Windows11に無償でアップグレードするには?
Microsoftから「Windows11」がリリースされてから、早くも2年半近く(2024年2月執筆時点)が経過しようとしています。Windows10のサポート終了日、2025年10月14日まで余すところ1年半、無償アップグレードすべきか迷っている方も少なくないでしょう。
Windows11はリリース当初は使い勝手の違いなどもあり、期待されたほど移行が進みませんでしたが、大型アップデートの「22H2」がリリースされるなど、改善が進んだことでWindows11ユーザが少しずつ増えています。
【参考】:Windows 11のシェア増加| マイナビニュース
この記事では、使用中のWindows10からWindows11へ無償アップグレードが可能か否か、無償アップグレードが難しい場合の選択肢や方法、手順などについて図解で分かりやすく解説します。
【参考】:Windows 11 無償アップグレード方法や条件を解説| Microsoft for business
Windowsサポートスケジュール
マイクロソフト社はWindows10のサポート終了日を2025年10月14日と公式発表しています。しかし、サポートはWindows10の最新バージョンであることが条件です。つまり、バージョンアップを行っていないとサポート対象から外れるということです。
ちなみに、Windows10の最新バージョンは2022年10月18日公開の「22H2」で、2025年10月14日にサポートが終了します。
【参考】:※Windows 10 Home and Pro - Microsoft Lifecycle | Microsoft Docs
サポート終了後もWindows10は使える?
結論から述べると、使うことは可能ですが使用しない方が安全です。一部には、サポートは不要として、OSやバージョンのサポート終了後も当該パソコンを使い続ける人がいますが、サポートは保守と同じですので、サポートが終了すると様々なリスクが生じる可能性があります。
サポート期間中、Microsoftは責任をもってWindowsOSの機能改善、発生した不具合の修正、セキュリティ強化などの対応をします。サポート終了後に、そのOSを利用するのは可能ですが、生じた問題はすべて自己責任であり、時には責任を負えない問題に発展することがあります。
知らないうちにスパムメールやハッキングの踏み台としてパソコンが乗っ取られ、第三者に多大な迷惑や損失を及ぼすことも考えられます。
Windows11へのアップグレード判断
Windowsサポートのスケジュールや重要性について解説しました。では、今使っているWindowsパソコンはアップグレードできるのか、図で確認してみましょう。
Windows8.1からのアップグレード
Windows8.1は既にサポートを終了しており、Windows8.1からWindows10への無償アップグレードオプションも消滅しています。つまり、Windows8.1からWindows11へのアップグレードはできない可能性が高いです。
そのため、Windows8.1のユーザはWindows11への無償アップグレードを諦め、新たにWindows11を搭載したパソコンを購入するか、Windows11へのアップグレードが可能なWindows10(中古)パソコンを購入する方法から選択しましょう。
【参考】:Windows 8.1サポートは 2023 年 1 月 10 日に終了しました | Microsoft サポート
Windows10からのアップグレード
Windows10は2025年10月14日までのサポートが保証されており、アップグレードの要件さえ満たせば、無償でWindows11にアップグレードすることが可能です。
ただし、Windows11に無償アップグレードが可能なWindows10バージョンは、2023年6月13日にサポートが終了するWindows10 Version 21H2以降です。それより古いバージョンのWindows10パソコンは、あらかじめWindows Updateによりバージョンアップをしておく必要があります。
【参考】:Windows10 の更新 | Microsoft サポート
Windows 11アップグレードのシステム要件
Windows10からWindows11に無償アップグレードを行うには、Windows11のシステム要件を満たす必要があります。システム要件はPCのハードスペックに依存することから、概ね製造から5〜6年以上経過したパソコンではシステム要件を満たす可能性が低いと考えてください。
Windows11のシステム要件
特に注意が必要なのは、CPUとTPMです。CPUのスペックが高くとも、世代が古いCPU上ではWindows11は動作しません。また、TPMは認証や暗号化のために証明書を保管する必須機能です。これらの条件を満たしていない場合、基本的にWindows 11にアップグレードすることはできません。
レジストリ操作などの裏技でアップグレードに成功したという話もありますが、Microsoftのサポート対象外となり、事故や不具合が起きてもすべて自己責任となるため注意が必要です。
【参考】:Windows 11 でサポートされている Intel プロセッサ | Microsoft Learn 【参考】:Windows 11 でサポートされている AMD プロセッサ | Microsoft Learn
Windows 11のシステム要件を満たしているかを確認する
Microsoftはシステム要件を満たすパソコンに対して、Windows 11への無償アップグレードを促すメッセージを表示させていますが、メッセージが表示されないという方も一部います。
自分のパソコンがWindows11のシステム要件を満たしているのか否かについて詳しく確認したい人は、Microsoftの[PC正常性チェックアプリ」を利用してみましょう。アプリをダウンロードし、セットアップ画面で「▢Windows PC 正常性チェックを開く」にチェックを入れ、完了ボタンを押してみてください。
「PC 正常性チェック」のアプリが起動したら、[今すぐチェック]のボタンをクリックして診断結果を確認します。
【参考】:PC 正常性チェック アプリ 【参考】:PC 正常性チェック アプリの使用方法 - Microsoft サポート 【参考】:windows11のアップグレード表示が消えた| Microsoft コミュニティ
▪「このPCはWindows11の要件を満たしています」と画面に表示されたら、そのパソコンは無償アップグレードが可能です。「Windows Update」に移動してWindows11のインストールが行えます。
▪「このPCはWindows11の要件を満たしていません」と表示された場合は、そのままでは無償アップグレードができません。詳細情報を確認し、メモリー増設などの対応で無償アップグレードが可能になるケースがありますので、詳しい人やMicrosoftサポートなどに尋ねてみるとよいでしょう。
「ロックが解除されました」
Windows11のシステム要件を満たしたWindows10搭載PCでWindows Updateを行った後に、「ロックが解除されました:Windows11への無償アップグレードの対象です」といったメッセージがデスクトップに表示されることが多くなっています。
ここで[取得する]を選択すると、無償アップグレードが実行されます。アップグレードをしたくない場合には、画面下部に表示されている「Windows 10 を維持する」というリンクをクリックすることでアップグレードを拒否することができます。
【参考】:Microsoft、Windows 10の起動画面にWindows 11への更新を促す画面を強制表示 |マイナビニュース
Windows11アップグレード手順
Windows11の無償アップグレードについては、Windows Updateの後に表示されるMicrosoftからのメッセージを待って実施する方法に加え、インストールアシスタントによってアップグレードする方法があります。ここでは主に2種類の手順について解説します。
Windows Updateからアップグレード
Microsoft推奨のWindows 11へのアップグレードは「Windows Update」からインストールする方法です。
Windows10のスタートメニューから[設定]→[更新とセキュリティ]→[Windows Updat]と進みます。使用中のパソコンがWindows 11のシステム要件を満たしていると「Windows 11へのアップグレード準備ができました」と表示されます。画面の指示に従ってインストールします。
インストールアシスタントによるアップグレード
使用中のパソコンがWindows11のシステム要件を満たしていることが確認できたら、Microsoft提供の[インストールアシスタント]を利用してWindows 11に無償アップグレードする方法があります。
[インストールアシスタント]をダウンロードした後に、指示に従うだけでWindows 11に無償アップグレードできます。
【参考】:Windows 11 をダウンロードする |Microsoft
Windows11にアップグレードする際の注意点
Windows11はWindows10に比べて機能面や操作面、セキュリティ面においてより利便性・安全性が高くなっているため、アップグレードするメリットは大きいです。しかし、デメリットとも言える側面も存在します。
アップグレードを実行する前に以下の注意点についても理解し、必要に応じて対策を講じておきましょう。
一部使えなくなる機能がある
Windows11では、Windows10に搭載されていた機能が一部削除されています。削除となった機能は、「数式入力パネル」「タイムライン」「ウォレット」「Internet Explorer 11 デスクトップアプリケーション」「ロック画面の簡易ステータス」「などです。
また、「スタート」メニューの名前付きグループとアプリのフォルダーも使用できなくなっています。他にも、タスクバーのカスタムにおける制限など一部制限がかかる機能があったり、代替機能として切り替わっている機能があったりします。
これらの機能を日常的に使用していたユーザにとっては、「アップグレードによって利便性が落ちた」と感じる場面も出てくるかもしれません。アップグレード後に混乱や業務の滞りが起きないよう、事前にWindows10との違いをよく確認しておくことが重要です。
アプリ等の動作に影響が出る可能性がある
Windows10で動作していたアプリはほとんどの場合Windows11でも正常に動作するとされていますが、アプリによってはアップグレード後に動作しなくなる、あるいは思い通りに動作しなくなる可能性もゼロではありません。
アップグレード後も問題なくアプリやPC周辺機器を使用を続けるには、アップグレード前に動作検証をする、アプリ等の発行元に確認をとっておくといった対策を取ると良いでしょう。
【参考】:Windows 11 へのアップグレード: よくあるご質問
予期せぬ不具合が発生することがある
Windows11はリリースから日が経っていないこともあり、これまでも様々なバグや不具合が報告されています。これらは更新によって随時改善されているものの、今後も予期せぬ不具合が発生する可能性はあります。
特にWindowsをビジネスで使用している場合は、こうしたバグや不具合が業務に支障をきたすこともあります。Microsoftではサポートページや問い合わせ窓口、サポートコミュニティなども用意しているため、困ったときはこういったページにアクセスして参考にすることもできる、ということを覚えておきましょう。
【参考】:Microsoft サポート 【参考】:Windows のヘルプとラーニング 【参考】:お問い合わせ - Microsoft サポート 【参考】:Microsoft コミュニティ
Windows11無償アップグレードの権利行使を
ここまでWindows11の無償アップグレードについて、図を交えて解説しました。無償アップグレード期間は、Windows11リリース当初は1年程度と言われていましたが、まだWindows10のシェアがWindows11よりも高いことから、無償アップグレード期間は延長されています。
とはいえ、Windows11は登場後1年半を経過し、2回の大型アップデートを経て改良されています。アップグレードすべきか迷っている方もいますが、Windows10を使い続ける理由が特になければ、無償アップグレードの権利を行使してみてもいいかも知れません。
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