図鑑」での平均年収は431万円(※2024年5月執筆時点)でした。
また、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からSE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)を参考にすると、平均年収593万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニアは企業や業種によって年収にばらつきがあるものの、平均程度〜やや高めの範囲にあると考えられます。
ただし、地方は都会に比べて家賃などの物価が安い分、給料も低く設定されている可能性があります。そのため、都会から移住した場合は、収入が少なくなることもあるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
ITエンジニアが地方で働くメリット
上記のようなデメリットがある一方で、ITエンジニアの地方移住には多くのメリットも存在します。ここでは、主に4つのメリットについて紹介します。
通勤時のストレスから解放される
都市部で働く方は、毎朝満員電車に揺られながら通勤している方も多いでしょう。しかし、地方で働くことで通勤のストレスからは解放されます。
在宅ワークであれば電車に乗り遅れる心配は不要であり、オフィス勤務であっても人が少ないため、都市部のように混雑することは多くありません。通勤は毎日のことなので、苦痛を感じている方にとっては大きなメリットと言えます。
ワークライフバランスが改善しやすい
厳しい納期に追われ、残業や休日出勤で疲弊してしまうITエンジニアも少なくありません。また、職場やクライアントとの人間関係がうまくいかず、ストレスを感じている方もいます。
そういった方は、地方で働くことで仕事とプライベートの線引きができるため、ワークライフバランスも整いやすくなるでしょう。静かな環境で集中して仕事をこなし、終わったら仕事を忘れて趣味に没頭するといった理想的な生活が目指せます。
生活費を節約できる
都会に比べて、地方では生活費を節約できる可能性があります。特に住居費は安く、都市部のマンションと全く同じ間取りや築年数であっても、地方なら半分以下の費用で借りられることもあります。
また、無料で楽しめる場所や施設が多いのも地方の魅力です。先述したように収入が減る可能性があるものの、生活費が低く抑えられることで、より満足度の高い生活が送れるかもしれません。
高度なスキルがなくても採用されやすい
地方の企業では、都市部の大企業のように最新のツールを駆使したシステム開発を行っている企業は少なく、一定のスキルがあればITエンジニアとして採用してもらえる場合があります。
JavaやPHPといった人気のプログラミング言語を習得し、一定期間IT分野に携わったことがある方であれば、即戦力として働ける可能性があります。
ITエンジニアが地方移住を成功させるポイント
地方移住にはたくさんのメリットがあるものの、準備を怠ると後悔することにもなりかねません。ここからは、ITエンジニアが地方移住を成功させる4つのポイントを解説します。
移住の目的を明確にする
まずは、地方に移住する目的を明確にすることが重要です。周りに流されて、「何となく楽しそうだから」といった安易な気持ちで移住をすると、理想とのギャップに苦しむかもしれません。
「どんな生活を送りたいのか」「どんな働き方をしたいのか」という希望を明らかにし、その希望が本当に地方移住によって叶えられるのかを考えましょう。また、今だけでなく10年後、20年後という長いスパンで人生設計を立てることも大切です。
お試し移住制度などを利用して生活してみる
移住したい場所が見つかったら、実際にその土地で生活してみることをおすすめします。気候や風習の違い、近所の人間関係など、実際に生活することで見えてくることもあるでしょう。
自治体が設けている「お試し移住制度」や「体験移住制度」などを利用すれば、僅かな費用で実際の暮らしを体験することができます。本格的な移住を決断する前に、ぜひ地方の暮らしを経験するところから始めましょう。
余裕を持ったスケジューリングを行う
地方移住にはさまざまな準備が必要であるため、余裕を持ったスケジュールを立てる必要があります。移住先で新たな仕事を探そうと思っているのであれば、まずは就職の目途をつけてから移住の準備を始めるのが適切です。
また、今の仕事をリモートワークに切り替える場合も、仕事場の調整やリモートワーク環境を整えるのに一定の時間がかかります。そのため、少なくとも1年前には情報収集を開始し、半年前には仕事や住居の選定を行うようにしましょう。
地方エンジニアに求められるスキルを習得する
同じITエンジニアという求人でも、都市部と地方では求められるスキルが異なる場合があります。都市部の大手IT企業で働くITエンジニアは、クライアントから依頼を受けてシステムの設計や開発を行うことが多いです。
一方、地方の求人では社内のシステムを開発、運用行う社内SEの募集が多い傾向です。企業によっては独自の古いシステムを運用しているケースもあり、最新のツールでは対応できないことも考えられます。
そのため、自分が勤務する企業でどのようなスキルが求められているのかを確認し、あらかじめそのスキルを習得しておくことで、スムーズに仕事を行えるでしょう。
地方のゆったりした環境で楽しく働こう
リモートワークの普及によって、ITエンジニアはさまざまな働き方を選択できるようになりました。これまでのように、毎日オフィスに出社する必要がないことも多く、自然に囲まれた地方でゆったり仕事をしたいと考える方も増えています。
しかし、ITエンジニアが地方で仕事をする際は、求人数や収入面において懸念点があるのも事実です。いくら環境が良くても、理想の仕事に出会えなければ移住が成功したとは言えないでしょう。
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