LPICの難易度
LPICとは「Linux Professional Institute Certification」の略称で、LPIが主催しているLinuxに関する知識や技能を証明するための試験です。LPICには難易度が「LPIC-1」「LPIC-2」「LPIC-3」の3種類あります。ここでは、LPICの試験概要や難易度について詳しく紹介します。
LPICの試験概要
LPICでは全てのレベルにおいて、CBT方式と呼ばれるコンピュータを使用して試験を受験します。試験時間は90分で、受験料は居住国によって価格が異なるのが特徴です。合格率や合格点は公表されていません。
試験の有効期限は5年間で、上位資格を取得したり再受験を行ったりしなければ、資格の認定が取り消されてしまうため注意する必要があります。LPIの認定試験は、自分の都合の良い試験日にテストセンターなどで受験可能です。また試験日の詳細については、ピアソンVUEで確認するのが推奨されています。 ( 参考:https://www.lpi.org/ja/japan-faq )
LPICレベル1(level1)
LPICレベル1には受験条件がないため、誰でも受験できます。レベル1の認定を受けるためには、101試験と102試験の両方に合格する必要があります。ただし両方の試験を同時に合格する必要はなく、片方ずつ受験して合格する方法でも問題ありません。LPICレベル1では、主にLinuxの基本的なシステムの構造や、管理を行う知識が問われます。 ( 参考:https://www.lpi.org/ja/our-certifications/lpic-1-overview )
Linuxの操作に関する実務経験のある方の場合、理解が難しい内容は少ないでしょう。一方Linuxに触れた経験のない方の場合、暗記するだけで、内容をきちんと理解しない状態で受験してしまう方も少なくありません。LPICレベル1程度の難易度であれば、暗記のみで解ける問題も数多く出題されるため、合格できる可能性はあります。これでは実務に役立つスキルが身に付かないため、LPICの資格が「意味ない」と言われる理由の1つとなっています。
今後サーバーエンジニアなどの職種で活躍したいと考えている場合には、実務で役立つスキルを身に付けるために実際にLinuxの環境構築を行い、実機に触れて理解を深めながら学習するのがおすすめです。
LPICレベル2(level2)
LPICレベル2の認定を受けるには、LPICレベル1の認定を受けているのが必須条件です。また201試験と202試験の両方に合格することで、レベル2の認定を受けることができます。こちらもLPICレベル1と同様で、両方の試験を同時に合格する必要はありません。LPICレベル2では、主にLinuxの応用的なシステム設計・構築やネットワーク構成、セキュリティなどの知識が問われます。 ( 参考:https://www.lpi.org/ja/our-certifications/exam-201-objectives )
LPICレベル2はレベル1よりも難易度は高く、実務経験のない方が資格取得するのは比較的難しいでしょう。キャリアアップ転職の場合、LPICレベル2相当のLinuxのスキルを求めている企業も少なくありません。そのためLPICレベル2は、サーバーエンジニアやインフラエンジニアとしてスキルアップしたい方におすすめの資格です。
LPICレベル3(level3)
LPICレベル3の認定を受けるには、LPICレベル2の認定を受けているのが必須条件です。また301試験・303試験・304試験のいずれか1つの試験に合格することで、レベル3の認定を受けることができます。300試験では主にSamba・OpenLDAPや、種類の異なるOSの混在環境に関する知識が問われます。また、303試験は主にセキュリティに関する深い知識が問われ、304試験では主にクラウド技術などの仮想化やクラスタ管理などの可用性に関する知識が問われます。 参考:Linux Professional InstituteLPIC-3混合環境 参考:Linux Professional InstituteLPIC-3セキュリティ 参考:Linux Professional InstituteLPIC-3仮想化と高可用性
LPICレベル3はレベル1やレベル2より難易度が高く、専門的な知識が問われます。そのためレベル3の資格を取得すれば、Linuxに関する専門的なスキルを第3者に証明することが可能です。
LPICと他のIT系資格を比較
LPICには3つの難易度があることは理解できたでしょうか。しかし合格率や合格点は公表されていないため、正確な難易度を把握するのは難しいです。ここでは、LPICと他のIT系資格を比較して紹介します。
LPICとLinuCを比較
Linuxに関する資格はLPICの他に、LinuCという資格があります。LinuCとはLPI-Japanが運営する試験であり、2018年より提供が始まりました。LinuCはLPICと同様で、難易度は3つのレベルがあります。また再認定ポリシーとして有意性の期限が設けられており、期限は5年間です。LinuCとLPICは難易度や試験内容は似ていると言われているため、LinuCはLPICの受験を考えている方にとっても参考になるでしょう。
LinuCでは勉強時間の目安が公開されており、レベル1では1カ月~3カ月、レベル2では3カ月~半年、レベル3では半年~1年間とされています。 ( 参考:https://linuc.org/linuc/levels.html ) また、LInuCはLPICと同様で合格率や合格点は公表していませんが、LinuCの公式サイトのよくある質問によると、合格点の目安は65%~75%程度とされています。 ( 参考:https://linuc.org/faq/ )
LinuCは日本市場に特化した資格、LPICは国際的に有用性が認められている資格という違いがあります。そのため今後海外で仕事したいと考えている方は、LPICの受験がおすすめです。
LPICと基本情報技術者試験を比較
基本情報技術者試験とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の主催する国家資格の1つです。IPAの主催する情報技術者試験は難易度がレベル1〜レベル4までに分類されており、基本情報技術者試験はレベル2に位置します。なおレベル1はITパスポート試験、レベル3は応用情報技術者試験、レベル4はプロジェクトマネージャ試験やデータベーススペシャリスト試験などです。
基本情報技術者試験は、ITエンジニアに必要なITに関する幅広い基礎知識が問われます。また、アルゴリズムやプログラミングに関する問題も出題されるのが特徴です。試験日は上期と下期の年2回で、午前試験と午後試験の両方で60%以上の得点率を取得すれば、合格することができます。合格率はIPAの公式サイトの統計情報によると、25%程度であり、比較的難易度が高い試験と言えるでしょう。 ( 参考:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/_index_toukei.html )
基本情報技術者試験はLPICとは異なり、有効期限はありません。LPICではLinuxに特化した専門的な試験であるのに対して、基本情報技術者試験ではIT用語・セキュリティ・ネットワーク・データベース・経営・マネジメントなど様々な知識が問われます。
そのため、Linuxの実務経験者はLPICレベル1の方が難易度は低いと感じる可能性もありますが、未経験からエンジニアを目指す場合は、基本情報技術者試験でITエンジニアとしての土台をまず固めるのがおすすめです。
LPICの勉強方法
LPICは暗記問題も数多く出題されるため、参考書で用語やコマンドなどをきちんと覚えるのが大切ですが、暗記のみでは実務で役立つスキルは得られません。そのためLinuxの操作環境を構築して、実際に実機でコマンドを実行するなど、検証しながら勉強すると効率よく学習することができます。
また、勉強サイトを活用するのもおすすめです。例えば「Ping-t」という勉強サイトがあり、無料登録をすればLPICレベル1の101試験を対策することができます。さらに有料登録をすれば、LPICの全てのレベルを対策することが可能で、問題数の豊富さが特徴です。参考書等で体系的な知識を習得した後に、アウトプットするために学習サイトを利用するのがおすすめです。 ( 参考:https://ping-t.com/ )
他にも動画やスクールなど様々な方法でLPICの対策はできるため、自分に合う方法で効率よく勉強しましょう。
LPICの難易度の特徴を把握して適切な対策をしよう
これまでにLPICの試験概要・難易度・勉強方法の解説や、LPICと他のIT系資格との比較を行いました。LPICとはLPIが主催しているLinuxの知識や技能を証明するための資格試験です。LPICには3つのレベルの難易度があり、暗記で解ける問題も多いため、実務経験のない方でも参考書や勉強サイトなどできちんと対策を行えば、LPICレベル1を合格するのはそこまで難しくないでしょう。
またLinuxのスキルを測る試験として、LPICの他にLinuCがあります。難易度や試験内容は似ていますが、LinuCは日本市場に特化した資格であるため、海外で活躍したいと考えている方はLPICを受験するのがおすすめです。
エンジニア未経験であれば、LPICに挑戦する前に、基本情報技術者試験を受験し、ITに関する体系的な知識を習得してください。そしてLPICの受験対策をする際は、実務に役立つスキルを身に付けるためにもLinuxの操作環境を用意するようにしましょう。
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