Windows11の初期化とは
Windows11には、故障や動作不良が発生した際のシステムの復元手段が複数用意されています。
WindowsPC本体に定期的に保存される復元ポイント、USBメモリなどの外部記憶装置にシステムを保存してOSの再インストールを可能にする回復ドライブ、ソフトウェアに起因する軽度の障害を自動で修復するスタートアップ修復などです。
Windows11の初期化は、これらの手段を試して、それでもシステムが修復できなかった場合にWindowsPCを工場出荷状態に戻すことで修復を試みることができます。また、PCを売却・譲渡・破棄する際に、PCに保存されたデータや設定を完全に初期化する目的でも使用できます。
リフレッシュや復元との違い
Windows11では、システムを回復する手段として、リフレッシュ・復元・初期化の3つの呼称がありますが、言葉だけでは実際に何が違うのかイメージしづらいかもしれません。ここでは、それぞれの違いについて解説します。
リフレッシュは、設定情報と個人用のファイルやMicrosoft Storeから購入したアプリケーションは保持したままWindowsOSを再インストールします。WindowsOSのトラブル解消や、OSの再インストールのみがしたい場合に活用できます。
復元は、定期的に自動作成されるか、ユーザ自身で作成した復元ポイントの状態に巻き戻す機能です。新しいアプリケーションをインストールした後にトラブルが発生した場合や、Windowsアップデートの実行後にトラブルが発生した場合などは、復元を利用すると以前の状態に戻すことができます。
リフレッシュや復元は、ユーザのデータを一部保持しながらトラブルを解消しようとする機能ですが、初期化はPCを出荷時の状態に戻す機能です。
WindowsOSは再インストールされ、インストールしたアプリケーションや作成したファイル、外部デバイスとの接続情報やWindowsの設定などすべてが削除されます。
初期化が必要となるケースとしては、PCを売却や譲渡などで手放す前にデータをクリーンにしたい場合や、復元やリフレッシュでもトラブルが回復しなかった場合の最終手段として活用できます。
また、本来は復元やリフレッシュで復旧できるトラブルの場合でも、回復ドライブや復元ポイントを作成していなかった場合は初期化を試すことになるでしょう。
初期化するための事前準備
初期化処理は中断できないため、必要なデータは必ずバックアップ保存しておきましょう。また、処理中に電源が切れてしまうと予期せぬ不具合を引き起こすことがあるため、必ず電源の供給を確保した状態で実施しましょう。
また、ご自身の好みに合わせたWindowsOSの設定項目を確認したり、インストールしたいアプリケーションやバックアップから復元したいファイルのリストアップしたりなど、初期化後にやるべきことを整理しておくとスムーズに復旧できます。
Windows11を初期化する手順
Windows11を初期化する手順は、Windowsの状態によって異なります。
■Windowsが起動できて、ログインもできる場合 ■Windowsは起動できるが、ログインはできない場合 ■Windowsが起動できない場合
上記のように大きく分けて3つのパターンがあります。ここからは、それぞれのパターンの実施方法を解説します。
Windowsが起動できて、ログインもできる場合
Windowsが起動可能でログインもできている場合は、タスクバーのスタートアイコンをクリックして、スタートメニューから「設定」をクリックします(①、②)。設定画面が開くので、左側メニューから「システム」をクリックします(③)。
右側にシステムメニューが表示されるので、下方向にスクロールして「回復」をクリックします(④)。
回復メニューが表示されるので、「このPCをリセット」のバーの右側にある「PCをリセットする」ボタンをクリックすると、「このPCをリセットする」ウィザードがポップアップし、オプションの選択を促されます。完全に初期化したいため、ここでは「すべて削除する」を選択します(⑥)。
「Windowsを再インストールする方法を選択します。」では、クラウドからダウンロードしてインストールするか、WindowsPC本体に保存されているOSを再インストールするかを選択できます。
クラウドからダウンロードする場合はインターネット接続が必要で、データ使用量も大きくなるため処理時間が長くなりますので、ここではローカル再インストールを選択します(⑦)。
「追加の設定」では、「データのクリーニングを実行しますか?」「すべてのドライブからファイルを削除しますか?」「Windowsをダウンロードしますか?」の3つの項目を選択できます。
「設定の変更」のリンクをクリックすると、「設定の選択」画面に遷移するので、それぞれの項目のスライダーをクリックすると、「はい」と「いいえ」を切り替えることができます(⑧)。
ここでは、完全に初期化したいため、「データのクリーニングを実行しますか?」と「すべてのドライブからファイルを削除しますか?」を「はい」に設定し、ローカル再インストールをするため「Windowsをダウンロードしますか?」を「いいえ」に設定しています(⑨)。
設定の変更が完了したら、「確認」をクリックすると(⑩)「追加の設定」画面に戻りますので、「現在の設定」から設定内容を確認できます(⑪)。問題がなければ「次へ」をクリックしましょう(⑫)。
「このPCをリセットする準備ができました」では、「初期状態に戻すと、次の処理が行われます」の下に今回の初期化で実行する処理が表示されています(⑬)。問題ないことを確認したら、「リセット」をクリックすると初期化が実行されます(⑭)。
事前準備の項でも言及していますが、初期化処理は中断できません。また、初期化処理の実行中に電源が落ちてしまうとWindowsOSが動作不良を起こす場合があります。必ず電源の供給が確保されていることを確認してから実行するようにしましょう。
以上で初期化の手順は完了です。
初期化処理が完了したら、本記事の「初期化が完了したら」以降の手順を実行して初期化以前の環境に近づける作業を実施しましょう。
Windowsは起動できるが、ログインができない場合の初期化手順
Windowsは起動できるものの、ログインができない状態の場合は、ログイン画面右下の電源アイコンをクリックし、キーボードのSHIFTキーを押しながら、表示されるメニューにある「再起動」をクリックします。
PCが再起動され、セーフモードで起動されるのでメニューから「トラブルシューティング」を選択し、「このPCを初期状態に戻す」をクリックします。その後はWindowsが起動している状態の「このPCをリセットする」ウィザードの手順と同様です。
Windowsが起動できない場合の初期化手順
Windowsが起動できない場合は、PC起動時に「Windowsが正しく読み込まれませんでした。」というメッセージが表示されることがあります。その場合は、「PCを再起動する」を実行してもう1度起動を試すか、「詳しい修復オプションを表示する」で初期化を試すことができます。
その後はWindowsが起動している状態の「このPCをリセットする」ウィザードの手順と同様です。
初期化が完了したらすべきこと
初期化処理が完了すると、Windowsは出荷時の状態に戻ります。Windowsを起動すると、PCの初期設定ウィザードが開始されるので、新品のWindowsPCを購入した時と同じように、設定を行いましょう。
初期設定が完了したら、まず1番初めにすべきことはWindows Updateの適用です。ローカル再インストールを実行した場合は、工場出荷時のOSバージョンになっていますので、最新のWindows Updateが適用されておらず、セキュリティの脆弱性がある状態です。
サードパーティ製のセキュリティ対策ソフトなどを利用していた場合、それらのインストール・設定も優先して行いましょう。サードパーティ製のセキュリティ対策ソフトを利用していない場合はWindows Defenderの設定を確認し、セキュリティ設定が有効になっていることを確認します。
セキュリティ関連の設定が完了したら、USBなどの周辺機器の接続とドライバーのインストール、アプリケーションのインストール、バックアップしておいたファイルの取り込みなどを行い、初期化以前の環境に近づける作業を行いましょう。
また、初期化と設定を実施して復旧した後は、その時点で回復ドライブを作成しておくこともおすすめです。回復ドライブを作成しておけば、再設定の手間を大幅に削減することができるため、非常に有効なトラブル復旧の選択肢となります。
復旧方法を理解して、トラブルに対する選択肢を広げましょう
PCトラブルでWindowsが起動できなくなった場合は、何も知らなければ諦めて廃棄し、新しいPCの購入を考えてしまいがちです。しかし、Windowsの初期化などの復元方法を知っていれば、トラブルを解消してまた再利用できるかもしれません。
PCは高価な機器であり、なるべくなら長く大事に使いたいものです。多少のトラブルで安易に破棄しなくて済むように、正しい復旧方法を身に付けましょう。
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