ディープラーニング検定試験とは?
ディープラーニングはAI開発に欠かせない機械学習における深層学習のことです。今、評判のディープラーニングに関するスキル証明となる検定が「ディープラーニング検定」です。ディープラーニング検定は、一般社団法人の日本ディープラーニング協会(以下JDLA)が主催する検定資格です。
ディープラーニングに関する知識を事業に活用する人材向けの『G(ジェネラリスト)検定』(以下G検定)と、ディープラーニングの実装を行う人材向けのE(エンジニア)資格(以下E資格)の2種類があります。
各々の資格は年数回実施されますが、ディープラーニング技術は進化のスピードが速いため、取得時期が一目で分かるように、合格証明書や(合格)オープンバッジには検定資格の実施年と回数を表す記号が「G検定2023 #3」というように付与されます。
この記事では、ディープラーニング検定(G検定とE資格)の概要や試験内容、難易度、資格取得者の年収、エンジニアがG検定を受ける意味、ディープラーニング検定の勉強法、ディープラーニング検定資格を活かせる仕事などについて解説していきます。
ディープラーニング検定の概要
ディープラーニング検定には、G検定とE資格の2種類が存在します。G検定は主にディープラーニングを活用するビジネスパーソン全般を対象とし、E資格はディープラーニングの実装を行うエンジニアが主な対象である点が異なります。ここでは、G検定とE資格について、それぞれの概要や出題内容、難易度を解説します。
G検定の概要
G検定はディープラーニングに関する基礎知識を有し、その適切な活用方法を決定でき、事業に活用する能力、知識を問う検定試験です。試験は1年に3回、Web形式で実施されています。
受験資格には特に制限はなく、誰もが受験可能です。G検定の受験形式は、自宅でのオンライン受験です。試験時間は120分、その間に220問程度の問題を解きます。
G検定資格の有効期限は設けられていませんが、合格証・合格者ロゴには取得年度が「2022 #1」(2022年1回目の意味)のように表示されています。AI分野は日進月歩で発展しているため、定期的に更新することが推奨されています。
【参考】:G検定とは | 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
■ G検定の出題内容 G検定の出題範囲は、AIに関するあらゆる分野に渡っています。人工知能(AI)に関する定義から、AIの歴史、探索や推論の手法、機械学習やディープラーニングに関する手法、ディープラーニングの実装に向けた課題など、広範囲に出題されます。
試験範囲の詳細については、公式サイトのシラバス※で確認しましょう。
【参考】:※G検定とは - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】G検定の試験範囲(シラバス)と例題
■ G検定の難易度 G検定の難易度はどの程度なのでしょうか。公式サイトによれば、合格率は本年度2023年3回目で68.75%であり、比較的高めの合格率です。
問題の形式も多肢選択式で、自宅受験ができることから難易度が高くないと思われがちですが、120分間に220問程度の解答をしなくてはなりませんので、時間配分には注意が必要です。
【参考】:「2023年 第3回 G検定」開催結果
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E資格の概要
E資格はG検定と同じJDLAが主催するディープラーニング関連の検定資格です。AI機械学習エンジニアのスキルを問う試験内容で、エンジニア寄りの検定資格です。AI関連の民間資格としてはよく知られた資格です。
G検定と大きく異なるのは、E資格は会場での受験であること、受験回数が1回少ない年2回であること、出題範囲がAI技術の中でもより専門的かつ理論的であり、AI開発が中心になる点です。E資格は試験時間120分で、出題数は100問、多肢選択式です。
【参考】:E資格とは - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
■ E資格の出題内容 E資格の試験範囲は公式のシラバスで公開されていますが、確率・統計などの応用数学と情報理論、機械学習と深層学習、開発・運用環境に至るまで範囲が大変広いのが特徴です。詳細はシラバスで確認しましょう。
■ E資格の難易度 E資格はG検定とほぼ同じ程度、70%前後の合格率で推移しているため、難易度の低いと思われがちですが、E資格は出題範囲が広く、確率や統計などの応用数学が出題されること、エンジニアとしての知識やスキルが必要となるため、決して難易度の低い試験ではありません。
またE資格には受験資格が設けられており、受験の2年以内に「JDLA認定プログラム」の受講を終了していることが条件です。
【参考】:「E資格(エンジニア資格)2023#1」結果発表(1,112名が受験し、807名が合格) - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】 【参考】:E資格認定プログラム事業者一覧 - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
ディープラーニング検定資格取得者の年収
ここでは、ディープラーニング検定資格を活かせるデータサイエンティストに近い職種である、システムコンサルタントの年収について紹介します。
「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は610万円(※2023年7月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近しい職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、データサイエンティストは一般平均年収よりもやや高めであることが分かります。
データサイエンティストは顧客の抱える課題を、データの分析や統計解析で解決するためのシステムを開発します。 問題解決にも有効な、専門的なAI技術やディープラーニングの知識やスキルを身に付けることで、より高い年収を得られる可能性があります。
また、AI関連の分野は日進月歩で進化していきます。社会や企業から求められるエンジニアであるには、スキルアップを目指して積極的に資格取得などの学習機会を逃さず、最新知識を日々学ぶ姿勢が大切です。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
エンジニアはG検定とE資格どちらを取得するべき?
初めてディープラーニング検定を受験するエンジニアは、どちらを先に受けるのが良いのか、どちらに絞れば良いのか迷うかもしれません。ここでは、エンジニアがG検定を受ける意味について解説をします。
エンジニアがG検定を受ける意味
エンジニアはE検定を受けるものだという見方が一部にあるようですが、ではエンジニアがG検定を受けるのは意味ないことなのでしょうか?エンジニアにとってG検定資格の取得はメリットがないのでしょうか?
G検定試験では、プログラミングやAIを実装するスキルは問われないため、AIエンジニアを目指す人の中には必要性が低いと考える人がいるのかもしれませんが、AIエンジニアを目指すには、ディープラーニングの基礎知識が求められますのでG検定を受ける意味は十分にあります。
実際に2023年3回目のG検定者の職種別合格者※を見ると、研究・開発部門21.18%、情報システム部門22.7%とエンジニア系の方が4割以上を占めています。
G検定は、エンジニアがAIエンジニアを目指す際のキャリアスタートとして有効であり、またAIエンジニアへのキャリアアップ、キャリアチェンジの際のスキル証明としても有効です。以上の理由から、エンジニアがG検定資格を取得する意味はあります。
【参考】:※「2023年 第3回 G検定」開催結果
ディープラーニング検定の勉強方法
ではエンジニア、エンジニアを目指す人がディープラーニング検定の資格を取得するには、どのように勉強をするとよいのでしょうか。ここでは効果的な勉強方法について解説していきます。
公式テキストや問題集を活用する
一般的な試験では過去問を徹底的に解くことが試験対策として有効ですが、ディープラーニング検定は過去問が公表されていません。また各資格試験の過去問を掲載している「過去問道場」でも過去問は見当たりません。
そこで、公式サイトにあるサンプル問題を解くことで、試験問題に慣れる必要があります。最も効果的な勉強方法は、公式が出版しているテキストで徹底的に学習し、市販の問題集で反復学習することです。公式テキストとおすすめの問題集を以下に紹介します。
■ 深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版 G検定を主催するJDLAが監修したテキストであり、出題内容を網羅しており、最適な教材と言えます。ただし、AIとディープラーニングが中心で、機械学習をしっかり習得したい方は、他の教材や問題集を追加した方がよいでしょう。
▪著者:一般社団法人日本ディープラーニング協会監修、執筆者多数 ▪ページ数:404ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2021/4/27
【参考】:深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版
■ 最短突破 ディープラーニングG検定(ジェネラリスト)問題集 第2版 問題集でありながら、解説だけで206ページを割くなど、問題を解いて学べる参考書です。G検定に頻出の「AIの社会実装」、「ディープラーニングの手法」を中心に問題数を増やし、また豊富な図表によって理解しやすい設計になっています。
▪著者:株式会社AVILEN、高橋光太郎、落合達也、渡邉雅也、志村悟、長谷川慶 著 ▪ページ数:412ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2022年8月25日
【参考】:最短突破 ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 問題集 第2版
■ 徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 第2版 E資格の「黒本」とも呼ばれる対策問題集です。全19章からなり、多数の模擬問題を収録しています。問題の正解が丁寧かつ具体的に解説されており、理解しやすいと好評です。認定講座の受講が受験の前提となっていますが、認定講座とセットでディープラーニングの理解を深められます。
▪著者:スキルアップAI株式会社 小縣 信也、斉藤 翔汰、溝口 聡、その他 ▪ページ数:520ページ ▪出版社:インプレス ▪発売日:2021年5月31日
【参考】:徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 第2版
ディープラーニング検定資格を活かせる仕事
G検定およびE資格の試験に合格して資格を取得した後に、その資格を活かせる仕事はなにか、気になるところです。ここではディープラーニング検定資格を活かせる仕事を紹介します。
データサイエンティスト
本資格と直接的に関係のある仕事がデータサイエンティストです。ビッグデータを活用して企業に利益をもたらすことを目的とする同職種では、AIを活用することが必須と言っても過言ではありません。
そのAIを使いこなすには、数学、統計学などの理論知識だけではなくコーディング力も必要です。同職種を目指すのであれば、E資格に加えてG検定資格を取得しておくと、企業から即戦力を有する人材と見られ、データサイエンティストへの道が開けるでしょう。
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機械学習エンジニア
機械学習エンジニアは機械学習に関わるあらゆる分野に携わるエンジニアのことです。具体的には、機械学習に関する調査・研究、機械学習モデルの選択や学習環境システムの設計と構築、データの前処理やAPIの整備など、非常に担当範囲が広いエンジニアです。
機械学習エンジニアはPythonなどのプログラミングスキル、実装技術、統計学や数学知識が求められますが、E資格に加えてG検定の範囲をカバーすることで、AI開発や活用などにおいて主導的な立場に立つことができます。また転職の際には、G検定資格を取得しておくと有利でしょう。
ディープラーニング検定を取得してAI分野で活躍しよう
本記事ではディープラーニング検定を仕事に活かす方法について解説をしてきました。AIの開発、実装のみならず、AIを活用できるエンジニアを目指す方に向けて、ディープラーニング検定の効果的な勉強方法、資格を活かせる仕事を紹介しました。
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