フィールドエンジニアとサービスエンジニアに違いはない?
エンジニアには約20種類の職種があると言われています。「システムエンジニア」「テクニカルエンジニア」という職種は聞いたことがあっても、「フィールドエンジニア」についてはいまいちイメージが湧かない、という方が少なくないのではないでしょうか?
特に、フィールドエンジニアとサービスエンジニアは同じ職種なのか異なる職種なのか、違いが分かりにくいのが実情です。さらに、求人情報には「フィールドエンジニア」「サービスエンジニア」「カスタマーエンジニア」「サポートエンジニア」といった職種が並び、ますます混乱してしまいます。
そこで、この記事では明確なキャリアプランを持てるように、曖昧になっているエンジニアの職種概念を整理して解説します。
両者を合わせてフィールド・サービスエンジニアと呼ぶ
フィールドエンジニアとサービスエンジニアを分けて定義する必要性はありません。両者はほぼ同じ職種ですので、「フィールドサービスエンジニア」の呼称に統一するのが適切でしょう。この記事では、以降「フィールド・サービスエンジニア」に統一して表記します。
強いて違いを挙げるなら
「フィールドエンジニア」と「サービスエンジニア」はほぼ同一の職種であり、フィールドエンジニアはサービスエンジニアとカスタマーエンジニアの総称と考えてよいでしょう。
フィールドエンジニアは製品導入全般の顧客サポートを行います。一方で、サービスエンジニアはフィールドエンジニアの中でも、特に顧客に近しく、製品の設置や保守、設置した後のアフターサポートに加え、営業に同行して営業支援的な動きをする場合があります。
強いて両者の違いを挙げるとすれば、サービスエンジニアはフィールドエンジニアの中でも営業支援の要素を持ったエンジニアという点です。
フィールド・サービスエンジニアはどんな職種?
ここからは、フィールド・サービスエンジニアが具体的にどんな職種なのかについて、仕事内容や年収といった面から説明します。
フィールド・サービスエンジニアの仕事内容
まずは、フィールド・サービスエンジニアの仕事について確認しておきましょう。
フィールド・サービスエンジニアは自社の製品を利用するクライアントに出向き、自社製品の設置やサポート、故障などの修理やトラブルの解決、定期保守などを行います。
また、時には製品の操作や取扱い方法を説明したり、新しい製品の紹介を行ったりすることもあります。対象製品は半導体製造装置、産業機器、医療機器、OA機器、FA機器、各種ソフトウェアなど多岐に渡ります。
フィールド・サービスエンジニアの年収
製品のサポートを行うテクニカルサポートの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は310万円(※2023年6月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からIT保守(顧客向け情報システムの保守・サポート)を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、一般的なテクニカルサポートの年収は調査媒体によってバラつきが大きいことがわかります。
ただし、上記はサポート業務のみを行うテクニカルサポートの年収ですが、フィールド・サービスエンジニアの業務範囲はそれよりもかなり広くなるため、年収も高くなる可能性があります。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
フィールド・サービスエンジニアが「きつい」「やめとけ」と言われる理由
フィールド・サービスエンジニアは、一部から「きついからやめとけ」という声が聞かれます。
理由としては覚えることが多い上に、顧客先で何かトラブルが起きたときはすぐに駆けつけなければならないことが挙げられます。故障をすぐに直せないと、顧客からクレームが来たり、残業でなかなか帰れなかったりする可能性もあります。
ミスが許されない仕事でもあるので、精神的にきついと感じる方がいるのも事実です。しかし、一方で顧客から感謝されることも多く、仕事の成果を直接肌で感じられる点にやりがいを見出す方も大勢います。
フィールド・サービスエンジニアと似たエンジニア職種は?
求人情報には「フィールド・サービスエンジニア」以外に、「カスタマーエンジニア」や「サポートエンジニア」の文字を見かけることがあります。「フィールド・サービスエンジニア」と「カスタマーエンジニア」や「サポートエンジニア」は何が違うのでしょうか?
カスタマーエンジニア
実は、「フィールド・サービスエンジニア」と「カスタマーエンジニア」はほぼ同じです。「カスタマーエンジニア」という職種はCEと呼ばれ、かなり古くから一般的に知られた職種です。
プリンターやコピー機、POSレジなどの故障の際は、カスタマーサポートセンターに連絡すると、カスタマーエンジニア(CE)が駆けつけて修理をしてくれるというイメージが強かったかと思います。
比較的歴史のある機器メーカーでは「カスタマーエンジニア」(CE)を呼称として用い、そうではないメーカーやベンダーでは「フィールド・サービスエンジニア」と呼ぶことが多くなっています。
サポートエンジニア
サポートエンジニアは「カスタマーサポート」「プロダクトサポート」「テクニカルサポート」「セールスサポート」の総称です。「サポートエンジニア募集」という募集広告を見かけた時は、前述の4職種に関する募集と考えて間違いないでしょう。
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フィールド・サービスエンジニアのメリット
フィールド・サービスエンジニアには、具体的に以下のようなメリットがあります。
・顧客からの感謝の声が直に聞ける ・やりがいを持って仕事ができる ・IT技術に加えてコミュニケーション能力も高まる ・臨機応変に対応するスキルが身に付く
大変な面も多い職種ですが、顧客との距離が近く、自身の仕事が顧客の役に立っている実感を持ちながら働けるのは、フィールド・サービスエンジニアリングの大きな魅力です。
フィールド・サービスエンジニアとして働くには?
フィールド・サービスエンジニアという職種について、ある程度イメージがつかめたかと思います。
ここからは、フィールド・サービスエンジニアとして働きたい人のために、向いている人、未経験から目指せるのか、また習得しておいた方がよい資格はあるのかについて解説していきます。
フィールド・サービスエンジニアに向いてる人
フィールド・サービスエンジニアは直接、クライアントと接する機会が多い職種です。技術面での知識や裏付けが必要なのは言うまでもありませんが、それに加えて、コミュニケーション能力が求められます。
クライアントの現場に出向き、クライアントからヒアリングしたり、説明したりします。時には新製品や関連製品の紹介、提案も行いますので、営業的な資質も必要です。そのため、ある程度社交的な人の方が向いています。
フィールド・サービスエンジニアの印象が企業の印象を決めることもあります。つまり、クライアントと接する機会が多いフィールド・サービスエンジニアは、言わば「企業の顔」ともいうべき存在です。
常に、そうした高い意識を持つことがフィールド・サービスエンジニアには重要です。
未経験でもフィールド・サービスエンジニアになれる?
フィールド・サービスエンジニアは、主に自社の製品をサポートすることが多いため、ある程度のIT知識があれば、未経験からでも働くことが可能です。
入社後の研修や業務の中で必要なスキルを身につけて、いかに顧客とスムーズなコミュニケーションが取れるかが大切になってきます。
未経験からフィールド・サービスエンジニアを目指すなら、自分のスキルにあった企業を探してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。
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フィールド・サービスエンジニアにおすすめの資格
「フィールド・サービスエンジニア」になる上で特に資格は必要ありません。従って、未経験者でも目指しやすい職種と言えますが、ITエンジニアとしてのスキルは必要です。
今や、大半の機器がCPUやOSを搭載し、ネットワークに接続されています。コピー機、プリンター、POS、ATMなどは従来からネットワークに接続されていますが、近年は医療機器、自販機、券売機、電気メーターなども、スタンドアロン型からネットワーク型に進化しています。
そうしたことから、フィールド・サービスエンジニアは、OSやソフトウェアやセキュリティ、ネットワークに関する知識が求められます。すなわち、ITに関する知識が必須となっているのです。
以上を踏まえて、フィールド・サービスエンジニアは少なくとも次のような資格を取得しておくことが望ましいと考えられます。
・「機械設計技術者試験」 設計技術に関する「技術水準」を客観的に評価するための試験です。一般社団法人の日本機械設計工業会主催の認定試験で、設計技術者の能力向上、社会的地位確立、機械設計業務における取引基準の明確化などが期待されています。
【参考】:機械設計技術者試験
・「ITパスポート」 ITパスポートは、ITの利活用に必要な基礎知識を有することを証明できる国家試験です。非常にベーシックな試験ですが、フィールド・サービスエンジニアとしてはぜひ取得しておきたい資格です。
【参考】:ITパスポート
・「MCP(マイクロソフト認定プロフェッショナル)」 マイクロソフト認定プロフェッショナル(MCP)は業界で広く認知され、評価されているマイクロソフト主催の試験制度です。ITに関わる技術、専門知識を客観的に証明する資格で、マイクロソフト製品、テクノロジー、ソリューションなど幅広い分野に対応しています。
これからのフィールド・サービスエンジニア
ITエンジニアの中でも、どちらかと言えば裏方的存在のフィールド・サービスエンジニアですが、一方で先に述べた通り企業の顔とも言える存在です。優れたフィールド・サービスエンジニアが多い企業はクライアントから支持されます。
AIに置き換わる職種が多いと言われる中、AI製品すら扱うフィールド・サービスエンジニアは今後もますます重要な役割を担うことでしょう。
フィールド・サービスエンジニアの将来性
技術革新のスピードは加速しており、製品の実質的なライフサイクルが短くなっています。日進月歩でリプレイスされていく製品に関する幅広い知識を持ち、ユーザーに対して使い方を説明できるフィールド・サービスエンジニアの必要性はますます高まっています。
政府はキャッシュレス決済の推進、DX推進を掲げていますが、この動きを受けて製品の多様化・複雑化がさらに進行しています。数年前には見られなかった、スマホによるバーコード決済が、今や当たり前のように利用されています。
これらの急速な変化もフィールド・サービスエンジニアの存在なくして成し得ません。ITが企業の成長にとって欠かせない経営資源となった今、ITによる国と国、企業間の競争はさらに苛烈になっています。
ITエンジニアの登竜門でもあり、不足しているITエンジニアの一員でもあるフィールド・サービスエンジニアには輝かしい未来が待っています。
フィールド・サービスエンジニアのキャリアプラン
フィールド・サービスエンジニアはIT製品を通じて、あらゆるITエンジニアを結びつける重要な位置にいます。
サーバーエンジニア、ネットワークエンジニア、システムエンジニア、セキュリティエンジニアなど、多くのエンジニアとの接点を持ち、またクライアントの窓口の役目も持つフィールド・サービスエンジニアはエンジニアの要でもあります。
深い知識と、スキルを持ったフィールド・サービスエンジニアは重宝され、期待されます。ITエンジニアの登竜門と言われるフィールド・サービスエンジニアですが、自らの興味や適性を見ながら、あらゆる分野へのキャリアパスを想定できる、大いなる可能性を秘めた職種です。
また、営業部門とタッグを組むフィールド・サービスエンジニアには、接客技術や交渉技術を身に付けながら、営業職を目指すという道もあります。
テクニカル面が強い営業はクライアントから信頼されます。ITエンジニアとの橋渡しができる営業職は貴重な存在となるでしょう。
このように、フィールド・サービスエンジニアのキャリアプランは無数にあります。エンジニア初心者の方は、まずはフィールド・サービスエンジニアからのスタートも視野に入れてみてください。
フィールド・サービスエンジニアは企業の要
自社の製品に精通し、顧客ともコミュニケーションが取れるフィールド・サービスエンジニアは、なくてはならない企業の要です。
失敗やミスが許されない局面も多く、神経を使う職種ではありますが、一方で大きなやりがいを感じながら働けます。
エンジニアに興味がある方や転職を考えている方は、ぜひフィールド・サービスエンジニアとして働いてみることをおすすめします。とはいえ、「実際にどのような求人があるのか」「本当に未経験からでも働けるのか」と不安になる方も多いですよね。
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