クラウドエンジニアとインフラエンジニアの違いとは?
クラウドエンジニアといえば、その名の通りAWSやAzure、Google Cloudなどのクラウドサービスを取り扱うエンジニアのことですが、近い領域を担当するインフラエンジニアとの違いが分からないという方も多いのではないでしょうか。
クラウドエンジニアとインフラエンジニアは、担当領域が近いことからキャリアアップやキャリアチェンジ先としても有効な選択肢になります。
今回は、クラウドエンジニアとインフラエンジニアの具体的な違いや、未経験から転職する方法について詳しく解説します。キャリアアップ転職を検討中の方はぜひ参考にしてください。
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クラウドエンジニアとインフラエンジニアの特徴と共通点
クラウドエンジニアとインフラエンジニアの違いを理解するために、まずはそれぞれの特徴や共通点について理解しておきましょう。
インフラエンジニアの特徴
インフラエンジニアは、その名の通りシステムの基盤となるITインフラを設計・構築する職種です。ITインフラというのは、サーバやストレージ、ネットワークスイッチなどといった機器をLANケーブルで互いに通信できるように接続して構成するものです。
機器を組み立てるキッティング、ラックという棚に設置するラッキング、機器同士を接続するケーブリング、電源を投入して設定を行うセッティングなど様々な作業が発生します。
これらの作業を担当するのがインフラエンジニアで、担当領域ごとにサーバーエンジニア、ネットワークエンジニアなどと細分化されることもあります。
クラウドエンジニアの特徴
クラウドエンジニアは、インフラエンジニアのクラウド版というイメージの職種です。インフラエンジニアがオンプレミスと呼ばれる物理的な機器を扱うのに対して、AWSやAzure、Google Cloudなどクラウドサービス上のサーバ・ネットワーク・ストレージなどのインフラを主に取り扱います。
また、クラウドサービスはインフラ領域以外のサービスも豊富に備えているため、フルスタックエンジニアと呼ばれるアプリ開発とインフラ構築の両面を一手に引き受ける技術者も目指しやすいです。
クラウドエンジニアとインフラエンジニアの共通点と違い
以上の特徴から分かるように、インフラエンジニアとクラウドエンジニアはシステムの基盤を設計・構築するという共通の役割を持っています。
インフラエンジニアが物理的な機器を取り扱い、インフラ領域のみを専門的に担当することを期待されるのに対して、クラウドエンジニアはインフラに限らずクラウドサービスに含まれる様々な領域のサービスについて扱う機会があり、より柔軟で幅広い活躍を期待される職種といえます。
インフラとクラウド、未経験から転職するならどちらが良い?
インフラエンジニアとクラウドエンジニアの共通点や違いについてある程度把握できたところで、転職するならより魅力的な方を選びたいでしょう。結論から言うとどちらにも特有の魅力があり、好みや置かれている状況に応じて最適な選択をすることが望ましいです。
ここでは、それぞれのメリットを比較して紹介しますので、参考にしてください。
インフラとクラウドの将来性を比較
クラウドサービスの特徴として、物理的な機器の購入や設置する施設の購入・レンタルが必要なオンプレミスと比較して、初期費用がかからずスモールスタートしやすいという特徴があります。ベンチャーIT企業を中心にサービスのインフラ基盤として選ばれており、クラウドエンジニアは今後も需要が期待できます。
これに対して、インフラエンジニアが扱うオンプレミスのインフラは長い歴史があり、インターネットから切り離せる秘匿性の高さや、ランニングコストの抑えやすさといったメリットがあるため依然高い需要を維持しています。
また、クラウドは大規模なシステムでランニングコストが嵩みやすいデメリットがあります。コスト削減のために、クラウドに移行したインフラ基盤をオンプレミスに戻す「オンプレ回帰」の動きも一部で見られるため、今後も需要がなくなることはないでしょう。
インフラとクラウドの働き方の違い
オンプレミスのインフラエンジニアは実機を扱うため現地作業が中心です。データセンターやサーバールームに出向いて機器の操作や設定を行ったり、搬出入などのエンジニアリング以外の業務も行ったりすることがあります。
これに対してクラウドサービスはインターネットを通じてブラウザやコマンドで操作できるため、クラウドエンジニアはリモートワークなど場所を選ばない働き方がしやすい特徴があります。
地方に住みながら都心の仕事を受けることも可能で、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるでしょう。
年収の違い
クラウドエンジニアとインフラエンジニアは類似の職種であり、平均年収も近いと言われています。どちらも他の職種と比較すると、年収が高めに設定されているようです。今回は、インフラエンジニアに近い職種のデータをまとめました。
サーバーエンジニアの年収は「マイナビエージェント職種図鑑」での平均年収は429万円(※2024年7月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収は592万円とされています。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、インフラエンジニアやクラウドエンジニアは国内の平均年収と比較すると高い給与水準にあることが分かります。
特にクラウドエンジニアの給与はサーバーエンジニアやネットワークエンジニアなど特定領域の専門的なインフラエンジニアと比較して担当領域が広く、ポジションや所属企業によっても大きく左右される傾向にあります。
また、作業者からプロジェクトマネージャーなどのキャリアアップによって、上記以上の年収を得ることも可能です。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
未経験からのロードマップ
インフラエンジニアとクラウドエンジニアの特徴やメリットを理解して、目指してみたいと思った方のために、ここからは未経験から目指す方法について比較していきます。
習得したい技術を選ぼう
インフラエンジニアの場合、いきなりすべての領域を習得するのはハードルが高いので、まずは習得する技術を1つの領域に絞りましょう。代表的なものは、サーバ、ネットワーク、データベースなどがあります。
クラウドエンジニアの場合、クラウドと一口に言っても、様々な企業が多様なサービスを提供しています。1度にすべてを網羅することは難しいので、まずはそれぞれの特徴を比較して、習得するサービスを1つ選びましょう。
代表的なものは、物流世界最大手のAmazonが展開する元祖クラウドサービスであるAWS(Amazon Web Services)、検索最大手のGoogleが展開するGCP(Google Cloud Platform)、Microsoftが展開するAzureなどがあります。
迷ったら最もシェアが高く、ネット上の情報や学習リソースの多いAWSを選んでおけば間違いはありません。
【参考】:AWS 【参考】:Google Cloud Platform 【参考】:Azure
資格に挑戦しよう
習得する技術を選んだら、次は資格取得に挑戦しましょう。資格取得は、未経験からの転職では実務経験の代わりにポテンシャルや学習意欲を評価されます。認定資格を取得していることで、未経験なりに一定の必要な知識の習得に努めたという証明になるため、無資格の人材よりも評価されやすくなるからです。
インフラエンジニアの場合、技術領域に関する資格の取得を目指しましょう。サーバならLPICやLinuC、ネットワークならCCNA、データベースならOracle MasterやOSS-DBなどがおすすめです。
【参考】:LPIC 【参考】:LinuC 【参考】:CCNA 【参考】:Oracle Master 【参考】:OSS-DB
クラウドエンジニアの場合、クラウドサービスを選んだら、次は基礎的な知識の習得を目指します。目標として最適なのは、クラウドベンダーの認定資格の合格を目指すことです。AWSの場合は、中級資格であるSAA(AWS Certified Solutions Architect - Associate)の合格を目指しましょう。
初級資格のCLF(AWS Certified Cloud Practitioner)もありますが、これはどちらかというと営業職や経営層など非エンジニア職がクラウドの基礎知識を身に付けるために取得する資格で、エンジニアの評価には繋がりにくいです。
ただし、試験に慣れるための第1歩として初級資格から挑戦するのは問題ありません。他のクラウドサービスでも同様です。
【参考】:AWS Certified Solutions Architect - Associate 【参考】:AWS Certified Cloud Practitioner
実際に手を動かしてみよう
資格を取得して基礎知識を身に付けたら、次は手を動かしてみましょう。技術は実践して失敗を繰り返すことで最も成長します。失敗を恐れず、挑戦し続けることが重要です。
転職の面接などでも、実際に手を動かしていることはアピール材料になりますし、実際に業務に携わる際にも戸惑うことが少なくなるはずです。
インフラエンジニアが扱うオンプレミスの機材は非常に高価で、中古でも10万円以上するものが多く気軽に触れるのは難しいです。しかし、コンピュータ上にサーバを構築する仮想マシンであれば個人の環境でも気軽に扱うことができます。
Virtual Boxなどのオープンソースの仮想化ソフトウェアを使い、MIRACLE LINUXやUbuntuなどの無償提供されているOSを利用して仮想マシンを起動して操作やコマンドに慣れていきましょう。
【参考】:Virtual Box 【参考】:MIRACLE LINUX 【参考】:Ubuntu
クラウドエンジニアが扱うクラウドサービスは、個人でアカウントを作り、実務と同じレベルのサービスに触れることができるため、高額な実機を取り扱うオンプレミスのインフラと比べて個人学習がしやすいメリットがあります。
そのためネット上にも個人や企業の検証記事が豊富にあり、手順通りに作業してみることで操作や仕組みの理解がしやすくなります。
転職活動をしてみよう
認定資格を取得し、実際に手を動かして自信をつけたら、転職活動をしてみましょう。インフラエンジニアやクラウドエンジニアは実務経験者を求める企業も多いのですが、研修などを充実させ、未経験から育てようという企業もありますので、そういった企業を探して応募してみましょう。
クラウドエンジニアの場合、AWSなどの大手クラウドベンダーはパートナー企業を認定していて、そういった企業であれば認定資格や個人学習の成果のアピールが伝わりやすいので、パートナー企業を探してみるのも良いでしょう。
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インフラエンジニアやクラウドエンジニアとして活躍しよう
インフラエンジニアもクラウドエンジニアもシステムの基盤を支える重要な職種であるため、需要がなくなることはなく、年収も高まっていくことが期待できます。今からクラウド技術の実務経験を積んでいけば大きなアドバンテージを得られるでしょう。
未経験でも研修の手厚い企業を選んだり、資格を取得したりすれば転職の成功率は高まります。しかし、転職活動は総合力が大事です。特に未経験からの転職の場合、転職市場の動向や企業の選び方、面接対策など分からないこと、不安なことも多いのではないでしょうか。
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