AWSの資格は転職の際に有利になる?
AWS資格とは、クラウドコンピューティングサービスのトップ企業と言われるAWS認定資格のことです。AWSに関する専門知識やスキルを認定する資格であり、資格を取得することでAWSを扱うためのスキル証明となり、自身の市場の価値を高めてくれます。
AWSのクラウドコンピューティングサービスは、政府をはじめとして様々な企業や個人が使用しており、IT社会と言われる今日、欠かすことのできないインフラツールです。そのAWSに関する認定資格は、キャリアアップやキャリアチェンジなどの転職において有利に働くのでしょうか。
この記事では、AWS資格が転職に有利な理由、資格の概要やデメリット・メリット、AWSエンジニアの年収、資格を活かせる仕事、経験者の転職方法などについて解説します。AWSエンジニアとして転職を目指したい方はぜひ参考にしてみてください。
【参考】:アマゾン ウェブ サービス | AWS 【参考】:AWS 認定プログラム | AWS
AWS資格取得はスキル証明となって転職に有利になる
AWS資格の取得は転職の際にスキル証明となって大きなアピールポイントになり、転職を有利に進めることができます。その理由は、以下の2つの点にあります。
AWS技術者の需要が高まっている
AWSのクラウドサービスは世界中で大きなシェアを占め、非常に多くの企業が既にAWSのサービスを利用していたり、利用計画があります。一方で、AWSの利用急増に対してAWSを扱えるエンジニアが不足気味であり、AWSの知識や経験があるエンジニアの需要が高まっています。
AWS資格は実践力の証となる
AWS資格は常に最新技術に基づいて更新されており、また主にAWSサービスを使いこなす技術に重きを置いています。そのため、AWS資格の取得者は即戦力として期待できる知識を有するとみなされ、企業側の期待が高くなります。
AWS認定資格の概要
AWS認定資格は、レベルや分野ごとに資格が設けられ、全部で12種類あります。
具体的には、基礎レベル(ベーシック)1種類、アソシエイトレベル(中級レベル)3種類、プロフェッショナルレベル(上級レベル)2種類の3つのレベルに分けられた6つの認定資格と、より高度な専門知識を証明する6つの専門分野の認定資格が設けられています。
ここでは、AWS認定資格12種類の概要について解説します。認定資格に挑戦する際の参考にしてください。
基礎レベル
AWS資格の基礎レベルとしては、「クラウドプラクティショナー」資格1種類が用意されています。未経験者の方、入門者の方におすすめします。主にIT未経験者やAWSクラウドの基礎知識を必要とする方向けの資格です。AWSクラウドの概念やクラウドサービス、各種用語の理解を深められます。
【参考】:AWS Certified Solutions Architect
アソシエイトレベル
AWS資格の中級レベルとなるアソシエイトレベルには、以下の3種類の認定資格が用意されています。AWSクラウド上で実務を担当したい方におすすめします。
■ ソリューションアーキテクト-アソシエイト(SAA) AWS認定資格の中でも最初に取得する資格として、エンジニアの方におすすめします。この資格取得により、幅広い AWS クラウドサービスと AWSのテクノロジーに関する知識、スキルの証明となります。これにより、ステイクホルダーや顧客とのやり取りにおいて自信を深め、信頼性を高められます。
【参考】:AWS Certified DevOps Engineer
■ アドミニストレーター この資格は、AWS上の管理・運用・デプロイに関する経験者を対象にしており、AWS上で構築されたシステムを管理する上で必要な知識を認定します。
【参考】:AWS Certified SysOps Administrator
■ デベロッパー AWSを利用したクラウドベースのアプリケーション開発ができる知識を認定します。少なくとも1つ以上のプログラミング言語の経験が求められます。この認定資格取得により、AWS上でのアプリ開発、運用に関する知識やスキルの証明となります。
プロフェッショナル
AWS資格の最上位レベルとなるプロフェッショナルには以下の「ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル」1種類が用意されています。AWSクラウドに関するコンサルティングなど主導的なポジションを目指す方におすすめします。
■ ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル ソリューションアーキテクト-アソシエイトの上位資格であり、AWSクラウドとAWS技術に関して高度なスキルと専門知識を有する事を認定する資格です。AWSエンジニアとしてさらにステップアップを目指す人におすすめする資格です。
【参考】:AWS Certified Solutions Architect - Professional
専門知識(スペシャリティ)
AWS資格には以下6つの専門分野ごとに認定資格が用意されています。専門スキルを高め、それぞれの専門分野で活躍を目指したい方におすすめします。
■ アドバンスドネットワーキング ネットワーク業務に関する専門知識を認定する資格です。資格の取得により、AWSクラウドサービスにおけるソリューションの設計と開発、管理に関する専門知識とスキルを証明します。ネットワークエンジニアとしてスキルアップを図りたい方におすすめします。
【参考】:AWS Certified Advanced Networking - Specialty
■ データアナリティクス AWS データレイクやデータ分析サービスに関する専門知識が問われます。この認定資格を取得することで、効率的かつコストパフォーマンスに優れた分析ソリューションをAWS上で設計・構築・維持するスキル証明となります。データアナリスト、データサイエンティストを目指す方におすすめしたい資格です。
【参考】:AWS Certified Data Analytics – Specialty
■ データベース AWSが提供するデータサービスに関する専門知識を問う資格です。AWS上では数多くのデータベースが構築されており、この資格を有することでデータベースに関する専門家として認知されます。この認定資格はデータベースエンジニアを目指す方におすすめします。
【参考】:AWS Certified Database - Specialty
■ 機械学習 主にデータサイエンティスト向けの認定資格です。主にAWS上での機械学習モデルの構築やチューニング、デプロイなどに関する専門知識を認定します。AIエンジニアを目指す方におすすめしたい資格です。
【参考】:AWS Certified Machine Learning - Specialty
■ セキュリティ セキュリティに関する最低2年間の実務経験を持つ人を対象とする認定資格です。セキュリティ資格の取得により、AWSにおけるデータセキュリティの理解、その運用とセキュリティリスクに関する知識を有することが証明される資格です。セキュリティエンジニアを目指す方におすすめの資格です。
【参考】:AWS Certified Security – Specialty
■ SAP on AWS AWS上でERPとして知られたSAPクラウドサービスに関する設計と実装、移行、運用に関する専門知識の証明となる資格です。AWSクラウド上でSAP関連製品を動かすために必要な設計スキル・構築スキル・運用スキルが問われます。SAP製品の経験がある方におすすめします。
【参考】:AWS Certified: SAP on AWS - Specialty
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AWS資格取得のデメリットとメリット、年収など
AWS認定資格試験の種類とそれぞれの概要については理解できたと思います。では、このAWS資格を取得することで、どのようなメリットやデメリットがあるのかについて見ていきましょう。
AWS資格取得のデメリット
クラウドファーストの言われる時代に入り、AWS資格の取得は様々なメリットが期待されますが、最初にデメリットについて確認しておきましょう。
■ 資格認定の期限がある AWSは常に最新の技術によって更新されるサービスです。そのため、AWS資格には3年間という資格認定の期限があります。つまり1度取得した資格でも、3年に1度は再度認定を受けなければなりません。
逆に言えば、この再認定制度があることによってAWS資格の信頼性は保たれ、また資格取得者も常に向上できるという点はメリットと考えられます。
■ 受験費用が高い AWS認定資格試験の受験料は16,500円(税込)です。また、初挑戦の場合は、模擬試験の受験料として2,200円(税込)がかかります。このように資格取得に比較的費用がかかる点はデメリットと言えます。ちなみにAWS認定資格を既に取得している人は、模擬試験費用は無料になります。
また、AWS人材の需要の高まりにより、大手企業ではAWS資格取得に対して受験料の負担や資格手当を支給する企業が増えていますので、そうした企業への転職によって、費用の負担を減らせます。
■ AWS資格は民間資格のため意味ないと言われる 公的資格を重要視する一部の方の中には「民間資格であるAWS資格は意味ない」という意見があります。しかし、クラウド利用の広がりとともに、AWS資格への期待は高まり、その市場価値が高まっている点は否定できません。
AWS資格取得のメリット
AWSクラウドをはじめとして、クラウドサービスの普及に伴って、オンプレミス系インフラエンジニアの「仕事がなくなる」という心配の声が一部にありますが、AWS資格を取得することで、どのようなメリットが得られるのかについて見ていきましょう。
■ 自身の市場価値を高められる AWSエンジニアに対する需要は高まっており、AWS資格を有することで自身の市場価値が上がります。そのため、企業から重宝されたり転職を有利に進めたり、年収をアップできる可能性が高まります。
■ 常に最新の技術に触れられる AWS認定資格は常にバージョンアップされています。そのため、AWS資格へ挑戦することによって、実務に生かせる最新技術を学ぶことができます。
■ クラウドエンジニアとしてのスキル証明になる AWS認定資格はレベルと分野ごとに細分化され、AWS認定資格の取得はそれぞれの分野におけるスキル証明となります。また、AWS認定資格の認知度はクラウド化の時流に乗って高まっており、企業側も安心して採用時の受験者評価を行えるため、転職希望者には有利に働きます。
AWS資格取得者の年収
AWS資格取得者は取得する認定資格により、就く職種はまちまちですが、クラウドエンジニアに近いインフラエンジニアを例に見ていきましょう。
インフラエンジニアに近いと思われるシステム運用エンジニアの年収は、「マイナビエージェント職種図鑑」によれば平均448万円(※2023年3月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT技術スペシャリスト(特定技術「DB・NW・セキュリティ等」)を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システム運用エンジニアは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
インフラエンジニアには様々なキャリアバスがあり、運用・保守などの工程からスキルアップを図って、設計・構築などのスキルや、AWSやAzureなどのクラウドサービスに関する知識やスキルを身につけ、転職を経験することでより高収入が期待できます。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
AWS資格の攻略方法
AWS資格の概要やデメリットとメリット、資格取得者の年収について紹介をしましたが、これからAWS認定資格試験の合格に向けた攻略法について紹介していきます。
AWSブログのガイダンスに従って始める
AWS資格の勉強に関して、AWSは手厚いサポートを行っています。まずはAWSブログの、「AWS 初学者向けの勉強方法 6 ステップ!2022 年版!」にアクセスし、1つずつ確認することをおすすめします。この記事によって、何から勉強すればよいのか、勉強方法なども自ずと分かります。
【参考】:AWS 初学者向けの勉強方法 6 ステップ!2022 年版! | Amazon Web Services ブログ
AWS資格の各コースごとに用意された無料リソース活用
AWS認定資格では、各コースごとに試験勉強に必要な無料リソースを豊富に用意しています。多くのエンジニアの方が最初に受けるとされている「ソリューションアーキテクト-アソシエイト」を例に見てみましょう。
サイトにアクセスすると、無料の「試験ガイド」「サンプル問題」「公式練習問題」「試験対策(デジタルトレーニング)」「ウェビナー」が用意されています。まずはこれらを利用して勉強を進め、練習問題で自身のスキルを判定してみましょう。
【参考】:AWS Certified DevOps Engineer
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AWS資格関連の参考書で学ぶ
AWS資格について本で学びたいというニーズがある方に向けて、参考書を紹介します。AWS資格は様々な分野に分かれますが、ここではAWS入門者向けの参考書と、エンジニアの多くの方が受験するソリューションアーキテクトを中心におすすめの対策本を紹介します。
■ 1週間でAWS認定資格の基礎が学べる本 AWS認定資格に挑戦する前にAWSの基礎を学んでおきたいという方に最適の参考書です。特にAWSに触れたことがない方、AWSに関してしっかり基礎知識を得たい方におすすめします。
▪著者:鮒田文平、相川諒太 ▪ページ数:264ページ ▪出版社:インプレス ▪発売日:2023/3/22
【参考】:1週間でAWS認定資格の基礎が学べる本
■ 改訂新版 徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト アソシエイト教科書[SAA-C02]対応 本書はオールインワンの対策本で、テキストや練習問題、模擬試験から用語集まで全て1冊にまとめられており、効率的に学習ができます。
▪著者:⿃⾕部 昭寛、宮⼝ 光平、菖蒲 淳司 ▪ページ数:256ページ ▪出版社:インプレス ▪発売日:2021/1/8
【参考】:徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト アソシエイト
AWS資格が活かせる仕事
ここまでAWS資格の試験対策について紹介してきましたが、IT経験者がAWS資格を取得することで、どのような仕事に活かせるのかについて見ていきましょう。ここでは、AWSに関係する仕事を担うAWSエンジニアの仕事について紹介します。
AWS上でのシステム設計や構築
これまでオンプレミスで、自社内のインフラやサーバーを利用してシステム設計や構築をするのが一般的でしたが、クラウドの利用が普及したことで、AWS上でのシステム設計や構築のニーズが高まっています。
AWSに明るいエンジニアを社内SEとして募集しているケース、SierやITベンダーがAWSエンジニアを募集しているケースなど、AWSエンジニアに対する需要が高まっていますので、キャリアチェンジの機会は豊富にあると言えます。
AWSマイグレーション
企業が自社で構築、管理しているオンプレミスのシステムをAWSに移行することをAWSマイグレーションと称します。このAWSマイグレーションに関わる求人では、コンサルティングからPM、プロジェクトリーダー、システムエンジニア、インフラエンジニア、プログラマーまで豊富にあります。
AWS運用・監視
AWS上でのシステム設計・開発・マイグレーションの後に発生する業務として、AWS上のシステムの運用と監視があります。AWS責任範囲に関してはAWS側で運用・監視を行ってくれますが、ユーザー責任範囲では夫々の企業や個人がその責任を負います。
このAWS運用・監視業務に関する求人も増加しており、中にはフルリモートでの運用・監視の案件もあります。
AWS上のセキュリティ対策
AWSはクラウドセキュリティに注力していますが、AWSクラウドを利用する側としても自社のシステムセキュリティに万全を期す義務があります。自社システムやアプリの脆弱性や人的ミスにより、情報漏えいやシステム停止を招き、AWSや他の利用者に損害を与える可能性があるからです。
AWSの利用が増えるに従って、セキュリティ対策を行うコンサルタントやセキュリティエンジニアの求人も増大しています。
IT経験者はAWS資格を取得してキャリアチェンジを成功させよう
当記事では、AWS資格の概要、AWS資格取得のデメリットとメリット、年収、AWS資格取得の方法、AWS資格を活かせる仕事などについて紹介しました。AWS資格を活かせる仕事は豊富にあり、取得資格が多ければ多いほどその範囲は広がります。AWS資格はキャリアチェンジに適した資格と言えます。
このキャリアチェンジを成功させるには、自身の希望に適した求人や企業を効率的に見つけ、しっかりとした対策を行う必要があります。しかし、AWSの経験がない方はAWSエンジニアとしての転職に様々な不安があることと思います。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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アドバイザーは企業側の人事担当者と直接連携を取れますので、求人票に載っていない企業情報も確認することができます。残業時間や給与面など、働き方などをしっかり確認の上で応募企業を選んでいくのが良いでしょう。
・資格やプログラミングの勉強をしているけれど、企業が求めるレベルに達しているのかわからない ・スキルアップをして市場価値を上げていける企業の選び方を知りたい ・数多くあるITエンジニアの職種の中で、自分に向いている仕事は何か知りたい
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