応用情報技術者試験では過去問分析が重要
応用情報技術者試験で合格を目指すには、もちろん基礎知識は欠かせませんが、過去問で傾向をつかむことも非常に重要です。
本記事では、応用情報技術者試験の概要について簡単に解説した後、過去問の入手場所や内容について解説します。現在、応用情報技術者試験の受験を検討している方や、勉強中の方はぜひ参考にしてください。
応用情報技術者試験の概要
まずは、応用情報技術者試験の概要を理解しましょう。応用情報技術者試験はIPA(情報処理推進機構)が運営している試験であり、基本情報技術者試験の上位試験として位置付けられ、ITに関するより深い知識が求められます。
【参考】:応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
試験の対象者
応用情報技術者試験は、ITを活用したサービスや製品、システム、ソフトウェアの開発に関わる人材が対象です。そのため、ITに関する学習をしている学生や、すでにITの現場で働くエンジニアが多く受験します。
また、先述の通り基本情報技術者試験の取得者が次に目指す試験のため、より高度な知識を求められます。
応用情報技術者試験の合格者は、会社の組織や社会の課題に対して、ITを活用してシステム企画や要件定義が行えることが期待されます。もしくは、システムの構築やサービスの安定的な運用など、実際のITシステムを支える重要な人材としての活躍が期待されています。
ちなみに受験資格に、システムを開発した経験などは求められないため、これからIT企業に転職を検討している方や学生でも試験を申し込むことは可能です。
【参考】:情報処理技術者試験 試験要綱
過去の試験での出題傾向・出題数について
応用情報技術者試験は午前試験と午後試験で分かれていますが、午前試験は基本問題が多く出題されます。また、午後試験では、11問の長文問題から5問を選択して解答し、必須解答問題と選択解答問題があります。午後試験の応用問題は問題文が長いため、集中力や読解力が必要です。
合格を目指すには、午前試験と午後試験の出題傾向を理解して、対策を練らなければなりません。過去問を解きながら、それぞれの試験の傾向をつかみましょう。
【参考】:情報処理技術者試験 試験要綱
試験内容形式・出題範囲
応用情報技術者試験を運営しているIPA(情報処理推進機構)の公式サイトを確認すると、試験の要綱を確認できます。
試験は午前と午後に分かれており、午前は多肢選択式で出題されます。また、午後は記述式の試験が出題されます。具体的な出題範囲は、以下の通りです。
- 経営戦略に関すること
マーケティング、経営分析、事業戦略、ファイナンス、BCP、会計・財務、リーダーシップに関する知識
- 情報戦略に関すること
ビジネスモデル、製品戦略、組織運営、アウトソーシング、業界動向、技術トレンド、国際標準化
- 戦略立案・コンサルティングの技法に関すること
ロジカルシンキング、プレゼンテーション、バランススコアカード、SWOT分析
- システムアーキテクチャに関すること
方式設計、RFP、要求分析、信頼性・性能、Web技術、仮想化、業務知識
- サービスマネジメントに関すること
構成管理、サービスレベル管理、サプライヤー管理、容量・変更管理、リリース、インシデント対応
- プロジェクトマネジメントに関すること
全体計画、スコープ、リソース、チームマネジメント、スケジュール、コスト、リスク、品質、調達、コミュニケーション
- ネットワークに関すること
アーキテクチャ、プロトコル、インターネット、VPN、トラフィック、有線・無線通信
- データベースに関すること
データモデル、正規化、DBMS、SQL、運用・保守
- 組込みシステム開発に関すること
RTOS、省電力設計、センサー、システム設計、特定アプリケーション
- 情報システム開発に関すること
外部・内部設計、テスト、標準化、開発環境、UML、SLCP、特定アプリケーションシステム
- プログラミングに関すること
アルゴリズム、データ構造、プログラミング技術、Webプログラミング
- 情報セキュリティに関すること
セキュリティポリシー、リスク分析、データベース・ネットワーク・アプリケーションセキュリティ、物理的セキュリティ、アクセス管理
- システム監査に関すること
ITガバナンス、監査、プロジェクト管理、アジャイル開発、外部サービス、情報セキュリティ監査、個人情報保護監査
このように、応用情報技術者試験は幅広い範囲から出題されるため、それぞれの出題範囲の知識をしっかり学習する必要があります。また、出題範囲は変更される可能性もありますので、受験する場合はその年度の出題範囲を再度確認しましょう。
【参考】:情報処理技術者試験 試験要綱
合格率について
令和5年度春期の応用情報技術者試験の合格率は、27.5%でした。この結果を見てもわかる通り、決して簡単な試験ではないと分かります。受験を検討している方は、しっかり勉強してから試験を受けましょう。
【参考】:情報処理技術者試験 統計資料
過去問は公式サイトで公開されている
応用情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)で公開されています。過去問は年度ごとにページが分かれていますので、各年次の過去問のページから問題を確認しましょう。
過去問は、問題だけでなく解答例が掲載されています。応用情報技術者試験の午後試験は記述式ですので、公式サイトの解答例も参考にすることをおすすめします。
【参考】:情報処理技術者試験 過去問題
過去に出題された実際の問題
応用情報技術者試験は理解したものの、実際にどのような問題か気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、令和5年度の秋期に実施された試験を一部紹介します。
令和5年度(秋期)の午前試験では、アルゴリズム、データの記述仕様、データ分析に関する出題などがありました。
例えば、「複数の変数を持つデータに対する分析手法で、主成分分析はどれか」という問いや、データを見て、どのアルゴリズムか問われる問題がありました。回答は基本的に4つの選択肢から選ぶ形式ですが、もちろん知識がないと解けない問題のため合格するには試験対策が必要です。
また、午後の試験では電子メールセキュリティ対策に関する記述を読んで、運用上の問題点を述べる問題や、ビジネス戦略策定に関する問題などが出題されました。どちらの問題も、選択肢から正解を選ぶ設問と記述式の設問が用意されており、各領域の深い知識が求められる問題でした。
特に、午後の試験は問題が長文で読み込みに時間がかかるため、慣れていないと制限時間内に全ての問題に着手できない可能性もあります。過去問を解きながら、出題傾向や問題の形式に慣れておきましょう。
試験に合格するためのポイント
試験に合格するためには、出題範囲を中心としたIT知識を身につけるのはもちろん、時間管理や本番の雰囲気に慣れることも重要です。
応用情報技術者試験は年2回しか行われないため、確実に成果を出すためにも全力で試験対策にのぞみましょう。
参考書と過去問で出題傾向をつかむ
応用情報技術者試験に合格するには、まず基本的な内容を理解することが重要であるため、参考書と過去問をしっかり活用しましょう。まず参考書で基礎知識を体系的に理解します。ある程度知識が身についたら、過去問を用いて出題傾向を把握することをおすすめします。
また、教材選びに悩む方も多いと思いますが、参考書を選ぶ際は最新の試験内容を反映していることや、自分が理解しやすい解説をしている本を選ぶのがポイントです。
時間管理
実際に練習問題や過去問を解く際には、時間管理にも気を配りましょう。特に午後の記述式試験では時間管理が重要になります。
応用情報技術者試験の午後試験は、難易度の高い問題が複数出題されます。制限時間内に全ての問題を解き終えるためには、1問あたりに割り当てる時間を事前に決めましょう。そのうえで、予定の時間で解けなかった場合は、次の問題を解くなどの工夫が必要です。
時間配分を決めてから繰り返し過去問を解き、試験の傾向に慣れましょう。
模擬試験を利用
応用情報技術者試験に向けた効果的な対策として、模擬試験を活用するのもおすすめです。
模擬試験を受験すると、試験の雰囲気に慣れたり、自分の弱点を発見したりできます。応用情報技術者試験が実施されるのは、基本的に春と秋の年2回のみです。そのため、確実に合格を目指すのであれば、模試で本番の雰囲気を経験しておいた方が緊張せず試験に挑めるでしょう。
応用情報技術者試験に挑戦しよう
応用情報技術者試験は難易度が高めの試験ですが、過去問などを何度も解いて試験対策を行えば、合格することも可能です。
また、応用情報技術者試験は高度なITスキルがあることを証明する資格でもあるため、転職やスキルアップを目指している方には、特におすすめの資格といえます。
基本情報技術者試験の次のステップとして応用情報技術者試験の受験を検討している方は、ぜひこの機会に試験に挑戦してみましょう。
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