サーバーエンジニアとネットワークエンジニア、転職するならどっち?
エンジニアの職種は大きく分けて、インフラ系と開発系に分かれます。その中でもネットワークエンジニアとサーバーエンジニアはどちらも、インフラ系のエンジニアに分類されています。
どちらも未経験から目指すことのできる職種ですが、担当する技術領域や業務、取得するべき資格など細かな違いがあるので、今回は、ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアの違いにフォーカスして解説していきます。ぜひスキルアップや転職の参考にしてください。
ぜひ『マイナビIT エージェント』をご活用ください!
ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアの違いとは?
ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは、細かく見ていくと様々な違いがありますが、ここでは主なものを3つ紹介します。
サーバとネットワークの違い
ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアの違いを語るには、「そもそもサーバ・ネットワークとは何なのか」というところからイメージを固める必要があります。
■サーバとは サーバとは、「提供する者」という意味の英単語です。ITシステムではその名の通り、他のコンピュータからの要求に応えて情報や処理の結果を提供する役割を持ちます。
身近なものに例えると、Webサイトにアクセスしたときに、画像やテキストといったコンテンツが表示され、操作によって画面を移動したり、ファイルをダウンロードできたりするのは目に見えないところでサーバが処理を行っているからです。
サーバーエンジニアは、こうしたサーバの設計や構築、そして運用を行う職種です。
■ネットワークとは ネットワークとは、「網」という意味のネットという単語が語源で、IT領域では複数のコンピューター同士を繋ぐ通信網のことを指します。先ほどのWebサイトにアクセスしたときの例では、私達がブラウザを通じてWebサイトにアクセスできるのは、ネットワークが繋がっているからなのです。
ネットワークエンジニアは、Wi-fiやルーター、そして通信ケーブルといったネットワーク機器の扱いやネットワーク通信そのものに精通していて、ネットワークの設計や構築を行う役割を持ちます。
ネットワークエンジニアはサーバを学ぶ必要はある?その逆は?
ネットワークエンジニアもサーバーエンジニアも、どちらもインフラ系のエンジニアだと説明しましたが、自分の専門とする領域だけ知識や技術を磨けばいいのでしょうか。あるいは、別の領域も学んだ方がいいのでしょうか。その答えは、スペシャリストを目指すかゼネラリストを目指すかによって変わってきます。
■スペシャリストを目指す場合 スペシャリストというのは、専門職です。例えば、ネットワークスペシャリストを名乗る場合、ネットワークの技術や知識について他のエンジニアよりも高いレベルで習得していることを期待されます。
他の領域の技術や知識を身に付けることに使う時間や労力を、ネットワークのハイレベルな知識や技術を身に付けるために使う方が成功できる可能性は高いでしょう。
■ゼネラリストを目指す場合 ゼネラリストというのは、総合職です。例えば、インフラエンジニアはインフラ系のゼネラリストです。ネットワークだけ、サーバだけ扱えるのではインフラ全体を任せることはできませんよね。複数の技術領域に一定以上の理解があることを求められます。
このように、ゼネラリストを目指すなら他のインフラ領域の技術や知識を習得した方が良いと言えますし、スペシャリストを目指すなら1つの分野を深く掘り下げた方が良いと言えるでしょう。
需要と年収の違い
ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは同じインフラ系のエンジニアではありますが、担当する技術領域が違うためか、平均年収には差があります。ですが、どちらもITシステムに欠かすことのできない需要の高い職種であり、全国的な平均年収と比較すると年収が高めに設定されているようです。
ここでは、両者の年収を比較してみましょう。
ネットワークエンジニアの平均年収は「マイナビエージェント職種図鑑」によると380万円(※2024年8月執筆時点)です。また、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」における「エンジニア/プログラマ」の平均年収を参考にすると、592万円とされています。
次に、サーバーエンジニアの平均年収は「マイナビエージェント職種図鑑」によると429万円(※2024年8月執筆時点)です。また、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」における「エンジニア/プログラマ」の平均年収を参考にすると、592万円とされています。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアは、国内の平均年収と比較しても平均以上の給与水準にあることが分かります。
なお、作業者からプロジェクトマネージャーなどのキャリアアップによって、上記以上の年収を得ることも可能です。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑/ネットワークエンジニア 【参考】:マイナビエージェント職種図鑑/サーバーエンジニア ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
未経験から転職するには
ここまで、ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアの違いについて解説してきましたが、どちらを目指すのが自分に合っていそうかイメージできたでしょうか。インフラ系のエンジニアへの転職を目指す場合のプロセスには共通点があります。違いを理解する前に、共通点を把握しておきましょう。
入門書を読もう
インフラに限らず技術職は技術を学ぶ前提となる知識を習得します。現代ではネット上に豊富な情報があるため、それらを活用すれば独学でも知識を身に付けることは可能です。ただし、ネットは無料で手軽に学べる反面、順序立てて体系的に学ぶのには不向きなので書籍を活用しましょう。
資格を取得しよう
インフラ系のエンジニアを目指すなら、まずは関連資格の取得を目指しましょう。インフラ系職種の求人では、未経験者を採用する際にポテンシャルの判断基準として資格の有無を評価することが多いです。
しかし、ベテランエンジニアの中には「資格なんて意味がない」という意見を持つ方もいます。たしかに、資格は能力を高めてくれるものではありませんが、資格試験に挑戦する過程で基礎的な知識を習得しておくと、実務でも先輩や上司の話が理解しやすくなるため入口としてはおすすめです。
手を動かそう
資格を取っただけでは転職面接で自信を持って話し、実務に臨むのはハードルが高いです。座学で知識を学び、資格を取得した後は実際に手を動かしてみましょう。1度でも触ったことがあるのとないのとでは安心感が大きく違います。
転職活動に挑戦しよう
ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアは経験者採用が多いですが、未経験から採用して育てようという企業もありますので根気よく探して応募しましょう。
エンジニア転職のご相談はぜひ
『マイナビIT エージェント』へ!
ネットワークエンジニアを目指すには
ここからは、未経験から転職するにはどうすればいいのか、ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアのなり方についてそれぞれ紹介していきます。ここでは、ネットワークエンジニアにおすすめの入門書籍や資格、そして手を動かす方法について紹介します。
ネットワークエンジニアになるためにおすすめの入門書籍
ネットワークエンジニアになるためには、まずは基本的な通信プロトコルであるTCP/IPについて体系的に理解するのがスタートラインです。おすすめの参考書として、以下の2冊を紹介します。どちらも豊富な脚注と図やイラストを用いて分かりやすく解説されており、ネットワークエンジニア必携の参考書です。
「マスタリングTCP/IP 入門編(第6版)」 ▪著者:井上 直也 、村山 公保 、竹下 隆史 、荒井 透 、苅田 幸雄 ▪ページ数:400頁 ▪出版社:オーム社 ▪発売日:2019/12/01 【参考】:マスタリングTCP/IP 入門編(第6版)
「スラスラわかるネットワーク&TCP/IPのきほん 第3版」 ▪著者:リブロワークス ▪ページ数:200頁 ▪出版社:SBクリエイティブ ▪発売日:2023/12/24 【参考】:スラスラわかるネットワーク&TCP/IPのきほん 第3版
未経験からネットワークエンジニアになるためにおすすめの資格
基礎的な知識を身に付けたら、次に資格の取得を目指します。未経験からネットワークエンジニアを目指す場合には、世界的ネットワーク機器メーカーであるCiscoのCCNA(Cisco Certified Network Associate)がおすすめです。
Cisco製のルーターやスイッチなどネットワーク機器の導入に関する知識・技術を問われる試験ですが、業界最大手だけあって他社製品を扱う場合にも基本的な部分は共通しているので参考になりますし、認知度も高いので転職時にも評価されやすい資格です。
【参考】:CCNA
ネットワークエンジニアとして独学で手を動かす方法
資格を取得したら、次はネットワーク関連の技術に触れてみましょう。とは言え、実際に実務で使うようなネットワーク機器は高額であり、買いそろえるのは現実的ではありません。
そこで、ネットワーク・エミュレータを使います。ネットワーク・エミュレータは、疑似的なルータやスイッチなどを設定して通信を行ったり、パケットをキャプチャしたりできるツールです。
特に、フリーソフトの「GNS3」は、英語版のみですが、現役のネットワークエンジニアにも使われている有名なソフトです。
【参考】:GNS 3 - Graphical Network Simulator
サーバーエンジニアを目指すには
続いて、サーバーエンジニアを目指すために役立つ書籍や資格、手を動かす方法を紹介します。
サーバーエンジニアになるためにおすすめの入門書籍
サーバーエンジニアが扱うサーバには、大きく分けてLinuxとWindowsという2種類のOS(オペレーティングシステム)があります。一般的に、大企業はサポートの手厚いWindowsを中心に利用している傾向が強く、スタートアップ企業などでは比較的安価なLinuxを中心に利用しています。
WindowsとLinuxはコマンド・インターフェース・設定項目などに細かな違いはありますが、共通する部分も少なくないため、どちらから学んでも問題はありません。Linuxの方がよりシンプルで汎用的なので、迷ったらLinuxから学んでみるのが良いでしょう。
「[試して理解]Linuxのしくみ―実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】」 ▪著者:武内覚 ▪ページ数:336頁 ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2022/10/17 【参考】:[試して理解]Linuxのしくみ―実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】
「Windows Server 2022 Technology1ヶ月でWindowsサーバーエンジニアになる本」 ▪著者:ミラクルソリューション ▪ページ数:586頁 ▪出版社:ミラクルソリューション ▪発売日:2024/1 【参考】:Windows Server 2022 Technology1ヶ月でWindowsサーバーエンジニアになる本
未経験からサーバーエンジニアになるためにおすすめの資格
基礎知識を身に付けたら、ネットワークエンジニア同様、サーバーエンジニアも資格取得を目指しましょう。取り組みたいOSに応じて、Linuxなら「LinuC」または「LPIC」、Windowsなら「Microsoft Certified: Azure Fundamentals」資格を取得するといいでしょう。
「Microsoft Certified: Azure Fundamentals」はサーバやOSに限らず、クラウド・ネットワーク・ストレージなどの概念全般が試験範囲になるので、最終的にゼネラリストを目指す場合はより有意義です。
【参考】:LinuC 【参考】:LPIC 【参考】:Microsoft Certified: Azure Fundamentals
サーバーエンジニアとして独学で手を動かす方法
サーバーエンジニアとして独学で実技を身に付けるには、自分のPC上にVirtualBoxなどの仮想化ソフトウェアを使って仮想マシンを構築してみるか、さらに1歩踏み込んで自作PCを作ってみるのもおすすめです。
PCとサーバでは部品や規格が違うところもありますが、共通する部分も多いため、自分で組み立て、OSをインストールして、コマンドで設定を変更してみるなどすると実感が沸いてくるはずです。
【参考】:Oracle VM VirtualBox
自分の価値観に合った転職をしよう
ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは同じITエンジニアでもそれぞれ担当する技術領域が異なり、メリット・デメリットがあるため、どちらを目指すべきかは個人の性格や能力、将来のビジョンによって変わります。
未経験からでも研修の手厚い企業を選んだり、資格を取得したり仮想環境で操作に慣れるなどしておけば転職の成功率は高まります。しかし、転職活動は総合力が大事です。
特に未経験の場合、転職市場の動向や企業の選び方、面接対策など分からないこと・不安なことも多いでしょう。そのような時は、転職エージェントを活用するのもおすすめです。
そこで利用を推奨するのがマイナビIT エージェントです。
マイナビIT エージェントは、IT・Webエンジニア向け、無料の転職⽀援サービスです。
IT・Webエンジニアの転職事情に詳しいキャリアアドバイザーが、あなたのご経験やスキルをお伺いし、転職活動のプランをご提案します。
アドバイザーは企業側と直接連携を取れるので、求人票に載っていない情報も確認することができます。こちらで、働き方などをしっかり確認の上、応募企業を選んでいくのが良いでしょう。
未経験からのキャリアチェンジは心身ともに本当に大変だと思います。少しでもご自身の負担を減らすべく、エージェントサービスを活用して、失敗のない転職活動に臨んでいただければ幸いです。
IT業界に精通した専任アドバイザーと豊富な求人で、
あなたの転職活動を丁寧にサポートします。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから