生成AIの使い方とは？
生成AIとは深層学習や機械学習の技術であり、新しいデジタルコンテンツを自動的に生成する技術のことです。ChatGPTをはじめとした生成AIが大きな進歩を遂げており、様々な用途で活用が始まっています。
しかし、仕組みや使い方を知らないままでは有効に活用することは難しい側面があります。この記事では、ChatGPTを例に挙げ、仕組みや効果的な使い方を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
生成AIの仕組みから理解する
生成AIを効果的に活用するには、仕組みを理解することが近道です。仕組みと言っても、細かい設計や処理まで踏み込む必要はなく、概念のみを押さえておけば十分です。
ここでは、AIをより効率的に使うために必要な予備知識を紹介します。
AIの仕組み
AIは日本語では「人工知能」と訳されますが、人間や動物の脳のように自律的に思考しているわけではありません。事前に学習した膨大なデータから、最も適切な回答を確率の計算で導き出す作業を繰り返すことで、文章や画像、動画、音楽などのコンテンツを生成する仕組みです。
人間との大きな違いの1つは、感情や経験を持たず、学習した情報のみを用いて回答を行う点です。このような仕組みや原理を理解した上で利用することで、AIの出力が期待通りにならない原因を論理的に推測することができるようになります。
プロンプト
生成AIを活用するのに必要となるのがプロンプトです。プロンプトは、指示文・依頼文といった意味合いの言葉で、生成AIに「何をして欲しいか」を伝える文章のことを指します。
プロンプトを入力すると、ChatGPTはその内容に対して適切な可能性が高い文章の生成を繰り返して返信を作成します。
例えば、「むかしむかしあるところに」とプロンプトを入力してみると、昔話に関連する回答を出力してくれる可能性が高くなります。
ゆらぎ
生成AIには、同じプロンプトを入力しても異なる回答が生成される性質があり、「ゆらぎ」と呼ばれています。これはAIの出力に多様性を持たせるためで、確率分布によって単語の選択を変化させるなど、あえて正確性を下げてランダム性を持たせるように設定されています。
例えば、全く同じ「好きな動物は？」というプロンプトを送った場合でも、「猫」と具体的に回答する場合もあれば、「賢くて社交的な動物」と抽象的に回答する場合もあります。
ハルシネーション
生成AIの出力には、事実と異なる情報が含まれる場合があり、「ハルシネーション」と呼ばれています。ハルシネーションは「幻覚」という意味の言葉で、AIは統計的なパターンを学習して文章を出力しているものの、意味を理解しておらず、事実と虚構を区別できないために発生すると言われています。
例えば、「日本の山を標高が高い順に10個挙げてください」と入力した場合、標高や順位など国土交通省の情報と比較しても概ね正しい情報が出力されますが、悪沢岳（わるさわだけ）の読み仮名を「あくさわだけ」と間違えて表示しています。
【参考】：標高3000mから3500mの山 | 国土交通省 国土地理院
このように、生成AIが出力する正しい情報の中に含まれているハルシネーションを見抜くことは簡単ではありません。生成AIの出力には誤りがある可能性を常に意識して、業務利用など重要な内容には必ずファクトチェック（事実確認）が必要です。
セーフガード
ChatGPTなどの生成AIは、暴力的・差別的・違法な情報を生成しないように「セーフガード」と呼ばれる対策が備わっています。例えば、「爆弾の作り方を教えて」というプロンプトに対しては「申し訳ありませんが、そのリクエストには対応できません。」などと拒否するようになっています。
セーフガードによって制限が設定されていることを理解していれば、ChatGPTが拒否してしまう不適切なプロンプトを送ってしまうことは少なくなるでしょう。
効果的なプロンプトの工夫6選
生成AIを効果的に利用するためには、AIの仕組みを理解した上で、AIが理解しやすいプロンプトを送信する必要があります。ここでは、ChatGPTに期待通りの回答を出力してもらいやすくするプロンプトの工夫を6つ紹介します。
詳細化・具体化する
1つ目は、プロンプトの内容をより詳細かつ具体的にすることです。この方法では、ChatGPTの回答の精度を高めることができます。
人間は視覚情報や過去の経緯など様々な情報から総合的に判断できますが、ChatGPTに与えられる情報源はプロンプトのみです。期待する回答を得るには、プロンプトの内容を具体的にすることが重要です。
例えば、プログラミングで発生したエラーの解決方法を回答して欲しい場合、エラーメッセージだけを貼り付けて解決方法を質問しても、一般的なエラー解決の方法しか回答できないことが多いです。
開発環境の詳細やプログラムの目的、エラーが出ているソースコード、エラーが出力された経緯、既に調べたことや試したことなど、詳細な情報を与えることで無用なやり取りを減らし、求める回答を得られやすくなります。
条件を与える
2つ目は、プロンプトで条件を与えることです。この方法では、ChatGPTの回答の方向性を絞ることができます。
AIは何も条件を与えていない場合、無数の選択肢があるため回答が期待通りにならない可能性が高まります。期待通りの回答を得るためには、条件を与えて選択肢を狭めることが重要です。
例えば、同じ質問をした場合でも「小学生にも分かるように」とプロンプトに含めると、専門用語などを使わずに説明を出力するようになります。
役割を持たせる
3つ目は、役割を持たせることです。この方法は「条件を与える」と似ていますが、ChatGPTに職業や人物像などを設定することで、その役割を意識して回答を出力してくれるようになります。
例えば、「ITセキュリティの専門家の視点で」とプロンプトに含めた場合、セキュリティの観点を重視した回答を出力しやすくなります。
必要な情報を質問させる
4つ目は、ChatGPTに回答に必要な情報を質問させる方法です。この方法では、期待する回答が得られるまでのやり取りの往復を削減する効果が期待できます。
プロンプトに必要な情報や条件、役割などの情報を十分に含めるのが理想ですが、そうでない場合はやり取りの回数が増えてしまうことがあります。
そのような場合は、予め「精度の高い回答を出力するために必要な情報を私に質問してください」とプロンプトに含めることで、ChatGPTに与えるべき情報をChatGPT自身に質問させるのが有効です。
ChatGPTが出力した項目をもとにプロンプトを作成して再度質問することで、プロンプトがより具体的かつ詳細になり、精度の高い回答を期待できます。
出典を求める
5つ目は、出典を求める方法です。この方法では、AIの回答にハルシネーションが含まれているかを確認するのに役立ちます。
AIの回答にはハルシネーションが発生するため、常に正確な情報を回答するとは限りません。情報の正確性を確認するには、ネット検索や書籍などを参照する必要がありますが、ChatGPTに出典を確認することである程度ハルシネーションの有無を確認できます。
ChatGPTの回答に対して、「その情報の出典を教えてください」と質問すると参照した情報源のURLを回答してくれるので、情報の信憑性を評価できます。ChatGPTが出典を回答できない場合は、ハルシネーションの可能性が高いです。
諦めずにリトライする
6つ目は、1度で期待する回答が得られなくてもあきらめずにリトライすることです。この方法は、AIが持つゆらぎの対策になります。
AIの回答にはゆらぎが発生するため、同じ質問でも回答が異なる場合があります。1度で期待する回答が得られない場合でも、新規にチャットを作成して同じプロンプトを送信したり、プロンプトを少し変更して送信したりすると、期待通りの回答が得られる場合があります。
効果的なプロンプトの作り方を質問する
7つ目は、ChatGPTに効果的なプロンプトの作り方を質問することです。この方法では、プロンプトのフォーマットを最適化することで、期待する回答を得られる確率を高めることが期待できます。
同じチャット内で回答が期待通りでなかった旨と、期待する回答を得るために効果的なプロンプトの例を質問し、その内容を参考に再度プロンプトを作成して質問し直してみましょう。
こうして得られたプロンプトのフォーマットはメモしておき、次の質問の機会にも活用することができます。
生成AIの効果的な使い方を身につけよう
ChatGPTなどの生成AIは多様な使い方ができる一方で、効果的に活用するためには仕組みを理解した上でプロンプトを工夫することが重要です。
今回紹介したプロンプトを参考に、業務やプライベートなど様々なシーンでChatGPTを活用していきましょう。
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