ネットワークエンジニアのキャリアパス
ITエンジニアの皆さんの中には、ネットワークに興味があり、ネットワークエンジニアを目標としている方がいらっしゃるでしょう。ネットワークエンジニアは主にネットワークの設計や構築、運用や保守などを担当するエンジニアです。
一般的には下流工程と呼ばれるネットワークの運用や保守フェーズを担当し、それらの経験を積んだ後に上流工程の設計や構築を担当するといった形でステップアップをしていきます。では、ネットワークの設計や構築を担当した後のキャリアパスには何があるのでしょうか?
ネットワークエンジニアは将来が読めないから、「やめとけ」という意見も一部にありますが、そのキャリアパスにはどのような選択肢があるのか、キャリアアップを図るためには何をすればよいのか、転職ではどのような企業を選択すれば良いのか、様々な疑問があることでしょう。
この記事ではネットワークエンジニアを目指す方、既にネットワークエンジニアになられた方のキャリアバスにフォーカスして1つの回答を示していきます。
ネットワークエンジニアの年収
キャリアパスを考えていく前に、まずはネットワークエンジニアの平均年収を確認しておきましょう。
ネットワークエンジニアの平均年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」によると380万円です。経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT保守(顧客向け情報システムの保守・サポート)では平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、ネットワークエンジニアは一般平均年収よりも、やや低いことが分かります。
ネットワークエンジニアのキャリアパスとしてはネットワークスペシャリスト、プロジェクトマネージャー、セキュリティエンジニアなどがあり、キャリアアップや転職によって年収UPの期待ができます。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントにご登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
キャリアパスの必要性
ネットワークはライフラインであり重要な社会インフラであり、その停止は人々の生活に大きな影響があるというという認識が必要です。
またネットワーク技術の進化は速く、3G通信の普及から5G通信への移行までわずか10数年です。データ通信のスピードは指数関数的に速まっており、検討されている6G通信では、4Gの100倍、5Gの10倍の通信速度が実現し、SFの世界でしかなかったメタバース(仮想空間)が現実のものになります。
その実現の鍵を握っているのはネットワークです。ネットワークエンジニアはこうした変化に即応しながら、ネットワークのスペシャリストを目指すのか、或いはゼネラリストとしてキャリアチェンジを図るのか、その分岐点に立っているという認識が必要です。
またネットワークエンジニアを取り巻く雇用環境も大きく変わっており、キャリアアップを目指して、自らのスキルや技術を武器に、より良い職場を求めて転職する人も増えています。
以上を整理してみると、次のようになります。
・ネットワークの社会インフラとしての重要性 ・ネットワークは技術革新スピードが速い ・ネットワークの進展によりメタバースなどのパラダイムシフトの可能性が高い
などの理由から、ネットワークエンジニアは自らのキャリアパスを明確に描き、自らの進路を切り拓いていくことが強く求められます。
ネットワークエンジニアのキャリアパス10選
ネットワークエンジニアには大きく分けて3つのキャリアパスを想定することができます。1つはネットワークエンジニアとして深化する道、もう一つはゼネラリストやマネジメント系にキャリアチェンジする道、そして一つはネットワークエンジニアと密接な関係にあるセキュリティエンジニアです。
これからそれぞれの分野ごとに詳しく見ていきましょう。
ネットワーク系エンジニアを極める
ネットワークエンジニアは専門職ですが、その特性を生かしてネットワークエンジニアとしてさらに仕事を極めていくキャリアパスがあります。
ネットワークの上流工程を担当するエンジニア
ネットワークの運用や保守を担当してから目指すのが上流工程である設計や構築を担当するエンジニアです。要件定義や設計を学ぶことでより仕事の幅が広がり、プロジェクトマネージャー系にも進みやすくなるでしょう。
ネットワークスペシャリスト
ネットワークを専門分野としつつ、情報システム基盤に関わる企画・要件定義、さらには運用・保守業務までを統括し、中心的な役割を担う人材です。IPAの国家資格として、ネットワークスペシャリスト試験(NW)があります。
【参考】:ネットワークスペシャリスト試験(NW)
ネットワークコンサルタント
主に企業のネットワーク診断と提案、問題解決を行うコンサルタントです。コンサルティングに加え、ネットワーク構築プロジェクトのプロジェクトマネジメントなども行います。
ネットワーク・フリーランスエンジニア
ネットワークの専門知識を高め、ネットワークに関わるフリーランスエンジニアへのキャリアパスも存在します。ネットワーク・フリーランスエンジニアを目指す場合、シスコ技術者認定資格※のCCNP、CCIEなど高いスキル証明となる資格を取得していると、よりキャリアパスが現実的なものとなります。
【参考】:※認定 - トレーニング & 認定 - Cisco
ゼネラリスト・マネジメント系を目指す
ネットワークエンジニアとしてのスキルや経験を活かしつつ、キャリアチェンジにより他職種のエンジニアになるキャリアパスも選択肢としてあります。
ITコンサルタント
ネットワークを得意分野としつつ、IT全般の課題解決を図るコンサルタントです。ITコンサルタントは企業経営に関わる問題解決を行いますので、経営知識が必要になります。
ネットワークエンジニアからいきなりITコンサルタントというよりは様々な経験を通じてスキルアップを図るとともに、名刺などでアピールできる資格、中小企業診断士やITストラテジスト(ST)などの資格があると良いでしょう。
【参考】:中小企業診断士制度 【参考】:ITストラテジスト試験(ST)
フルスタックエンジニア
ネットワークのスキルを活かしつつ、サーバーエンジニア、プログラマー、システムエンジニアなどのスキルを有することでなれる万能エンジニアです。担当領域が広いことで重宝されます。
プロジェクトマネージャー
ネットワークシステムの要件定義から構築まで担当した経験を活かし、プロジェクトマネージャーとしてシステム開発プロジェクトなどの責任者になるキャリアパスです。PMPやプロジェクトマネージャ(PM)などの資格取得をおすすめします。
【参考】:PMP®試験について 【参考】:プロジェクトマネージャ試験(PM)
クラウドエンジニア
AWSエンジニアなどと呼ぶケースもありますが、クラウドエンジニアは最近登場した呼称で、まだ具体的な定義はありませんが、クラウド環境の構築や運用に関わるエンジニアで、クラウドサービス利用技術が求められます。ネットワークエンジニアとして主にクラウドに関わったエンジニアのキャリアパスとして想定されます。
【参考】:AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム | AWS
インフラエンジニア
ネットワークエンジニア自体がインフラエンジニアに含まれる場合もありますが、インフラに関するスキル、サーバースキルなどを磨いて、インフラ全般を担当するインフラエンジニアを目指すのもキャリアパスの1つです。
セキュリティ系エンジニアを目指す
ネットワークエンジニアはネットワークセキュリティの確保も重要な役割ですが、このスキルを活かしてセキュリティエンジニアを目指すのも良いでしょう。
セキュリティエンジニア
サイバー攻撃ではネットワークを経由して行うものが大半です。また情報漏洩事故も、最近ではネットワークからの流出が多くを占めています。
このようにネットワークとセキュリティは密接な関係にありますので、ネットワークエンジニアのスキルを活かしてセキュリティエンジニアを目指すのもキャリアパスの1つです。情報セキュリティマネジメント試験(SG)を取得しておくのが近道です。
【参考】:情報セキュリティマネジメント試験(SG)
企業とキャリアパス制度
近年、人材育成制度の一環としてキャリアパス制度を導入している企業が増えています。キャリアパス制度は従業員個々人が目標とするポジション、キャリアを定め、その工程や必要なスキル・能力を明らかにし、目標に向かって進むことをサポートする制度です。
ここではキャリアパス制度を導入している企業を選ぶ理由、キャリアパス制度のメリットについて見ていきましょう。
キャリアパス制度導入企業を選ぶ理由
キャリアパスを描くことは大切ですが、キャリアパスの実現には本人のみならず、企業や上司の理解も必要です。キャリアアップを個人の努力だけで成し遂げるのは簡単なことではありません。
そのため、キャリアパス制度を導入して成功している企業、キャリアパスに熱心な企業を選択することが、キャリアパス実現の近道です。
しかし、数ある企業の中から、キャリアパス制度の導入企業、熱心な企業を見つけるのはたやすいことではありません。そうした企業を見つけるには、企業情報に明るい転職エージェントを活用するのも1つの方法です
【参考】:マイナビIT エージェント
企業側のメリット
キャリアバス制度を導入することで、企業側には次のようなメリットが生まれます。
▪優秀な人材の確保と定着が見込めます。
▪従業員のスキルに応じた適材適所を実現できます。
▪業務の効率化が図れます。
他に、従業員のモチベーションアップにもつながり、生き生きとした職場環境が生まれることが期待できます。
従業員のメリット
企業のみならず、スキルアップ制度は従業員にとっても以下のように大きなメリットがあります。
▪従業員が自らの強み、弱みを理解しスキルアップしやすくなります
▪キャリアアップや昇進に対する意欲が高まりますます ▪5年後、10年後の人生設計がしやすくなります
▪業務の効率化によってワークライフバランスを改善できる
キャリアパスを描く上で資格取得が必要な理由
キャリアパスを描き、目標とするキャリアを実現する上で大きな力となるのが資格取得です。資格はスキル証明となるため、仕事を獲得するための武器となり、昇進や昇給、転職に有利に作用します。
「ネットワークエンジニアのキャリアパス10選」で挙げた資格は、あくまでも1つの例で、自身の目標や興味、適性などから総合的に判断をした上で、挑戦する資格の選択をおすすめします。
キャリアパスにおけるキャリアアップの2つの型と資格取得
キャリアパスは、キャリアアップに向けて、どのようにステップアップしていくかを明らかにした道筋のことです。このキャリアアップには、「キャリアを深める」型と「キャリアを広げる」型の2つの型があります。
キャリアを深めるとは、特定のスキルに絞って掘り下げ、スキルレベルを高めていくことを意味します。ネットワークエンジニアであれば、ネットワーク分野に特化した資格を取得すること、あるいは当該資格の上位レベルに挑戦することが重要です。
一方キャリアを広げるとは、様々なスキルの習得を目指し、ネットワークエンジニア分野以外の分野の資格取得を行うことです。キャリアパスを考える上で、自分の希望や適性、可能性などから自分に適しているのは、どちらのタイプを選択すべきかを把握すること、それが最適なキャリアパスを描く上で必要なことです。
ネットワークエンジニアとして転職を目指すなら
ここまでネットワークエンジニアのキャリアパスの重要性について解説をしてきましたが、キャリアパスは個人のみならず企業にとっても重要な施策であることが分かりました。
ネットワークエンジニアへの転職においては、自ら明確なキャリアプランを描くことも重要ですが、キャリアプランの実現に支援を惜しまない企業に転職することも、キャリアプランを実現させる上で重要です。
しかし、キャリアプラン制度を導入し、成功した企業をビックアップするのは個人では限界があります。また、転職に際しては受験準備、面接対策などおこなうべきことが多数あります。面接では、受験者のキャリアプランに関する質問なども想定されますが、これらも具体的な例文がほしいところです。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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