Windows 11のスタートアップ
Windows PCを起動すると、必要に応じて任意のプログラムを動作させる仕組みが搭載されており、これをスタートアップと呼びます。ここではWindows11のスタートアップの役割・分類と、それぞれの設定方法について図解を交えて説明します。
スタートアップの役割と分類
スタートアップは、毎回サインイン時に動作が必要なアプリやサービスを起動させる仕組みです。アプリやバックグラウンドサービスを起動したり停止したり、PCが効率的に動作するように組み込まれています。
スタートアップの分類は、システムやWindows Storeが提供するアプリ、バックグラウンドのサービス、市販アプリやファイル・フォルダなどユーザ固有のものなど、自動的に起動することができます。設定や確認に使用するツールやアプリはそれぞれ、用途に応じて提供されています。
スタートアップ設定のカスタマイズ
まず最初に、システムやWindows Storeが提供するアプリの、スタートアップの設定や変更の方法を解説します。現在の自動起動設定の確認や変更は、設定アプリで行います。タスクマネージャーを用いることもできます。
設定アプリからスタートアップを設定する
スタートアップを設定するには、設定アプリを使う方法が一般的です。操作方法は、次の図をご覧ください。
最初にスタートを右クリックし、メニューを表示します(①)。メニューから「設定」をクリックし、設定アプリを起動します(②)。設定アプリの表示から「アプリ」をクリックします(③)。
【図】:設定アプリからスタートアップを設定する
「アプリ」をクリックすると下の図のように、「アプリ」の設定一覧が表示されます。この中から「スタートアップ」をクリックすると、設定可能なアプリの一覧が表示されます(④⑤)。
【図】:設定アプリからスタートアップを設定する(続き)
各アプリには、オン・オフのスライドボタンが表示されています。必要に応じてオンとオフを切り替えます(⑤)。アプリには初期動作を素早く行うために、サインイン時にあらかじめ起動されるものもあります。オフにする際の影響はあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
スタートアップ設定変更の確認
設定アプリからスタートアップを設定する場合のいくつかは、起動後のシステムトレイにアイコンが表示されています。
例えば、セキュリティ通知はスタートアップ設定をオンにすることで、次の図のようにシステムトレイのオーバーフローメニューに表示されます(①②③)。Microsoft OneDriveの場合は、システムトレイに直接表示されます(④⑤)。
【図】:アプリの起動状態の確認方法
ここでは詳細に触れませんがタスクバーを右クリックし、「タスクバーの設定」から「その他のシステム トレイ アイコン」を用いてシステムトレイに直接表示するかどうか、表示方法を変更することもできます。
タスクマネージャーからスタートアップ設定を変更する
タスクマネージャーは、システム稼働状況を管理するツールです。タスクマネージャーを用いて、スタートアップ設定を確認したり変更したりすることもできます。詳細は下の図をご覧ください。
タスクマネージャーを起動するには、スタートを右クリックし、「タスクマネージャー」をクリックします(①②)。タスクマネージャーが表示されたら、上から4番目のメーターのアイコンをクリックします(③)。表示が切り替わると、スタートアップアプリの一覧が表示されます(④)。
【図】:タスクマネージャーからスタートアップ設定を変更する
各アプリ単位で「有効」あるいは「無効」という、スタートアップの状態を確認できます。「有効」なアプリは、上部に「無効化」のボタンが表示されます。「無効」なアプリは、上部に「有効にする」が表示されます。ここでもやみくもに設定を変更せずに、動作の影響を確かめながら設定変更を行うことをおすすめします。
スタートアップ設定でアプリが起動しない場合は?
スタートアップ設定でアプリが起動しない場合は、先の手順に従って設定アプリで「アプリ」「スタートアップ」と順にクリックし、スタートアップ設定で「オン」あるいは「オフ」の状態を確認します。タスクマネージャーを用いて確認するのも良いでしょう。
インストール済みアプリのバージョンによっては、アプリが不整合を起こしている場合もありますので、その場合はアプリを更新あるいは再インストールしたり、修復したりします。それでも起動時に動作しない場合は、個別にスタートアップフォルダに登録することもできます。詳細は以降でお話しします。
スタートアップフォルダを用いてさらに設定を追加する
先に紹介した設定アプリでは、標準アプリやツールの設定変更を行うことができます。ここからは、個別に指定することができるスタートアップフォルダを用いて、設定する方法を解説します。
Windowsで提供されるスタートアップフォルダは、個別アカウント用とアカウント共通のフォルダの2種類です。詳細は、以降で順を追って説明します。
自分のスタートアップ設定を追加する
ここでは個別アカウント用フォルダを用いて、個々に必要なスタートアップ設定を追加します。個別アカウント用スタートアップフォルダは、ユーザ名ごとに割り当てられています。フォルダを開くには、以下のコマンドを用います。
shell:startup
このコマンドは、次の図のようにスタートメニューを右クリックして「ファイル名を指定して実行」をクリック、または「Windows」+「R」キーを押して、「ファイル名を指定して実行」を表示させます。
ここで、”shell:startup”を入力し、「OK」をクリックします(①)。その後、スタートアップフォルダが表示されます(②)。
【図】:スタートアップフォルダの開き方
このスタートアップフォルダは、以下のパスが実際の格納場所です。ここで、ユーザ名は実際にサインインしたアカウント名を指します。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup
フォルダ内には、初期設定では何も登録されていません。必要に応じてショートカットファイルを作成し、格納します。
システムツールやアプリの登録方法
スタートアップフォルダにシステムツールやアプリを登録するには、ショートカットファイルを追加保存するだけです。ショートカットファイルは、アプリやツール、フォルダやファイルでも構いません。
登録済みのアプリのショートカットファイルを作成するには、次の図のように行います。最初に、スタートメニューを表示し、「すべてのアプリ」をクリックします(①②)。
よく使うアプリは、最上部に「よく使うアプリ」として表示されています。この例では、よく使うアプリの代表であるメモ帳を用います(③)。
よく使うアプリに表示がされない初期状態では、「ま」で表示されるアプリ一覧から、メモ帳を使用します。ここで言うメモ帳は登録の例ですので、実際に必要なアプリを一覧メニューから選びます。
【図】:スタートメニューからすべてのアプリを表示する
ショートカットファイルを作成するには、そのアプリアイコンを、スタートアップフォルダにドラッグアンドドロップします。この例では、次の図の通りメモ帳をそのままドラッグし、スタートアップフォルダでドロップします(③④)。
【図】:アプリのショートカットを作成する
ショートカットファイルがフォルダに追加されたら、1度サインアウトします。システムに再度サインインすると、スタートアップの手順に従って登録したアプリが起動します。この例では、メモ帳が起動します。
すべてのユーザに対してスタートアップ設定を追加する
すべてのユーザに対して、同一のスタートアップ設定を追加するために、共通のスタートアップフォルダが用意されています。共通スタートアップフォルダを開くには、次のコマンドを実行します。
shell:common startup
実際の操作方法は、次の図の通りです。スタートメニューを右クリックして「ファイル名を指定して実行」、または「Windows」+「R」キーを押して、「ファイル名を指定して実行」を表示させます。ここで、”shell:common startup”を入力し、「OK」をクリックします(①)。その後、共通スタートアップフォルダが表示されます(②)。
【図】:すべてのユーザのスタートアップフォルダの開き方
共通スタートアップフォルダは個別アカウント用フォルダと異なり、システムで1つだけ存在します。以下のパスが実際の格納場所です。
C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup
共通スタートアップフォルダに関しても、初期設定では何も登録されていません。必要に応じてショートカットファイルを作成し、格納します。作成手順は個別アカウント用フォルダと同じですが、管理者権限が必要です。管理者アカウントでサインインし、作業を行います。
さらに高度なスタートアップ管理
Windowsでは、バックグラウンドで起動されるアプリケーションプログラムをサービスとして登録しています。サービス登録されている「名前」は、使用するアプリケーション名と異なるサブプロセスの場合も多いので、変更することはほとんどないでしょう。
ここでは難易度が高いですが、スタートアップサービスについても確認や設定の方法を学んでいきます。
スタートアップサービスの設定方法
スタートアップサービスの確認や設定は、「コンピュータの管理」を用います。次の図をご覧ください。
スタートメニューを右クリックし、表示されたメニューから「コンピュータの管理」をクリックします(①②)。続いて、「コンピュータの管理」が表示されますので、「サービスとアプリケーション」のメニューをダブルクリックし、メニュー表示を展開します(③)。
【図】:コンピュータの管理からサービスを設定する
次の図の通り、メニュー表示が展開したら「サービス」が表示されます(③)。「サービス」をクリックすると、中央ペインにサービスが一覧表示されます(④)。
【図】:コンピュータの管理からサービスを設定する(続き)
一覧表示からサービス名をクリックすると、左ペインに動作モードが表示されます。状態が空欄の場合は、「サービスの開始」が表示されます。状態が「実行中」の場合は、「サービスの停止」や「サービスの再起動」が表示されます。必要に応じて、動作を指定することができます。
詳細確認を行うには、一覧表示から該当する名前をダブルクリックします。個々のサービスのプロパティが表示され、詳細情報の確認やサービスの「開始」「停止」「一時停止」「再開」など、動作状況に応じて変更することができます。
タスクマネージャーからスタートアップサービスを設定する
スタートアップサービスについても、タスクマネージャーから確認や設定変更を行うことができます。
タスクマネージャーの使い方は、次の図の通りスタートメニューを右クリックし、「タスクマネージャー」をクリックします(①②)。タスクマネージャーが表示されたら、左下のアイコンをクリックします(③)。画面表示が切り替わり、サービスの一覧表示がされます(④)。
【図】:タスクマネージャーからスタートアップサービスを設定する
サービスの状態が「停止」の場合は、「開始」が上部に表示されます。「実行中」の場合は、「停止」「再起動」が表示されます。必要に応じて動作を変更することができます。
スタートアップで作業手順を簡略化しましょう
開発環境では共通利用するものも多く、サインイン後の起動ツールなどは、スタートアップで自動起動することができます。
スクリプトによる朝一の操作など手順の自動化などにも利用できますので、生産性向上に有効です。不要なアプリの自動起動を停止させることもできますので、システム資源の有効活用にもおすすめです。スタートアップの仕組みを有効活用しましょう。
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