CAB適性検査とは、日本エス・エイチ・エル株式会社によって考案され運営されています。また、CABとはComputer Aptitude Batteryの略で、コンピュータ職適性診断テストを意味します。CAB適性検査の目的は、SEやプログラマーなどコンピュータ職を志望している学生の適性を測ることです。
参考:日本エス・エイチ・エルの商品
CAB適性検査はペーパーテストであるマークシート形式と、Webテスト形式の2種類があります。
ペーパーテストであるマークシート形式はテスト時間が95分となります。一方、Webテスト形式ではテスト時間が72分となります。Webテストでは設問あたりにかけられる時間が少ないことや、傾向として難易度の高い問題が出されることが分かっています。
CAB適性検査ではマークシート形式・Webテスト形式でそれぞれ以下の設問が問われます。参考までに1問あたりにかけられる秒数も記載しておきます。
マークシート形式(全体で95分)
・暗算 :10分で50問(1問あたり12秒)
・法則性 :15分で40問(1問あたり22.5秒)
・命令表 :20分で50問(1問あたり24秒)
・暗号 :20分で39問(1問あたり30.7秒)
・性格検査 :30分で68問(1問あたり26.4秒)
Webテスト形式(全体で72分)
・暗算(四則逆算):9分で50問(1問あたり10.8秒)
・法則性 :12分で30問(1問あたり24秒)
・命令表 :15分で36問(1問あたり25秒)
・暗号 :16分で30問(1問あたり32秒)
・性格検査 :30分で68問(1問あたり26.4秒)
ここでは、具体的な各設問の分類について説明していきましょう。
暗算は基本的な四則演算の計算能力と正確な計算が短時間で行えるかが問われます。なお、マークシート形式では順に計算する暗算問題が出されますが、Webテスト形式では計算途中の穴埋めを行う四則逆算問題となります。したがって、結果から処理を逆算するためにより短時間の計算能力が求められます。
次に、法則性について説明します。法則性では4つの異なる図形から法則を見つける、パズル的な要素の能力が試されます。図形の要素はおよそ以下の分類で構成されています。
・回転 :図形が一定の角度で回転するもの
・移動 :図形がマスの中で移動するもの
・交互移動 :図形が上下左右あるいは斜めに移動するもの
・増減 :図形の個数が増減するもの
その次に命令表について説明します。命令表では図形群と命令表が提示され、その命令を実行することで最終的な図形がどのように変化するのか図形群から回答します。命令記号は10種類あり適切と思われる最終的な図形を選択します。
そして、暗号についての説明です。暗号問題では、図形が変化する前後の変化の法則性から暗号の意味を解読します。変化のパターンは以下のようなものから類推します。
・回転 :図形が回転するパターン
・色 :色が反転するパターン
・大きさ :図形が小さくなる、または大きくなるパターン
・図形の変化 :三角が丸になる、四角が丸になる等のパターン
・文字 :数字が増減する、並びが逆になる等のパターン
・増減 :図形や文字の個数が変化するパターン
最後に性格診断について説明します。性格診断はCAB適性検査固有というわけではなく、人間性を判断するものです。入社後の配属先決定等でも判断材料として用いられます。
CAB適性検査は、コンピュータ職の適性を判断するために用いられています。コンピュータ職以外でも適性検査は一般的に活用されています。ここではCAB適性検査以外に一般的に用いられている適性検査について紹介していきます。
CAB適性検査以外にもGABがよく用いられています。GABはGraduate Aptitude Batteryの略で、総合適性診断テストを意味します。総合適性診断テストとは商社(総合・専門)・金融(証券・投資)・総合研究所など、高い知能を要する業界の総合職用の検査に活用されています。GAB適性検査においてもマークシート形式とWebテスト形式があります。その他検査項目に英語言語能力の検査を加えた「C-CAB」や難易度を上げて試験時間を短縮した「GAB Compact」等があります。
GABの出題形式は言語能力・計数能力・性格診断からなります。
言語能力検査はマークシート形式は8長文を15分、Webテスト形式は13長文を25分で解答していきます。同様に計数能力検査ではマークシート形式は20問を20分、Webテスト形式は35問を35分で解答します。
その他にも、自宅受験型で英語のテスト項目を含む「玉手箱」、営業職適性テストの「SAB(Sales Aptitude Test Battery)」や事務職適性テストの「OAB(Office Automated Aptitude Test Battery)」等があります。
CABやGAB以外の適性検査で有名なものにSPIがあります。SPIはSynthetic Personality Inventoryの略で総合適性検査を意味します。SPIはリクルートの子会社である株式会社リクルートマネジメントソリューションズによって運営されています。このSPIは日本初の総合適性検査として多くの企業や地方自治体で用いられています。
SPIのテスト方式は「テストセンター方式」「Webテスティング」「インハウスCBT」「ペーパーテスト方式」で提供されています。その出題形式は「能力適性検査」「性格適性検査」により就職採用時の適性判断に用いられます。
CAB適性検査はSEやプログラマーなどコンピュータ職を志望している学生の適性を測ることが目的です。実際のコンピュータ職は知識を吸収し(インプット)、実務で成果を出す(アウトプット)ことが求められます。しかしながら学生は知識がまだ十分ではなく実績もありません。そのため今後知識吸収が進んでいくのか、あるいは成果や実績が発揮できるのか、その可能性を適性検査から判断する必要があります。
SEの職種はITの最新知識が深く求められます。そのためITスキルの吸収意欲が高い方が適性があると言えるでしょう。同様に複数の仕事や急なトラブルへの対処が求められますから、臨機応変に仕事に対応でき、かつマルチタスクで処理できると理想的です。また、うまくいかない場合の対応相談や仕様作成時の顧客応対には、コミュニケーション能力が求められます。
したがって、IT知識吸収意欲・マルチタスクへの対応・コミュニケーション能力が総合的に求められるでしょう。同様にコツコツ物事を進める実践力も必要です。ストレス耐性が高い人の方が長くSEが続けられるでしょう。
SEに向かない人は、SEに向いている人の求められる事項が不足している人です。極端な例ですが、ITに興味がない・知識吸収欲が低い・型にはまった仕事しか対応できない・うまくコミュニケーションができない人は、他の適性を活かした仕事の方が良い結果が得られるでしょう。とはえ、チャレンジ精神が旺盛の方はどの分野でも成功を収める可能性が高いと言えます。
SEの分類は、インフラの担当をするITスペシャリストやITシステムを設計するITアーキテクト、全体を管理するプロジェクトマネージャ等多岐に渡ります。そのため、最終的に求められる専門性に違いがありますが、概ね以下のポイントを押さえていきましょう。
具体的には、ITの最新知識を吸収する意欲を持つこと・プログラム開発に興味を持ち最低限のプログラムコードが記述できること・成果物をまとめるためにドキュメント作成能力を高めること・対人コミュニケーションを実践すること、が挙げられます。1人で能力開発が難しい場合は先輩や周りの経験者に指導してもらう(メンター制度)も有効です。
CAB適性検査の対策は、何と言っても問題形式になれることです。市販されている問題集を購入したりWebの対策サイトを確認しましょう。事前に問題を確認することで設問の時間の感覚を掴むことができます。Webの対策サイトの一例として「WEB TEST対策」があります。その他にも多くの対策サイトがありますので自身に合うサイトを探してみましょう。
参考:WEB TEST対策
企業のコンピュータ職採用では、SEやプログラマーとしての潜在的な可能性を確認するためにCAB適性検査を活用しています。そのため、CAB適性検査で自身の潜在能力の高さを示す必要があります。いきなり適性検査を受けるのではなく、必要な準備を進めましょう。事前準備によって結果に大きな差が出てきますから、ぜひその可能性を高めましょう。