AWSの資格が「意味ない」は本当か?
AWSに限らずIT業界では、資格取得についての意義を問う「意味ない論争」が勃発する場合があります。資格取得を推進する企業を除くと、周りの誰も取得していない資格に挑戦するのは役に立つかどうか判断できずに悩む方も多いでしょう。
この記事ではAWSの資格をキャリアアップにつなげるために、どのように資格を位置付けて勉強すべきか解説していきます。
AWSなどのIT資格を取得する意味合い
AWSの資格の前に、IT資格の傾向を解説します。IT資格には、国家試験として情報処理技術者試験がありますが、資格取得は必須ではないために、軽視される場合もあるかもしれません。周りからの視線を気にしてしまい、断念することもあるでしょう。
ITシステムは複雑なものでも短期間でリリースすることが求められる中、スキルを証明することがクライアントの安心材料になっていることも事実です。クラウドサービスは一層スキルが求められる領域ですので、AWSにおいても資格取得の目的をもって取り掛かり、実力の証明や市場価値を高めることができます。
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AWSの資格はどのようなものか
AWSでは、スキルの難易度を「AWS Certified Cloud Practitioner」という基礎レベルから用意しています。その後職種に合わせてデベロッパー・ソリューションアーキテクト・アドミニストレータ―において、アソシエイト・プロフェッショナルのレベルを設定しています。
さらに細分化されたスペシャリティという専門レベルの認定も提供されます。勉強方法も多様な選択が可能です。これらは現状の業務に最適な認定資格の取得が可能で、さらに将来に向けた準備につながります。
【参考】:AWS 認定
AWS資格が生まれた背景
この数年、DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進され、業務改革も幅広く進んでいます。利用するIT基盤はクラウドサービスが用いられることが増えています。各企業も事業の効率化を図ったり新規サービスを開発したりしています。その仕組みを作るクラウド人材は、市場に一層求められると考えられます。
AWSでは、自社サービスを高品質に実装して運用できるエンジニアを育成すべく、認定資格を提供しています。この市場のニーズにおける認定資格では、役割に応じて前述の通りデベロッパー・ソリューションアーキテクト・アドミニストレータ―に分類しています。
日常の業務を担うエンジニアとしても期待される職種と判断できます。
4つのスキルレベル
前述の通りAWS資格はスキルの難易度に合わせて、基礎レベル、アソシエイト、プロフェッショナル、専門知識の4つに分類されます。各スキルレベルの内容は以下の通りです。
・基礎レベル(Foundational) AWSクラウドの基礎的な理解を目的とした知識ベースの認定であり、クラウドを初めて利用する実務経験なしの非IT職に従事する人でも取得を目指せます。
・アソシエイト(Associate) AWSの知識とスキルを証明し、AWSクラウドのプロフェッショナルとして認定します。クラウドの知識および豊富なオンプレミスでのIT経験があることが望ましいです。初級〜中級レベルです。
・プロフェッショナル(Professional) AWS上で安全かつ最適化された最新のアプリケーションを設計し、プロセスを自動化するために必要な高度なスキルと知識を証明します。2年以上のAWSクラウドの経験があることが望ましいです。
・専門知識(Specialty) 機械学習やセキュリティなどの各専門分野における知識を掘り下げ、アドバイザーとしての地位確立を目指します。各分野のスペシャリストとして活躍が期待できます。
AWS資格一覧
現在、AWS資格は以下の13種類存在します。(2024年3月時点)
一部の専門知識(Specialty)の資格は、2024年4月に廃止される予定です。
【参考】:AWS 認定
【基礎レベル(Foundational)】 ・AWS Certified Cloud Practitioner
【アソシエイト(Associate)】 ・AWS Certified Sysops Administrator - Associate ・AWS Certified Developer - Associate ・AWS Certified Solutions Architect - Associate ・AWS Certified Data Engineer - Associate
【プロフェッショナル(Professional)】 ・AWS Certified Solutions Architect - Professional ・AWS Certified DevOps Engineer - Professional
【専門知識(Specialty)】 ・AWS Certified Advanced Networking - Specialty ・AWS Certified Machine Learning - Specialty ・AWS Certified Security - Specialty ・AWS Certified Database - Specialty(※2024年4月30日に廃止) ・AWS Certified: SAP on AWS - Specialty(※2024年4月30日に廃止) ・AWS Certified Data Analytics - Specialty(※2024年4月9日に廃止)
【参考】:AWS 認定の廃止と開始のお知らせ | Amazon Web Services ブログ
AWS資格の難易度
AWSは認定資格の合格率を一切公表していないため、具体的な難易度の算出は難しいですが、国家IT資格と比較することで、おおよその難易度を図ることができます。
例えば、AWS認定ソリューションアーキテクト - アソシエイト(AWS Certified Solutions Architect - Associate)の場合、IPAの「ITパスポート試験」や「基本情報技術者試験(FE)」に近いレベルとされています。ちなみに2つの試験の合格率はどちらも概ね40〜50%です。
アソシエイトレベルの試験の場合は、難易度は初級〜中級者向けと考えていいでしょう。プロフェッショナルや専門知識レベルになると、基本情報技術者試験の上位資格相当と考えられるため、難易度はさらに上がります。
【参考】:ITパスポート試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
【参考】:情報処理推進機構(IPA)ITパスポート試験Webサイト 統計情報 【参考】:情報処理技術者試験(基本情報技術者試験) 統計資料
AWSエンジニアの年収
クラウドを要件から担当するITコンサルタントの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は512万円(※2024年3月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の高度SE・ITエンジニア(基板設計担当・ITアーキテクト)を参考にすると、平均年収778万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、AWSエンジニアのようなITエンジニアは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
クラウドシステムのような、需要高まるIT業務では即戦力が求められるため、成果に応じた報酬が期待できます。
AWSが認定する、ソリューションアーキテクトはシステム全体、デベロッパーは開発、アドミニストレーターは運用を想定してクラウド人材の職種を分類しています。このようなクラウドに特化した高いスキルが求められる現状では、知識を有する人材である証明として、AWSの資格取得が有効活用できるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
AWSの資格が不要と考える理由
AWSの資格が不要と考えるポイントはいくつかあり、資格取得に向けた準備が進まない方も多いでしょう。つい周りの声に同調してしまい、悩んでいる方も多いかもしれません。具体的なポイントは次のような点が挙げられます。
実務能力が優先される
AWSの資格取得を検討している方は、学生よりも社会人の方が多いでしょう。社会人の場合は自由になる時間が限られており、その時間を使って実務で技量を高めることが多いため、周りの目も実務に長けている人が優秀であると思いがちです。
勉強時間が確保できない
資格取得によくある悩みですが、勉強時間が確保できないためにスキルアップが継続できなくなることがあります。仕事が忙しくなったり、仕事上の付き合いがあったりしますので、強い意志を持続することも厳しいと感じるようです。
AWSに触れる機会がない
クラウドサービスが主流になりつつありますが、なかなかその環境に触れる機会がないこともあります。これでは実務に役立てることは難しいですし、机上のスキルになりかねないと考えてしまうのかもしれません。
AWSの資格取得に踏み切れない具体的な例
AWSの資格取得に踏み切れない方は、悩みながらも最終決断できない場合があります。ついつい先送りしてしまう理由がどこにあるのか、ここでは具体的に考えていきます。
資格自体が重視されない
エンジニアとして実際の技術領域を深く経験していくと、これまでの経験が重視される領域があることも分かってきます。例えば、トラブルシューティングやパフォーマンスチューニングなどは、資格を持っているからと言ってすぐに対応できないことが分かります。
このようなスキルは資格を保有するだけではなく、実務経験とともに対応能力が高まっていくものです。資格取得を最終ゴールに位置付けるのではなく、常にスキルの高みを目指すことが求められます。
AWSの資格には有効期限がある
AWSの認定資格は3年間有効であり、定期的な再認証が求められます。そのため、定期的な自己研鑽が求められます。有効期限切れだと役に立たないのではないかと思われがちです。
有効期間があるから意味がないと考えずに、その資格取得時にスキルが証明されたという事実は変わらない、という考え方が重要です。
【参考】:AWS 再認定
資格取得に費用と時間がかかる
資格取得には取得費用とかけられる時間を天秤にかけ、「コスパ」や「タイパ」で判断してしまいがちです。短期間での費用対効果という意味合いでは、若手エンジニアが気にすることは十分理解できます。
その先の5年後10年後にどのような成果をもたらすかを考えると、時間は元に戻らないことも事実です。この点において、ベテランになる前の受験は将来に繋がる挑戦とも言えます。
AWSの資格取得の達成による成果
AWSの資格取得の結果は、多種多様なキャリア選択の可能性が広がります。自身のスキルアップとしても、希望する仕事を選択するチャンスとしても有効です。
資格取得は採用側の要件でも重視される
クラウドエンジニアなどのクラウド人材は、IT業界のみならず多方面の業種・業態で注目されています。DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進され、利用するIT基盤の中心的な役割を持ちます。
そのため勤務先においても、新規領域としてクラウド活用時に活躍の場が広がります。さらにクラウド人材を求める多くの企業との接点が広がり、より要望に近い職種での活躍の場が得られるでしょう。
クラウド人材は、ITコンサルタントや全体を管理するプロジェクトマネージャーとしても幅広い信頼を得ることができます。
最新の資格に更新することで知識が維持される
AWSに限りませんが、取得資格を活用しどのような成果を得られたのかが重要です。資格取得はゴールではなく、スタートラインに立つ要素としてスキルアップを継続していきます。対外的なスキルが常に証明され、新しい可能性が広がります。
即戦力として役立つ証明は能力レベルが基準に達しているのか、その領域の経験を持っているのかで証明できるものです。取得したスキルは、実務を通じても役立つことが増えていくはずです。
投資した費用と時間に見合う成果と報酬
AWSの資格取得により専門性の高い仕事が任され、さらに幅広い領域をカバーする横断的な仕事にも対応できます。具体的には、新規プロジェクトへの参画や責任ある仕事を担当する機会が増えます。
会社によっては資格取得手当が支給されることもありますし、転職においてはさらに幅広い機会や年収条件などの提示も期待できます。
また、企業のなかには研修制度が整っている場合もあり、未経験から知識をつけながら働くことも可能です。未経験からITエンジニアを目指すなら、自分のスキルにあった企業を探してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。
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AWSの資格はDX推進でさらに注目されるスキルです
ここではAWSの資格について触れてきました。AWSの資格取得自体が目標ではなく、その先に目指すキャリアの可能性が広がることが重要な点です。自身の将来のロードマップを自ら決めることができます。
将来の達成目標が決まったら、キャリアアップに向けた転職として最適な条件を見つけることも必要です。
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