Windows11を工場出荷状態に戻す
パソコンは長期間使用していると、動作が重くなったり、不具合が多発したりすることがあります。そんな時の解決法として有効なのは、パソコンを工場出荷時状態に戻すことです。Windows11のリセット機能を利用することで、パソコンを工場出荷状態に戻すことができます。
これによって、古くなったパソコンを再利用したり、人に譲ったりすることが可能になります。
この記事では、Windows11搭載パソコンを工場出荷状態に戻す方法、その際気を付けるべきことなどについて解説します。パソコンの初期化を検討している方はぜひ参考にしてください。
【参考】:Windows PC の初期化、リフレッシュ、復元の方法を徹底解説!|Microsoft
パソコンの初期化が必要な時とは?
パソコンを工場出荷状態に戻す(初期化する)必要があるのはどのような時でしょうか。必要性があるケースを4つ挙げましたので、実施する前に自分がどのケースに該当するのかを確認しましょう。
1. パソコンの動作が重く、不安定になった 長年使用していると、不要なファイルやレジストリが増大してパソコンの動作が重くなったり、不安定になったりすることがあります。パソコンの初期化を行うことで、これらの不要なデータや設定を消去し、パソコンをクリーンな状態に戻せます。
2. パソコンのトラブルを解決したい パソコンが起動しなくなった、ブルースクリーンの表示が多発するといったトラブルが起きた際に、初期化することで問題が解決する可能性があります。
3. パソコンを譲渡・廃棄したい パソコンを他人へ譲渡したり廃棄したりする場合は、個人情報などのデータが残っていると情報漏えい事故が起きる可能性もあります。そこで、初期化して個人情報や機密重要を残さないようにする必要があります。
4. 新しいOSをインストールしたい 古いOSを使用し、新しいOSをインストールしたくなった場合に初期化の必要が生じることがあります。アップグレードによる新しいOSのインストールは不具合を引きずる可能性がありますので、不具合が気になっているケースでは初期化をおすすめします。
初期化で気を付けるべきこと
パソコンを初期化する(工場出荷状態に戻す)際には、OSの再インストールが必要となり、すべてのデータや設定が消去されます。初期化を行う前には、必ず以下の点に注意しましょう。
1. 必要なデータのバックアップを取る 初期化を行うと、すべてのデータが消去されます。そのため、事前に必要なデータのバックアップを取っておきましょう。外付けHDDやクラウドストレージなどにバックアップを取ることをおすすめします。
2. インストールメディアを用意する Windows11のパソコンを初期化する場合、Windows11のインストールメディアが必要になります。インストールメディアがない場合は、Microsoftの公式サイトからダウンロードしておきましょう。
3. 時間と電源を確保する 初期化には数時間かかる場合があるため、十分な時間と電源を確保しておきましょう。内蔵バッテリーで処理を行うと、途中で電源がなくなり、作業が止まってしまい、トラブルになることがありますので、必ず電源を確保しておきましょう。
初期化の2つの方法とメリットとデメリット
Windows11パソコンを初期化するには、主に次の2つの方法があります。それぞれのメリット、デメリットと利用を推奨するケースについて解説します。
PCをリセットする
データを残したままにして、設定やアプリを削除する方法です。パソコンの調子には特に問題がなく、新しいOSの機能を試してみたい(バージョンアップ)場合におすすめします。
メリットとしては、データをそのまま残すことができ、要する時間も少なく済む点です。
デメリットとしては、互換性の問題が発生する可能性があり、一部の個人用ファイルやシステムの復元ポイントが削除されるという問題があります。そのため、バックアップは取っておく必要があります。
すべて削除する
PCを手元に残さず、人に譲渡したり処分したりしたい場合におすすめします。この方法では、すべてが削除されるので、セキュリティ面でも安心です。
メリットとしては、クリーンな環境でWindows11をインストールでき、互換性の問題が発生しにくい点があります。またパソコンの動作が軽くなる可能性が高いのもメリットです。
デメリットとしては、すべてのデータが削除されることと、処理に必要な時間が長いことです。またパソコンの知識が求められますので、パソコンが苦手な方にはおすすめできません。
Windows11を工場出荷状態に戻す手順
ここでは、実際にWindows11パソコンを工場出荷状態に戻す手順について紹介します。パソコンをリセットする方法と、全てを削除する方法のそれぞれの手順を図解します。稀に「PCを初期状態に戻す」操作でエラーメッセージが表示され、初期化できない場合があります。
その場合は、次の「Windows の回復オプション」を参考にして「スタートアップ修復機能」を行うか、コマンドプロンプトで強制初期化コマンドの「systemreset -factoryreset」を利用する方法があります。
【参考】:Windows の回復オプション|Microsoft サポート 【参考】:リセットで問題発生|コマンドプロンプトでdismコマンドを利用する|Microsoft サポート
PCをリセットする手順
トラブル解消を目的に工場出荷時状態に戻す場合は、データを残してリセット、再インストールする方法をおすすめします。この方法では基本的にデータは保持されますが、念の為にバックアップを取っておきましょう。
1.Windows11のスタートメニューを右クリックして、[設定]を選択し、設定ウィンドウの左メニューで[システム]をクリックし、表示された右メニューを下にたどって[回復]を選択します。
2.回復ウィンドウが開いたら、回復オプションの[PCをリセットする]をクリックします。
3.「オプションを選択してください」という初期化の方法を選択する画面が表示されます。データを保持するので[個人用ファイルを保持する]を選択します。
4.続いて「Windowsを再インストールする方法を選択します」という画面が表示されますので、「クラウドからダウンロード」または「ローカル再インストール」を選択します。通常はローカルを選択して問題ありません。
5.「このPCをリセットする準備ができました」と表示されたら、[リセット]ボタンをクリックすると再インストールが開始されます。
6.初期化が完了したら、データが残っていることを確認し、初期設定を行います。
パソコンには初期化前に利用していたMicrosoftアカウントでサインインし、Windowsやアプリのアップデートを行います。またプリンターなどの周辺機器を接続し、必要に応じてドライバーのインストール、アプリのインストール、インターネット接続や各種設定を行い、初期化前の状態に戻します。
すべて削除する手順
譲渡や処分を目的にパソコンを工場出荷状態に戻す場合は、データを含めてすべてを削除し、初期化を行います。こうすることで、情報漏えいなどの心配をせずにパソコンを手放せます。手順は、オプションの選択までは「このPCをリセットする」までと同じです。
次の「オプションを選択してください」の画面で、「すべて削除する」を選択します。
以上の操作だけで、パソコンは工場出荷状態に初期化されますが、再度初期化したパソコンを利用する場合は、Windows11の初期セットアップから始めます。
その際、パソコンのストレージがBitLockerで暗号化されている場合、回復キーの入力が求められます。BitLockerキーはMicrosoftアカウントでサインインすることで確認できますので、初期化する前に回復キーを記録しておきましょう。
【参考】:Windows での BitLocker 回復キーの検索 |Microsoft サポート
初期化するとOfficeはどうなる?
パソコンをリセットする場合、基本的にデータは残せますが、Officeは消えるのでしょうか?残すことは可能なのでしょうか?
個人データを残して初期化する方法はありますが、Officeを残すような初期化の方法はありません。ただし、以下の方法ではOfficeを再インストールせずに引き継ぐことが可能です。
▪️Microsoftアカウントに紐づけてOfficeをインストールしている場合には、同じMicrosoftアカウントでサインインすれば、Officeを再インストールせずに引き続き利用できます。 ▪️プロダクト版のOfficeをインストールしている場合は、プロダクトキーを入力して再インストールが可能です。
いずれの方法も、リセットを行う前にOfficeのライセンス認証情報を確認しておくことをおすすめします。
出荷時状態に戻すことでパソコンを蘇らせよう
ここまでWindows11パソコンを工場出荷状態に戻す(初期化)方法について、メリットやデメリット、手順、注意すべきことなどについて解説しました。
パソコンの初期化には主に「個人用ファイルの保持」と「すべて削除する」の2通りがあります。
どちらの方法を選択するか、メリットとデメリットを考えながら最適の方法を選択しましょう。
また、エンジニアを目指す人は、パソコンのライフサイクルに関する知識も身に付けた方がいいでしょう。この記事を参考に、自分のパソコンの最適化を試してみることをおすすめします。
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