
LPIC-1の勉強時間はどれくらい?

Linuxエンジニアを目指す上で、ぜひとも受験しておきたい試験に「LPIC-1試験」があります。ここでは、「LPIC-1試験」の受験を考えているエンジニアの方に向け、受験する上で知っておきたいこと、必要な勉強時間などについて解説していきます。
そもそも LPICとは
LPICは「Linux技術者認定試験」(Linux Professional Institute Certification)の略称で、Linuxエンジニアとしての技術力を認定する資格です。LPICはNPO法人Linux技術者認定機関のLPI(本部はカナダ)の日本支部が運営しています。
LPICの世界の受験者総数は2018年6月時点で、延べ60万人以上、国内では延べ20万人以上に達しています。 LPICの受験者・合格者が多いことから、「LPIC資格は意味ない」と揶揄されることもありますが、後ほど「LPIC取得のメリット」で述べるように、LPIC資格を取得する意味は十分にありますので、ぜひ積極的にチャレンジをしてください。
LPIC-1とは
LPIC試験は3種類に分かれ、「LPIC-1」→「LPIC-2」→「LPIC-3」と難易度が上がっていきます。ここでご紹介している LPIC-1はLPICの中では初級者レベルの資格です。
LPIC-1の合格率や難易度
LPIによると、日本国内のLPICの累計受験者数は27万4,000人、累計でLPIC-1認定者は65,000人以上、LPIC-2は20,000人以上、LPIC-3は約11,000人と全体合計では9万7千人以上の認定者がいます。 出典:LPIC(Linux技術者認定資格)
すなわち、全体合格率が30%程度であることから、LPIC-1の合格率は50%前後と推計できます。
難易度に関しては、LPIが公表しておらず、合格者、不合格者のブログ記事やSNSの情報から推察するしかありませんが、Linuxを扱える人でも勉強をせずに受験すれば落ちます。LPIC-1の難易度はさほど高くはありませんが、自信がある方でも問題集などで自身の実力を判定し、弱点は補強して万全の準備をした上で受験されることをおすすめします。
LPIC-1の合格点
合格点に関しては、LPIの公式サイトのFAQで公表しています。合格の目安は、800点満点の500点(62.5%)です。 一見易しそうに思えますが、出題の20%は難問や出題範囲外の問題と言われており、確実に合格するには残りの80%の問題で8割近い正答率が求められます。決して侮ってはいけません。
LPIC-1の資格メリット

ここではLPIC-1の資格を取得する意味やメリットについて解説していきます。
LinuxOSはサーバーOSのシェアNo.1
OS(Operating System)と言えば、WindowsやMacをイメージする人が多いと思いますが、実はLinuxOSはサーバー分野ではシェアNo.1のOSです。LinuxはオープンソースのOSで、余計な機能が無く身軽なOSであることから人気があります。直接、Linuxに触れる事がなくとも、Linuxが使えると何かと仕事をする上では有利です。
クラウド活用が進む中でLinuxOSが主流
AWSやMicroSoftのAzureに象徴されるように、クラウド全盛の時代を迎えました。実はクラウド環境でもLinuxを搭載したサーバーが大活躍しています。 これに伴って、多くのエンジニアの皆さんもクラウドと関わる仕事が増えていませんか?クラウドで活躍するエンジニアを目指すには、Linuxの知識やスキルは必須です。
Linuxエンジニアへの近道
Windows系のエンジニアにとって、Linuxは異文化であり、なかなか触れる機会がないかもしれません。しかし、LPIC資格に挑戦することで、自然にLinuxを覚えることができます。教本などを参考にして普段使っているWindowsPCを仮想化し、LinuxをインストールしてマルチOSでPCを利用すればLinuxに馴染めるでしょう。
資格手当や転職で年収アップ
最近、ITエンジニアの不足が深刻化しています。そこでエンジニア確保のためにIT資格手当制度を導入する企業が増えています。LPIC資格手当を設けている企業もあり、レベルによって3,000円/月からレベル3の20,000円/月ぐらいまで支給しています。 こうした制度を上手に利用して、自己のスキルアップを年収アップにつなげることが可能です。
Linuxエンジニア候補を募集している企業もあります。
Linuxのスペシャリストを採用するのは敷居が高い為、育成を前提とした採用方針を取っている企業も多いと言われています。
今はまだ勉強中でも、Linuxエンジニア候補として入社すれば、実務を通してLinuxエンジニアへのキャリアが開けるでしょう。
まずはマイナビITAGENTに無料登録いただいて、キャリアアドバイザーにキャリアや転職に関する相談をしてみてはいかがでしょうか。
LPIC-1の出題範囲

LPIC-1試験の合格には、「101試験」と「102試験」の2つの試験に合格する必要があります。どちらかが満点でも、片一方が基準点に達していなければ合格とはなりません。 2つの試験をほぼ同時に勉強する人がいますが、「101試験」合格後5年以内に「102試験」に合格すれば、LPIC-1資格は認定されますので、まずは「101試験」に集中しましょう。では、それぞれの出題範囲を見ていきましよう。
101試験 出題範囲
LPIC-1 「101試験」ではLinuxの仕組み、コマンドの文法、インフラ全体(仮想マシンやコンテナなど)に関わるLinuxの基礎知識を問う問題が主に出題されます。具体的な出題範囲は以下の通りです。
▪システムアーキテクチャ ▪Linuxのインストールとパッケージ管理 ▪GNUとUnixのコマンド ▪デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準 などです。
102試験 出題範囲
LPIC-1「 102試験」ではLinuxの基本知識の中から、シェルスクリプトやネットワーク・セキュリティなどに関わる知識を問う問題が出題されます。具体的には、
▪シェルとシェルスクリプト ▪インターフェースとデスクトップ ▪管理タスク ▪必須システムサービス ▪ネットワーキングの基礎 ▪セキュリティ
などです。
LPIC-1の試験概要

LPICの試験概要に関して、以下に一覧形式でまとめました。LPICの試験は好きな時に随時受験できるため、自分のペースで勉強できるのが特徴です。
▪対象試験:101試験、102試験の2試験(5年以内に両方を取得) ▪受験料 :1科目16,500円(税込)(2科目で33,000円) ▪試験時間:1科目90分 ▪出題数 :各科目60問 ▪出題形式:CBT方式(コンピューター利用の試験) ▪有効期限:資格の有効期限はない、但し資格の有意性は認定日から5年間 ▪申込受付:随時 ▪申込期限:試験日前日でも会場に空きがあれば申込み可能 ▪試験日 :祝日を除く月曜日~土曜日 ▪試験会場:全国のピアソンVUE認定会場(条件を満たせば自宅受験も可能) ▪合格発表:試験終了後マイページにログインして確認
LPICの試験申し込みは前日でも可能です。また受験も祝祭日を除く月曜日から土曜日まで、いつでも受験できるのは社会人にとってもありがたい試験制度です。
LPIC-1合格のための勉強時間

合格に必要な時間は、個々人の持つ知識やキャリアによって大きく異なるため、一概には言えません。そこで、実際にLPIC-1試験に合格した方のブログ記事などから推測してみました。
概ね、全くのIT未経験者の方では200時間前後、基本的なITスキルがある方では100時間前後、日常的にLinuxを使っている経験者では30時間~50時間程度と見て良いでしょう。ちなみにレベル2の勉強時間は、レベル1の2倍以上、レベル3では3倍から4倍の勉強時間が必要と考えてください。
LPIC-1受験対策の勉強法

LPIC-1は、参考書や問題集、オンライン学習サイトを利用した1~2カ月みっちり勉強すれば、合格するのはさほど難しくはありません。合格者の体験談で共通しているのは、問題集や模擬テストで、全問正解になるまで反復することです。 また苦手な分野を作らない、苦手な分野は理解し体得するまで徹底的に学習することです。
おすすめの参考書や練習問題
1.LPICレベル1 Version5.0対応 /翔泳社/中島能和、 2.LPICレベル1スピードマスター問題集Version5.0対応 /翔泳社/山本道子(プログラミング) の2冊をおすすめします。2冊を繰り返し学習すれば、合格できるレベルに達するでしょう。 合格者の中には、スピードマスターの問題的中率が高く、スピードマスターだけで合格したという体験談もあります。テキストや参考書を1冊に絞り、何度も反復学習するという方法もあります。ご自身の考えに合う方法を選択してください。
LPIC-1の過去問
試験勉強の仕上げ、実力確認には過去問を解くのが適しています。以下のサイトでは、「今日の一題」として日々出題されてきた過去問や模擬問題がまとめられています。ぜひ、試験勉強の成果の確認のためにアクセスして活用してみてください。
オンライン学習サイト
オンライン学習は時間や場所を選ばず、移動中やスキマ時間に手軽に学べるというメリットがあります。『Ping-t』は多くの受験者の方が利用されているようですが、他に『LPICイージス』という学習サイトもありますので、併せて紹介しておきます。
1.『LPICイージス』 『LPICイージス』は、LPIC専門の個人運営Web教科書サイトです。Linux環境構築方法も解説してあるなど、受験者視点の構成はありがたいです。
2.『Ping-t』 『Ping-t』は主にIT系資格の取得を目的としたオンライン学習サイトです。 *有料コンテンツもありますが、最強WEB問題集LPIC Lv1-101(Ver5.0)、コマ問LPIC Lv1-101(Ver5.0)などがアップされており、スマホやタブレットでスキマ時間、移動中に学習するのに適しています。 合格体験記もあり、大いに参考になるでしょう。
ここまで、LPIC-1の勉強時間にスポット当て、LPIC-1の概要や難易度、勉強法などを解説してきました。ご紹介した勉強方法や合格者の体験談などを参考にして、ぜひ効率的、効果的な学習をされ、無事にLPIC-1資格の取得を実現させてください。
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