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ITエンジニアの皆さんは、「ITパスポート」についてよくご存じでしょう。実際にITパスポートの資格を取得した方も多いと思います。この記事では、ITパスポートの資格取得を検討されている方や、取得はしたものの、その資格をどう活かせば良いのか分からないという方の疑問にお答えしていきますので、ぜひ参考にしてください。
ITパスポートは2009年に試験が開始された人気の高い国家資格で、2020年までの受験者は累計で100万人を超えています。また、2019年度の受験者約10万4千人の内、IT企業従事者は2万7千人、非IT企業従事者は3万8千人、学生が4万3千人と、非IT系企業からの受験者がIT系を上回っている点も見逃せません。昨今のDX化の流れが大きく影響している可能性があります。
ITパスポートは、情報処理技術者試験の中では入門編として位置付けられています。このITパスポートが誕生した2009年より以前は「初級システムアドミニストレータ試験(初級シスアド)」があり、ITパスポートはその後継資格と言われています。初級シスアドはユーザー側のシステム推進リーダーを対象者としていましたが、内容が基本情報技術者の内容と重なっており、どちらかと言えば基本情報技術者試験への踏み台的位置にありました。それは主催者側の意図とは異なり、こうした事から初級シスアドはユーザー側のITパスポートと基本情報技術者とに分かれて消えていったと見られています。
合格率のみで判断するのは早計かもしれませんが、平均合格率は約50%とIT資格の中では最も合格率が高い資格試験であり、難易度は高くないと言えます。とはいえ、勉強は必須です。試験を甘く見て、勉強をせずに受験して落ちたITエンジニアもいるようです。出題内容は決して易しいわけではなく、普通に受験勉強をすれば通りやすい試験ですが、勉強をしていないと合格できない試験です。
ITパスポート試験の試験時間は120分で、4肢択一式の問題が計100問出題されます。出題分野は「ストラテジ系(企業と法務・経営戦略・システム戦略)」が約35問、「マネジメント系(開発技術・プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント)」が約20問、「テクノロジ系(基礎理論・コンピュータシステム・技術要素)」が約45問です。出題範囲の詳細は公式ホームページで確認してください。
ITパスポートを受けた方が良い人は、ITパスポートを取得することでメリットを得る人です。例えば、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーの方がITパスポート資格を取得しても得るものは少ないでしょう。
ITパスポートの資格を取得してメリットを得られる人は、以下の通りです。
1.ITに関して、常に部下や周囲に頼っている人
2.ITに関わる取引先との商談や社内会議に関わる人
3.資格取得で手当がもらえるなど、処遇が良くなる人
4.新たにリスクマネジメント部門や監査部門に配属された人
5.非IT系出身だが、IT系部門のマネージャーを任された人
上記以外に、ITエンジニアの方でも1から体系的にITの基本を学びたいという人には最適の資格試験です。
ITパスポートは資格取得のハードルが比較的低い試験ですが、資格取得にはいくつかメリットがあります。では、その反対のデメリットもあるのでしょうか?ここでは、ITパスポートのメリットとデメリットをまとめました。
1.国家資格のため認知度が高く安心 ITパスポートはITの基礎知識があることの証で、就職や転職の際に有利であり、また取得したITパスポートの資格は一生保証されます。
2.ITの基本的な知識が身につき仕事でも活かせる 企業のIT化が急速に進んでおり、ITパスポート取得で得た知識を仕事に活かせる機会が増えています。
3.上位資格取得への第一歩となる IT系の公的資格は数多くあり、ITパスポートの資格取得は上位資格取得に向けた足掛かりになります。
4.資格取得に補助金や手当が支給されることがある 大学や専門学校ではITパスポートの資格取得を推奨しているところがあり、学費の一部免除の優遇措置を受けられます。企業でもITパスポート資格取得に対して手当などを出す企業も増えています。
5.就職や転職に有利な場合もある ITパスポートなどを取得している学生はITの基礎知識がある、自己啓発に熱心であるとの好評価を得やすく、就職や転職に有利に働くことがあります。
ITパスポート資格を取得することのデメリットは、基本的には無いと言えます。ただし、IT業界でエンジニアが転職する際に、保有資格が「ITパスポート」だけだとあまり有利に働かない場合があります。年齢や経験との兼ね合いもありますが、企業によっては「レベルが低い」と見なされてしまう可能性もあるので、ITパスポート資格取得で満足せず、上位資格に積極的にチャレンジした方が良いでしょう。今後もITエンジニアとしてスキルアップを目指す方は、ITパスポートを通過点として捉え、基本情報技術者・応用情報技術者、あるいは他の高度情報資格の取得を目指しましょう。
資格と年収の相関関係は少なからずあると言えます。IT業界では職種と年収に相関関係があることは明らかですが、希望する職種に就くには専門スキルが必要であり、資格取得はスキルを証明するための手段となります。ただし、残念ながらIT職種でITパスポート資格が活かせる職種はありません。
ITパスポートは、大学で言えば一般教養に該当し、ITパスポート資格自体には特別なステイタスがあるわけではないので、「ITパスポートの取得=年収アップ」は難しいです。しかし、ITパスポートをITエンジニアの登竜門と考えれば、ITパスポートが将来の年収アップへの足掛かりになる可能性は否定はできません。
一部の企業では、資格取得に対して受験料負担の名目で一時金や手当を出すところもあります。以下は、資格手当を制度化している企業の例です。
株式会社ティーエーシー 一時金10,000円資格手当24,000円/年
株式会社エフ・アイ・ティ 一時金10,000円、手当36,000円/年
こうした企業では、ITパスポートを(公的)資格取得のファースト・ステップと考え、一時金や手当を支給しています。このような制度によって社員のモチベーションが高まり、会社全体のレベルアップに繋がるので、会社の信用アップや受注増加などの副次効果が期待できます。
「ITパスポートなんて素人が受ける試験」「ITパスポートはいらない」と考えるITエンジニアの方も少なくありません。実際、ITパスポートの試験の過半数はITの知識が無くとも解ける問題です。しかし、ITは設計やプログラミングだけではありません。マネジメント・経営・法務などに関わる知識が求められます。ITパスポートではそうした関連知識が問われますので、ITエンジニアの方が勉強もせずに受験すれば、ほぼ間違いなく落ちるでしょう。ITパスポートは、ITエンジニアを目指す方にとって必要な知識を得る機会を与えてくれると言えます。
ITパスポートにはマイナスな噂や偏見があります。誰でも少し勉強すれば簡単に合格できる試験だと思う人は少なくありません。しかし、前述した通り、ITパスポートは経験の少ないITエンジニアが勉強をせずに受験すれば、高い確率で不合格になる決して易しい試験ではありません。むしろ、ITエンジニアとして成長をしたい人にはぜひ受験して欲しい資格です。
ITパスポートとMOS(Microsoft Office Specialist)はどちらも人気の高い資格ですが、どちらを選択すれば良いのか迷う人もいるでしょう。両者を端的に説明すると、
・ITパスポートはIT全般に関する資格で、対象者はエンジニア系、ITサポート系が主であり、
・MOSはOffice製品の取り扱い資格で、対象はオフィスワーカー、ITサポート系です。
この記事をお読みの方であれば、ITパスポートの受験をおすすめします。
ITエンジニアとして、ITパスポート資格とどう向き合えば良いのか、どう活用するのかという点について考えてみましょう。
「ITパスポート」ではIT以外の知識が求められ、それらを身に付けることでITエンジニアとしてのスキルの幅が広がります。経営・法律・コンプライアンス・セキュリティなどの知識を学ぶことで、初級エンジニアから中級エンジニア、プロジェクトのサブマネージャーへと活躍の範囲が広がります。むしろ、ITエンジニアにとって「ITパスポート」は取得しておくべき資格の1つと言えるでしょう。
ITエンジニアにとっては、「ITパスポート」の取得はゴールではなく、スタートラインです。「ITパスポート」を取得しても優秀なITエンジニアとしての証明にはなりませんが、次のステップへの足掛かりになります。「ITパスポート」を取得したら、次は「基本情報技術者試験」を目指しましょう。難易度は「ITパスポート」より上がりますが、出題範囲は「ITパスポート」で学んだことが活かせる内容が多くあります。
将来のキャリアパスをしっかり描き、一歩ずつ着実にステップアップされることを期待しています。
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