生成AIの資格と取得メリット
増加するAI需要に対応すべく、生成AIの資格検定の提供が開始されています。提供される生成AIの資格にはいくつかの種類があり、取得目的に応じて選択します。ここでは、生成AIの概要から資格取得のメリットを解説し、後半では生成AIの資格を一覧にまとめて紹介していきます。
生成AIの概要
生成AIは英語で「Generative AI」と呼ばれるAI技術の活用方法です。生成AIを有名にしたのは、OpenAIのChatGPTです。2022年後半に市場投入されると、瞬く間に市場に浸透しました。検索サービスの置換や、画像生成など多岐に渡って利用されています。
生成AIとは、AIが生成するコンテンツ生成サービス全般を指し、用途はテキストや画像のほか、音楽や映像など多岐に渡ります。これまでAIは人間の補助的な役割でしたが、生成AIの持つ創造的な表現力はすでに人間のレベルを超えた能力を発揮しています。
【参考】:代表的な生成AIサービス一覧!10種類のサービスや料金を比較 【参考】:生成AIの学習におすすめの本10選!AIを学ぶメリットも解説
生成AIの利用上の課題
生成AIは機械学習に基づいて学習されたモデルです。学習済みの知識は、パターンの分析から新たなコンテンツ生成に拡大しています。生成AIへの指示はプロンプト入力を通じて行うため、利用者はプロンプトの最適化など生成AIを使いこなす新たなスキルが求められます。
コンテンツの品質を維持するには、最適な指示が求められ、同様に利用上の倫理的な問題に対しても対策が求められます。生成したコンテンツは、もはや人間で真偽を判断するレベルを上回り、著作権の侵害や不正情報の流布など新たな社会的な課題も引き起こしました。
以上のことから、利用者は生成AIに関する高い知識と倫理的な判断が求められ、技術力に加えてルール決めや順法への対応なども必須です。
生成AIの資格取得メリット
生成AIの資格を取得するメリットは、いくつか挙げられます。
・生成AIの基本的な知識が得られる 生成AIの基本的な知識が得られることが挙げられます。資格取得によって、生成AIの利用上の課題やリスクなどの懸念を理解していることが証明されます。
・AIリテラシーが習得できる 生成AIのリスクを学ぶことで、セキュリティや法的な知識が高まります。AIリテラシーが習得でき、倫理的な判断力が高いことが証明されます。
・自身のキャリアアップにつながる 生成AIをビジネスで活用する能力が高いことが挙げられます。資格取得は転職に有利に働くとともに、自身のキャリアアップにつながるものとなります。
具体的な生成AIの資格一覧
以下は、主要な生成AIの資格一覧です。
・生成AIパスポート試験 ・Generative AI Test ・生成AI能力検定 ・生成AI初級技能検定
ここからは、生成AIの資格を順を追って解説していきます。また生成AIを広範囲に学ぶステップアップとして、ディープラーニング関連試験についても解説を加えます。
生成AIパスポート試験
生成AIパスポート試験は、生成AI活用普及協会(GUGA)が実施する試験です。AI初心者向けの試験であり、生成AIリスクを予防するための資格試験です。コンテンツの生成方法を学び、個人情報保護や著作権侵害、商用利用可否などのリスク要素を学びます。
2024年10月時点で累計受験者数は9,376名、累計有資格者数は7,161名と生成AIの資格の中ではもっとも受験者・合格者が多い試験です。直近の2024年第3回の合格率は75.76%と、高い合格率を示しています。
▪開催形式: オンラインでの実施 (IBT方式:Internet Based Testing) ▪試験時間: 60分間 ▪問題数 : 60問 ▪出題範囲: シラバスより出題 ▪出題方法: 四股択一式 ▪受験資格: 制限なし ▪受験費用: 11,000円(税込) ▪開催予定: 2月、6月、10月の年3回
【参考】:生成AIパスポート試験
Generative AI Test
Generative AI Testは、日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する試験です。JDLAの試験の位置づけは、知識や活用リテラシーの確認の為のミニテストとなります。企業で活用が進む生成AIを、安心かつ有効に活用するための必要知識を有しているか確認できます。
これまでの合格率は、およそ60%代前半から70%代前半で推移しており、各回2,000名弱の方が受験しています。学習時間は15時間以内の方が大半で、ミニテストのため難易度はそれほど高いものではありません。
生成AIの技術、生成AIの利活用、生成AIのリスクからシラバスにしたがって出題され、学習参考動画で解説を公開しています。
▪開催形式: オンラインでの実施 (ミニテスト形式)スマホも可 ▪試験時間: 20分間 ▪問題数 : 20問 ▪出題範囲: シラバスより出題 ▪出題方法: 択一式・多肢選択式 19問 、記述式 1問 ▪受験資格: 制限なし ▪受験費用: 2,200円(税込) ▪開催予定: 6月、12月の年2回
【参考】:Generative AI Test
生成AI能力検定
生成AI能力検定は、生成AIビジネス検定協会が実施する能力検定です。文章生成AI能力検定と画像生成AI能力検定の2種類を用意しています。
文章生成AI能力検定初級は、仕事でChatGPTが使えることが証明されます。画像生成AI能力検定は、初級と中級が提供され、初級は仕事でDALL·E 3が使えること、中級は仕事でStableDiffusionが使えることが証明されます。
文章生成AI能力検定の初級は、ChatGPT(課金版)の準備が必要です。同様に、画像生成AI能力検定の初級はDALL·E 3、上級はStableDiffusionWebUIが必要です。また、画像生成AI能力検定上級では、画像生成AI専用のPC購入(15万円前後)が求められます。
ホリエモンAI学校による「受講付き+受験」、もしくは「受験のみ」のいずれかを選択します。
▪開催形式: オンラインでの実施 (IBT方式) ▪試験時間: 60分間 ▪問題数 : 記載なし ▪出題範囲: シラバスより出題 ▪出題方法: 知識を問う選択問題、実技を問う実践問題がそれぞれ半分ずつ ▪受験資格: 制限なし ▪受験費用: 11,000円(税込)(受講付き受験は0円※別途ホリエモンAI学校の料金が発生) 加えて、合格後の認定登録費用2.2万円(登録料1.1万円、初年度年会費1.1万円) ▪開催予定: 毎月実施、年12回
【参考】:生成AI能力検定
生成AI初級技能検定
生成AI初級技能検定は、生成AI資格認定協会(GACA)が提供する検定試験です。基礎知識や簡易的な活用スキルを評価します。生成AIに興味がある方や正しく活用したい方、ビジネスで生成AIを安心して活用したい方向けの試験です。
第1回の試験は2024年5月に実施され、約50名が参加しました。試験は講義と検定のセットで提供されており、講義を受講して検定試験に合格すると「公認生成AIマイスター」の資格が授与されます。現在45名が登録されているので、合格率はおよそ90%と推定できます。
▪開催形式: オンラインでの実施 (IBT方式) ▪試験時間: 60分間 ※別途オンライン講義3時間 ▪問題数 : 記載なし ▪出題範囲: 講義に含まれる ▪出題方法: 記載なし ▪受験資格: 記載なし ▪受験費用: 11,000円(税込)※オンライン講義33,000円(税込) ▪開催予定: 掲載なし
【参考】:生成AI初級技能検定
ディープラーニング知識で上位資格を狙う
ディープラーニングはAI分野の1つで、複雑なデータのパターンをとらえて分析する技術です。生成AIの初級知識が身に着いたら、発展的にディープラーニングに挑戦するのも有効です。ここでは、日本ディープラーニング協会(JDLA)による、「G検定」と「E資格」について解説します。
G検定とはAIを活用するビジネスマン向け資格であり、誰でも自宅のPCから受験できます。幅広い知識を持つジェネラリスト向けの検定で、頭文字の「G」は英語の「General」を指します。
同協会が実施するGenerative AI Testとの違いは、生成AIも含めたAI・ディープラーニング全般を広く体系的に学習し、AIに関する様々な技術的な手法やビジネス活用のための基礎知識を汎用的に評価する点に違いがあります。
E資格とはAI・機械学習の開発を行うAIエンジニア向けの資格であり、JDLAの認定プログラムの受講が必要です。専門性が高いエンジニア向け資格のため高度なディープラーニングの知識が求められ、試験は会場で実施します。頭文字の「E」は、英語の「Engineer」を指します。
興味ある方は、以下のリンクから詳細を確認しましょう。
おすすめの生成AI資格は?
生成AIは需要拡大していますが、資格試験は始まったばかりです。そのため、現時点で受験者が多い「生成AIパスポート試験」は、資格の認知度や価値として有効でしょう。勉強方法も、公式問題集やサンプル問題などで対応できます。
【参考】:生成AIパスポート試験
また、エンジニア向けの資格を念頭に置くと、JDLAのGenerative AI Testは、G検定やE資格へとつながり知識習得の効果が高くおすすめです。
【参考】:Generative AI Test
オンライン実施の試験ではカンニングの懸念が考えられますが、各試験の設問数と実施時間を見ると、ネットで検索する時間的余裕は少ないと言えます。しっかりと知識を身に着けて合格を目指しましょう。
生成AIの資格試験は早めの能力開発がおすすめ
生成AIの資格試験は、始まったばかりです。これから市場拡大する可能性も高いため、2025年の動向で決める方もいるでしょう。しかしながら、生成AIの資格試験は要望に合わせて選択するのが、本来資格試験に求められる点であり、市場動向が決まるまで待つ必要はないと考えます。
市場のニーズに応えるには、時期を待って知識をつけるよりは早めの能力開発を行うことが、自身の差別化につながりおすすめです。
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