G検定の難易度は低い?
日本ディープラーニング協会が発行している民間資格であるG検定(ジェネラリスト検定)は、自宅受験ができるオンライン試験です。一見簡単そうな試験に思えますが、決して難易度は低くありません。ここでは、G検定の難易度や合格率などについて説明します。
合格率平均60%でも試験難易度は高め
G検定の難易度を高めている要因として、専門性の高い出題分野・幅広い出題範囲・非常に多い問題数などが挙げられます。まず、ディープラーニングやAIといった専門性の高い分野を取り扱っている点です。事前学習が不十分だと問題文を理解することすらできません。
また、同じディープラーニングに関連する部分でも、概要・手法・社会実装など幅広い範囲の知識が必要です。丸暗記するには出題範囲が広く、それぞれの繋がりを意識しながら体系的に学ぶ必要があります。
120分の試験時間で220問の非常に多い問題数をこなす必要がある点も難易度を高めています。自宅受験で調べながら回答できるとは言え、1問に使える時間が数十秒程度です。「わからなければネットで調べれば良い」という気持ちで受験すると、時間が足りなくなるため注意が必要です。
G検定の合格率・合格者の職業
G検定の合格率は2017年の初回から現在まで、50〜70%程度で推移しています。この合格率は、ほかのIT系検定・資格と比較しても高めの水準です。
合格者の業種の内訳としては「ソフトウェア業」「情報処理・提供サービス業」が全体の30%、職種では「研究・開発」「情報システム・システム企画」が全体の35%を占めています。したがって、合格率は高いものの、3割強はすでに実務経験がある人であると言えます。
【参考】:2021年第3回G検定 結果
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G検定とは
ここでは、G検定で問われる知識や試験方法、E検定との違いについて紹介します。
G検定の概要と問われる知識
G検定は「ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する」ものとして、日本ディープラーニング協会が主催しています。2017年からスタートした比較的新しい検定で、毎年3月・7月・11月の3度試験があります。
問われる知識は検定の試験範囲(シラバス)に記載されています。人工知能の概要・動向・問題、機械学習の具体的手法、ディープラーニングの概要・手法・社会実装などに関する幅広い知識が必要です。試験範囲の詳細は、G検定の公式ページから確認してみてください。
【参考】:G検定とは
G検定を受験するには?試験方法は?
G検定の受験費用は、一般で13,200円(税込)、学生だと5,500円(税込)を支払えば誰でも受験できる検定です。G検定申込サイトにアクセスしてアカウントを作成後、受験の申し込みができます。個人・団体で申し込み方法が異なるため、公式ページをチェックしてください。
また、試験時間は120分で、選択問題は220問程度の試験です。オンライン形式の試験なので会場に集まる必要はなく、自宅やオフィスでの受験が可能です。試験日前に試験に使うPCやネットワークの動作確認をしておく必要があります。
G検定とE資格の違い
同じく日本ディープラーニング協会が主催する資格にE(エンジニア)資格があります。E資格はG検定よりも専門性の高い知識が必要で、難易度が高い資格です。ディープラーニングの理論だけでなく、適切な手法で実装する能力を問われるため、実務経験があるエンジニアなどが受験します。
受験資格を「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」としており、日本ディープラーニング協会が認める学習プログラムの受講が前提です。学習プログラムでは、AIや深層学習など、関連するさまざまな分野について学べます。
【参考】:E資格とは
G検定合格に必要な勉強時間
G検定の合格に必要な勉強時間は、およそ30時間程度であると言われています。個人差はありますが、毎日1時間ずつ勉強すれば1か月程度で手が届くイメージです。幅広い範囲の知識を関連付けながら勉強しましょう。
勉強の成果はカンニングペーパーとしてまとめていくことをおすすめします。自宅受験のG検定では、試験中にカンペを確認できます。問題数が多いのですべてを調べながら回答するのは困難ですが、自分で作成したカンペなら効率的に活用できるでしょう。
不合格になってしまった場合
G検定を受験したものの残念ながら不合格になってしまったという人は、2年以内に再チャレンジできるように準備を進めましょう。最後の受験から2年以内の再受験であれば、受験費用が半額になります。諦めずに勉強し直して、早めに再受験することをおすすめします。
なお、再受験時に半額となるのは個人受験の場合です。団体受験では適用されないので注意が必要です。対象者は、過去受験時に利用したIDで再度申し込みを行えば、自動的に半額処理されます。
G検定が役立つ職種とは
ここまではG検定の概要について解説しましたが、ここではG検定が役立つ職種について解説します。G検定が役立つ職種として挙げられるのが、機械学習エンジニアやデータサイエンティストです。
どちらもよく比較される職種ですが、機械学習エンジニアは機械学習アルゴリズムを設計・実装する技術者のことで、ITエンジニアの1種です。主な仕事内容は、機械学習モデルの構築、機械学習サービスの設計や開発、機械学習基盤の構築・運用・保守などがあります。
一方で、データサイエンティストとは機械学習アルゴリズムを使うシステム利用者で、データ分析者・統計の専門家を指します。サイエンス的・エンジニアリング的およびビジネス的な観点で仕事を進めていき、データの収集・分析・加工、レポート作成、業務への組み込みを行います。
データサイエンティストの年収
ここでは、前述したようなG検定が役立つ職種の年収について解説します。年収の参考例として、データサイエンティストの類似職である、システムコンサルタントの年収を紹介します。
システムコンサルタントの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は610万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムコンサルタントは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
システムコンサルタントは顧客の抱える業務上の悩みを解決するために、システムを開発したりサポートを行ったりする職種であり、データサイエンティストなどと同じように、さまざまなデータを取り扱います。
専門的な技術を必要とされるため、平均よりも高い年収が期待できます。また、G検定などの資格を保有することで転職時にも有利に働きやすくなります。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2015年から2016年の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
G検定が意味ないと言われる理由
一部の情報では「G検定は意味のない資格」「G検定を取得しても役に立たない」という意見が見られます。ここでは、G検定に対してネガティブな意見がある理由について紹介します。
ビジネス職向けの資格だから
「G検定は役に立たない」という意見の背景には、G検定がビジネス職向けである点があります。合格者は概要・手法の理解にとどまり、技術を実装できるエンジニアには到底及びません。合格しても即戦力エンジニアではないという文脈で、受験するメリットは薄いという意見が上がっています。
G検定はAI・ディープラーニングについて学び始める入門的な資格と捉え、ゼロベースから学ぶ際の1つの目標として考えると良いでしょう。合格後は、よりエンジニア向けのE検定に挑戦するなど、それぞれのキャリアに沿ったステップアップを検討することが大切です。
カンニングができてしまう試験方式だから
G検定は前述の通り、Web上で行う試験であるため、試験中に分からない箇所を検索したり、参考書で調べたりすることが可能です。また、試験に備えてカンニングペーパーのような要点を書き出したメモが作られることもあります。現状では監視官やカンニング防止システムなどもないため、試験の意味があるのか疑問に思う声が挙がっています。
しかし、そもそもの目的は試験に合格することではなく、スキルや技術を身に付けることです。仮にカンニングのおかげで合格したとしても、実務で能力を発揮できなければ意味がないので、カンニング頼りの受験は推奨できません。G検定の試験に向けて、スキルや技術がきちんと身につくように学習に努めましょう。
G検定を受験・取得するメリット
G検定が意味ないと言われる理由を解説しましたが、当然G検定を受験・取得するメリットはあります。ここでは、どういった部分でメリットがあるのかを紹介します。
ディープラーニングを体系的に学べる
G検定を受験する大きなメリットは、受験に向けてディープラーニングを体系的に学べる点です。難易度が高いとは言えしっかりと学習すれば合格できる試験であるため、ゼロベースで勉強を始めたい人のモチベーションとして役立ちます。これからAI分野に挑戦する人の入門としておすすめです。
基礎知識があることを社内外にアピールできる
G検定を取得するメリットは、ディープラーニングの基礎知識を持っていることを社内外にアピールできます。未だ発展途上のAI分野において、概要や手法を理解している人材はそれほど多くありません。自社のサービスへの深層学習の応用を検討できる人材として重宝されるでしょう。
合格を証明するバッジがもらえる
G検定に合格すると合格を証明するバッジがもらえるため、名刺などに貼って知識をアピールできます。また、任意で合格者用コミュニティにも参加でき、その分野で活躍する人たちとの接点を持てるのも取得するメリットの1つです。転職時にも資格の保有は重要なアピール材料になるので、資格を活かせる企業をマイナビIT エージェントでチェックしてみましょう。
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G検定の勉強方法
G検定合格に向けた勉強法には、いくつかの種類があります。ここでは、学習サイト・書籍・通信講座などの教材について紹介します。
学習サイトを活用する
G検定に限らず、IT系の試験勉強には学習サイトの活用がおすすめです。ネットで検索すると、G検定の模擬問題を公開していたり、スキルチェックテストが行えたりするなど、無料で利用できる学習サイトが多数ヒットします。カフェや通勤途中など、スマホで簡単に過去問を確認できるので隙間時間などを利用した学習が可能です。
書籍を使った独学
G検定は書籍を使った独学で十分合格が狙えます。予備知識の程度にもよりますが、まずは教材を1冊通して勉強してみましょう。教材に迷ったときは、日本ディープラーニング協会が監修しているものがおすすめです。G検定の公式テキストも販売されており、試験向けの学習に適しています。
【参考】:推薦図書
参考程度に、ここでは教材を1冊ご紹介します。
・「深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版」 ディープラーニングの入門書として定評のある参考書です。G検定公式テキストとしても認定されており、多くの受験者が活用しています。豊富な章末問題と分かりやすい丁寧な解説がついているため、G検定受験を控えている方におすすめです。
▪著者:一般社団法人日本ディープラーニング協会 ▪ページ数:404ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2021/04/27
【参考】:深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版
試験対策できる通信講座
効率的に学習を進めたいなら、G検定対策ができる通信講座が便利です。通信教材各社がG検定対策講座を開講しています。講座はある程度の受講料が発生する点には注意が必要ですが、受動的に学べるので、なかなか腰を据えて勉強を始められない人にもおすすめです。
しかし、G検定は書籍の学習だけでも十分合格が目指せるので、まずは推薦図書から1つを選んで勉強してみることをおすすめします。
G検定に挑戦して仕事に活かそう
G検定は、AIやディープラーニングの概要・手法・社会実装などを問うビジネス職向けの民間資格です。専門的かつ幅広い範囲の知識が必要であり、決して難易度は低くありません。ただし、該当分野の基礎的な知識を学習するには、目標資格として良いモチベーションとなるでしょう。
AI・ディープラーニングなどの分野は未だ発展途上ですが、今後急速に社会に浸透していくと予想されます。これからこの分野について学習する人や、現在の自身の習得レベルを確認したい人は、G検定を1つの目標に設定し、挑戦してみてください。
しかし、G検定に合格できても、その資格を活かせるような企業を自力で探すのは困難です。
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