スクリプト言語とは
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プログラミングには、スクリプト言語が欠かせないものとなっています。コード開発で用いるプログラム言語の種類は非常に多いため、スクリプト言語といってもはっきりとわからない場合もあるでしょう。ここでは、スクリプト言語の特徴やメリットなどの概要を解説し、代表的なスクリプト言語を紹介していきます。
スクリプト言語の概要
これまでのプログラム言語は、厳密な定義や文法にしたがってプログラミングすることを基本としていました。スクリプト言語は従来は静的であった定義を動的に行い、簡単なコードでアプリケーションソフトウェアを記述し、動作させることができます。
スクリプトという呼び方は、台本や脚本を意味するもので、簡単な約束事にしたがってプログラムを記述できることを指しています。わかりやすく言うと、スクリプト言語は、コードの記述や実行が簡単な汎用プログラム言語の総称です。
スクリプト言語の特徴とメリット
スクリプト言語の特徴は、人間が理解しやすいプログラミング言語であることです。人間が理解しやすい高水準言語であり、動的な型定義などによって柔軟性が高く、メンテナンス性に優れています。このためプログラム言語が学びやすく、学習コストが低減できるメリットがあります。
ちょっとしたツールやウェブアプリを作成する場合は、スクリプト言語は非常に使いやすいプログラミング言語です。
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スクリプト言語のデメリット
スクリプト言語の特徴やメリットに反して、コードの処理が正しいかどうかは実行してみないとわからないデメリットがあります。プログラム言語に不慣れな方は、コードのチェックに戸惑う場合もあります。
コード実行に着目すると、事前に実行コードを生成するコンパイラ言語は高速ですが、逐次コードを処理するインタプリタを用いる場合では、処理に時間がかかる場合もあります。処理を最適化するには、使用するスクリプト言語の特徴を理解する必要があります。
これらのことから、業務システムなどの大規模なコード開発では、安定性を求めるためC言語やJavaなどを用い、スクリプト言語は小規模なアプリ開発の比率が高くなっています。
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スクリプト言語でできること
スクリプト言語は、簡単にコードを記述できるため幅広く用いられています。具体的には、ウェブのフロントエンドからバックエンドのサーバー用まで多様な使い方ができます。小規模なアプリ開発に適しており簡単に作成できることから、ウェブサイトやウェブアプリケーションなどが主な活用領域です。
スクリプト言語を個別に見ていくと、プログラム言語ごとに得意な用途に違いがあるので、詳細は後ほど代表的なスクリプト言語ごとに解説します。
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コンパイラ言語・インタープリタ言語との違い
スクリプト言語とコンパイラ言語・インタープリタ言語は、人間が理解するソースコードをプロセッサが理解する機械語に変換する工程に違いとなって表されます。
コンパイラ言語は、あらかじめすべてのソースファイルを機械語に変換し、オブジェクトやライブラリを実行ファイルに変換します。コンパイラ言語のコード実行は速いものの、事前に静的な定義に厳密に従う必要があり、不便でした。主なコンパイラ言語は、C言語やC++、C#、Javaなどがあります。
インタープリタ言語は、ソースコードを逐次機械語に置き換えます。開発は容易ですが、実行速度は一般的に遅いものでした。主なインタープリタ言語は、古くはBASICやLispなどですが、主要スクリプト言語は、インタプリタ型で実装されています。
スクリプト言語は、機械語に置き換える部分はスクリプト言語ごとに違いがあり、動的にオブジェクトを実行することに着目しています。多くが逐次機械語に翻訳しますが、あらかじめ機械語に置き換える機能がJITコンパイラなどで提供される場合もあるため、開発しやすく実行速度も比較的速い点に違いがあります。
これらのことから、スクリプト言語はコンパイラ言語やインタープリタ言語と完全に一致するものではなく、簡単に開発から実行まで行うことができる別の考え方と捉えるのが正しいでしょう。
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軽量プログラミング言語とは
スクリプト言語を「軽量プログラミング言語」と称する場合もあります。軽量プログラミング言語(LL:Lightweight Language)は、開発の負担が小さいプログラム言語であり、最低限の文法を用いてコード作成ができる言語を指します。
学習コストが低く、扱いやすいことを指した名称ですが、明確に定義が統一されておらず、実質的には汎用スクリプト言語と同義と解釈できます。
代表的なスクリプト言語
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スクリプト言語は、コード開発を簡単に行うことができるため、用途に応じて多数のプログラム言語が登場しています。プログラム言語ごとに特徴を持ち、それを活かした使用が可能です。主要スクリプト言語を一覧にすると、次のように表すことができます。
・Perl ・Python ・Ruby ・JavaScript ・PHP
ここからは、これら代表的なスクリプト言語を主な用途とともに解説していきます。
Perl
Perlは、長い歴史をもつスクリプト言語です。インタプリタでありながら、処理速度が速い特徴があります。文字列処理などが簡単で、UNIXやLinux、Windows、macOSなどで動作します。Perlの登場でモジュール化が進み、コンパイル不要なプログラム言語として、ウェブやCGIなどに数多く利用されています。
Perlは、UNIXやLinuxなどのコマンドラインツールなどにも用いられます。具体的には、テキスト処理のほか、サーバーでのシステム管理やログの処理、処理の自動実行などに用いられます。
【参考】:Perl
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Python
Pythonは、可読性を重視したプログラム言語です。インタプリタ型の高水準言語で、動的な型付けが可能です。汎用性が高いため、統合開発環境(IDE)やコードエディタの多くが、Pythonをサポートしています。
コードの再利用性が高く、多くのライブラリが提供されています。簡単なコードでライブラリーが使えるため、データ処理や分析などのデータサイエンスや機械学習・AIなどに利用されています。
【参考】:Python
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Ruby
Rubyは、Perlを置き換えるべく開発されたスクリプト言語です。インタプリタとコンパイラが提供されています。オブジェクト指向を訴求したスクリプト言語であり、日本で開発されたプログラム言語の代表例です。コードがシンプルなため、変更や修正などの管理がしやすい特徴があります。
PerlやPythonと同様の用途に使用されており、ウェブフレームワークのRuby on Railsは、Rubyで記述されています。
【参考】:Ruby
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JavaScript
JavaScriptは、ウェブの中核となるオブジェクト指向スクリプト言語です。並列処理でマルチスレッドに対応するコードを作成することができます。HTMLやCSSと合わせて、動的なウェブコンテンツを作成します。
JavaScriptでは、実行環境がブラウザ自体に搭載されているという特徴があり、追加でソフトウェアを用意する必要がありません。ECMAScriptとして標準化が進み、ブラウザの互換性を確保したコードが開発できます。
【参考】:ECMAScript
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PHP
PHPは、ウェブアプリケーション開発で使用するプログラム言語で、サーバーサイドの処理を担当する代表的なスクリプト言語です。C言語に近い構文は、弱い動的型付けにとどめて制御しやすく、Javaに近いオブジェクト指向の構文を採用し、学習効果を高めています。
また、PHPはフレームワークやライブラリが豊富な特徴があります。サーバーのデータアクセスなど、CGIによる実行ファイル形式、またはモジュール形式でアクセスできます。
【参考】:php
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スクリプト言語を学ぶには
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スクリプト言語は、汎用性が高くさまざまな学習方法があります。ウェブサイトから学ぶ、学習本を使う、教育サービスを使うなどの学習方法から、希望の方法で知識を高めることができます。知識を吸収することで実践力を高められるでしょう。
ウェブサイトから学ぶ
最初はウェブサイトを活用すると良いでしょう。公式サイトやユーザー会など、多くのサイトが公開されており、サンプルコードなども多数掲載されています。プログラム言語は、海外の情報が多いですが、日本語コンテンツの情報量が多いプログラム言語などから学んでいくのも有効です。
学習本を使う
ウェブサイトから情報を得たら、続いて学習本や参考書を活用すると良いでしょう。ウェブサイトで不明な部分などを重点的に学び、レベルに応じた解説を活用することができます。汎用スクリプト言語は資格試験も盛んであり、資格取得についても参考書や対策本などが有効です。
教育サービスを使う
学習サイトやスクールには、ニーズの高いプログラム言語をさらにレベル別にトレーニングの動画や教材として活用できます。スキルが客観的にわかるので、短期的なスキルアップを目指す方や、試験対策などにも活用することができます。
例えば、学習サイトとしてはProgateやpaizaなどがあり、スクール系ではUdemyなどのオンライン講座も人気です。
【参考】:Progate | プログラミングの入門なら基礎から学べるProgate[プロゲート] 【参考】:環境構築不要!初心者でも楽しく入門できるプログラミング学習サイト【paizaラーニング】 【参考】:オンラインコース - いろんなことを、あなたのペースで | Udemy
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スクリプト言語は目的別に使い分けよう
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スクリプト言語は、用途別に多くの種類が登場しています。使用するアプリケーション開発のフレームワークによっては、使用可能なスクリプト言語が決まっています。そのため、スクリプト言語の特徴を理解し、必要な目的別に使い分けするのがおすすめです。
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